ITコンサルタントの年収はどれくらい? 年齢や仕事内容で解説
ITコンサルタントは、その専門性の高さから需要が高い職業です。一般的な職業よりも高収入の傾向があるうえ、スキルや経験次第ではさらに上を狙える可能性があります。本記事では、分野による年収の傾向や、ITコンサルタントに求められる代表的なスキルなどについて詳しく解説します。
目次
【年齢別】ITコンサルタントの平均年収
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータによれば、ITコンサルタント全体での平均年収は約660万円です。この平均年収は、正社員の場合に関して、日本人の平均年収に比べて高い傾向にあります。専門的なスキルや知識に対する需要が高く、それに見合った高い報酬が支払われることを示唆しています。
年齢別で見てみると、20代後半のITコンサルタントの平均年収は約510万円です。IT業界における経験を積み、スキルを向上させることで、将来の収入が飛躍的に増加する可能性があります。また、30代後半は約730万円、40代後半は約760万円です。この世代は経験とスキルの向上、実績により、平均年収が急速に増加する傾向があります。専門的なスキルや知識、実績がいかに重視されるかが分かります。
【働き方別】ITコンサルタントの平均年収
出典：ITコンサルタントの仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）
ITコンサルタントの年収は、年齢のほか、働き方によっても変動します。正社員・派遣社員・フリーランスなど、働き方別の平均年収にはそれぞれ差があることを把握しておきましょう。
会社に属するITコンサルタントの場合
正社員の平均年収は、前述の通り約640万円です。この年収には基本給やボーナス、手当、福利厚生などが含まれていることが一般的です。 派遣社員の場合、平均時給が約2,000円であるというデータをもとに年収を計算しました。仮に1日8時間で22日間稼働すると以下のようになります。
- 日給：約16,000円
- 月給：約35万2,000円
- 年収：約422万4,000円
派遣社員は正社員よりも雇用の安定性が低い傾向がありますが、プロジェクトごとに給与を受け取るため、時給が高いことが魅力です。
アルバイトやパートタイマーの場合、平均時給が約1,000円であるため、仮に1日8時間で22日間稼働すると以下のようになります。
- 日給：約8,000円
- 月給：約17万6,000円
- 年収：約211万2,000円
このように、ITコンサルタントの平均年収は雇用形態によって大きく異なります。個人のキャリアプランやライフスタイルにあわせて選択することが重要です。
フリーランスのITコンサルタントの場合
フリーランスのITコンサルタントの年収は、ボリュームゾーンが約900万円になっています。高単価の案件を獲得できる場合、年収はさらに上昇する可能性があり、2,000万円を超えることも夢ではありません。しかし、高年収を実現するためには、市場での好意的な評価が必要です。高度な知識や専門知識をはじめ、顧客の要求に合わせたソリューションの提供など、幅広い方面での努力が求められます。
フリーランスのITコンサルタントの働き方については、フリーランスのITコンサルタントの年収や案件を獲得する方法を紹介したページをご覧ください。
ITコンサルタントの種類
ITコンサルタントが関わる領域は非常に広く、種類もさまざまです。代表的なITコンサルタントと、それぞれの年収について把握しておきましょう。
SCMコンサルタント
SCMコンサルタントは、企業のSCM（Supply Chain Management／サプライチェーンマネジメント）に関する問題や課題を特定し、解決策を提供する専門家です。ITツールやシステムの導入・運用支援に加えて、流通、在庫管理、サプライヤとの協業強化、リスク管理、コスト削減など幅広い分野に対応するため、関連業務の経験やコミュニケーションスキルがあることが望ましいと考えられます。
株式会社みらいワークスによると、月額報酬は一般的に50万円から始まる傾向ですが、経験や専門性によってはそれ以上になることも少なくありません。年収にすると600万円から1,000万円以上という幅広い範囲が見られます。
出典：ITコンサルタントの年収・給与・報酬は？仕事内容と年収が高い理由を解説！
CRMコンサルタント
CRMコンサルタントは、企業の経営戦略をCRM（Customer Relationship Management／顧客関係管理）へ落とし込み、計画の立案や実施を支援する専門家です。
業務内容は幅広く、顧客関係を改善するための戦略設計やデジタルマーケティング、DXの策定をはじめ、ときにはCRMシステムやツールの導入・カスタマイズを行い、データの効果的な管理にも貢献します。
株式会社みらいワークスによると、月額報酬は80万円から150万円ほどで、100万円がボリュームゾーンになっており、年収換算では1,000万円以上を目指せる可能性があります。
出典：ITコンサルタントの年収・給与・報酬は？仕事内容と年収が高い理由を解説！
ERPコンサルタント
企業において、ERP（Enterprise Resources Planning／企業資源計画）に関するコンサルティングを行います。
企業のニーズに合わせたERPシステムの導入やカスタマイズ、管理などのほか、ERPシステムを正しく活用できるようユーザーにトレーニングを提供するなど、業務は幅広く、多岐にわたる分野の知識が必要です。
株式会社みらいワークスによると、月額報酬は一般的に80万円からとなっています。平均報酬は約120万円ですが、高度なスキルと経験をもつコンサルタントは、年収換算で1,500万円以上を目指せる可能性があります。
出典：ITコンサルタントの年収・給与・報酬は？仕事内容と年収が高い理由を解説！
SAPコンサルタント
SAPコンサルタントとは、主にドイツのSAP社が提供しているERPソフトウェア「SAP ERP」の専門家です。SAP ERPの導入やカスタマイズ、運用、最適化など、関連業務をサポートします。SAP ERPは企業の全社統合型ソリューションであり、さまざまな業務プロセスを一元管理するため、主に大企業で採用されています。また、SAP社がSAP ERPのサポートを終了し、「SAP S/4HANA」への完全な移行を2027年までに推進することに伴い、SAPコンサルタントの需要は増加傾向です。
そのため、年収は高額になっています。株式会社みらいワークスによると、月額報酬は通常100万円以上です。高度なスキルとプロジェクト経験をもつコンサルタントは、年収換算で1,800万円以上を目指すことも可能です。
出典：ITコンサルタントの年収・給与・報酬は？仕事内容と年収が高い理由を解説！
PMO支援
PMO支援には、主に2つの意味があります。
ひとつは、PMOを効率的に実施するため、組織やプロセスの確立や改善を行い、能力や質を向上させることです。もうひとつは、関連する複数のプロジェクトを総合的に管理し、組織の戦略的目標を達成するため、プログラム全体の効率性や成果を向上させる役割です。
一般的には、後者がPMO支援のコンサルタントとして定義されます。前者は経営コンサルとしても扱われますが、明確な垣根はありません。
株式会社みらいワークスによると、月額報酬は50万円から180万円までと幅広い傾向にありますが、平均的には100万円ほどとされています。年収換算すると1,200万円クラスを狙える職業です。
出典：【フリーランス PMO】年収は？必要なスキルや資格は？つまらない？メリット・デメリットも解説
情報セキュリティコンサルタント
情報セキュリティコンサルタントは、情報セキュリティに関する専門的なアドバイスと支援を提供する専門家です。「サイバーセキュリティコンサルタント」とも呼ばれます。
短期間で変化するサイバー脅威に対するセキュリティの最新トレンドを把握し、組織のセキュリティポリシーと戦略を策定や実装プランの立案を行う立場です。インシデントが起きた場合には適切な対策と復旧計画を提案します。対応を指導することもあります。対応範囲が広く、専門性の高さもあり、年収も高い傾向です。企業の正社員になることが多いため、会社員として勤務するケースが多くなります。株式会社ムービン・ストラテジック・キャリアによると、30代で約1,200万円になっている人も少なくありません。
出典：サイバーセキュリティコンサルタントへの転職 – 仕事内容と資格と年収
ITコンサルタントの仕事内容
前述の通り、ITコンサルタントは分野が幅広く、多岐にわたる業務内容になっています。また、IT分野に限らず、コンサルタントは専門知識に加え「ヒアリング」「分析」「提案」「マネジメント」に関するスキルも必要です。それぞれについて具体的な内容を把握しておきましょう。
ヒアリング・分析
クライアントから情報を収集し、業務領域、経営戦略、既存システム、業務プロセスなどを詳細に把握します。その後、収集した情報を整理・分析して、IT関連の課題や改善できる機会を明らかにします。
提案
前段での分析結果や収集した情報をもとに、問題の根本原因を特定し、具体的な改善案を提案します。
提案では、採用する場合のメリットとデメリットの明確化が必要です。例えば、新しいシステムのリプレイスの場合、効率性やセキュリティといったメリットと、コストや運用の複雑性といったデメリットをクライアントに明確に伝えます。
マネジメント
ITコンサルタントは、課題解決のプロジェクトを立ち上げ、導入から運用まで幅広く支援する役割を果たしますが、そのためにはマネジメントも重視しなければいけません。プロジェクトの計画・実行・監視などを効果的に行うためのプロジェクトマネジメントをはじめ、リスク管理やチームメンバーとのコミュニケーションも求められます。クライアントの期待に応える結果へ近づけるため、プロジェクト全体を管理し成功に導く能力や、リーダーシップを発揮できるマネジメントスキルが必要です。
新しい働き方をサポートする「FLEXY（フレキシー）」
企業所属のITコンサルタントの場合、キャリアパスの一環としてフリーランスの道も開かれています。
ただ、いきなり独立しようとするのはリスクを伴うため、まずは副業からのスタートもおすすめです。週末や終業後を活用して副業を始め、経験を積みながらスキルを磨くことは決して無駄になりません。
FLEXYサービスは、週1～5日の稼働から探せるフリーランス向けの人材サービスです。大企業からスタートアップまで、数々の企業案件が幅広く掲載されています。スケジュールやライフスタイルにあわせてスキルを活かせるプロジェクトに参加し、フリーランスとしてのキャリアを築く一歩を踏み出しましょう。
まとめ
ITコンサルタントは種類が多く、年収もさまざまですが、いずれも専門性の高さや需要から高収入を狙える職業です。分野によっては1,000万円以上、中には1,500万円以上といった年収も少なくありません。年齢やスキル次第では、さらなる年収アップも可能です。ご自分の環境やスキルを見極めながら、ベストなキャリアパスを構築しましょう。
