フリーランスが支払うべき税金とは?納めるべき税金の種類を紹介

会社から独立し、フリーランスエンジニアとして活躍し始めた人がまず気にしなければならないのが、税金の存在です。
会社員時代は所属する企業が所得税や社会保険料の計算、申告・納付を行ってくれていましたが、独立してからはこれらの作業を自力で行わなければなりません。

本記事ではフリーランスが納めるべき税金の種類をご紹介します。

フリーランスに関わる税金は大きく分けて6種類

本記事では、

  • 所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険税
  • 消費税
  • 個人事業税
  • 固定資産税
上記の6種類をご紹介します。

フリーランスが必ず納めなければならない税金は「所得税」と「住民税」の2種類です。加えて、基本的には国民健康保険に加入して「国民健康保険税」を納税することになります。これら種類の税金はフリーランスの事業所得に応じて納税額が変動します。
国民健康保険と同様、フリーランスになると加入が必須となるのが国民年金で、「国民年金保険料」の支払いが必要になります。こちらは税金ではありませんが、フリーランスにとっては重要な社会保険なので併せて本記事でご紹介します。

また、その年の売上高によっては「消費税」を、持ち家で仕事をする場合などは「固定資産税」を、個人事業主として開業している場合は「個人事業税」を併せて納める義務が生じます。

所得税

所得税は「所得」にかかる税金

所得税はその年1年間(1月1日~12月31日)の所得額に応じて課税される税金です。
ここで注意すべき点は、課税対象になるのは「所得」であり「収入」ではないということです。年間の売上金額である収入から、仕事上で必要な備品の購入や移動にかかった経費、各種控除(所得控除)を差し引いたものが課税対象の所得(課税所得)となります。

会社員は、勤務先の企業が従業員の所得を計算し、源泉徴収税として代わりに納税しているため、自分で確定申告を行う必要がありません。しかし、フリーランスの方は1年間の所得を計算し、確定申告をして自分で納税する必要があります。

出典:フリーランスが納める税金の種類は? 控除や節税対策も徹底解説

出典:個人事業主フリーランスが納める税金

住民税

地域で税額が変動する住民税

所得税と同じく、住民税も所得に対してかかる税金です。居住地域の福祉、教育などの行政サービスに必要な費用を地域内の住民で均等に負担することを目的に導入されています。

住民税は前年の確定申告による所得(課税所得)に応じて課税される「所得割」と、一律課税される「均等割」で構成されています。基本的な計算式は「課税所得×所得割+均等割」です。住民税は各市区町村から6月頃に納付書が送付され、その納付書によって納税を行います。
所得割の税額は10%、均等割は5,000円~5,500円程度が一律課税される場合がほとんどです。居住地域によっては合計の税額が変動しますので、自治体のWebサイトなどで確認をしましょう。

フリーランスや副業をされている方はご自身で住民税の納付等を行う必要があるため、フリーランスや副業をしている方は住民税について知識を蓄えておくことをおすすめします。

「ふるさと納税」などを利用した控除も可能

住民税にも所得税同様に基礎控除や扶養控除などいくつかの控除が用意されています。また、最近ではふるさと納税を活用した「寄附金控除」を利用する人も増えています。

出典:個人事業主フリーランスが納める税金

国民健康保険税

基本的に国民健康保険への加入は必須

フリーランスとして独立した場合、会社で加入していた健康保険から抜けて新たに国民健康保険に加入し、国民健康保険税を支払う必要があります。会社員時代の健康保険に任意継続という加入し続けることもできますが、期間は2年と定められています。

保険料は課税所得に応じて変動する所得割と一律課税の均等割、平等割の合算で決まり、限度額が設定されています。
実際の金額や納付方法は居住地域の市区町村や年齢、世帯構成などによって異なるので、ご自身で必ず確認してください。なお、保険料は確定申告時の控除対象となります。

健康保険組合に入れば保険料を安くできる

国民健康保険の代わりに、任意の健康保険組合に加入する選択肢もあります。Webデザインを行っているエンジニアの場合は、「文芸美術国民健康保険組合」に入れる可能性があります。健康保険組合の保険料は国民健康保険料より安く済むケースが多いため、必ず調べておきたいところです。

国民年金保険料

国民年金は月々納めよう

国民健康保険と同様に、フリーランスとして独立した場合は国民年金に加入して保険料を納める必要があります。保険料は、一定の保険料額に前年度の物価や賃金変動率を考慮した保険料改定率を掛けて算出されます。保険料の支払いは月々発生しますが、1年分を前納すると一定額割引されます。

こちらの記事ではフリーランスや個人事業主ができる年金対策についてご紹介していますので、合わせてご覧ください。
フリーランスと個人事業主の違いは? 税金や年金対策、開業手続きなどを徹底解説!

保険料の免除・猶予制度も活用しよう

保険料を滞納してしまうと、将来的に受け取れる年金額に影響する可能性があります。このため、払い忘れには注意しなければなりません。
万が一、年間収入の減少などで納税が経済的に困難な場合は、保険料免除制度や納付猶予制度を活用しましょう。

消費税

年収1,000万円以上のフリーランスは要注意

消費税はフリーランス全員が納税する義務はありません。年間の課税売上高が1,000万円以上になった場合、その2年後(翌々年)から消費税の納税義務が発生します。ただし、個人事業主として開業したフリーランスの場合は、基本的に開業後2年間は消費税の納税義務が免除されます。
例外として、前々年度の課税売上高が1,000万円を超える場合や、前年1月1日から6か月間の課税売上高が1,000万円を超えた場合には、課税事業者となり納税をする必要があります。

フリーランスが案件の対価として受け取る報酬は、消費税を含んだ額です。受け取った消費税額から仕入れで支払った消費税額を差し引いた金額が納税額となります。

個人事業者の場合の基準期間と課税期間 出典:国税庁 消費税のしくみ

出典:フリーランスが納める税金の種類は? 控除や節税対策も徹底解説

個人事業税

個人事業税は事業所得が290万円以下の場合、控除が設けられており、税金はかかりません。年間所得金額が290万円を超えた場合にのみ課税される税です。税は事業所の所在地として申請した都道府県に納めることになり、道路工事などの公共事業や公共サービスの財源として使われることになります。

ただし、個人事業税の対象となる法定業種はあらかじめ法律で決められています。準委託契約を結ぶシステムエンジニアやプログラマーの場合、法定業種に当てはまらないため非課税となる可能性が高いです。ただし、デザイナーは法定業種ですので、Webデザイナーなどを兼業している場合は課税対象となります。その場合、税金は70種類の業種を3つの法定業種に区分し、種類によって3~5%の税金がかかります。

所得税の確定申告書を税務署に提出すれば個人事業税の申告書も提出したとみなされます。つまり、基本的には、事業税の申告書を別に提出する必要はありません。個人事業税額は、全額が必要経費に計上も可能です。

出典:フリーランスが納める税金の種類は? 控除や節税対策も徹底解説

出典:フリーランスが支払う税金の種類と控除の種類

出典:個人事業主フリーランスが納める税金

固定資産税

固定資産税は、土地や建物などの固定資産に対してかかる税金です。持ち家の自宅を仕事場としているフリーランスの場合は納税義務があります。(賃貸で暮らしている場合は、支払い不要)

税額は基本的に、固定資産の評価額に標準税率である1.4%をかけた金額が課税されることになります。なお、評価額は原則3年ごとに見直されます。

固定資産税は、申告する必要はなく、市区町村などから納税額の記載された納付書が届くため、その納期に合わせて納税をする必要があります。通知が届く時期や納税期限は市区町村によって違いがあるため、各自治体のサイトを確認しましょう。

出典:フリーランスが納める税金の種類は? 控除や節税対策も徹底解説

出典:フリーランスが支払う税金の種類と控除の種類

税金を安く抑えるために

フリーランスはすべての税金を自分で納めます。そのため、会社員に比べて税負担は重くなる傾向があります。

ここからはフリーランスの方に向けて、税金を安くする方法をご紹介します。節税対策をして、税負担を軽くし、税負担が重いなどの悩みをなくしていきましょう。

出典:フリーランスが納める税金の種類は? 控除や節税対策も徹底解説

今すぐできるフリーランスの節税対策

フリーランスの節税対策では、経費を見直すことが重要です。節税対策をすると、経費が増加し、課税対象になる所得額が下がるため、所得税・住民税など税額も低くなります。

出典:フリーランスが納める税金の種類は? 控除や節税対策も徹底解説

経費として計上できる税金や支出

    【経費にできる税金】
  • 個人事業税
  • 固定資産税
  • 消費税および地方消費税
  • 印紙税
  • 不動産取得税 など

基本的に、税金は経費にできません。(所得税や住民税など)しかし、仕事関連の税金であれば経費にできる可能性があります。

    【経費にできる支出】
  • 旅費・交通費
  • 通信費
  • 消耗品費
  • 減価償却費
  • 損害保険料
  • 外注加工費  など

仕事をする際に使用した支出のみ経費として計上できます。そのため、プライベートで使用する支出は経費として計上できません。

出典:【最新】個人事業主が経費にできるものとは?経費にできる・できないものの判断基準や具体例を解説

出典:フリーランスが納める税金の種類は? 控除や節税対策も徹底解説

所得税が安くなる控除について

所得控除とは、課税所得額から一定額を差し引くことができる控除のことです。税率と課税所得控除額は年間所得によって変動します。

例えば年間所得が600万円の場合、年間所得が330万円から694.9万円であれば税率は20%、控除額は42万7,500円と定められていますので、所得税額は「600万円×(20÷100)-42万7,500円=77万5,000円」となります。税率と所得税額は国税庁のWebページから確認できますので、必ず見ておきましょう。

確定申告について

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、期限内に正確な書類を作成しなければいけません。

確定申告は青色申告にすべき理由

青色申告では、最大65万円の控除が適用されるため、確定申告はメリットが多い青色申告の方がおすすめです。白色申告では、このような控除はありません。

また、最大最大65万円の控除以外のメリットとしては、「青色申告承認申請書」とあわせて「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、配偶者や親族に対して支払った給与を経費として計上できることや最長3年間赤字を繰越控除することができます。

出典:フリーランスが納める税金の種類は? 控除や節税対策も徹底解説

出典:個人事業主フリーランスが納める税金

出典:「青色事業専従者給与に関する届出書」の書き方は?

出典:青色申告者が損失申告で赤字(純損失)を3年間繰越控除するには?

青色申告するために必要なコト

青色申告を行うためには、その年の3月15日までに税務署に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。また、新たな事業を開業する場合、開業後2か月以内に申請書の提出が必要です。

出典:フリーランスが納める税金の種類は? 控除や節税対策も徹底解説

出典:青色申告ができる条件、できない条件をそれぞれ解説!

税金が高くて払えないこんな場合は

延納や猶予制度を活用しよう

万が一、支払わなければならない税金の総額が予想外に高くなり、納税が難しくなってしまった場合、早急に対応の手立てを講じる必要があります。それぞれ税金には納付期限があり、例えば所得税を滞納すると、日数によっては年14.6%もの延滞税が新たに課されてしまうことがあります。

各種税金には、納税が困難な人を対象とした延納や猶予制度も存在します。詳しく知りたい場合は、税務署の無料相談会や小規模事業者向けの商工会議所などに相談してみましょう。

まとめ

本記事では税金の種類について説明しましたが、これまで会社員として活躍してきた人の多くは、税金の種類や計算方法などにはほとんど詳しくないでしょう。
しかし、フリーランスは自分で税金を計算する必要もあり、フリーランスとして活動していく上では必須の知識です。税金によっては控除なども存在します。
これらを適切に活用して、なるべく納税額を低く抑えられるよう工夫してみましょう。
フリーランスエージェントを活用することにより手続きの相談をすることができますので、豊富な知識を元にアドバイスをもらうのもお勧めです。

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