今注目の新しい働き方を牽引するスポットメイト社、副業・業務委託で構成された組織のあり方――スポットメイト

※本記事は2019年12月に公開された内容です。

体験バイトに特化したマッチングサービス「Baitry(バイトリー)」を提供しているスポットメイト株式会社。同社のCTOは、株式会社LEARNieの取締役CTOでもある大関さんです。

前回、大関さんにはご自身のリモートワークの実態をお伺いしましたが、今回はメンバーのほとんどが副業や業務委託で構成されているスポットメイトの組織について代表取締役CDO×社外CTO対談を実施しました。

コアメンバー10名に対して副業・業務委託が70名という比率の組織がどのように稼働しているのか、注目です!

スポットメイトCDOとCTO

左側:スポットメイト株式会社 代表取締役 / CDO 三澤 英知さん
右側:スポットメイト株式会社 社外CTO 大関 隆介さん

優秀な人材を正社員として留めておけない時代だからこそ生まれた組織

――副業兼業の組織として注目をあびているスポットメイト社、今日はFLEXYからご紹介した方がどのような働き方をされているかも含め、CDOとCTO対談としてお話をお伺いしていければと思います!

御社の現在の社員は80名、このうち副業や業務委託の方は70名とお伺いしています。

CDO三澤 英知さん(以下、三澤):最近のスタートアップでは副業や業務委託の採用もメジャーになりつつありますが、当社のような規模で採用している企業はなかなか少ないと思います。

――FLEXYからはiOSとAndroidエンジニアが御社で働いていますが、エンジニア組織自体はどのような人数と内訳ですか?

社外CTO 大関 隆介さん(以下、大関):19名ほどです。プロパーは2名だけで、あとは業務委託か副業です。中には自分で会社を経営している方もいますよ。 役割的にはFLEXYさんからの稼働者も含めると以下のとおりです。

    <エンジニア内訳>
  • iOS:4名
  • Android:3名
  • サーバーサイド:3名
  • アナリティクス:2名
  • フロントエンド:3名
  • 他: 4名

FLEXYさんに協力いただいたのは、組織を加速させるべく増員を図りたかったからですね。

――副業・業務委託の方はどれくらいのボリュームで稼働しているのでしょうか?

大関:エンジニアの副業は通常なら月20~30時間の間で小さなタスクをこなすイメージがあると思うのですが、当社の場合は40~50時間ほどコミットしてくれる方が多いです。もちろん20〜30の人もいるので稼働時間に合わせた業務をお願いしています。業務内容自体もフローの上流から関わる傾向があります。

――副業や業務委託の人材をメインとした組織を作りたいという思いが設立当初からあったのでしょうか?

三澤:時代の流れがそういう風向きになるだろうと思っていたんです。優秀な人材を正社員という枠に留めておくことが難しいのは昔から感じていましたし、今後はトップレベルの人材にプロジェクトベースでジョインしてもらう風潮に間違いなくなっていきます。だとすれば、会社として最初から自由な働き方を受け入れる体制にすべきだと考えました。

――その中でCDOの三澤さんとCTOの大関さんはそれぞれどのような役割を担っているのでしょうか?

三澤:私は経営の一番上流の部分の目標を定め、戦略に落としています。さらに実行に向けた基盤づくりやデザインも自分で行っているので、プレイングマネージャー的ですね。

>CDOとは?
スポットメイト社のCDOはChief Design Officer(最高デザイン責任者)の略です。CDOは、他にもChief Digital Officer(最高デジタル責任者)、Chief Data Officer(最高データ責任者)の略で、組織のデジタル変革を経営の視点で推進、またプロダクトにおけるデザインの責任者の役割を担つ時に使用される呼称です。

大関:私は以前のインタビューでもお話したようにLEARNieの取締役CTOも務めているので、立場的にはスポットメイトの社外CTOです。ただ、副業という形ではなくスポットメイトにもしっかりコミットはしています。イメージ的には複業ですかね。業務のメインはエンジニアのマネジメント、プロダクトの開発設計、組織づくりです。実装などはほとんどしていません。

>CTOとは?
最高技術責任者(さいこうぎじゅつせきにんしゃ、英語: chief technical officer または chief technology officer、略語: CTO)は ビジネス幹部のポジションで、会社における技術的な統括責任者の役割を担います。

スタートアップの開発スピードについて来られる人材かどうかが採用軸

――御社にはどのようなエンジニアさんがマッチするのでしょうか?

大関:一番はプロダクト志向であることです。エンジニアにはそれぞれ使いたい技術があると思うのですが、まずはやりたいことありきで、そのためにどんな技術を利用できるのかという発想ができないとプロダクト開発には向かないと思います。また私たちはスタートアップ企業なので、品質が求められている部分とスピードが求められている部分のバラつきがあります。全てをきちんと作り上げたいというタイプだと、「質よりもスピード優先で」と言われことが苦痛になるかもしれません。そのあたりは採用面接でもヒアリングします。

――スキル面でのマッチングは面談ではどのように見ていますか?よくする質問などあれば教えてください!

大関:私自身はほとんどコードを書かないので、各分野のエンジニアに面接に同席してもらっています。彼らの方が専門分野においては優秀ですしね。技術的な細かい部分のマッチングは信頼できるメンバーに任せています。私が確認するのは、例えばライブラリの選定理由や技術に対する理解などを質問します。きちんと意図があって選んだのか、なんとなく選んだのかといった部分でスキルを判断する形です。また、現在その人が直面している案件は何が課題でどう改善したいのかといったこともよく聞きます。きちんと目の前の課題を自分で噛み砕いて説明できて、なおかつ改善の方向性に対する明確な意識を持っていないと、スタートアップのスピード感にはついていけないからです。

――人柄や開発に対する考え方などをCTOの大関さんが判断しているんですね。

大関:実際一緒に働くのは現場のエンジニアですから、彼らとの相性も重要視します。私が悩んでいてる場合でも、エンジニアが一緒にやりたい、やれると判断したのならそちらを尊重して採用することもあります。多少考え方の違いがあっても、同じ方向性で開発を進められるなら問題ありません。自分の価値観をしっかり持っているのは良いことですしね。

副業には、本業でやれないことも思い切りやれるメリットがある

――副業や業務委託が多いエンジニア組織において、教育面については何か施策とかありますか?

大関:今は即戦力を増やしてプロダクトをどんどん前に進めていかなければならないフェーズです。ですので、スキルが高い人を採用しています。今後フェーズが移行して正社員が増え、教育環境も整ったら改めて進めていきたいと思っています。

――正社員だけの組織との違いやメリットはどんなところでしょうか?副業や兼業、フリーランスの働き方をしている方に思考性の特徴があれば教えてください!

大関:副業の人たちは基本的にモチベーションが高いです。正社員の方が低いというわけではありませんが、副業の方は基本的に新しい技術に触れてみたい、自分が所属している会社ではやれないことをやりたいという動機で副業をしているケースが多いんです。その分積極的なんですよね。

三澤:当社のようなスタートアップで戦略の自由度が高い状態だと、開発に対して本質的なロジックを持って戦えるのでうれしいみたいです。本業では組織的な都合や社員同士のしがらみがあって全力が出せないことがあるんですよね。

大関:大手企業から来ている方も多いのですが、1on1で話を聞いていると「本職ではコードを書かないから副業で書けるのが楽しい」なんて人もいます。ほかにも「大手企業だとどうしても意思決定が遅くなるけれど、スタートアップだからこそスピード感を持って開発ができるのがいい」という声もありましたね。大手だとシステムがレガシーになっていても、一気に変更すると影響範囲が大きいからなかなか進められないという状況になりがちです。その点うちはまだシステムが小さいので新しい技術も試しやすい。そういう部分に魅力を感じてくれているエンジニアも多いようです。組織自体も資本業務提携をして今後加速度的に成長していこうとしていますから、今が一番面白いフェーズなんだと思います。

あとは単純に違う組織やエンジニアの働き方や技術を見られるのもいいですよね。私自身がLEARNieとスポットメイトの両方に所属していてそう感じます。2つの視点で物事を見ることで視野が広がりますし一緒に働くことで信頼関係も構築できるのでエンジニアを紹介してもらったりしています。実際、スポットメイトのエンジニアから何名か紹介してもらってLEARNieに参画してもらったケースもありますし逆もあります。

――他社のエンジニアと一緒に仕事ができるメリットを高めるために、何か取り組みは行っているのでしょうか?

大関:週に1回はチームごとに進捗共有のミーティングを雑談も交えて行いますし、今は三澤さんが企画したmeetupを定期的に開催しています。オンラインだけだと喋ったことがない人も多くなりますから、メンバー同士が集まることで仕事上のコミュニケーションも取りやすくなるように意識しています。

三澤:meetupは月に1回実施しています。会社の中長期の戦略の共有と振り返りを行ったら、あとは交流会です。3分の2は喋って飲んで食べてという場です。

大関:他社で働いているエンジニアの人たちと利用技術やアーキテクチャの話ができるのが非常に面白いんですよ。ビジネスサイドなら事業責任者もいたりしますし、成功事例や失敗事例を知るだけでも有意義です。

いかに能動的にタスクを取りにいけるかが副業成功を左右する

――スポットメイトさんのように副業や兼業の人材を活かすにはどうしたら良いのでしょうか?

大関:例えば月40時間という制限の中でタスクを振り分け、成果を出すのは意外と大変です。ただしこれは副業の方の能力というよりも、マネジメント側の仕事の振り方に大きく依存します。特に副業は優秀な人材を集めやすい状況ですから、稼働時間が少なくても適切にコントロールさえすればパフォーマンスをかなり発揮できるはずです。

三澤:稼働時間がパフォーマンスに比例しないのは間違いないですね。

――では、副業に向いているのはどのような人材なのでしょうか。

大関:基本的にはタスクベースで動くことになるのですが、能動的にコミュニケーションをして仕事を取れる人の方が副業は向いています。

三澤:もちろんどんなタスクを任せるかにもよるのですが、確かに自分から情報を集めて意見も述べながら目的を遂行する人の方がワークしますね。実際、情報を集めずタスクも拾わない、自分から動こうとしないような人は当社に全くマッチしませんでした。

大関:中でもタスクを拾えないのは厳しいですね。例えば夜の22時から稼働して、30分で任されたタスクが終わったときに、既存のissueから能動的に仕事を拾える人はやはり優秀だなと感じることが多いです。もちろん私たちも自分の仕事が終わったらGutHubのカンバンに並べているissueを優先度の高いものからやってもらうように言っていますが、それを能動的にこなせる、あるいはそこに書いていないタスクを見つけてTo Doに入れていくような人は「デキる」エンジニアですよね。マネジメント側が何もしなくても勝手に開発が進む状態になるわけですから。

現場における働きやすさやタスク管理のベースを作るのはマネジメントサイドの役割ですが、それをどう活用して自ら作業に落とし込むのかは働く側のマインド次第だということです。そこは採用面談でもお話しています。

――ツールは何を使っていますか?タスク管理は全てGitHubでしょうか?

大関:営業以外は全員GituHubでissuesやプロジェクト管理をしています。エンジニアライクな考え方でツール選定をするのはすごいことだと思います。

三澤:GitHubが管理ツールとして優れていることはもちろん知っていましたし、最近はUIも改善されてきたので採用しました。当社が提供しているのはBtoBのツールでもありますから、逆にこういったツールを使いたくない人はうちに馴染まないと判断できるかなと思ったんです。カルチャーの構築という意味も含めて意思決定しました。

大関:いろいろなツールを試した結果GitHubを最適なものとして選んだんですよね。そのプロセスもいいなと思いました。

三澤:主要なプロジェクト管理ツールはひととおり試しましたよ。

大関:お互いのコミュニケーションコストを抑えられるというのも決め手でしたよね。デザイナーとエンジニアがやりとりするときに利用ツールが違うと、開発履歴がどこにあるのかがわからなくなります。それをGitHubに集約してしまえば、デザイナーさんが作成したページの確認もエンジニアの要件定義も実装も全てそこで完結します。あちこち探さなくていいメリットは大きいです。

ただGitHubはエンジニアのツールだというイメージも強いので、そこは使い方がわからない人をエンジニアがきちんとフォローするという前提で導入したんです。そこも大事なポイントかなと思います。

組織に足りない要素を補い合う、CDOとCTOのwin-winの関係

――CDOとCTOのお二人にフォーカスしたお話も伺いたいのですが、大関さんから見てCDOである三澤さんの強みや魅力に感じる部分はどこですか?

大関:三澤さんはエンジニアリングには触れたことがないにも関わらず、エンジニアのことを理解した上でデザイン的な判断をしてくれます。実装に時間がかかるデザインがあれば本当に今開発が必要なのかどうかもしっかり議論してくれますし、現場のエンジニアはとても作業がしやすいです。あとは意思決定もレスポンスもデザインが上がってくるのも早いので助かっています。

――では、三澤さんから見た大関さんはいかがでしょうか。

三澤:もともと私たちの組織は創業CTOが辞めてしまってから、根本の設計が無い状態で開発を進めていました。その状況を打破してくれたのが大関さんなんです。設計はもちろん、エンジニアのマネジメントも担ってくれているのはとても助かっています。やはりエンジニアと対話できるのはエンジニアですから。

――大関さんのジョインはスポットメイトとしてかなり大きな要素だったんですね。

三澤:プロダクトはBTC(ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ)で成り立っているので、3つの要素がバランス良く成立するラインを見定めて意思決定する必要があります。大関さんがジョインしたことで専門分野であるTとCのいずれの要素も考慮できるようになったのは、組織としても強いのではと思っています。自分が会社の代表を担っていても実現したい部分でした。

大関:デザインがすぐに出てくるかどうかも、開発目線から見ても開発サイクルを早くするためには大きな要素の1つです。実際、LEARNieは専任のデザイナーが居ないのが課題です。追加したい機能があっても絵がすぐには出てこないので、そのまま開発するとどうしてもズレが出ます。かといってUI/UXデザイナーは採用が難しい。なので三澤さんと知り合った当初からしばらくは私がLEARNieのデザインについて相談させてもらっていました。

つまり、LEARNieはCDOが不在でスポットメイトはCTOが不在。それを私と三澤さんがお互いに補完して2つの企業を支え合ったような感じです。自分がスポットメイトの社外CTOになるというのは全然、想像はしてなかったですが。

――三澤さんはなぜデザインをするようになったのでしょうか?

三澤:もともとは事業責任者としてマネジメントやプロダクトの根本の設計をしていたのですが、そのうち一番重要なのはインターフェイスなのではないかと思い至ったんです。でも言語でコミュニケーションしても、なかなか自分の思ったものを形にはしてもらえなくて。だったら自分で可視化できるようにした方が早いだろうと、キャリアチェンジしてデザイナーになりました。ですから私は、ビジネスの上流で考案したことをそのままUIにまで落とせるCDOであるという点が強みだと思っています。

大関:ビジネスを理解した上でデザインができる人はあまりいませんよね。さらに言うと、三澤さんは人を巻き込む力もすごいんです。CDOやCTO一人ができることには限界がありますから、周囲をどんどん事業に巻き込んでいく能力は非常に重要です。デザイナーもビジネスサイドも、三澤さんがすごいスピードで優秀な人を集めてきてくれます。

三澤:その点は市場に多様な働き方を受け入れる先がまだまだ少ないことも影響していると思いますよ。副業元年と騒がれつつも多くの企業は他社の様子を窺っていますし、副業はこの程度の働き方だろうという固定概念に縛られがちです。私は昔から業務委託の人と仕事をする機会がありましたが、雇用形態に関係なくメンバー一人ひとりが自分のやりたいように働くことにこそ意義があると感じていました。そこで生まれた縁も大事にしていたからこそ、今の組織の形があるのだと思います。

副業に限らず、新しい挑戦をしたい人は幅広く受け入れる

――今後の事業の展望について教えてください。

三澤:フェーズ的にはプロダクトマーケットフィットに向けてひたすらサービスモデルの検証を進める段階ですね。プロダクト自体は価値を創出できているのでここからさらにグロースさせ、ビジネスとしてもスケールしていきたいです。戦略を考える立場のメンバーが冷静に次のフェーズに向けた土台作りをしていかなければならないと思っています。

――最後に全国のエンジニアに対して自社のPRをお願いします!

三澤:スポットメイトのテーマは「新しい働き方」だと思います。もっと新しい挑戦をしたい、本質的な議論ができる環境でものづくりをしたいという方なら、どんな働き方でも良い形で関われるはずです。副業に限らず、幅広く人材は求めています。

大関:多様性を認められる組織なんですよね。私自身も子供が3人いるのでほとんど出社していませんが、会社がそれを認めてくれています。家族を大事にしながらスタートアップで働けるのは素敵ですよね。これはLEARNieにも言えることなので私は恵まれているなーと感じます。あとは意思決定が早い、技術もある程度自由に選べる、スタートアップにも関わらずデザイナーもエンジニアもいて連携できるという組織体制も面白いと思います。興味があればぜひお声がけください。

FLEXYのご紹介

FLEXYは、エンジニア、技術顧問、デザイナーの方向けに案件をご紹介するサービスです。
リモートワークや週1-5日、高単価案件など、ご希望に合った案件をご紹介いたしますので、是非お気軽にご相談ください。

FLEXYに登録する


■おすすめ記事:

村田 拓紀
インタビュアー:村田 拓紀
株式会社サーキュレーション プロシェアリング本部 FLEXY部 マネジャー/中古車のマーケットプレイスシェア首位の企業にて拠点責任者、営業戦略策定、メンバーの採用から育成まで幅広く従事。IT企業を経てサーキュレーションに入社。現在はIT戦略における中期ロードマップ策定、IT企画人材育成に向けた技術顧問活用プロジェクトなどDX推進に舵を切る多くの企業を支援。

FLEXYとはABOUT FLEXY

『FLEXY』はエンジニア・デザイナー・CTO・技術顧問を中心に
週1~5日のさまざまな案件を紹介するサービスです