【CTOインタビュー】PLAID柴山氏(前編)「人」がいなければ調達資金が余ることも?
先日、flexy関連イベントとして開催された、第2回「Ex-CTO meetup」。
資金調達において、CTOは何を考え、何をすべきか?をテーマにCTO経験者同士のディスカッションが行われた。
今回は、当日深掘りし切れなかった内容について、ご登壇頂いた株式会社プレイドの柴山氏に、個別に話を伺った。
「カネ」の調達だけでなく、「ヒト」の調達も大事
黒田悠介氏(以下、黒田):先日はイベントにご登壇いただきありがとうございました!ここがイベントでもお話されていた例のオフィスですね。オシャレで働きやすそうです。
柴山直樹氏(以下、柴山):ありがとうございます。ここには2回目の調達後に引っ越してきたので、まだ8ヶ月くらいですね。
黒田:調達は確か2014年に1.5億円と2015年に5億円の2回でしたよね。イベントでお聞きして「人」と「設備」に使っている印象を受けました。
柴山:そうですね。分かりやすく人とオフィスに使いました。オフィス自体も「採用」と「働きやすさ」を目的としているので、全て「人」のために使ったとも言えます。1回目の調達では恵比寿に、2回目の調達でこの五反田に移転しました。
黒田:調達した資金は元々の計画通りに使えたということでしょうか。
柴山:1回目の調達時にはリリース前のステルス状態でやっていたので、人への投資に限定して割と計画通りに使いました。1.5億だとすぐなくなっちゃうね、みたいな(笑)2回目の調達では、採用計画ではもっとアグレッシブだったんですけど、思うようにいかないという誤算がありました。ほぼ僕や代表の知り合いで集めた30人くらいの社員でやっているのですが、計画では現時点で50人を超えている予定でした。また、売上はまあまあ予測通りだったので、それもあってお金が余ってしまった感じです。もっと他のところにも使えばよかったです。
黒田:例えばマーケティングとかですよね。
柴山:ええ。お金の使い方次第ではスピードがもう少し出せたなと。マーケティングにもアグレッシブな予算をつけていたんですが、なかなかそのお金を使って動かせる余裕がみんなに無かった。お金を使うのにも頭を使いますし、社内にナレッジを貯めていく作業も必要ですし。
黒田:完全に外注してしまうと社内にナレッジが貯まらなくて、外注に依存しちゃいますしね。
柴山:そうなんですよね。ナレッジを残しながらお金を使いたいが、そのための人的リソースが足りないというのが課題です。2015年の調達前は特に、VCに話せる実績を作るためにも「クライアント数」や「売上」を追求していたのですが、そういった目標を追っていると少人数では開発と営業以外には人が回らない。
黒田:ここに使えばよかった、というよりは使うためにも採用計画を前倒しにしておけばよかったという感じですね。
柴山:合わせて、元々の計画ではもう少し代理店を動かせているはずだったのですが、そこもうまくいかずに直販ばかりになってしまいました。サービスがちょっと単純ではなかったのと、運用に負荷がかかってしまうのがネックでしたね。それによってなおさら人手が足りなくなっていった感じです。
黒田:代理店を動かしてレバレッジをかける人が必要だったのかもしれませんね。
柴山:確かに。私たちの事業であるWeb接客は「価値観売り」の側面があって、なかなか難しかったみたいです。実利的なメリットだけではなくて理想論や世界観に共感してもらう必要がある。啓蒙のような時間もかかります。自分たちで営業する場合も、大手の場合は理解の浸透に時間がかかるため、何度も話をする必要があります。導入後にも使い方をレクチャーする手間もかかります。
黒田:営業の負担が大きいですね。
柴山:その負担を減らすサポートの部隊も作ったのですが、営業からの受け渡しが上手くいかず抱えてしまっていたようです。そうすると動きが悪くなって獲得営業に手が回らなくなっていました。プレイドとしてはまだまだ採用に積極的なので、採用計画のビハインドを取り戻していきたいと思っています。
黒田:特にエンジニアにとっては、経営者とエンジニアの距離がとても近くエンジニアリスペクトのある良い会社ですね。興味がある方は応募してみてください。
事業の「進め方」に理解のあるVCを選ぶ
黒田:採用計画からのビハインドについて、調達先のVCは何か言ってきませんでしたか?
柴山:そこは代表が上手だったのもありましたし、VCさんが僕らを見守ってくれるスタンスなのが幸いして摩擦はなかったですね。
黒田:VC側が長期スパンで見てくれている、という感じなんですね。「価値観で売る」というサービスとの相性が良さそうです。VCを選ぶときにそういった条件を持っていたということでしょうか。
柴山:僕らは長めに計画を立てるタイプなので、タイムスパンが合うことが重要ですね。夢の方を見てくれるというか。そういう意味でFemto Startupの磯崎さんは良いですね。他の投資先も順調ですし、VCとしてスタートアップの背中を押してくれる力があるんだと思います。Fidelityさんも似ていて、長期のところで僕らを評価してくれています。また、Femtoに曽我さんという方がいらっしゃるのですが、兄貴肌で前向きな方なので雰囲気を作ってくれます。
黒田:人柄や雰囲気も大事なんですね。
柴山:月に2回くらいVCさん交えて経営会議をするのですが、そこの雰囲気はいいと思います。人としての相性もそうですが、やはり事業の進め方との相性ですね。事業の進め方として短期で駆け抜けるタイプだったらそういうVCさんと組むべきだし、VCにハンドリングしてほしいという起業家がいたらそうしてくれるVCの方がいいわけで。
CTO/Ex-CTO向けサービス「flexy」
記事作成:黒田悠介・村上 亮太
撮影/高瀬 亜希