個人事業主になるには? やることリストと開業のメリット
個人事業主になるためには、届け出などの手続きが必要です。この記事では、個人事業主としての活動を検討している方向けに、準備から手続き、活動後といった時系列に沿って、すべきことをリストアップし解説します。個人事業主になると、注意すべき点はあるものの、収入面でのメリットなどには大いに期待できます。ぜひ参考にしてみてください。
目次
個人事業主になる前にやることリスト
これから個人事業主になろうとする方の中には、副業として働く場合と、会社を退職して独立する場合の2パターンが考えられます。 それぞれ、次のようなポイントに注意が必要です。
在職中なら就業規則の確認
会社員として働いていると、副業などで収入を得ること自体、禁止されていることがあります。また、禁止とまではしないものの、どのような副業をしているのかを届け出ることを義務付けている会社もあります。もしそれらのルールを無視して副業を続けていると、見つかったときに処分を受けるかもしれません。あらかじめ、会社の就業規則や人事へ確認するようにしましょう。
また、副業として起業し、個人事業主になる場合は、あらかじめ副業での起業にはどのようなメリットや注意点があるのか調べておきましょう。
退職するなら必要に応じてクレジットカードの申し込み
これまで会社員として働いてきた方で、退職を機に個人事業主になる場合は、退職前にクレジットカードやローンなどの申し込みを済ませておくのがベターです。これらの審査では、安定的な収入があるかどうかで申込者の信用を判断します。企業と雇用契約を結び、給与の保障がある会社員は社会的な信用が高いものです。一方、退職して個人事業主になると、どれほどの収入があっても審査に通りにくくなります。
そのため、審査が必要なクレジットカードやローン商品などは、事前にライフプランなども考えたうえで申し込みをしておきましょう。
この他にも個人事業主になる前に、個人事業主とフリーランスの違いや税金や年金などの個人事業主の生活に関わるお金の情報も調べておくことをおすすめします。
個人事業主になるためにやることリスト
ほかにも、個人事業主になるのにすべきことがあります。ここでは2つのポイントとして、屋号の設定や開業届について解説します。
使用する屋号の決定
屋号とは、簡単に言うと開業するお店や事務所の名前です。個人事業主になると、名刺や請求書、領収書などに自分の名前だけでなく「屋号」を使用できます。プライベートとは別に事業用の銀行口座を開設したり、融資を受けたりする際も、屋号名義で申し込めます。
ただし、個人事業主になるからといって、必ずしも屋号を付ける必要はなく、本名のみで活動することも可能です。開業届を提出したあとでも屋号の決定・変更が可能です。その際には確定申告書類に新たな屋号を記載するだけで、新たに届け出などは必要ありません。
開業届の提出
個人事業主として事業所得を得るには、「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」の提出が必要となります。なお、収入が副業などによる雑所得に留まる場合であれば不要です。届け出は、開業から1カ月以内を期限として納税地を管轄する税務署で行います。提出期限が土日、祝日などに当たる場合は、これらの日の翌日が期限です。国税庁Webサイトから用紙をダウンロードすれば、郵送でも提出可能です。あるいは、パソコンなどを使ってe-Taxで作成すると、そのままオンライン送付できます。提出の際には、マイナンバーを含む本人確認書類の提示または写しが必要なため用意しましょう。
届出書の記入項目は、氏名や住所、開業日、事業の概要、屋号などです。屋号を使用しない場合やまだ決めていない場合は、空欄でも提出できます。
もし、不明点がある、あるいは正しく書けているか不安がある場合は、直接税務署に行き、書き方を聞きながら記入するのもよいでしょう。
個人事業主になってからやることリスト
準備がすべて整い、晴れて個人事業主になったあとにも、しなければならないことは多くあります。ここでは、以下のポイントについて解説します。
- 保険や年金の手続き
- 事業用口座開設
- 確定申告の準備
- 営業活動
保険と年金の手続き
これまで勤めてきた会社を退職して個人事業主になる場合は、保険や年金といった手続きが必要です。
たとえば、雇用されている間は会社の健康保険組合に所属しているものの、退職して個人事業主になる場合は原則として国民健康保険へ切り替えなければなりません。ただし、組合などの健康保険には「任意継続」といった制度もあります。これを選ばない場合、退職の翌日から14日以内に国民健康保険への加入手続きが必要となります。任意継続の保険料は会社員時代の給与によって決定され、扶養家族の保険料はかからないのが特長です。しかし、退職後は会社との折半ではなく100%個人負担になるため、任意保険と国民健康保険のどちらが費用を抑えられるかはシミュレーションで比較しましょう。
また、年金についても退職の翌日から14日以内に手続きをしなければなりません。会社員の場合は将来の蓄えとして厚生年金が積み立てられますが、個人事業主になれば国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です。
厚生年金の保険料は給与に応じ、会社(雇用主)と加入者の折半で給与から差し引いて会社が納める仕組みとなっています。国民年金は、定額の保険料を自分ですべてまかなわなければならず、多くの場合もらえる年金額も大幅に減少します。
必要に応じて、公的年金のみならずiDeCoといった個人型確定拠出年金などの制度も活用し、自分に合った資産形成を検討しましょう。
事業用口座の開設
開業届を出し、個人事業主になれば事業用口座を開設できます。個人の口座と事業用を分けることで、お金の出入りが明確になり管理しやすくなります。
また、請求書を発行する際、本名ではなく屋号付きの口座を示すことで、顧客から社会的な信用を得やすくなるのもメリットです。ただし、屋号付きの口座を作る場合、開業届や屋号確認書類などの提出が必要となります。どのような書類が必要なのかは、口座開設を希望する金融機関に問い合わせ、早めに準備を進めるのがおすすめです。
確定申告をするための準備
会社員の場合、年末調整など会社のサポートがあり、確定申告をしなくても済むケースは多くあります。しかし個人事業主になれば、毎年2月16日~3月15日頃までの間に確定申告をしなければなりません。日々の取引や経費について帳簿へ記録するなど、収支のチェックは欠かせなくなります。ただ、こうした作業も、昨今は会計ソフトで誰でも簡単に行えるようになりました。会計ソフトはスマートフォンアプリなどでも利用できます。活用すれば作業効率が上がり、確定申告前にあわてずに済みます。
営業活動
個人事業主として開業直後は多くの場合、知名度が低い状態です。そのため、積極的な営業活動が欠かせません。業種によって異なるものの、たとえば自分のスキルを活かせると考えられる企業へ直接訪問し、営業をかけることもひとつの方法です。ほかにはWebサイトを立ち上げたり、SNSなどで情報発信したりするのもよいでしょう。クラウドソーシングサービスや人材サービスに登録し、仕事を回してもらうことで実績を積むといった方法も考えられます。
個人事業主として開業するメリット
会社を退職して起業する場合、必ずしも個人事業主になる必要はありません。しかし届け出をすることで、さまざまなメリットがあります。ここでは個人事業主になる3つのメリットを解説します。
法人よりも各種手続きが手軽である
起業には、法人を設立する方法もあります。しかし、法人化のためには会社のルールなどを決める定款を作成し、法務局から認証を受けたうえで会社概要を公開して登記を行うといった手続きや設立費用を必要とします。
その点、個人事業主の場合は簡単な書類を作成し、税務署へ提出するだけで費用もかからないため、申請の手軽さが大きなメリットです。さらに、廃業したい場合も同様に届け出を提出するのみで足ります。
青色申告の特別控除が受けられる
確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。個人事業主の届け出を出さずに活動している場合、白色申告しかできません。白色申告には経費などの控除分がないため、税金の負担が大きくなりがちです。個人事業主として青色申告を選ぶと、所得に対し年間最大65万円の特別控除を受けられます。青色申告の要件としては、日々の取引を複式簿記方式で記帳する、e-Taxによって確定申告を行う、あるいは優良な電子帳簿保存をするなどを満たす必要があります。特に支障がなければ、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出し、申請しておくようにしましょう。
会社員と違って働いたぶんだけ収入になる
職種や業種によるものの、会社員であれば毎月の給与はある程度決まっており、良くも悪くもその金額にそれほど大きな幅はありません。しかし、個人事業主になれば、働けば働いた分だけ収入を得られるようになります。自分の努力が大きな収入につながれば、モチベーションアップにもなるはずです。
さらに、退職せずに副業として個人事業主になっている場合、本業の所得に加えて副業の所得も合算し、損益通算ができます。そのため、もし副業で赤字となっても、そのぶん課税対象となる収入額を抑えられるので節税効果が得られます。
個人事業主になるデメリット
個人事業主になれば、多くのメリットを受けられる一方で、次のように注意すべき点もあります。
社会的信用度が下がる可能性がある
基本的に、会社員から個人事業主になると社会的信用度は下がる傾向にあります。先述のように、個人事業主として金融機関からの融資やクレジットカードの申し込みを行っても、厳しい結果になるかもしれません。
ただ、近年は、個人事業主を対象としたクレジットカードもあります。退職後に必要となった場合には、そうした商品を検討するのも一案です。
確定申告の手間がかかる
会社員の場合、多くは年末調整での対応で済みます。しかし個人事業主は確定申告の手続きが必要となります。特別控除を求めて青色申告を行う場合は、複式簿記での記帳が必要なため、記帳の手間がかかることに加えて簿記の知識も求められます。
なお、会計ソフトやアプリを使えば、申告書の自動作成などができるため手間を削減できます。書類作成の方法や手続きの手順が分からない場合には、必要に応じて税理士へ相談する方法もあります。
健康保険料が高額になる
個人事業主の場合、社会保険料が高額になるのもデメリットです。すでに解説したように、国民健康保険に切り替えると会社からのサポートがなくなるため、会社員と比べて健康保険料が高くなります。年金についても、個人事業主では厚生年金を選べず、支給額の安い国民年金のみとなるため老後への備えを早めに検討しておくことが大切です。
個人事業主に人気の職種
ここからは、個人事業主として活動していくのにおすすめの職種をいくつか紹介します。
システムエンジニア
クライアントからのヒアリングやシステムの要件定義、設計から開発、保守運用までの一連の作業または一部を請け負います。業務の幅が広いため、ITスキルはもちろん、進捗管理などマネジメント能力も求められます。
システムエンジニアとして必要なスキルや知識が日々変化していることや案件の年齢条件として35歳以下が設定されていることから、システムエンジニアのスキルアップは35歳で頭打ちになると言われています。そのため、システムエンジニアとして働く場合には、システムエンジニアとしてのキャリアパスを考える等自身のキャリアをしっかりと定めておきましょう。
プログラマー
システムエンジニアの設計にもとづいて、システムが正常に動くようプログラミングを行います。バグが起きた場合には早急に原因を突き止め、修正するスキルも求められます。
Webディレクター
クライアントのニーズからWebサイト構築や運営のプロジェクトを主導します。ITスキルのほか、予算・進捗管理、Webマーケティングの知識も不可欠です。
Webディレクターとして働き活躍するためには、Webデザインの知識・広告・PRの知識など必要なスキルがあります。もしWebディレクターとして働きたい場合には、Webディレクターの年収やスキルなどを調べておくとよいでしょう。
Webライター
Webサイトに掲載する記事を執筆します。クライアントから依頼されたコラム記事や広告記事を書いたり、エッセイを投稿したりと幅広いジャンルがあります。
Webライターとして活躍するためには、情報をわかりやすくまとめるために必要な構成力・文章力やSEOの知識が必要です。
個人事業主と自営業・起業の違いとは
個人事業主と自営業・起業には違いがあります。これらの違いは、起業するために個人事業主は何をするべきかまとめたページに詳しく記載しておりますので、ご覧ください。
個人事業主として働くならFLEXYの活用もおすすめ
上記で紹介したような業種で個人事業主として活動していくなら、仕事を紹介してもらえるサービスをうまく活用するのも手です。
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まとめ
会社員を辞めて個人事業主になると、社会的信用が多少下がったり社会保険料の負担が増えたりすることがあります。しかし働いた分だけ収入が増えるのは大きな魅力です。また、青色申告であれば、特別控除が受けられます。 個人事業主として活動を始めるのであれば、まず多くの案件を引き受けて実績を積み上げ、収入も上げていきましょう。FLEXYはフリーランスや副業の方向けの人材サービスであり、希望に合った案件を見つけやすく、スムーズに営業活動を進めやすいのでおすすめです。無料で登録できるので、ぜひ利用してみてください。