インフラエンジニアの年収は?年収を上げる方法と必要なスキルを紹介
本記事ではインフラエンジニアの年収と、年収を上げる方法を詳しく解説します。インフラエンジニアはソフト・ハードに加えて、サーバーやクラウド、OSやネットワークなど幅広い知識やスキルを要求されます。それだけに大変な面が多いですが、取り組み方次第で高収入が得られます。
目次
インフラエンジニアの年収は「平均約660万円」
厚生労働省が運営している「職業情報提供サイト jobtag」の「システムエンジニア(基盤システム)」には、インフラエンジニアが得ている平均的年収は約660.4万円と記載されています。
出典:システムエンジニア(基盤システム) – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)
なお、国税庁が発表している「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本の給与所得者の平均給与は約458万円とされています。
そのため、インフラエンジニアは日本の給与所得者の平均よりも約1.4倍の平均年収を獲得できる職業と考えることができます。
ただし、上記の数値はあくまでも平均値であり、実際の年収はスキルや経験値、就業する企業の状況や労働時間などによって異なるため単純比較はできません。
インフラエンジニアの年収が高い3つの理由
インフラエンジニアの平均年収が、日本の給与所得者の平均年収より高い理由を3つの視点から解説します。
業界全体でエンジニアが不足しているから
IT業界全体ではエンジニアの不足が広く叫ばれており、それに呼応してインフラエンジニアの需要も上がっています。多くの日本企業がDXを必要としている現状に対して、エンジニアの供給が不足しているからです。
DXの必要性は2010年代から叫ばれていましたが、2020年以降のコロナ禍で特にDX需要が高まり、2023年12月現在もその傾向に衰えは見えません。
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が発表した「企業IT動向調査報告書 2023 ユーザー企業のIT投資・活用の最新動向(2022年度調査)」によれば、「IT部門要員全体として人材不足」と答えている企業は70%以上に達しています。2021年度は74.6%でしたが、2022年度には76.6%となり、人材不足が深刻化していることが伺えます。
この報告書では、売上高別、事業継続年数別、DX推進状況別にインフラ・ネットワーク担当の人材が不足しているかどうかを調査しています。それによると、ほとんどの項目で半数を超える会社が「不足している」と回答し、売上規模や事業継続年数に関わらずインフラエンジニアを欲している企業は非常に多いのです。
出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査報告書 2023」147~160ページ
また、経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によれば、平均年齢の推移から考えられた労働人口の不足とIT人材のニーズ拡大予測を踏まえると、2030年までIT人材の不足傾向は拡大し続けるとされています。
出典:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」 7ページ
インフラエンジニアに高い専門性が求められるから
インフラエンジニアはソフトウェアだけでなくハードウェアにも精通していなければなりませんし、ネットワークとストレージ両方に対応する知識や経験も必要です。さらに、サーバーに障害が起こったときには緊急対応も任せられることが多い職種です。そのため、知識の多さや技術力の高さを要求されるだけでなく、迅速な行動力や緊急状態下でも論理的思考を失わない胆力が必要とされます。
インフラ構築の知識や経験に加えて、システムの全体像を理解し緊急時にも適切に対応できる人材を育てるのは、企業にとって容易ではありません。これらの理由から、高い専門性を持ったインフラエンジニアとして認められれば、年収が高くなりやすい傾向があります。
スキルに応じて年収が変わるから
ひと口に「インフラエンジニア」と言ってもそのスキルや経験の幅は非常に広く、スキルに応じて年収が変わる傾向は顕著です。例えば、小規模のサイトなら問題なく保守できる人材は業界内に無数に存在します。しかし、大規模なシステムの構築や要件定義をこなし、システム障害が起きても迅速に対応できる人材は非常に貴重な存在です。そのため、高いスキルを有するインフラエンジニアは、大きな案件や重要なプロジェクトにオファーされやすく、結果的に年収アップの機会も増えます。
【年代別】インフラエンジニアの平均年収
ここからは、インフラエンジニアの平均年収を年代別に紹介(2023年12月1日更新)します。
なお、紹介する数値はあくまでも平均値なので、就業する企業の規模や資金力、個人のスキルや経験によって年収は変動することをご了承ください。
20代インフラエンジニアの平均年収
「求人ボックス 給料ナビ」が公表している20歳代のインフラエンジニアの平均年収です。
【20~24歳】
- 平均年収:339万円
- 月収:25.4万円
【25~29歳】
- 平均年収:445万円
- 月収:30.6万円
出典:求人ボックス「インフラエンジニアの仕事の年収・時給・給料」
30代インフラエンジニアの平均年収
「求人ボックス 給料ナビ」が公表している30歳代のインフラエンジニアの平均年収です。
【30~34歳】
- 平均年収:533万円
- 月収:35.8万円
【35~39歳】
- 平均年収:573万円
- 月収:38.7万円
出典:求人ボックス「インフラエンジニアの仕事の年収・時給・給料」
40代インフラエンジニアの平均年収
「求人ボックス 給料ナビ」が公表している40歳代のインフラエンジニアの平均年収です。
【40~44歳】
- 平均年収:621万円
- 月収:42.1万円
【45~49歳】
- 平均年収:651万円
- 月収:43.4万円
出典:求人ボックス「インフラエンジニアの仕事の年収・時給・給料」
インフラエンジニアが年収をアップさせるには?
ここからはインフラエンジニアが年収をアップさせるための方法やおすすめの資格を紹介します。年収アップを目指している方はぜひ実践してみてください。
インフラエンジニアが年収をアップさせる方法は?
この項目では、インフラエンジニアとして年収1,000万円を目指すための5つの方法を解説します。
ひとつの技術に特化したスキルをもつ
特におすすめしたいのは、特定の技術に特化して「〇〇を頼むならこの人」と言われるようになることです。
インフラエンジニアは、ソフトウェアやハードウェア、サーバーやネットワークなど幅広い知識とスキルを有することを要求される職種です。それだけに、複数の分野についてバランスよくスキルアップし、企業内での立ち位置を上げていけば、確かに年収アップは可能でしょう。とはいえ、バランスを重視した成長戦略だけで、周囲より高い年収を獲得することは困難です。また、「バランスよく何でもできる人」は、「どの分野でも1番になれない人」として認識される恐れもあり、年収1,000万円を本気で目指す人にはおすすめできません。
一方で特定技能に秀でていれば、大きなプロジェクトにアサインされる率も高くなり、活躍の場も広がります。
具体的にどの分野に力を入れるかは、個人の資質や所属する企業の形態にもよります。以下のインフラエンジニアの業務内容に関する記事も参考にしてください。
大企業に就職する
そもそも大規模案件を扱う大手企業に就職・転職すれば、難易度の高い案件をこなすスキルや経験を積め、そのままスキルアップにつながります。さまざまな案件を経験しながらスキルを伸ばしていけば、年収アップにもつながりやすくなります。個人の努力でスキルアップし、難しい仕事を成功させたとしても、勤めている企業自体に財力や成果主義の気風がなければ、年収1,000万円を目指すことは困難です。そのため、そもそも高年収の獲得が難しい企業にいるのであれば、大企業への就職・転職も検討してみましょう。
ちなみに、厚生労働省が出した「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」から、大企業と小企業の給与差を紹介します。
大企業(常用労働者1,000人以上)の令和4年の平均賃金は約34.8万円/月、小企業(常用労働者10~99人)の同年同月平均賃金は約28.5万円/月と報告されています。
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」9ページ
上記の平均賃金には時間外勤務手当や休日出勤手当などは含まれていないので、実際の支給額とは異なります。そのため、金額が高いか低いかよりも、大企業と小企業の差に着目してください。
つまり、大企業と小企業では約22%もの給料の差があります。この比率をそのまま当てはめると、大企業で1,000万円の年収をもらっていても小企業では約818万円しか獲得できないことになるので、その差は歴然としています。
さらに、大企業であれば教育制度や福利厚生がしっかりしていることが多いので、無理なく働きながらスキルアップやキャリアアップを目指すことも可能です。大企業への転職はハードルが高いかもしれません。しかし、高収入を目指すのであれば、転職が有利に進むようしっかり目標や計画を立てる必要があります。
上流工程を担当する
どんな業種でも、初期段階の計画や全体のマネジメントなど上流側の仕事ができる人は、指示を受けて作業のみをする人より高収入が得られます。そしてインフラエンジニアにもその図式はそのまま当てはまります。そのため、高収入を目指すなら、技術的には初期設計や全体のシステム構築、要件定義などを担当できるスキルを獲得するよう努めましょう。
また、メンバーの一員に甘んじるのではなく、積極的にマネジメントに絡んでいくことも重要です。技術面と管理面の両方で存在をアピールできれば、キャリアアップを実現しやすくなります。
さらに、インフラエンジニアとしての専門性にだけこだわるのではなく、プロジェクトマネージャーなどの先頭に立つポジションを狙うことも年収アップを目指す人にはおすすめです。チームの統括やマネジメントは求められるレベルも当然高くなりますが、規模の大きなプロジェクトにおいて成功できれば、さらなる年収アップも夢ではありません。
フリーランスになる
ある程度の技術力を身につけたら、収入アップを目指してインフラエンジニアのフリーランスになるという手段もあります。企業で働いて得た売上や利益は他の人の給与やさまざまな必要経費に分割されていくので、頑張った分がすべて自分のものになるわけではありません。一方フリーランスであれば、働いて得た利益はすべて自分自身が獲得できます。
フリーランスになる場合、FLEXYの利用がおすすめです。フリーランスになると案件を自分で探す必要があります。FLEXYにご登録いただくと、専任のコンサルタントが希望に沿って案件をご紹介します。また、企業との交渉を手助けするというメリットもありますので、フリーランスになる場合にはFLEXYサービスの利用をご検討ください。
副業で収入を増やす
フリーランスとして働くことにリスクを感じる人なら、企業に勤めた状態のままインフラエンジニアとして副業をする道もあります。ただしこの場合、本業に悪影響が出てしまっては本末転倒です。副業を休みの日だけでこなせる範囲に抑えることや、工程や作業時間をコントロールしにくい仕事は選ばないことなどが重要です。
FLEXYでは、副業希望の方が働きやすい週2〜3日の案件を多数取り扱っています。大企業からスタートアップまで、数々の企業案件が幅広く掲載されておりスキルを磨く環境が整っているため、ぜひFLEXYサービスをご覧ください。
インフラエンジニアの年収アップに役立つ資格は?
この項目では、インフラエンジニアとして年収を上げることに役立つ資格試験を紹介します。
ITパスポート試験
情報処理推進機構が実施している国家試験です。試験対策をすることでIT関連の基礎知識を幅広く習得できます。国家試験でありながら合格率は50~60%と比較的取得しやすいので、IT系への就職や転職を目指す人にもおすすめです。
AWS(Amazon Web Services)認定
Amazonが運用しているAmazon Web Servicesに関する知識やスキルを問う認定試験です。アーキテクト、運用者、開発者に向けて複数の認定が用意されています。4つのレベルがあるため、必要に応じた選択が可能です。AWSを導入している企業は多く、実用性が高いので認定試験の合格は就職や転職に有利であり、実務にも役立ちます。
出典:AWS「AWS 認定」
Microsoft Azure認定資格
Microsoft社が運用するクラウドサービスであるMicrosoft Azureに関連する認定資格です。27もの種類があり、中にはインフラエンジニア向けの内容もあります。また、レベルが初級、中級、上級の3段階に分けられているので、スキルや知識に応じた選択が可能です。資格自体の知名度が高いので、就職や転職のほか、実務にも役立ちます。
その他ベンダーごとの認定資格
インフラエンジニアの実務に役立つ、ベンダーごとの資格試験は他にも多数あります。例えばネットワークやセキュリティ、IPサービスなどの知識やスキルを問うCisco社のCCNAや、クラウドやDXに関連するスキルを証明するLinuxのLinuC、セキュリティやクラウド、ネットワークの仮想化などを扱うVMwareのVCPなどが有名です。
まとめ
インフラエンジニアは、ソフトウェアやハードウェアだけでなく、クラウドやネットワーク、サーバーなどの知識やスキルを必要とする職種です。高い専門性が求められ、対応範囲も広いため、給与所得者の平均よりも年収が高い傾向にあります。要求される分野が広く専門性の高い職業ですが、その特性を踏まえることで収入アップを図れるでしょう。例えば総合性をさらに広げてプロジェクトマネジメントに移行したり、大企業への就職・転職をしたり、フリーランスとして独立を目指したりするなど、さまざまな方法があります。この機会に、ぜひインフラエンジニアとしてのさらなる高みを目指してみてください。