インフラエンジニアがAWSスキルを持つメリットや資格、案件例を解説
インフラエンジニアはクラウド市場の拡大に伴って需要の減退が懸念されています。そこで必要となるのがクラウドサービスに関する知見です。なかでもAWSのスキルを習得できれば、インフラエンジニアとしての差別化を図る一助となるでしょう。本記事ではインフラエンジニアがAWSのスキルを習得する重要性について解説します。
インフラエンジニアはAWSスキルが必要!求められる理由
近年、さまざまな分野でクラウドファーストの考え方が浸透し、ITインフラのクラウドマイグレーションを推進する企業が少なくありません。クラウドコンピューティングの需要拡大に伴い、物理的なITインフラの設計・構築・実装・運用・保守が不要になりつつあるため、将来的にインフラエンジニアの需要は減少していくと予測されます。
このような時代のインフラエンジニアに必要とされるのがAWS(Amazon Web Services)に関するスキルです。インフラエンジニアにAWSのスキルが求められる理由として以下の3つが挙げられます。
クラウドサービスが普及しているから
総務省の「令和4年通信利用動向調査」によると、国内企業のクラウドサービス利用率は72.2%となっています。そのうち42.5%がクラウドサービスを利用する理由として、「IT資産や保守体制を社内に持つ必要がない」と回答しています。また、「令和5年版情報通信白書」によると、世界のクラウドサービス市場は年々右肩上がりで拡大しており、なかでもPaaS・IaaSの分野で圧倒的なシェアを誇っているのがAWSです。
このような背景からAWS上にインフラストラクチャを構築する企業が増加傾向にあるため、クラウド時代と呼ばれる現代市場でインフラエンジニアとして活躍するためにはAWSに関する相応の知見が求められます。
出典:総務省「令和4年通信利用動向調査の結果(p.6)」,令和5年版情報通信白書(p.128〜129)
ビッグデータ活用が進んでいるから
現代はデジタル技術の発展に伴って事業活動で取り扱うデータの総量が増大しており、多くの産業でビッグデータの戦略的活用が重要な経営課題となっています。データ分析基盤を構築するためには、生データを保管するデータレイクや情報の抽出・変換・ロードを効率化するETLツール、データを可視化するBIツールなどが必要です。
AWSは200種類以上のサービスで構成されており、「Amazon S3」「AWS Glue」「Amazon QuickSight」など、ビッグデータ分析に欠かせないソリューションが搭載されています。インフラエンジニアはデータ分析基盤の設計や構築にも携わるため、クラウド上に分析環境を構築する際にAWSに関するスキルが求められます。
クラウドの中でもAWSのシェアが高いから
「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」は世界三大クラウドサービスと呼ばれており、この3つが国際的なPaaS・IaaS市場を占有しているといっても過言ではありません。米国のSynergy Research GroupとCanalysの調査によると、2023年第1四半期時点のクラウドサービスのシェアは、「AWS:32%」「Microsoft Azure:23%」「Google Cloud:10%」で、AWSがトップの市場占有率となっています。
ITインフラのクラウドマイグレーションが加速するなかで、AWSの需要は今後も拡大していくと予測されるため、現代市場のインフラエンジニアはAWSスキルの習得が必須事項になると考えられます。
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インフラエンジニアがAWSを習得するメリット
インフラエンジニアがAWSに関するスキルを獲得することで、以下に挙げる3つのメリットを享受できます。
自分の市場価値・年収を高められる
現代ではインフラストラクチャのクラウド化が加速しており、オンプレミス環境にITインフラを構築する企業が減少していく傾向にあります。AWSのスキルを獲得できれば対応できる業務領域が広がるため、インフラエンジニアとして差別化を図れるとともに、ITエンジニアとしての市場価値が向上する点が大きなメリットです。また、キャリアの発展や求人の選択肢が広がり、結果として年収の向上が期待できるという利点もあります。
在宅勤務の案件を獲得できる
インフラエンジニアの主な業務は物理的なITインフラの構築や運用・保守であり、在宅勤務やモバイルワークへの対応が困難な職種です。AWSに関する知識や技術を深め、クラウドエンジニアやAWSエンジニアとしてのスキルを習得できれば、時間や場所の制約を受けないワークスタイルを確立する一助となります。それによってリモートワークが可能なAWS案件の獲得が見込めるため、柔軟なワークスタイルへの対応やワークライフバランスの向上が期待できます。
広範なクラウドスキルを獲得できる
先述したように、AWSは200種類以上のサービスで構成されており、仮想サーバやネットワーク、データレイク、データウェアハウス、ETLツール、BIツール、分散リレーショナルデータベース、機械学習など、複数のソリューションをひとつのプラットフォームで実装可能な点が大きな特長です。こうした数多くのソリューションに触れてAWSの特性を理解し、クラウドコンピューティングに関する知見を深めることで、インフラエンジニアとして総合的な実力の向上につながります。
AWSの学習方法
AWSの知識や技術を学ぶ主な方法として挙げられるのが以下の3つです。
書籍を使用する
AWSの学習方法として有効なのが書籍の活用です。AWSは基本的に従量課金制で企業向けのクラウドサービスとなっているため、個人アカウントを作成して実際に利用しながら学びを深めるというプロセスは効率的ではありません。AWSは数多くの専門書が出版されており、エンジニア経験のない人向けの基礎編から、実践的なスキルを獲得したい人向けの応用編まで幅広い学習が可能です。こうした専門書を利用することで、AWSの基本的な概念やクラウド環境にITインフラを構築する手順などを学べます。
オンライン学習サイトを活用する
AWSの個人的な学習を進める場合、オンライン学習サイトの活用もおすすめです。オンライン学習サイトは多種多様なトピックやスキルに関する教材が提供されており、ユーザーは時間や場所といった地理的な制約を受けることなく、自分のペースで学習を進められるという利点があります。AWSのスキルを習得したい場合は、AWS認定インストラクターの授業を受けられるe-lerningサービス「AWS公式トレーニング」の利用がおすすめです。
プログラミングスクールに通う
インフラエンジニアやクラウドエンジニア、あるいはAWSエンジニアにとってプログラミング言語の習得は必須事項ではありません。しかしAWSやMicrosoft Azureなど、クラウドコンピューティングの専門的なトレーニングを受講できるプログラミングスクールも存在します。AWS専用のコースが用意されているプログラミングスクールであれば、通学やオンライン講義を通して実践的な経験を積みながらAWSスキルを習得できる点が大きなメリットです。
AWS習得におすすめの資格
AWS認定は初級レベルの「FOUNDATIONAL」、中級レベルの「ASSOCIATE」、上級レベルの「PROFESSIONAL」、専門レベルの「SPECIALTY」に区分されており、全12種類の認定で構成されています。以下に挙げる3種類は中級レベルの「ASSOCIATE」に属しており、AWSスキルの習得を目指すインフラエンジニアにおすすめの認定試験です。
AWS 認定ソリューションアーキテクト
「AWS 認定ソリューションアーキテクト(AWS Certified Solutions Architect)」は、主にAWSのアーキテクチャに関する知識が求められる認定です。
AWSを基盤とするアプリケーションの環境設計やシステムの構築などの原則に基づく問題が出題されます。この認定資格の取得を目指す過程において、AWS上の設計・開発やアーキテクチャのベストプラクティス、ITインフラの構築におけるプロジェクトリーダーとしての実践的なスキルなどを獲得できます。
AWS 認定デベロッパー
「AWS 認定デベロッパー(AWS Certified Developer)」は、主にAWSの開発担当者を対象とする認定です。
AWSを基盤とするアプリケーションの設計や開発に関して1年以上の経験を有する人材を対象としており、コアサービスやアーキテクチャに関する応用的な知識が求められます。クラウドネイティブなアプリケーションの設計やシステム開発のスキルが試されるとともに、それらを実際の運用環境にデプロイする、または不具合を特定・解消するデバッグの習熟度なども問われます。
AWS 認定 SysOps アドミニストレータ
「AWS 認定 SysOps アドミニストレータ(AWS Certified SysOps Administrator)」は、主にAWSを基盤とするシステムの運用・保守を担う人材を対象とする認定です。
ワークロードの管理やネットワークの整備、セキュリティとコンプライアンス、トラブルシューティング、リソースのプロビジョニングなどに関するスキルが問われます。この認定資格を取得できれば、AWSを基盤とするインフラストラクチャの運用保守を担うエンジニアとして高度なスキルを有する証明となります。
AWSの資格についてさらに詳しい情報が知りたい方はAWSに関する認定資格12種の基本情報や難易度をまとめた記事をご覧ください。
AWSを使用した開発案件例
AWSを基盤とするアプリケーションやシステム開発の案件として、以下のような事例が挙げられます。
【AWS】求人広告サイトなどを運営する企業でインフラ運用支援
求人広告サイトを運営する企業でAWSに構築されたインフラストラクチャの運用を支援する案件です。ITインフラの管理における業務負荷が増大しており、社内システムの運用業務を支援できるエンジニアを必要としています。
■案件概要
- 職種:インフラエンジニア
- 稼働日数:週2〜5日
- 報酬:〜80万円/月
- 勤務地:溜池山王
- リモート:可
■募集背景
主に5つのサービスのインフラを8名ほどのチームで横断して運用している状況です。その中で、サポート期限対応や技術検証などやりたいけどできていない課題が増えてきたため、日々の運用業務をご支援していただける方を増員募集しております。
※一部自作業で行えるものは平日早朝/夜間、土日などでの稼働でも相談可能です。
※参画後初期段階や、一部ディスカッションが必要な際は出社をお願いする可能性があります。
■業務内容
- 自社求人サービス/社内システムのインフラ運用(AWS/LAMP環境)
- アクセス数を加味した設計など
■必須要件
- AWS構築経験
- LAMP環境経験
■歓迎要件
- IaCの経験(Terraform、Ansible)
- BtoC向けサービスのインフラ経験
アクセス数の多いWEBサイト系だと親和性あり - アクセス数を加味したインフラ設計のご経験
【AWS/Terraform】大手フィットネス企業におけるBtoC向けアプリのインフラ開発支援
フィットネス事業を手掛ける企業でBtoC向けアプリケーションの内製化を支援する案件です。外注で開発したアプリケーションを内製化するにあたり、AWSの設計・構築を担当できるエンジニアを募集しています。
■案件概要
- 職種:インフラエンジニア
- 稼働日数:週4〜5日、ビジネスタイム以外の空き時間
- 報酬:〜120万円/月
- 勤務地:渋谷
- リモート:可
- 土日OK
■募集背景
大手フィットネス企業におけるBtoC向けアプリ開発の案件です。過去ベンダー丸投げで構築した2022年10月リリース済のアプリの内製化を進めようとしています。そこでAWSの設計・構築を担っていただける方を募集しています。
■業務内容
- AWSの技術を使った設計・構築・アーキテクチャの改善等
- Terraformを使用した構成管理
■必須要件
- AWSの実務経験2年以上、インフラエンジニアとしての実質経験が5年以上
- ECS on Fargate、RDS、DynamoDB、Elasticache等、AWSのモダンな技術経験
- Terraformを使用した実務経験
- 複数の中~大規模プロジェクト経験
- プロジェクトで複数のインフラエンジニアと協業したご経験
■歓迎要件
- 負荷検証で実際に手を動かした経験
- 大規模データ、トラフィックの経験
- BtoC向けサービスを扱った経験
- セキュリティ関連の経験
- ログ設計、監視設計経験
AWSのフリーランス案件の報酬相場や案件傾向についてまとめた記事もありますので、あわせてご覧ください。
まとめ
インフラエンジニアはクラウド市場の拡大に伴って需要減退が予測されるため、AWSスキルの習得が求められます。
AWSスキルを習得する主なメリットは「市場価値の向上」「在宅勤務に対応可能」「広範なクラウドスキルの獲得」の3つで、主な学習方法として「書籍」「学習サイト」「プログラミングスクール」を紹介しました。
また、インフラエンジニアが取得したい認定資格として「AWS 認定ソリューションアーキテクト」「AWS 認定デベロッパー」「AWS 認定 SysOps アドミニストレータ」の3つがあり、これらの資格を取得する過程でAWSに関する知識やスキルを身に付けられるでしょう。
以上のような要点を押さえながら効率的にAWSのスキルを磨き、ぜひインフラエンジニアとしての活躍の場を広げてみてください。