【業務委託エンジニアの働き方事例】IoTヘルスケアの開発本部長が語る、プロダクトの改善点を自ら発見・提案してくれるエンジニアを見極めるには?――Moff・河治寿都さん

人の動きをセンサーで取得できるウェアラブル端末「モフバンド」。これを低価格なソリューションとして開発・提供しているのが株式会社Moffです。
もともとはモフバンドと連携した米国の子供向けアプリケーションを開発していた同社ですが、現在は事業軸を日本の医療、介護、ヘルスケア業界に移しています。
センサーデータを基に体操や施術の効果を解析する基盤を確立し、導入施設は全国で100以上にも上ります。 今後も「体を動かす」という観点で多角的なサービス展開を目指すため、人員を増やしてエンジニア組織の技術力強化を図ったMoff。
FLEXYから採用した方々について、採用時はスキルをどう見極めたのか、具体的にどのような活躍をしたのかなどについてVP of Engineering 河治寿都さんにお伺いしました。
組織が抱えていた課題、募集背景
会社としてはサービスの拡充を進めていきたいフェーズです。
【募集背景】
技術的に優れた人をさらに数名アサインして組織の強化や開発効率の改善を行いたいという背景がありました。
FLEXYからご紹介した方
①Javascript技術者(React.js)
案件概略 | – 弊社ヘルスケアアプリのダッシュボードの運用・改修 – 弊社ヘルスケアアプリの新規ダッシュボード構築 |
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スキル要件 |
– JavaScriptに関する基本的なプログラミング基礎知識 – Node.jsに関する基礎知識(npmコマンドを理解している程度で構いません) – React.js, Vue.jsなどSPAにまつわるフレームワークに関して使ったことがある(チュートリアルレベルでも可能) ※「jQueryのみ」は対象外 |
期間 | 半年以上 |
稼働頻度 |
稼働は週24時間 |
働き方 | リモート |
②Unityアプリ開発・運用
仕事内容 |
センサー端末から取得できるセンサーデータを活用し、アルゴリズム研究開発メンバーと共同で、運動・動作・リハビリの動きの認識結果をUnityを活用したゲーム体験に変換し、同時に、身体・認知能力評価・分析結果をユーザーにフィードバックする、新規アプリの企画・設計・開発をお任せします。 MoffBandとiOS/Android端末とをBluetooth Low Energyで接続を行うネイティブSDKやUnityのプラグインSDKを活用して、画面を超えたインタラクティブな2D/3Dアプリ、センサー解析技術を使った新しいIoTアプリケーションの新規開発を行います。 |
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稼働頻度 | 週2稼働 |
働き方 | リモート |
高い技術力を持つ外部人材が必要となり、すでに実績のあったFLEXYを選択
ーー以前は、CTOmeetup “IoTで多様化するデータとの関わり方、ソフトウェア側からみたセンサーなどのハードウェアとの付き合い方”にもご登壇いただきまして、有難うございました!
早速ですが、現在のエンジニア組織の概要について教えてください。
河治 寿都 氏(以下、河治):現時点で社員は私を含めて5名で、インターンや業務委託などの外部人材が10名です。役割は一人ひとりバラバラで、個人で独立して動けるような分担にしています。
利用している技術はある程度統一していて、例えばWebのプロダクトであればReact.jsです。
私自身は現在アプリケーション開発本部長及びデータ分析本部長という肩書ですが、もともとはVPoEとして2017年頃にジョインしています。
現在も役割はあまり変わっておらず、開発全般に関わることはだいたい担っています。大きくはソフトウェア開発中心の組織に必要な技術を揃えて組織を作るところですね。
プロダクトを通してデータが蓄積されてきているので、その分析作業も行なっています。例えば介護施設で行う体操を実施した前後で、肩の可動域が数値としてどれくらい良くなったのか、といったことですね。
これまではスタッフさんの感覚でしか示されていなかった効果を定量化しようとしています。
私がプロダクトにおいて担っているのは主に既存サービスで、CTOは新規事業を手掛けているような状況です。
ーー今回FLEXYを通してReact.jsのNさん(仮名)を業務委託でお迎えするにあたり、組織が抱えていた課題はなんだったのでしょうか?
河治:当時は社員が3名ほどで、その頃からFLEXYさんからの稼働者も含め業務委託の方は数名在籍していました。ただ、会社としてはサービスの拡充を進めていきたいフェーズで、技術的に優れた人をさらに数名アサインして組織の強化や開発効率の改善を図っていきたいと考えていました。
ニーズに合ったサービスを改めて探す中で、FLEXYさんも候補の一つでした。というのも、FLEXYさんからの既存の稼働者である方の働きぶりには非常に感心させられていたんです。
「サービスが好きじゃないとここまでやらないんじゃないか」と思うほど積極的に業務に取り組んでくれていたので、FLEXYさんに対しても好印象でありました。
そこで今回も野谷さんに、React.jsで開発が出来る方を紹介して欲しいとお声がけ致しました。

改善ポイントを即座に発見し、積極的な提案を行う能力の高さが採用の決め手
ーー採用時はどのようなポイントに気をつけていらっしゃいますか?
河治:業務委託で受けた仕事はモチベーションを持って取り組むのが難しいこともあります。
ですから大前提として、単純に技術が好きかどうかを重視しました。その上で、ユーザーからのフィードバックを受けてプロダクトをどう改善していくのかという部分に興味を持ってくれるかどうかですね。
また、サービスを効率良く改善するにはどうしたらいいのか、ロジカルに考えられる能力も求めていました。
ーースキルはどのように判断しましたか?
河治:今回、特に優れていたのが、「改善ポイントを技術的観点で指摘できる」ということでした。
当社のプロダクトがどういうものかリモートで映像を共有しながら説明したのですが、コードを見ない段階から改善ポイントを的確に指摘してくれました。
これまでの経験や、ある程度技術に触れていなければできないことですので、採用を決めました。
ーー会社の文化風土という面では、どのような方がフィットすると考えていましたか?
河治:当社として、エンジニアに必要な価値観は4つあると考えています。
・作ったものに対して確かな品質を保証すること。
・直接的であれ間接的であれ、ユーザーにとって使い勝手の良いサービスとなる行動を取ること。
・開発を通してこれまでできなかったことをできるようにすること、あるいは自動化を自分たちで推進すること。
Nさんは特にユーザーがどういうことを考えてプロダクトを使っているのかといった視点の質問をよくしてくれますし、何をもって効率化とするのか、感覚ではなくきちんとエンジニアとしての知見から提案してくれます。
その点では当社の基本的な価値観にフィットしていると感じます。

期待以上の働きぶりに驚嘆。新規プロダクトの開発も安心して任せられた
ーー新たに業務委託のメンバーを迎えるにあたって、会社として準備したことはありますか?
河治:Nさんのケースで言えば、プロダクトの説明くらいでしょうか。最初の1~2ヶ月はプロダクトの全体像をインプットしてもらう期間として、私も度々フォローしていましたね。
当社がビジネスとして何を考えていてどんなサービスを提供しているのかという背景は単純にコードを見ればわかるというものではありませんから、特に念入りに説明しました。
Nさんはそれをよく汲み取ってくれましたし、彼から質問を投げかけてくれることも多かったので、フォローもしやすかったです。
ーー実際にどのような頻度や役割分担で稼働していますか?
河治:Nさんは和歌山県在住なのでフルリモートで、週3日の稼働です。
業務内容については、基本的に業務委託の方でも社員と別け隔てなく振り分けています。
スキルに依存する部分が大きいので、基本的に任せられるものはすべて任せていますね。
Nさんには最初、モフバンドで収集した動作の数値を集計するダッシュボードの改修に関わってもらいました。開発に際してはユーザーに負荷をかけないことや開発効率を下げないという点を重視していたのですが、納期の関係でやや粗雑に進めてしまっていた状態でした。
Nさんはそこに関していくつか改善提案をしてくれて、開発効率が向上したんです。正直期待以上の活躍で、大変助かりました。
そういった経緯もあって、現在は新規プロダクトの開発も手掛けてもらっています。
もともと稼働していたFLEXY経由のTさんも優秀な方ですし、リモートのままで構わないので、二人とも当社でずっと働いてほしいと思っているくらいです。
ーー業務委託であっても積極的に開発に携わってくれるという点が、評価の大きなポイントなのですね。
河治:私でも気づかなかった改善ポイントをslackやミーティングを通して提案してくれるんです。
しかも、きちんと改善点について調査をして、客観的な証明を提示しながら説明してくれます。
これは高い力量を持つNさんだからこそできることですから、非常に評価しています。
時にはやりたくない仕事もあると思うのですが、毛嫌いをするようなこともなく常に的確なアンサーを考えてくれるのが非常にありがたいですね。

形に残る実績があれば、自社にマッチするスキルを持っているか判断しやすい
ーー今後、即戦力エンジニアを業務委託で迎え入れを考えている企業様へのアドバイスがあれば教えてください。
河治:ユーザーや企業・製品の価値向上の視点でサービス開発をしたことがあるか、という点はきちんとヒアリングした方が良いと思います。当社の場合は、ユーザーとなる対象が実は複雑なんです。
具体的には医者、看護師、理学療法士、事務、経営者、施設管理者といった施設関係者と、高齢者の方々ですね。複雑なステークホルダーに対してプロダクトをいつ、どのように使ってもらうのかを考えるのは、難解なパズルを組み上げるようなものです。
そういった多種多様の利用者目線で真剣に考えないと、サービス設計そのものが失敗してしまいます。
技術力の見極めに関しては、実績として何を残しているのかという点が端的な判断基準になると思います。
具体的なプロダクトでなくとも、例えばQiitaに書いたテック系の記事や自前のブログでも構いませんから、最低限形として残っているものがあれば、評価の精度も上がるはずです。
客観的に見せられる実績が無い場合は、試験を出すようにしています。
エンジニアはベースとなるスキルがないと仕事として続けられなくなってしまうことが多いので、時間がかかるとしても採用前にしっかり判断させてもらいます。

FLEXY経由でご支援して、こちらの画面を開発しています。
事業を通して技術力をさらに高め、海外医療の現場にもプロダクトを展開したい
ーー最後に、今後の企業の展望について教えてください。
河治:「Moff」という社名は、わかりやすいサービスを通してユーザーにテクノロジーを「やわらかく」伝えたいというビジョンをニュアンスとして含んでいます。
ユーザーフレンドリーなサービスを作るという点には私も共感しているので、より多くの方にテクノロジーの便利さを体感してもらい、少しでも生活の質を向上させるというところを目指せれば良いですね。
今後もヘルスケア等を事業の軸にはしていくのですが、Moffのビジョンに適うものであれば、極端な話どんなサービスを展開しても構わないと思っています。再び子供のおもちゃ用のサービスに立ち返ってみるのも良いかもしれません。
その一方で、私が現在医療業界のビジネスチャンスとして感じているのが、海外への展開です。
海外は介護事業が未熟だったり、病院で十分なサービスを受けられないといった状況が多発しています。日本が培ってきた医療業界のメソッドや、日本発のテクノロジーを活かせるポイントは多いはずです。
そういった視点で、企業として高度な技術を育てていくことも重要な課題の一つだと考えています。
技術は非常に貴重なものだと考えていますし、だからこそエンジニアにも純粋に技術を好きでいてほしいというのが、会社としての思いです。
今のエンジニア組織に満足されていますか?
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