IoTで多様化するデータとの関わり方、ソフトウェア側からみたセンサーなどのハードウェアとの付き合い方
2018年7月17日、IoTをテーマにしたイベント「CTO meetup IoTで多様化するデータとの関わり方」が開催されました。イベント前半は多様な分野からIoTに関わる方々のキャリアと参入するに至った経緯を、後半はIoTにおけるデータ活用について事例を交えて語っていただきました。さらに、そこから見えてくるエンジニアニーズについてもレポートしていきます。
目次
- イベント概要
- 登壇者のご紹介
- 多種多様な分野から人材が参入しているIoT
- ハードウェア側・ソフトウェア側の人材が、IoTにどのように関わっているのか?
- IoTから取得できるデータをどう運用するかは議論の余地が大いにある
- データの貯め方、送り方は目的やデバイスによって吟味が必要
- IoTのデータ活用で教育現場の新しい指標も生み出せる
- シチュエーションに合わせてデータを最適な形で解釈することが大切
- 文化の違いを理解した上で共創できる人材が求められる
- 5年先まで見据えた、長期的なアーキテクチャ提案の魅力
- 一番の強みになるのは「食わず嫌いをしない」「好奇心を持って楽しめる」こと
- ディスカッションを終えて~IoTへの参入を目指す方へのメッセージ~
イベント概要
IoTの活用により様々なデータを取得できるようになり、活用の幅がどのように広がったのか? また、そのために必要なスキルとはなにか? 「ソフトウェア側からみたセンサーなどのハードウェアとの付き合い方」 「IoTデータでより多様化するデータとの関わり方」 など実際にIoTを活用し、開発しているエンジニア目線からトーク致しました。
パネルディスカッション1:「IoTを活用した事例とエンジニアニーズについて」 パネルディスカッション2:「IoTから取得できるデータと機械学習の親和性」
●ご来場者:IoTに興味のあるエンジニアの方 ・IoTで取得したデータの活用方法に興味のあるエンジニアの方 ・IoTに関わるエンジニアになりたいが、自分の経験が活かせるのか知りたい方 ・アイデアはあるがどうやってIoTで実現するかを相談してみたいエンジニアの方 ・IoTがビジネスの場にどのように活かされているか具体例を知りたい方
登壇者のご紹介
モデレータ
多種多様な分野から人材が参入しているIoT
田中:本日はどうぞよろしくお願いいたします。登壇者のみなさまのご紹介の前に、まずは僕の自己紹介からさせていただきます。 僕は2004年からフリーランスとして働いていて、現在はIoTやMixed Realityといった技術を取り入れながら活動を続けています。これらの技術の共通点は、データを集めてどう見せるのか、AR、VRによる「可視化」がキーワードとして挙げられるので、そのような目線から技術支援を行なっています。最近の活動はAIとIoT、またはVR/MRとIoTを組み合わせたデータの可視化が挙げられます。 その他にもIoTにおけるソフトウェアとハードウェアの行き来について大学で講義をしたり、IoTデバイスを実際に使用したフィードバック、IoT施策に関するディスカッションへの参加なども行なっています。 田中:では、登壇者のご紹介に移ります。では、福岡さんからどうぞ。
福岡:私が所属しているWHILLは、「すべての人の移動を楽しくスマートにする」という理念を掲げています。「すべての人」というのは、車椅子を使う方が対象です。誰でも乗れる、誰でも乗りたくなるようなものを目指したモビリティを製作しています。
福岡:もともとはサークル規模で活動をしていた小さなチームだったのですが、たまたまリハビリセンターに行く機会があった時に「車椅子に乗ってでかけたくない」という車椅子ユーザーの声を小耳に挟んだんです。なぜ車椅子が嫌かと言うと、溝にはまったり坂道で不安定という物理的、機能的な問題というよりも、「車椅子に乗るところを人に見られたくない」という精神的な側面が強いという話でした。車椅子は、車や自転車と違って、乗ることにワクワク感が感じられないという、乗り物の中でも珍しい存在だったんです。 その話を受けて、シンプルに「かっこいい車椅子を作ったらどうだろう?」と考えたのが起業のきっかけです。現在全国800店舗で販売していて、価格は45万円。介護保険を使えば月々約3,000円で使用可能です。 ここにIoTがどう関係するかというと、明確なのがカスタムサーポートです。70代、80代の高齢者が使用した時に起こりがちなやり取りが、「動かないんだけど、パネル表示が消えてわからないです」という問い合わせに「LEDの表示はどうなっていますか?」と聞くと、「LEDって?」と返ってくるというようなもの。極端な話。充電器が刺さったままだから動かないということのためだけに、家まで行くことがある。非常に効率が悪く人的コストがかかってしまうので、そこはやはりIoT技術を取り入れることで、カスタムサポートの効率化とお客様の満足度向上を目指しています。
河治:僕はもともとWEBから入ってきて、その後統計解析に携わっていました。現在はMoffに入社して1年程で、開発組織のマネジメントやデータ分析を主に担当しています。 会社のビジョンは「子供からお年寄りまで活き活きとした健康的な生活を送ることに貢献する」ということ。次点として、デバイスやアプリなどツールは何でもいいんですが、ユーザーが前向きになれる体験を提供することを目的としています。 河治:創業は2013年で、もともと加速度・ジャイロセンサー・BLEを搭載した「MoffBand」を開発して、アメリカで「Moff Sounds」や「PBS Kids Party」などのMoffBandを使った子供向けのおもちゃアプリケーションを提供していたのが最初です。1年程前からヘルスケアに事業の基軸を置くことになり、「モフトレ」「モフ測」という2つのサービスを開発しました。例えばモフトレは、介護施設における体操の時間にスタッフと一緒に楽しく体操ができるようにしたものです。一方でモフ測は、足がどれくらいの角度まであげられていくのか、などのデータを収集して、どんなトレーニングがその人に必要なのかをソリューションとして提供する取り組みをしています。 のびすけ:dotstudioという会社を経営していて、ものづくり全般、主にIoT周りの教育事業を手がけています。 IoTLTという、IoT分野における国内最大のコミュニティもオーガナイズしたのですが、きっかけは僕がWEBエンジニア出身で、IoTに必要なハード面について一切知識が無かったことです。 というのも、僕がIoTという言葉を知った4~5年前は、WEBで「ArduinoやRaspberry Piがすごく簡単で楽しい」と話題になっていました。それで試しに購入してみたんですが、非常に難しい。マイクロボードの配線からして、基板にGDNと書かれていてもさっぱりわからない。なのに「簡単」と言われているのは、電気の世界ではそういった知識が当たり前のものとして扱われているからです。技術者だけが技術を使える状態でした。 その一方で、2020年から小学校におけるプログラミング教育が始まります。小学生ができるなら大人にもできますし、エンジニアじゃない初心者でも「作りたい」と思えば作れる状況になればいいと考えました。エンジニアという職種がなくなってもいいんじゃないかと。だから僕自身も今技術を持っている人に教えてもらいたくて、IoTLTを立ち上げたというわけです。 中江:トリプル・ダブリュー・ジャパンの中江と申します。我々はDFreeという、おしっこをおもらしをしてしまった、もしくはしそうな状態を教えてくれる排泄予測デバイスを作っています。 どういうものかというと、左の部分が送信機になっていて、右側の超音波センサーをおへその下につけると、センサーが膀胱の状態からどれくらいおしっこが溜まっているのかを検知するようになっています。 その内容を送信機からスマホや受信機に飛ばして、おしっこが出そう、あるいはもう出た、ということがわかります。 「出てしまった」というのはなんだか笑い事のようですが非常に重要で、例えば介護施設や寝たきりの方は、自分でおしっこが出たということをなかなか知らせることができません。おむつをつけると歩きづらくなって生活レベルが落ちてしまいますから、それを避けることが重要です。現在では法人向けのデバイスとして展開している他、この7月には国内で個人向けの販売も開始することになりました。今後は排便の予測や、その他にも超音波センサーで取得した生体データの活用・開発を進めています。 その中で私が何をしているかと言うと、この中にいらっしゃるみなさんの中でも特殊な立ち位置で、データ分析のことしかわからないんです。2003年からNTTデータ数理システムでずっとデータ分析一筋でやってきました。 中江:トリプル・ダブリュー・ジャパンに参入してからは、センサーから受信したデータを基に、膀胱がどれくらい広がっているのか、ないしはおしっこをした後かどうかという分析のアルゴリズムをPythonで構築しています。デバイスから収集した測定データだけではおしっこが出たのか膀胱にあるのかどうかそのままではわからないので、観測されたデータからおしっこが出そうだと予測するにはどうしたらいいのか、というロジックの実装をしているというわけです。デバイスのことほとんどわからないので、今日は主にデータ面でトークに参加できればと思います。
田中:ありがとうございました。以上の通り、みなさんの得意分野は多彩でそれぞれ異なっていて、オールマイティな方はいません。いろいろな形でIoTという分野に集結している感じですね。
ハードウェア側・ソフトウェア側の人材が、IoTにどのように関わっているのか?
田中:では、早速パネルディスカッションを進めさせていただきます。すでに自己紹介でお話いただいている通り、IoTにはいろいろな業界から人材が参入しています。ハードウェア・ソフトウェアから、どのような形でIoTに関わってきたのか、ざっくばらんに話していただければと思います。のびすけさんはいかがですか?
のびすけ:僕もWEBからです。もともとバックエンドのエンジニアで、PHP/Go/Node.jsなどを扱っていました。「WEBの技術でデバイスが変わる」というところに感動を覚えたのがIoT参入の入り口ですね。IoT黎明期はRasPiやArduinoが流行っていたのですが、その中でTesselというデバイスが出てきたんです。知っている人は知っているデバイスだと思うんですが、JavaScriptを書くとハードウェアが動く、という感じのマイコンです。 WEBのAPIというのはWEBの世界で動くものなのですが、時代の流れとともにハードウェアやデバイスを動かすAPIがどんどん増えてきていました。例えばバイブレートのブラウザAPIなら、スマートフォンのバイブがあって、JavaScriptでクラウドから制御するというようなことができる。最近ならWeb Bluetoothみたいなものが出ていますが、APIから裏側のBluetoothを制御できるものだったりします。 他にもまだ策定段階ですが、WEB NFCなどWEBの技術で世のデバイスを制御できるAPIがどんどん出てきて、デバイス自体も新しく作られています。WEBの意味合いもどんどん拡張していて、僕らのようなWEB制作をしている……つまりWebサイトを作っているようなエンジニアからすると、今までは主戦場がパソコンやスマホの中だったんですが、それが急に物理的な世界に出てくるようになりました。今までは画面の中だけだったのが、急に画面の外のセンサーデータを扱ったり、画面の外に対してアクションを起こせるようになったんです。新しい技術を覚えるのではなく、すでにあるWEBの技術でできるというのは、すごく面白いと思いました。 WEBの進化系がここにあるのでは、と当時思って、デバイスを触ってみて、気になって実際にIoT業界に入ってきたという感じです。
田中:ありがとうございます。僕もソフトウェアやWEBの技術はよく使いますが、消えていかないというか、IoTにおける基礎の接着剤になり得るところがあると思います。他の方も全く違う入り方をしていると思いますが…。
福岡:僕はかっちかちのハードウェアエンジニアなので、5Vとかグラウンドとか、それが難しいっていうならWEB側の方がもっと難しい言葉使ってるでしょと思っちゃう(笑)。Gitとかわからないでしょ?ハードル高くしてるんじゃないですか?みたいな。WEBに全く触れたことのない時期なんか、「それはWindowsからできるんですか?」というレベルから始まったんです。実際必要になってから1から勉強した感じです。 私はどちらかというと回路図とかIC選定とか、組み込みにおいてもノンOSでコード書くくらいのかっちかち具合です。そういう分野から来た時にIoT技術を位置づけるのは難しいですね。感覚的にはサーバーまでデータが届いた後はWEBなんじゃないの?くらいの気持ちを持っています。 どちらかというと土管の部分をいかにして効率的に安定させて、セキュリティを高く保つのか、という部分が僕にとってのIoTです。小さいデータでセキュリティが高くて処理能力があって、かつコストが安くて、量産にどれだけ耐えうるのか。さらに、量産した時に工場で動作確認を取るにはどうしたらいいのか。そういうところを考えています。
田中:ありがとうございます。河治さんはいかがですか?
河治:データ的な話で言うと、僕も情報系の学校に行っていて、データ分析を勉強してきた中でソシャゲ会社やECのデータ会社に行ったりして、分析をして、どれくらいのユーザーに見られていて、どれくらい使っていて、というユーザーとプロダクトの架け橋みたいなところをずっとやっていました。所属していたところ含めいろんな会社でそれぞれいろいろな取り組みをしていて、大体ノウハウは出尽くして、市場が無くなったんだな、というのをなんとなく悟ったんです。 そんな中で、2~3年前にIoTというキーワードが突然出てきて。IoTってなんだろう?と行ってデバイスを試しに触ってみたりデータを覗いて見ると、なかなか面白いログデータが出てきていることに関心しましたね。はっきり言うと、IoTのデバイスから出てくるログ自体には全然意味が無いんです。ただそれをどういう背景でどういう条件で取ったのかによって初めて意味が出てくる、そういうところが面白いな、という好奇心から関わったところがありました。こんな感じで大丈夫ですか?
田中:大丈夫です(笑)。では最後に中江さん。
中江:私は出自がハードとソフトのさらにその向こうにあるデータ分析という分野から来ました。IoTというと前職のお仕事でいただく機械の故障の分析、予知などでいくつか関わっていたので、一つの仕事の対象として認識していました。面白い課題があるなあと。 IoTに関わるようになってまず衝撃だったのは、データ収集するのが大変だということですね。データ分析する人にとって、データはあって当然の話なので。 なので、社内的に分析で関わっていますが、「どうしておまえ、そこしかやらないんだ」と社員に見られているのかなと(笑)。私の立ち位置的なところはこの業界の中でも社内でも、うまく築きながら走っている感じです。
田中:IoTはいろいろな分野から参入できるので、会社的に得意ではない分野もIoTで関わらないといけない人がいる、という傾向は流行なのかなと思いますね。僕の場合、データが集まらないのにスマートフォンの表示方法を改善しないといけないという話があって、そこでUI、Unixが…と言ってみても、「何を言ってるんだろうこの人」という雰囲気になることがありました。IoTはIとかTの部分が注目されがちですが、oの部分、IとTをどうつなぐのかということで苦労することがあると思います。特に本来は用意されているはずのデータが無いというのはあるあるなので、とても共感しました。 パネルディスカッション1はこれくらいで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
IoTから取得できるデータをどう運用するかは議論の余地が大いにある
田中:IoTは「データを集めた後どうするのか」という部分があり、しかも集まるのは今までのWEBにおけるアクセスログのような定型データではありません。いろいろなデータを収集した上で、会社のソリューションごとの用途があるというところで、まずはデータ活用についてお話しいただきたいと思います。 WHILLさんは実際に故障検知という部分でデータ活用されていますが、込み入ったところはどんな感じなのでしょうか?
福岡:実際にはこれまでどれくらい走ったのか、バッテリーがどれくらい消耗してるのかなどのデータが入ってきますが、僕らの場合活用の目的はカスタマーサポートです。カスタマーサポートでお客様のサティスファクションを上げながら、サポート自体の業務も効率化していくことがメインになっています。 データとその活用がIoTと言えるのかどうかは僕たちもよくわかっていない部分はありますが、一つ大きな要素としては、データにアクセスするのがWEBエンジニアだけではない、ということですね。 極端な話、営業チームもデータを扱えるようになってほしい。S3にデータが入っているから、勝手に見てくれ、みたいな感じは避けたい(笑)。今のところ「データをBigQueryに入れておきました。マニュアルはこういう風に書いているので、なんとかしてくれませんか?」という感じでやってます。
田中:S3にアクセスしたらその中にReadmeがあるというのは、割とありますね(笑)。次は中江さん、いかがでしょうか。
中江:私の場合は一番直に関わってるのが膀胱です。一番の肝は、よくデータ分析する人はわかると思うんですが、そもそもデータ分析は答えありきで、観測データをそれに合わせて分析していくという形になります。ところが膀胱は全然答えがわからない。この目で膀胱を見たいくらいなんです。 一番わからないのがおしっこをした量で、大抵そういう教師データがついてないんです。医療機器を開発している大きな会社だとデータがたくさん蓄積されているみたいなんですけど、我々のようなスタートアップだとどの会社もそうだと思うのですが、自分たち自身でデータを集める必要があります。例えば、出社したら自分でセンサーをつけて、測定した後にトイレに行って、おしっこをして、何mL尿が出た、という情報をスプレッドシートに記入したりして地道にデータを集めたりしています。少数のデータを使ってディープラーニングのようなグレードの高いことをやろうとしても、最終的にはそういうことをやらなきゃいけないのでなかなか難しいところがあります。 先程のS3のバケットにデータを入れて営業が使うという話については、分析側からしてみるとS3からデータを受け取って分析しようとしても、そのままでは使いづらいところがあるので、どうして分析しやすいように置いてくれなかったんだと思うこともあります。スクリプトに書いてデータを前処理する手間がある。どうしてこういうことをしないといけないんだろう、と思うこともあり、営業や分析側が上手く使えるようにデータを貯めるにはどうしたらいいんだろうという部分は、難しいですね。
のびすけ:分析側からすると、どういう状態でデータを置いておくのが親切なんでしょうか?
中江:そのままデータを読み込んでモデルをつくれたら(笑)。
田中:モデルのしやすさはありますよね。
のびすけ:CSVで置いてあるといい?
中江:そうかも。
田中:JSONとかで置かれると辛い?
中江:ちょっと辛いですね(笑)
田中:わかるなあ(笑)。データの置き方は念入りなヒアリングが必要ですね。
のびすけ:WEBの人はみんなJSONでやりたがるから(笑)。
田中:それぞれのパートから見ると、データの最適な持ち方は変わってくるということですね。
中江:最終的に加工しないといけないのは同じだと思うんですけど、どのパートに寄せてデータを置いておくのか最大公約数みたいなところをうまく取っていく必要はあると思います。結局S3にそのまま置いておく、となるかもしれないですけど(笑)。
のびすけ:でもCSVって言われたら全然CSVで出しますよね。
田中:そうですね。強いて言えばカンマ入りのストリームをダブルクオーテーションするとか、そのくらい気を使うくらい。
のびすけ:そのくらいですもんね、逆に言うと。
データの貯め方、送り方は目的やデバイスによって吟味が必要
田中:あとは貯め方もあるかもしれないですね。例えばビルのセンサーデータを全て可視化する時に、電力の瞬時値と積算値というものがあるんですが、狙い通りに貯めていないと全然グラフにならない、ずっと平坦なままのデータが出てしまう。一回再計算して瞬時値を積算値に直さないといけない、という経験をしたことがあります。 データの取り方はコミュニケーションのしがいがあるところかなと。JSONがダメだというのは、僕は若干衝撃でしたし(笑)。
のびすけ:WEB系の人は気をつけましょう(笑)。CSVにしてあげるだけでいいんですもんね。
田中:Arduinoのマルチセンサーを扱っている時にJSONでかっこよくされはじめた時期があったんですけど、どんどんStringがメモリオーバーみたいになってしまって。
のびすけ: JSONも結構大変ですよね(笑)
田中:大変です。メモリオーバーが起きたり、String型とか潤沢に使わないデータも普通にあるので、jarchar型やint型、小さいデータから上手くやらないとフロント周りがしくじってしまうということはありますね。ハードから入るプロジェクトであればそれでも別にいいですけど。
のびすけ:JSONとかじゃなくてただのエクセルで送った方がいいですね(笑)。
田中:そうですね(笑)。河治さんの場合、身近なセンシングとかだとデータを取るタイミングも変わってくるかなと思いますが。やっぱり送る前に貯めるんですか?
河治:送る分に関しては一回MoffBand内部にデータを貯めてから送っています。逐一送ると電池が切れてしまうので。CSVの話はわかりますね(笑)。
田中:話が戻ってきちゃった(笑)でもそのへんかなって雰囲気は感じます。
河治:全部一人でやってしまえば全て解決するよっていうことで十分かなと思っていて。慣れてしまえばですが。
田中:僕なんかがやると間違いなくどこかこぼれて迷惑をかけます。
河治:営業から直接、データ分析係じゃなくて「河治さん」っていう名指しでくるので…(笑)。
田中:IoT関係もそういうのが多いですよね。役職とか概念みたいになっちゃって。
河治:「河治さんならやってくれるだろう」という感じになっていますね。全部自分が見てるから、多分これは営業的にはCSVであってほしいだろうとか、エクセル対応しといた方がいいなみたいなこともわかります(笑)。だから逆にお二人の考えはちょっと不思議というか斬新に思えましたね。組織をつくる時はこういうこと気をつけなきゃいけないんだなと学びました(笑)。
田中:自分の分野の固定観念にはないところまでやってしまうと、属人化が進んじゃうんだよね。
のびすけ:WEB系のエンジニアならJSONくらいは扱えなきゃ、みたいなね(笑)。そういう話になっちゃう。
河治:ちょっと話を戻して(笑)。 データの送り方でいうと、常時送り続けると電池を消費してあっという間にデバイスが切れてしまいます。それで例えば「Bandが起動しないんだけど」みたいな問い合わせが頻繁に起きるのを防ぎたいので、あえてそういう風にデータをまとめて送るという機能をデバイスに内蔵していますね。 デバイスの制約面でいうと、そもそもデバイス自体はそこまで高性能ではないんですよ。豆電池で動いてますし。あんまり高性能なデバイスを使ってもお金が、とか大きさが…ということがあるので、制約がある部分は技術的に補おうというところで、まとめてデータを送っています。あとはデバイスのスイッチングですね。24時間ずっと起動していると電池消費してしまうので、アプリとの接続がないならオフにする、という機能も取り入れています。
田中:ロングスリープみたいな機能はそういう側面がありますよね。ただデバイスが1時間ごとに起動しなくなったりして、あれ?ちょっと待って?みたいな。
河治:それで問い合わせがくるんです(笑)。
田中:あとはロングスリープでデータが消えたりして、「なんで?」みたいな(笑)。
河治:まさにそうです。
田中:そんなレベルではないですけど、お手軽Wi-FiのESP32とかでそれをやらかして、ちょっと冷や汗をかいたことはありますね(笑)。ロングスリープとかも手軽にできるんですけど、データ消えた理由がさっぱりわからなくて、データが消えてから学ぶ要素があります。やっぱり身をもってやっていかないといけないですね。
IoTのデータ活用で教育現場の新しい指標も生み出せる
田中:のびすけさんは実際どうなんでしょう?いろいろなIoT事例があると思うんですけど。
のびすけ:うちの会社はデータを貯めるためのデバイスと学ぶ機会を提供しているので、会社自体でIoTデバイスを活用してデータを貯めるということは現状やっていないですね。 最近の僕の主戦場って教育現場なので、データ活用というテーマから思ったのは、教育現場に採り入れていくならどんなものだろうということですね。
田中:教室の使用率を計測したり、集中力が大事だからCO2の量によって部屋を換気しようとかは、教育の指標になったりするのでいいかもしれないですね。
のびすけ:教室とかオフィスとかやっぱりCOのデータは結構役立つんですよね。
田中:一番面白いのはCO2センサーのデモをすると、大体そこの部屋がCO2満杯になっていて、じゃあ換気しましょう、という話になることですね(笑)。
のびすけ:今ここもやばいですよね(笑)
田中:みんな集中力が下がってくる。
のびすけ:眠くなってくる。
田中:教育現場でデータ貯めるというのは結構大事ですね。
のびすけ:これが授業だったとして、ここでCO2量がヤバイよねという状態だとしたら、僕の教え方が悪いのか、環境的に悪いのかがわかった上で改善できるからいいですよね。逆にCO2濃度は問題なくちゃんと集中できている環境でみんなの理解度が低いなら、コンテンツの問題という話になります。
田中:いいですね。指標と連動するのは。
のびすけ:原因の特定って難しいんですよね。どういう教員ならみんなのテストの結果が良くなるとか。
田中:実は今日のテーマ、最初は機械学習を入れようと思っていたんですが、今おっしゃっているところはどちらかというと経験則からの分析とか統計にあたる部分もあるのかなと思っています。 中江さんは、実際どうでしょうか?分析の部分で言ったら今まで統計から入っていったりとか、ちょっと泥臭くスプレッドシートからとかあるのかなと思うんですけど。ちょっと興味本位にはなってしまいますが。
中江:私の経験からいくと高度な機械学習の手法がダイレクトに業務に入るというところまでいくケースは実はそこまで多くないのではという印象です。膀胱だったらわかりやすいモデルからまず入っていって、そこから現場のフィードバックを受けて徐々に改善する流れだと思うんですよね。高度な手法につながるのはもっと後の話になるんじゃないかなと。 さきほど電池の話もありましたけど、機械学習を使っても電池が保たないから厳しいとか、ということもあると考えると、なかなかそういうところの話にはつながりづらいところもあります。
田中:長期の分析をするようになると電池を食ったりとかネットワークもたくさん使ったりするので、適用し辛い部分はあるのかもしれないですね。
中江:多分ケースバイケースだと思う。
田中:そうですね。僕もセンサーをいろいろ扱っていますが、メジャーな人間が体験してすぐわかるセンサーは学会で計算式とかあったりして、例えば温度湿度とかの場合とかだと不快指数とかはっきりわかっているんですよね。不快指数の数字に置き換えれば別に高い温度でも不快とか低くても不快じゃないみたいなところを判断するのって、学会の数式持ってくればすぐなんです。でも膀胱の話やCO2は現場寄りじゃないかという話はありますね。
のびすけ:膀胱の指標がみんな高いと授業と関係なくみんな膀胱に集中しちゃって授業が入らないとか…(笑)。
田中:完全にクオリティ・オブ・ライフみたいな話ですね(笑)。加速度センサーも結局着席検知になると体重で変わってしまって、なかなかやりづらいという話も聞いたことある。
のびすけ:でも、学生の身体情報ってすごい参考になりますね。そわそわしてるな、理解できないのかな、と思ってたら意外とトイレに行きたいというだけだったり。
田中:「トイレ行きたい検知」はあるかもしれないですよね。
のびすけ:教えているとそわそわしてる人が多いんですよ。
シチュエーションに合わせてデータを最適な形で解釈することが大切
田中:例えばセンシングデータの加速度とかになってくると、計測しているものは一緒でも分析の仕方を変えるといろんな事象に転換できるという話もあるのかなと。
河治:狙いとしてはそうですね。基本的にセンサーデータだけがユーザーに届いたところでどうしようもないので、逆にデータを解釈していかないと難しいですね。変な話、センサーデータを飛ばしてシステムがそれを元に「おまえ風邪だ」とか言われてもユーザーは単に納得しないと思うんですよ。いわゆるブラックボックス化しないように気をつけないといけないなと思っていて。
田中:運動音痴検知とかされてもつらいですしね。
河治:一方「このトレーナーさんはこう言ってる、あのトレーナーさんはこう言ってる」といった問題もありますし。時折「正直もうやりたくない」って気分になりますよ。(笑)
田中:ダメ出しはダメだと思うんですよね。
河治:データの解析結果の伝え方も含めて考えてあげないと分析は成立しないなと思いますね。褒めないとお年寄りの方はすぐに運動に飽きるので。「もういやだ」って。
田中:カスタマーサポートに近いですね。間違えると苦情がいっぱい。
河治:苦情もそうですし、反応を返してくれないですね。
田中:独自に貯めたデータ内容やデータの解釈の仕方とかによって全く活用シチュエーションが変わってくるのはすごく興味深いと思いました。
文化の違いを理解した上で共創できる人材が求められる
田中:では最後の議題に行きたいと思います。 既にどんなエンジニアニーズがあるのか何となく出てきている気がしますが、IoTの活用の事例も含め、こういうエンジニアとプロジェクトが進めていきたいというイメージをそれぞれ聞いていきたいと思います。
中江:私が今の会社にジョインしたのはしたいことが先にあって、そこにIoTが紐付いているという感じだったので、IoTをしているという実感がそこまで無いんです。なので、デバイスを使いたいというよりは、何がしたいんだという動機がすごく大事なのかなと思います。それがたまたま言葉をつけるとIoTという括りになる、という意識がありますね。
田中:すごくわかります。僕もIoTで技術支援をすると、「請負の田中」というポジションになってしまって、結局どういうモチベーションでプロジェクトに絡んでいたんだっけ、という部分がわからなくなる。データで入ってるのにニーズとしてはハードウェアだったりして、どう応えていいかわからない。自分への意味付けをしていかないと関わりづらいのかもしれないですよね。
中江:特に分析コンサルをしていた時代に、肩書き的に「データをなんとかしてくれる人」という認識をされることが多くて、「データが集まったんですけど何かできませんか」というお客さんが来ると非常に困りました。「あなたが決めてください」と返さざるをえないですね(笑)。順番がちょっと逆なんじゃないですかって押し返したりしていました。
田中:さっきの僕が言っていた瞬時値と積算値とかも、データがきちんと取れていない状態で蓄積されていても押し返し合うことになっただろうと思いますね(笑)。
のびすけ:そういう意味で、エンジニアに対しては第一にそういう問題意識に対して共感しますか?というところが一番大きいかなと思っています。 今、一緒に仕事をしてるメンバーとも上手くコミュニケーションが通じてないなって思うところがまだあって。一番もどかしいのは、こちらが「こう改善するよ」と投げた球が上手くヒットしない、投げっぱなしになってしまうことがあることですね。仮にそういう文化の違いがあっても、「ハードウェアやソフトウェアの部分で違いがあります」ということを理解して、上手く共創して走れるメンバーが求められているんじゃないかなと思います。
田中:今IoT時代でニーズは多いですけど、それぞれの分野が固まってないので、そこを「負けじと」という感じで入っていかないといけないかもしれないですね。
5年先まで見据えた、長期的なアーキテクチャ提案の魅力
田中:次は福岡さんいかがでしょうか。
福岡:この前、うちのIoT担当が起業したんですよ。元は組み込みエンジニアだったんだけど、「これからIoTやってみたい」っていうので任せていたら、どんどんスキル上がっていって、色んなことができるようになってた。そのうち彼の中でやりたいことが別にできたみたいで、起業しますって言ってきました。
田中:普通の固まりっているポジションだとつかないようなスキルが身につくから、目覚めるところありますよね。
福岡:恐ろしいことに、一人起業したことによって、もう一人「俺も独立する」って言う人が出てきたわけですよ(笑)。
田中:自我の目覚めみたいになっていますね(笑)。
福岡:だから解放したんです。フリーランス契約にして、こちらはクライアントの一人になると。業務委託の関係になって、彼は僕ら以外の仕事も請け負えるようになった。しかも、彼らは今どんどんスキルアップしているんです。
田中:他の場所で得た知見もいい具合に一般化して使えているということですね。それは面白い。
福岡:エンジニアニーズに関しては、真面目な話、セキュリティとか硬いアーキテクチャを提案できる人はすごく嬉しいですね。「硬い」というのは、コストやセキュリティ、さらに長期的なメンテナンスという部分を踏まえたアーキテクチャを正しく提案できる人ということで、今すごくニーズが高いと思っています。僕らの相談にも乗ってほしいなと思っているくらいですね。
田中:恐らく技術をそれぞれ持っている方はいると思うんですけど、想像力を働かせて長期的に考えられるかどうかというところですね。
福岡:今はどんどんツールが出てきて、プロトタイプはすごく作りやすい時期になっているのかなと思います。いろいろなことできる。その一方で、何が一番正しいのか迷う部分もあると思うんですよね。ここはこういう風にやったらいいんだよとか、この目的だったら下手に新しいサービス使うよりもこういうのを使った方がいいんじゃないかとか、適切なアーキテクチャ提案ができる人は、すごくニーズとしてあるんじゃないでしょうか。
田中:IoT周りだといろいろ状況も変わっていくので、そういうところは固まりきらなくていいくらいに提案できるといいですね。
福岡:しかも「今これがいい」ではなく、「5年くらいこれで変えなくていいよ」というような。
田中:それ、言われたらキュンときますね(笑)。
福岡:ハードウェアや実装の詳しい話をするわけじゃないんですけど、モノって当然そういうことがあるんですよね。サービスならどういう風に変わるのかということと、今はみんな始まりしかイメージしてないかもしれないですけど、そのうちどうやってサービスを停止させるか、IoTのサービス停止がどうあるべきかということはきっと議論になると思うので、そういうところまで踏まえて、長期的な目線でアーキテクチャ提案できる人は入れたいなと思いますね。
田中:時間軸の伴った活用みたいなところですね。初動を決めたら終了ではなくて、その後でどう活用するのか、というか。
一番の強みになるのは「食わず嫌いをしない」「好奇心を持って楽しめる」こと
田中:河治さんいかがでしょうか、いろいろな話が出ましたが。
河治:エンジニアのニーズというと、個人的には技術的な話というよりも人的な話かなと思っています。さっきのセキュリティに関して言えば、確かに作っていて不安なのでそこがほしいのは間違いないですが。 ただ、自分はもともとWEBエンジニアから始まってデータを触る仕事を経てジョインしたわけですが、「どうして私を採ったの?」と社長に聞いたんですよ。そしたら「何でもやってくれるから」と(笑)。さらにちゃんと聞くと、「好奇心だ」と。僕は実際に技術に触れて面白いなと思ったし、Phillips Hueとか新しいデバイスがあって、プログラムでカスタマイズしてライトがちかちかするのとかが、結構楽しかったんです。さらにプログラミング言語もですけど、いろんな言語や技術分野に触れる機会が増えたということがあり、いろんな観点で技術を見られるようになった環境がIoTにはある。そこがすごく魅力的で、いいなと思いました。って言う話を僕がしたこと自体が、社長に一番びびっと刺さったようで、なるほどなと。確かにIoTの分野って、いろんな技術を知らないとサービスの組み込みができないですから。
田中:いろんなものを接着できないですね。
河治:そうなんです。広く浅く知らないとサービス構成全般ができないので、食わず嫌いをしない人っていうのが一番相性がいいのかなと思いますね。
田中:でも確かにそうかもしれないですね。Raspberry Pi一つ取っても、Pythonで全部組み上げる方もいらっしゃいますし、僕の場合はNode.jsを使いやすいから使っています。でもその時の正解・不正解はWEBのトレンドと全く違うというか、目的に達するために柔軟に、あわよくば現場に合わせられるくらいの気持ちがあったらうれしい。あんまりIoT関係でプログラム言語限定とか聞いたことがないので。
河治:正解は無いと思います。
田中:無いですね。あんまり目下のやりやすさを取ると、後で痛い目を見たりするのでよくあるので。自分の場合、よくJSONの書きやすさで書きまくって後から大変な目に遭うとか、そういうの。最初なりやすいんですよ。 のびすけさんはIoTLTでいろいろ見て、実際どうでしょうか。IoTLT界隈見ていると会社でIoTをやるから勉強を始めるとか、あるいは自らいろんな言語勉強しているからIoTもやるとか、いろんな方々がいらっしゃると思いますが。
のびすけ:僕は田中さんみたいな人がいいです(笑)。さっきの話にあったように、技術スタイルを選ばないというか。前はAWSの募集があって、「最近うちはGCP使ってる」って言うと「GCPはちょっと…」みたいな人が多かったのが、最近はGCP使ってみたいですみたいな話があったりとか。
田中:食わず嫌いが無くて、はっと気づいたら使っているみたいなことですね。
のびすけ:FF4で言うところのパラディンは戦士と白魔道士のWジョブなんですけど、そんな人たちがパーティを組んでいるのかなって。WEBエンジニア出身だけど、ハードとかネットワークとかデータとか、そういう分野に行った人の上位職(?)、というような話な印象です。私はWEBエンジニアだからできませんって言ってしまった時点で、そこから先には行けないしIoTはできないと思うし、やらない方がいいと思う。
田中:やっぱり好奇心が重要かなと思いますね。
のびすけ:ネットワークエンジニア出身とか、ネットエンジニア出身とか、ハード、WEBとか色々ありますが、IoTは本当に総合力じゃないですか。そうなった時に、僕はWEBしかできないです、ハードしかできないですって言っていると、もう道が残らないんです。
田中:ネットゲームじゃないですけど、そういう単スキルのみだと全然遊べないですしね。
のびすけ:僕も未だにWEBが好きですけど、それしかやりませんって言っちゃだめですよ。
田中:楽しみながらハンダ使ったりしてますもんね(笑)。
のびすけ:僕はわりと許容範囲が広くて、意外にやっていると楽しいなと思えちゃう人なので全然いいんですけど、そうじゃない人も居るじゃないですか。全然楽しくないよっていう人。 楽しめる人が結局生き残るというか、こういうカオスな状態では求められているんじゃないかなと。だから田中さんみたいな人がいいと思うんです。
田中:確かに僕は食わず嫌い全く無いですね。
のびすけ:そういう人がいいんですよ。
田中:現場で覚えてくスタイルは確実にありますね。手元の道具で何とか戦っていくとか(笑)。
のびすけ:プログラミングができるかどうかはどうでもいいんですよ。
田中:工作道具の一つが使えるくらいのね(笑)。
のびすけ:幅広く見た時に目的が達成できればいいんです。手段を選ばずに目標達成できるなら、スキルを持っていることよりも、それを学んでいくモチベーションの方が大事なんです。今もJavaScriptやPHPが流行っていると言っても、何年後かにはもうなくなっているかもしれないじゃないですか。そうなった時に次に行けないって人は駆逐されて行きます。
田中:その点で言うとIoTは非常に多様というか、自分の好きなものを見つけられたりとか、そういうことに非常に強い。自分の好奇心が浮き彫りになっていきます。その好奇心が一番表に出たら面白いですし、そうじゃなくても、派生する技術が目覚めていったりもします。 さて、エンジニアニーズがだいぶイメージできてきたかなと思います。本当に好奇心や多様性が大切ですね。食わず嫌いとは言わなくても、とりあえず触って目的にたどり着きたいという気持ち的な部分も然りです。気持ちがスキルという形になっていくというのも、非常に重要だなと聞いていて思いました。
ディスカッションを終えて~IoTへの参入を目指す方へのメッセージ~
田中:ということで、みなさんの最後の言葉を聞いていきたいと思います。まず福岡さん、本日はいかがでしたでしょうか。
福岡:今日はありがとうございました。IoTは本当に幅広い技術と分野を横断しているというのは今日お話したとおりです。僕は「幅広い人」を求めているので、ぜひこれからもみなさんよろしくお願いします。
河治:今回初めてこういった場に出ることになったんですけれども、お話を伺うとIoT業界はカオスで、会社もやっぱりカオスだなと改めて共感できたので、戦友が増えた気分になりました。今日させていただいた話がいろいろ参考になればと思います。 我々の方でも社員募集したりしているのでよろしくお願いします。好奇心が大切だということは、みんなの変わらない共通の認識だと思います。ありがとうございました。
中江:どちらかというと特殊なデバイスの特殊な人間が出てきて、特殊な話をさせていただきましたという感じで、どれだけみなさんの役に立っているかわからないんですけど、キーワードが好奇心っていうのは皆さんと同じです。僕も好奇心を持って仕事をしていますが、折れかける瞬間もいくつかあるにはありますね。それでもなんとかうまく前に進んでいます。 一方で、最近データ分析が流行っているけど、みんなが集中してるところにいって本当に幸せなのかな?とも思っています。みんなが行かないところに何かフロンティアが待っているかもしれません。今後ともみなさんがんばってください。ありがとうございました。
福岡:ちょっと言い損ねたので明確に言っておきます。WEBエンジニア含めたIoTの方、絶賛募集中です!(笑)
中江:うちも募集中です(笑)
田中:(笑)では、最後のびすけさん。
のびすけ:うちの会社は好奇心旺盛というところもすごく大事なんですが、「教えたい」というモチベーションのある人を募集しています。僕はIoTにそんなにこだわってなくて、自分が「これを実現したい」と思ったときに実現できる世界になればいいなと思っています。ビジネスサイドの人でも、おじいちゃん、おばあちゃんでも。そういう人たちに、技術を持っている人が教えて、作れる人が増えるといいなと思います。そう思ってくれる人がもっと増えてほしい。 一つエンジニアキャリアのロールモデルを作りたいんです。新卒でエンジニアになった人が、その後みんなCTOにはならないじゃないですか。みんなどこに行ってるの?という話なんですよ。僕は会社を立てましたけど、そうじゃない人も絶対いる。みんなどこを狙っているんだろうと。エンジニアとしていろいろやったけど、その次をどうするかと考えた時に、教職に行けるようなロールモデルを作れたら面白いなと思っています。 エンジニアを経験して、そろそろ教える側にまわりたい人をうちの会社は求めているので、ぜひお声がけしてくれたらいいかなと思います。
田中:強い好奇心でみんなを導いていく部分はWEB開発での中にもあると思うんですけど、IoTの場合は「このデバイス楽しいでしょ」とか、「このデータを使ってこういうことができるよ」ということが非常に伝えやすい部分がありますよね。
のびすけ:教えてる側が「作るって楽しいでしょ」と言った方が絶対いいんです。自分で作ってないし楽しんでないでしょって人が教えてること結構あると思うんですよね。
田中:コメントはしませんが(笑)、気持ちはよくわかります。 本日はみなさんありがとうございました。
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