CTOとVPoEが語る!エンジニア組織はコロナ時代をどう生き抜いていくべきなのか?コロナ時代のエンジニア組織戦略

2020年7月3日のFLEXY主催CTOmeetupのテーマは「コロナ時代のエンジニア組織戦略」

コロナ禍の3ヶ月で各企業はどう変わったのか、どんな問題が顕在化したのか、そしてエンジニア組織はコロナ時代をどう生き抜いていくべきなのかなど、経営層やマネジメント層の方にとって重要なトピックが満載のイベントレポートです。特に後半は、採用の変化とその対策についてたっぷり語っていただいた見所ある内容になっています。

<モデレーター>
株式会社レクター 取締役 広木 大地さん

<ご登壇者>
株式会社ZOZOテクノロジーズ 執行役員 CTO 今村 雅幸さん
株式会社LIFULL CTO 長沢 翼さん
エムスリー株式会社 執行役員 VPoE 山崎 聡さん

コロナの状況下で組織の効率化を実現するためには

フルリモートに移行した各社。3ヶ月で状況は激変した


※本イベントはYouTubeライブでオンライン配信されました。


株式会社レクター 取締役 広木 大地さん(以下、広木):今回はそうそうたる皆さんにお越しいただきましたので、いろいろと聞いていきたいと思います。まず、ここ3ヶ月のみなさんの会社の状況はいかがでしょうか。

株式会社LIFULL CTO 長沢 翼さん(以下、長沢):LIFULLは全く景色が変わりました。もともと特別な事情以外ではリモート禁止の会社でしたが、3月の頭頃からは会社全体を「原則在宅勤務」に切り替えました。

僕はCTOのほかに情報システム部の部長も兼任しているのですが、移行時はシステムやコミュニケーションツールの整備が大変でしたね。導入してから現在までは順調で、良い感触を得ています。

広木:LIFULLさんが手掛ける不動産業界はリモートでできない業務が多いのかなと思いますが、その点はいかがですか?

長沢:エンジニアの開発は問題なくできます。営業部門はリモートで営業できるような商談ツールを導入しました。声の分析などができるようになり、業績が上がった人もいます。

段々リモートの良い部分が見え始めていて、こんなにも会社は変わるんだと驚きましたね。経営会議や株主総会もオンラインになりましたね。

広木:なるほど。ZOZOさんはいかがですか?

株式会社ZOZOテクノロジーズ 執行役員 CTO 今村 雅幸さん(以下、今村):ZOZOテクノロジーズはもともと昨年からリモートワーク制度の準備を整えており、3月頃から原則フルリモートにしました。現在は、出勤はよほどのことが無い限り許可していません。ZOZOは物流倉庫やカスタマーサポートセンターがあるので、出社せざるを得ない部署以外はフルリモートという形です。

本当にリモートワークが上手くいくのかどうか最初は疑問がありましたが、営業も一部カスタマーサポートも「やってみたら意外とできる」というのが感想です。一番ネックだったのはセキュリティ周りで、ここはかなり大変でした。個人情報に触れる仕事をする人たちに対してどこまでセキュアな環境を会社として提供するかかなり試行錯誤しましたし、運用ルールも一部変えなければなりませんでした。

広木:エムスリーさんはまさにコロナの中心にいる企業ですが、この数ヶ月はいかがでしたか?

エムスリー株式会社 執行役員 VPoE 山崎 聡さん(以下、山崎):大変でしたね。我々もLIFULLさんと同じで、コロナの件があるまでは原則リモートは認めていませんでした。エンジニアなので当然夜間のメンテナンスや緊急対応が入ったときのためにリモート環境自体は整えていたのですが、通常は基本的に全員出社することになっていました。それが今は全員フルリモートですから、3ヶ月で大きく変わった印象です。

リモート移行に際して大変だったところもLIFULLさんと似通っています。情シス部隊がかなり頑張って、自宅でセキュアに仕事ができるようなVPN環境を整えてくれました。ただVPN経由でどんな仕事でもできるわけではないので、ファイアウォールの設定をどうするかという問題もあったんです。

そのため、すぐにSlackで「リモート環境改善」のチャンネルが立ち上がりました。どのようにセキュリティを調整すれば仕事が快適にできるのかエンジニアが毎日話し合い、積極的に改善に取り組んでくれましたね。

広木:すごく良い話ですね。改善要望がチャンネルに上がって、どんどん解消していく感じなんですか?

山崎:そうですね。SREチームとセキュリティチーム、CTO、情シス部門、さらには購買グループなども加わり全員が一丸となって整備を一気に進めたのは非常に印象的でした。

社内にはMVP賞という、会社に対して億単位の利益インパクトを出すともらえる賞があるのですが、コロナに対応したチームが受賞していたのですごいことだと思いましたよ。

広木:普段はバックオフィス、ミドルオフィス的な位置にいる部門が頑張って脚光を浴びたんですね。

メンバー同士の助け合いと迅速な意思決定がリモート移行成功のポイント

広木:ではリモートに移行する際にどんな工夫をしたのでしょうか。生産性が上がったなどの例があれば教えてください。

長沢:VPNはもともと導入していたのですが、リモート移行において、多くの人が使うようになりましたので同時接続数が集中すると速度が出ないという問題が起きました。そこで、1年ほど前に導入していた統合認証基盤を使いゼロトラストネットワークとまではいきませんが、似たようなネットワークを構築し、VPNがなくても仕事ができるような環境構築をしました。結果としてそれは有効に機能しているな、という印象です。

また、リモート移行に際して出てくるシステム的な課題に対してより詳しい人がサポートできるように、我々も専用のチャットルームを作りました。情シス部門だけでなく、各メンバーがお互いに助け合えたのは非常に良かったですね。

広木:もともと会社にあった開かれた文化や良好なコミュニケーションがすごく表れていますね。日頃からそういう雰囲気を作っておくと、緊急時にも結束しやすい部分はあるのかもしれません。

今村さんはいかがですか?

今村:システム的な部分ではVPNだけではなく、アプリケーション プロキシなどVPN無しでも安全に業務できるようなゼロトラストを見据えた仕組みを使いました。

あとはメンバーの中にそもそもノートパソコンを持っていない方もたくさんいたので、気合いで調達して全員に配りました(笑)。自宅のネット環境が良くない人にはポケットWi-Fiも貸し出しましたし、備品系は情シス部門がすぐに用意して業務ができるようにしてくれましたね。Wi-Fiの通信量がすぐに制限を超えてしまうようなら通信費を会社が負担するルールも作りました。

広木:調達系の話は、意思決定が早かったところと出遅れたところとでかなり差が出ていますね。少し判断が遅れると手に入らなかったりするので、みなさんはかなり素早く確保に走れたのだなと思いました。

今村:当社の場合はそれこそ物流倉庫があるので、マスクやフェイスガードが無いとそもそも業務ができないケースがたくさんありました。そのあたりは先手を打てて良かったです。ほかにはメンバーが半分ずつ稼働するシフト制も導入して、仮に社員が感染したとしても半分は絶対に稼働できるようにするなど、最悪のケースを想定した工夫もしました。

働き方が大きく変わった一方で、社内制度の変化は最小限で済んだ

広木:交通費の精算の仕方が変わった、あるいはリモート手当を付けたなど、福利厚生周りの制度に変化はありましたか?

山崎:エムスリーはもともと交通費が報酬にインクルードされていて、どこに住んでいても報酬が変わりません。そのほうがフェアだという以前からのポリシーです。ですからコロナになっても交通費に関する議論は一切起こりませんでしたし、混乱もありませんでした。

長沢:うちも交通費の支給制度も以現在は変わっていません。在宅手当は少しずつですが支給しました。 大きく変わったのは出勤時間です。もともとフレックス制を導入していて10時~16時をコアタイムとしていたのですが、交通機関の混雑時間を避けたオフピークでの通勤を推奨するべく11時出勤もOKにしました。会社に来る用事を終えたらすぐに帰宅しても問題ありません。働き方はかなり自由になりましたね。

今村:ZOZOテクノロジーズの場合は毎月5万円の住宅通勤手当があり、リモートになってもそのまま支給しています。別途リモート手当も検討しましたが、出社しなくても住宅通勤手当が出ているということでプラスになっているので、これが実質的にリモート手当のようなものだと認識してもらえたらなと思っています。

広木:勤怠管理の面ではいかがでしょうか?

山崎:うちは裁量労働制を採用していて、労務上の管理はしていてもマイクロマネジメントはしていません。朝の7時から仕事をする人もいれば、10時頃から初めて少し遅くまで仕事をする人もいます。比較的自由な勤務体系なので、リモートになってもこれといって管理を強化することもありませんでした。

特にエンジニアの場合はチェックしようと思えばSlackやGitHubのログなどで大体の行動記録を拾える側面もあるので、性善説を信じて常識の範囲で働いてもらっている感じですね。

マイクロサービス的なチーム構成はリモート環境にマッチする

広木:生産性を高める方法を見つけて上手くリーダーシップを発揮している人がいる反面、動きが鈍くなってしまう人もいるような気がするのですが、そのあたりの濃淡はいかがでしょうか?

今村:上手くいっているチームはリーダーが率先してDiscordなどを活用し、チーム同士が話しやすい状態を作っていますね。生産性も上がっています。そういう意味ではツールの活用が苦手なチームとの差は出ています。

山崎:エムスリーはエンジニアが91人いて、もともと全16チーム、平均4、5名程度に分けています。リモート環境ではそのチーム構成がすごく良かった気がしますね。チームの人数が少ないとマネジメントがしやすいですし、メンバーが主体的に動いてくれるので指示待ちにもなりにくいです。生産性も上がりました。マイクロサービスのような思想でやってきた組織運営が、たまたまうまくハマった感じです。

広木:業務自体がもともと疎結合になっていれば、集まるべき人数も少なくて意外とやりやすいということですね。


※リアルタイムで、オンライン上から寄せられた質問に答えていただきました。

前半 質疑応答

コロナによって問われた「出社する意味」や「オフィスの在り方」

質問者: コロナ禍によって顕在化した問題はありますか?


山崎:うちはそもそもリモートを認めていなかったので、今後リモートワークをどう扱っていくかという問題は今回突きつけられた気がします。

広木:今後も継続していくのかどうかということですね。

山崎:まさに「今後リモートを導入するかどうか」と考えていた時期にコロナが起きましたから。

今村:どの企業もそうだと思いますが、「出社する意味があるのか」という問題もありますよね。 うちはちょうど新しいオフィスをゼロから作っているところなんです。コロナ以前に設計したのですが、今またどう設計し直すかを考えています。席は固定席ではないなとか、もっとチームビルディングができるような施設にすべきではないかなどですね。出社によって得られるメリットを享受できる空間にしたいです。 コロナがなければ普通のオフィスにしていたと思いますし、人が集まる意味を改めて考えさせられました。

広木:なるほど。長沢さんは顕在化した問題はありましたか?

長沢:いくつかありました。モバイルの実機確認ができないといった細かい話もありましたし、大きいところでは今村さんがおっしゃったような出社する意味にもつながるのですが、メンバーが集まってブレストするなど、良いディスカッションをしてアイディアを出すための空間やツールの使い方は今後考えなければいけないなと思いましたね。

オンラインでコミュニケーションコストを払える人はパフォーマンスが高い

質問者: リモートでパフォーマンスが上がったメンバー、または下がったメンバーの共通点などはありましたか?


長沢:リモートでパフォーマンスが上がったメンバーはもともとオフラインでもパフォーマンスが高いという話はありますね。そういう人はオンラインのテキスト上でもきちんといろいろなことを話せます。相手に伝えるコストを払うと言うのでしょうか。周囲もそういう人に合わせることで、より力を発揮できるような場面もありました。

広木:「伝える能力」に依存する部分は大きいですよね。逆にウェットなコミュニケーション、あるいは言語よりも時間やリアルな場を使うことで問題解決してきた人は、今までの手法が使えずに不安を感じたり、パフォーマンスが出づらくなるということが多いのかもしれません。

今村:うちはミーティングをする前にアジェンダをまとめられる人とそうでない人の差がだいぶ出るようになってきたので、アジェンダや議事録作成ができない人でも作らざるを得ないような仕組みを入れるようにはしました。苦手な人をどうカバーするかという視点の取り組みですね。

広木:基本的なことが最初からできていれば、リモートでもできる感じですよね。

山崎:別の切り口で言うと、「人」というよりはリモートに向いているフェーズの仕事とそうではない仕事の程度問題でもあるかもしれません。定型業務などやることが明確であとは作るだけ、という業務はリモートに非常に向いていますが、プロジェクトの立ち上げやチームビルディング、新入社員のオンボーディングなんかはマネジメントのオーバーヘッドが生じます。 今後リモート時代に入れば、こういう面に対して誰かが何か新しい仕組みを考えそうですけどね。

企業がエンジニアから求められる変化

「リモートではできない」という先入観を捨てる時代がやってきた

広木:では次は、企業がどんな風に変わっていくのがエンジニアにとって良いことなのかをディスカッションできればと思います。

まず、企業がエンジニアを採用する際に今後何か変化は必要でしょうか?今村さんいかがでしょうか。

今村:企業としては大きく変わらざるを得ない状況になったと思っています。僕たちはもともとフルリモート勤務を許可していませんでしたが、「意外とフルリモートでオンボーディングだってできるし、社員もパフォーマンスを発揮できる」とすでに証明されてしまいました。この事実を踏まえ、リモートを受け入れる形で会社のルールをかなり変える必要があります。

広木:時期的にオンボーディングからリモートで、なおかつそれが新卒一年目という方も多いと思います。今村さんのところの新卒入社は何名ほどですか?

今村:新卒は19名です。うちの場合4月に入社したら1ヶ月は研修を行っていて、そのうち半分は座学、半分はチーム開発です。つまり、研修の後半はまだ誰とも直接会ったことが無いのにオンラインでチームを組み、プロダクトを作ることになります。

果たしてこれがどうなったのかといえば、みんな全く心配がいらないくらいしっかりコミュニケーションを取って、プロダクトを仕上げていました。デジタルネイティブ世代にとって、「リモートだから」という状況はあまり関係無いのかもしれないと再認識させられましたね。

広木:対応力のある方が多かったんですね。

今村:僕たちもいろいろな先入観を捨てないといけないと思いました。「リモートじゃ無理だ」ということは、意外と無いのかもしれません。

広木:長沢さんはいかがでしょうか?

長沢:入社してから基本的にリモートで働くという人はこれから絶対に増えますよね。うちの新卒もそうです。だからこそ、会社や組織に対しての帰属意識を如何に作っていくかが重要になると思います。既存の枠組みで同じようにやっているだけでは、社員が会社のビジョンにコミットできないなど、まずい状況が起きそうです。会社が何を目指すのかなどしっかり伝えていけるように、定期的に接点を持つ仕組みを考えるなど、コミュニケーション設計をかなり変えなければいけませんね。

広木:山崎さんはどうでしょうか。

山崎:やはり不可逆な変化は起きると思います。特に働き方や会社選び方の基準は大きく変わるはずです。我々はこれまでリモート不可というスタイルでやってきましたが、今後候補者がそういう会社を選ぶかと言われると、難しい問題です。 ほかにも我々は例えば候補者と食事に行ってアトラクトしていましたが、そこも今後どうするのか考えなければいけません。

最終的にはみんな時代に適合して進化していくはずなので、他社に先んじて新しい環境に移行し、競争優位性を発揮できるかどうかがポイントになりそうです。

広木:先日、地方国立大学が東京一極集中を減らすために定員を増やしていくかもしれないというニュース(※)がありました。そうなると採用活動がガラリと変わり、4、5年後には地方大学出身の人がそのまま地方に住みながら都心の会社で働くというケースが出てくるかもしれません。そのときに候補者に選ばれるような会社になっておくのは非常に重要ですよね。

※編集部記: リモートワークで移住推進 地方国立大、定員増

企業や業界そのものをアフターコロナに適用させていくための戦略

広木:他社に先んじて変化に適応していくため、今後仕掛けていきたいと思っていることがあれば、言える範囲で構いませんので教えてください。

長沢:うちの場合不動産業界自体がまだオンライン化がそこまで進んでいないので、我々の手でも強く推し進めていこうとしています。そういう動きによって、不動産業界の人たちやユーザーが「オンラインでできそう」と思ってくれる場面を増やせるといいなと思います。

社内に関しては広木さんもおっしゃったように東京一極集中をどうしていくのか考えるべきですね。我々も開発拠点が北海道にもありますが、地方の優秀な人材を採用するための行動をしていくことが増える思います。

今村:今後は基本的に何かアクションをするときはオンラインという前提で、社員に対しても採用候補者の方に対しても、どれだけ会社とのつながりを意識させられるかが重要になると思います。

例えば採用時の会食をオンラインで行う際は、会社がウーバーイーツなどの費用を出しています。また、採用イベントなどで懇親会に参加される方々には事前に「ZOZOのおつまみセット」を送っておくなど、距離が離れていても「ZOZOらしさ」を感じてもらう仕掛けを用意していきます。

広木:おつまみセットいいですね(笑)。それがZOZOTOWNの黒い箱で届いたら面白いですね。

今村:まさにそうしています。企業らしさをどう感じてもらうかについてはまだまだいろいろなアイディアがあると思うので、絶賛考案中です。

広木:エムスリーさんはいかがですか?

山崎:当社は日本の医療をバックアップしていくという重大なミッションがあり、これまでの20年間もMR活動のオンライン化に努めてきました。今後も活動が加速していく中で医療業界をどのようにアフターコロナ時代にしていくのかが大きなテーマです。

一方で自分たちの働き方もアップグレードしなければいけませんから、いろいろな課題に対して経営陣とディスカッションをしていますね。

ビジョンへの共感やセルフマネジメント能力が今後の採用基準で重視される

広木:では次に採用の方向性についても伺いたいのですが、自社に欲しいエンジニア像に変化は起きましたか?

長沢:あまり変わりませんね。うちは一番に優先するのがビジョンフィット、次にカルチャーフィット、ポテンシャルフィット、最後にスキルフィットという採用基準を設けていて、今もきちんと会社のビジョンに共感してくれる人を採用するという方針です。

今村:採用したいエンジニア像自体は大きく変わらないのですが、今後はある程度セルフマネジメントができる人がより重宝されますし、当社としてもそういう人を採用したいという意欲が高まっていますね。ほかにも仕事を進める上でしっかり情報を文字に起こせるスキルを持っていると、プラスの評価になると思います。

広木:これまでは採用基準から少し外れた人を採用しても、リーダーがエンパワーすることで上手く軌道に乗せる、メンタルケアが必要になれば1on1で育てるといったことができました。そういった対応が難しい状況では採用に失敗しづらくなったと思うのですが、この観点で採用基準に変化はありましたか?

今村:よりビジョンフィットやカルチャーフィットを見る度合いは増えたと思います。離れていても僕らと同じ方向を向いてくれるかどうかはすごく重要ですし、どんなにスキルがあってもビジョンやカルチャーがズレると「なぜこの会社にいるのか」という理由がブレてしまいますから。

アフターコロナの世界においては、僕らの会社でなければいけない理由、一緒にやりたい理由は以前より確認すると思います。

長沢:面接の中ではコンピテンシーやトラックレコードをしっかり確認していく、ということが非常に有用ですね。新卒採用の場合は「主体的に課題設定をして、周りを巻き込みながら乗り越える経験が豊富な人」は外れにくいという印象を持っています。

山崎:エムスリーはまだまだ人数が少ないので基本的には「デキるエンジニア」を集めている部分があるのですが、長沢さんがおっしゃった通り自主性やリーダーシップ、周りを巻き込んでやる気にさせる力がより求められていると思います。自然と面接の中で採用の基準値が上がっている気がしますね。

広木:では質疑応答に入る前に、みなさんから一言コロナ禍における求人メッセージの時間を取りましょう。 では、今村さんからどうぞ。

今村:ファッション業界はブランドも苦境に立たされ、本当にコロナの影響を大きく受けている業界です。ZOZOはZOZOTOWN以外の方法でもファッション業界を大きく変えたいと思っています。現在は自宅で足のサイズを測れるZOZOMATなどオンラインで商品を購入するための支援ツールを展開していますが、そのほかにもこれまで常識だと思っていたことを概念ごと変えるような様々なプロダクト開発を進めています。

技術を使ってアフターコロナのファッション業界を支えていければと思っていますので、興味がある方はぜひご応募ください。

山崎:エムスリーは今まさに医療の問題に立ち向かっています。2020年はエンジニアだけでも30名、QAは4名、デザイナーは10名、プロダクトマネージャーも十分確保していきたいと思っていますので、日本や世界の医療を改善したい方はぜひご連絡ください。

長沢:LIFULLはいろいろな事業を展開していますが、「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、人生・暮らしを豊かにするさまざまな領域に事業拡大しています。

その中でも不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」が手掛ける住宅の領域はかなり大きな要素だと捉えています。例えばコロナで仕事がリモートになった人の中には、「もう少し職場から離れた郊外の広い家に引っ越してもいいかも」と一瞬でも考えた人がいると思います。住まいへの価値観が変わっていくタイミングで、人の人生の大きな選択肢に関われるのは非常に面白いと思います。

DXと言うと月並みですがまだまだオンライン化の余地がある領域ですし、もちろんエンジニアも募集していますので、ぜひ一緒に変革を起こしていきましょう。

後半 質疑応答

オンライン面接で見るべきポイントとより多くの情報を得るための工夫

質問者:採用の決定までフルリモートで判断できますか?どうしても最後に一度顔を合わせないと判断できません。


山崎:エムスリーも最終面接はリモートではなく顔を合わせるというルールでやってきましたが、コロナ以降は全てリモートになっています。

それでも良い人材を採用できている感触があるので、面接が全てオンライン化されるのは良いことだと感じていますよ。地方から応募してくれる人も増えると思いますしね。もちろんリスクもあるのかもしれません。

長沢:LIFULLもエムスリーさんと同じで、最終面接だけはオフラインでした。今は完全にオンラインですが、採用者は入社して間もないので、その結果がどうだったか、という点などは、まだ評価はできていない部分があります。

オンライン化によって、面接でヒアリングする内容の濃度や深度はかなり増した気がします。トラックレコードなども確認しつつ、不確実性を減らしていくという感じですね。

今村:うちも最終面接だけは対面でしたが、今は書類選考からオファーまで全てオンラインで完結しています。オンライン化にあたって、社内で「対面で会わなければならない理由」を議論してみたのですが、「意外と無いのでは?」ということになったんですよね。オンラインのみで採用した場合に想定される問題は、採用者との接触時間を増やすことで解決できそうだという結論でした。 実際、オンラインのみで最終面接までして4月や5月に入社した人は、現在普通に働いています。

長沢:エンジニアという職種だからこそとも思うんですよね。自宅のネット環境が整っている人も多いですし。

広木:僕はZoomでオンライン面接をしているときに、相手がゲーミングチェアを使っていることがわかるとぼ僕もゲーム好きなので、「この人は意外とハマる気質の人なのかな」と思ったりします(笑)。あまりプライベートなことを見るのは良くないのかもしれませんが、パッと画面上で見える情報によって、その人のポジティブな一面を見出だせる瞬間は結構ある気がしますね。

ほかにもオンラインはGoogleドキュメントの共同編集で何かワークを一緒にやると、その人の構造化能力がわかったりします。口下手だけど、とてもいい文章を書くというケースもあります。オンライン面接は手元の動作など非言語の情報が減ってしまった分、「得られる情報を増やす」という方向に振って実施すると、情報のロスが減るんじゃないかなと思います。

「リモートか出社か」ではなく両方をバランス良く選べることが重要

質問者:リモートがいい人と出社がいい人の割合は現在どれくらいですか?


今村:社内でアンケートを採ったところ、全職種において完全に半々でした。リモートは良い面も悪い面もあるので、恐らくみんなどちらが良いのかわからないんだと思います。

ただ、今は出社できる割合を多少増やしましたし僕も今日オフィスにいるのですが、みんな全然出社していないんですよ(笑)。実際に出社したい人は1~2割程度なのではないかなと体感しています。アンケートで半々になったのは、「自宅はあまり仕事に向いていない環境だからオフィスで働きたい」という程度の理由なのかもしれません。

山崎:リモートと出社いずれで働くにしてもそれぞれメリットがあるとみんな理解していますから、割合の問題になっていますね。メンバークラスは週3、4日リモートくらいのほうが集中して作業できますし、逆にリーダーサイドは週2日リモートくらいがちょうどいいようです。チームビルディングをしている立場からすると、週に2、3日は出勤してみんなの顔が見たいという意味なんだと思います。 その点も経営陣と話し合っていて、出勤するにしても例えば半日だけ来てもらい、週に2、3回ミーティングできる環境にさえなれば問題無さそうな気がしています。

長沢:うちも肌感的にエンジニアでは8対2の割合でリモート派が多いですね。 ただ、今村さんがおっしゃったように自宅の環境という要素は大きいです。家族がいて集中できないということがありますし、逆に独身だとリモートワークは直接人の温もりを感じる機会がなくて参ってくるというメンバーもいました。そういう人はオンラインでも積極的に雑談をしたり、多めに出社したりして積極的にリアルなコミュニケーションを取る、などをしています。

山崎:エンジニアとランチに行ったりしたいですね。私はそこがなくなったのが辛いです(笑)。

広木:通勤電車に乗らなくて良いというのは大きいですけどね。 LIFULLさんサイドの話になると思いますが、住居の在り方も変わりそうですよね。書斎とまではいきませんが、パーソナルに仕事ができるスペースのある物件が増えそうです。

長沢:住まいに関するアンケートを採ると、2畳程度の書斎スペースが欲しいと言っている人が多いです。あとは部屋数が多い家も多く見られていますね。人口も東京から少しずつ地方に出ているようです。

明日コロナが消滅しても元には戻れない。各社が体感する不可逆な変化

質問者:コロナのワクチンが完成して問題が解決し、感染の恐れもなくなったとしたら以前の業務体制に戻しますか?それともこのままリモート環境を継続しますか?


広木:重要な問いですね。例えば明日コロナが消滅したらどうしますか?

今村:「戻せない」というのが答えですね。みんなすでに3ヶ月近くフルリモートという生活を送り適応してしまっているので、それをまた元に戻すとなるといろいろな問題が出てくると思います。もともとできないと思っていたことが実はできる、とわかってしまっていますから。

戻すというよりは、新しいルールを作る方向に行く気がします。ルールと言っても何かを強要するのではなく、あくまでも社員に選択してもらうという状況が大事なのではないでしょうか。

長沢:うちももうビフォアコロナには戻らないと代表自身が語っています。非連続で不可逆な変化だと思うんですよね。変化に合わせて足りないところを埋めていくという考え方でないと、今後会社としても人類としても生き残っていけない気がします。

山崎:うちは今まさに経営陣で議論している真っ最中ですが、文明が進化したというのと同じ話だと思うので、不便な時代には戻らないでしょう。

コロナと上手く付き合いつつ、今後の時代の在り方を考えていかなければいけません。

ーーー貴重なお話、有り難うございました!

ご登壇者プロフィール:

・ 株式会社ZOZOテクノロジーズ 執行役員 CTO 今村 雅幸 氏
同志社大学を卒業後、ヤフーに入社。Yahoo! FASHIONやX BRANDなどの新規サービス立ち上げの開発やリコメンデーションの特許取得などを行う。その後2009年に株式会社VASILYを創業し、取締役CTOに就任。200万人が利用するファッションアプリ「IQON」の開発やエンジニアリング組織のマネジメントなどを行い、VASILYをテックカンパニーとして牽引。2017年にVASILYをスタートトゥデイ(現ZOZO)に売却、会社合併とともにZOZOテクノロジーズの執行役員に就任。 現在はCTOとしてエンジニア採用や教育など幅広くエンジニアリング組織のマネジメントを行っている。

・ 株式会社LIFULL CTO 長沢 翼 氏
2008年株式会社ネクスト(現 株式会社LIFULL)入社。 フロント、サーバーサイド、ネイティブアプリなどアプリケーション開発に従事した後、バックエンド・インフラ系を担当し、API基盤の刷新、事業系システムのAWSへの移行チームを責任者として牽引。 2017年4月からCTO就任。 情報システム部門の責任者、ベトナムの開発系子会社の委任代表なども務める。

・ 株式会社レクター 取締役 広木 大地 氏
1983年生まれ。筑波大学大学院を卒業後、2008年に新卒第1期として株式会社ミクシィに入社。同社のアーキテクトとして、技術戦略から組織構築などに携わる。同社メディア開発部長、開発部部長、サービス本部長執行役員を務めた後、2015年退社。現在は、株式会社レクターを創業し、技術と経営をつなぐ技術組織のアドバイザリーとして、多数の会社の経営支援を行っている。著書『エンジニアリング組織論への招待~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタング』が第6回ブクログ大賞・ビジネス書部門大賞、翔泳社ITエンジニアに読んでほしい技術書大賞2019・技術書大賞受賞。一般社団法人日本CTO協会理事。

・ エムスリー株式会社 執行役員 VPoE 山崎 聡 氏
大学院博士中退後、ベンチャー企業、フリーランスを経て、2006年、臨床研究を手がけるメビックスに入社。2009年、メビックスのエムスリーグループ入り以降、エムスリーグループ内で主にプロダクトマネジメントを担当する。2012年にグループ会社であるシィ・エム・エス取締役に就任。2015年にデジカルを共同創業、2017年にVPoEとなり、2018年からエムスリーの執行役員。現在はプロダクトマネージャーとして自ら新規プロダクトに関わりつつ、執行役員 VPoEとして、エムスリーグループを横断してプロダクト志向の開発プロセスおよび組織化を推進。2020年4月からはエンジニアリンググループに加えて、ネイティブアプリ企画部門のマルチデバイスプラットフォームグループと全プロダクトのデザインを推進するデザイングループも統括。

次回のCTO meetup予告


【CTO meetup】withコロナのエンジニア育成/採用の戦略と実践とは?

●日時:2020年8月4日(火) 19:00〜21:00
●会場:完全オンライン配信
※本イベントの配信情報は、お申込後に別途ご連絡いたします。
●費用 : 無料

ご興味のある方は、connpassよりご応募ください。


この記事を書いた人
FLEXY編集部
FLEXY編集部
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リモート 相談可

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必要スキル それぞれの案件により異なります
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必要スキル 案件により異なります
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