業務委託のエンジニアのニーズが高まっている理由は? エンジニアと企業のメリット・デメリットも解説

本記事ではフリーランスエンジニアとして活動していきたい方向けに、業務委託で働くエンジニアや、案件自体が増えた背景を解説しています。またエンジニアが業務委託として働くメリットやデメリット、また企業側が業務委託のエンジニアを採用するメリットとデメリット、業務委託契約書のチェックポイントなどについても網羅しています。

本記事を読んで業務委託のフリーランスエンジニアとして働くことについてより詳しくなり、ご自身の活動に活かしていただければ幸いです。

業務委託のフリーランスエンジニアの需要が高まっている社会的背景

フリーランスという働き方の需要が高まっています。エンジニアの方や、IT業界で働いている方なら、ご自身がそうでなくとも、すでに馴染みのある働き方でしょう。フリーランスエンジニアの需要が高まっている社会的背景について解説いたします。

また、フリーランスと似た働き方が個人事業主です。フリーランスと違うのは、税務署に開業届を出しいる点です。この開業届を提出すると社会的な信用を得たり、補助金を受けられるようになります。個人事業主に興味をお持ちの方は、個人事業主について紹介している記事をご覧ください。

IT人材の不足

フリーランスエンジニアの増加と社会の変化は強く関連しています。
今後デジタルネイティブが増えていく中で、IT人材の不足は日本の深刻な問題であるということを経済産業省もデータとして出しています。

経済産業省:IT人材需給に関する調査_図3-11

引用:経済産業省:IT人材需給に関する調査

上記データによれば、IT人材の不足は深刻な問題であり、2030年には16万人から79万人不足すると言われています。

またIT化が急激に進む中でIT人材が不足しており、CTOやテックリードのニーズが高いにも関わらず、採用ができないという企業も増えています。よって優秀なエンジニアであれば、フリーランスになっても引く手数多であるという社会に変化しています。

エンジニアが不足することにより、副業やリモートワーカーを取り入れなくては採用ができないという企業も増えて来ました。優秀なエンジニアを囲い込むためには、高待遇で正社員雇用するか、もしくはエンジニアのライフスタイルに合わせた形でリモートを導入する、就業環境を整えるなど、企業側も必要な人材確保に試行錯誤しています。

IT業界の構造の変化

業界構造

IT業界にはまだ多重受けの構造があるため、その業界構造に疑問を持つ人が増えています。
自社サービスやプロダクトを持っている企業からの案件であれば、多重受け構造の変革は必要ありません。自社サービスを持つ企業であれば、直接フリーランスエンジニアや副業のエンジニアを業務委託で開発のために迎え入れます。それにより個人側も中間搾取を回避できます。

自由な時間がメリットと考えるエンジニアが増加

フリーランスエンジニア

自分の裁量で働き方を調整でき、会社の労働時間に縛られない働き方が可能ということも、フリーランスエンジニアが増えた理由と言えます。

パソコンとサーバー・ネットワーク環境、一緒にプロダクトを開発するチームメンバーとの信頼や開発環境さえ整えば、どこでも働くことができるのがエンジニアという仕事です。自由になった時間を【技術の向上・勉強会への参加・趣味や家族への時間】などにあてたいという意見が生まれるのは自然なことでしょう。

深夜に開発した方が集中できて良いという方もいらっしゃれば、創造するという遊び心を忘れないためにも、会社に縛られたくは無いという発想の方もいるでしょう。ワークライフバランスの充実として、エンジニアという仕事は自由な時間を選ぶことができる職種なのです。

パラレルワークに最適

信頼

エンジニアはパラレルワーカーに適した職種です。手に職を持つエンジニアは各企業から引く手あまたであるからこそ、企業に縛られずとも仕事が豊富にあります。

また2019年の4月に、日本経済団体連合会の中西会長が、「企業が今後、終身雇用を続けるのは難しい」という旨のコメントを述べたように、現代の日本にはより自由な働き方を求める社会背景があります。

1つの企業に所属し続けることが難しくなっていく世の中でも、エンジニアはフリーランスになることで、1人が3社を相手に働くことも可能となります。働き方は【週1日から週5日まで・夜の時間だけ・月1日の自分の得意分野での技術支援】など、さまざまな働き方を選ぶことができます。IT人材が不足しているからこそ、こういった柔軟な働き方ができるのです。

プログラミング言語や英語など、得たいスキルへの携わりやすさ

副業をする人のなかでは【現在の就業企業だと得られないスキルや経験を身に付けたい】という考えが多いようです。
例えば、Pythonを使ったプロダクトを開発したいが、現在の就業場所ではPythonが求められない場合、副業としてPythonを使える新しい職場を見つけてスキルアップを試みるのです。そういった向上心を企業の担当者も把握しており、採用を推進していく流れも少なくありません。

また、英語を使った開発環境を求める方もいます。プログラミング言語は、世界中共通の言語として、サーバー上で起動します。優秀なエンジニアは海外のエンジニアと一緒に開発することも可能で、海外からのエンジニアはもちろんリモートで参画します。時差があるためフレキシブルな環境にしている職場が多く、好きな時間帯に開発に参加できるスタイルです。

この場合の参加方法は、フリーランスのエージェントを通し、業務委託契約で参加し、1日の稼働時間を企業に報告し進捗を確認するというスタイルを通常は取ることが多いです。

フリーランスエンジニアの支援をする保険サービスの誕生

フリーランス協会

フリーランスになった場合、健康保険などの社会保障が心配になります。しかし近年、業務委託が増えた社会背景から、業務委託のフリーランスを支援するサービスも増えています。

フリーランス協会という、フリーランス向けの保険を用意しているサービスもあります。

このように、会社に雇用されなくとも福利厚生の充実している保険が生まれたということも、フリーランスエンジニアが増えた理由の一つと言えるでしょう

エンジニアが業務委託として働くメリット

ここまで業務委託で働くフリーランスエンジニアが増えた社会背景を説明しました。ここからはエンジニアが業務委託として働く主なメリットをご紹介します。

スキルさえあれば収入を上げやすい

社員として企業に属して働く場合、スキルが上がったとしてもそれがすぐ収入に直結するわけではありません。業務委託として働くエンジニアは、スキルさえあれば社員として固定給で働くよりも、収入を上げられる可能性があります。会社員よりも収入の上限幅が広いのも、業務委託として働くメリットでしょう。

ワークライフバランスの整った働き方ができる

業務委託で請負契約の場合、期日までに納品物が完成していれば良いため、決まった時間や決まった場所で仕事をする必要がありません。
案件によっては客先常駐のものもありますが、それを請けるかは自身の判断次第です。

自由度高くワークライフバランスを整えやすいのも業務委託としてメリットと言えます。

得たいスキルや多様な経験が得られる

先でも少し触れましたが、業務委託として働くフリーランスエンジニアは、何の仕事をするかも自分で選択するため、積極的に動く限りは得たいスキルや得たい経験を得やすい環境と言えるでしょう。

契約前に求められる作業内容は決まっているので、自身が望まない作業が含まれる場合は受注しなければ良いのです。業務委託のエンジニアとして働くことは、やりたい仕事ではない場合でも指示に従わざるを得ない場合の多い会社員よりも、より得たいスキルや多様な経験が得られる環境と言えます。

エンジニアが業務委託として働くデメリット

ではここからはエンジニアが業務委託として働くデメリットについて解説いたします。

自己管理の徹底が必要になる

業務委託のエンジニアとして請負契約で働く場合、決められた時間に働くわけではないため、いつ働くかは自己の裁量次第です。よってスケジュール設定を見誤ると、納期に間に合わずオーバーワークしてしまうことがありえます。労働基準法が適用されないため、どれだけ長時間働いて体調を崩しても、責任を取るのは自分自身です。

また、何か自分のしたことでトラブルが発生した場合、会社員の場合は会社が責任を取ってくれますが、業務委託として働く場合は自分が責任を取らなければなりません。その点はフリーランスと言えども一経営者と同じです。

賠償責任保険に加入しておけばリスクヘッジできるにしろ、業務委託として働くのであれば、より一層自分のことは自分でマネジメントする必要があります。

業務以外にやることが増える

業務委託として働く場合、自分の仕事は自分で見つける必要があります。よって企業との仲介をするエージェントを利用しない場合は、自分で企業に営業をすることになります。また、エンジニアとしての作業以外の契約の締結や確定申告、その他雑務など面倒な作業が増えるのも事実です。

業務委託のエンジニアを使う企業側のメリット

ここまではエンジニアが業務委託として働くメリットとデメリットを解説してきました。ではここからは、業務委託のエンジニアを採用する企業側のメリットとデメリットを解説します。エンジニアとしても企業側の事情を知ることで、より契約前の面談でのアピールや、業務開始後に気を付けることが分かるようになるでしょう。

必要な人材を素早く採用できる

業務委託の場合は短期間で、作業内容も限定しているため、長期間雇用してさまざまな業務を任せることになる社員よりも、採用できる人材の分母が増えます。エンジニア社員の採用が遅々として進まない企業でも、ピンポイントの業務を依頼する業務委託であれば、採用が素早く進む可能性があります。

専門性の高い人材を採用できる

フリーランス歴の長いエンジニアは個人事業主として通用している期間が長いため、スキルレベルも高いものを持っている可能性があります。プロジェクトごとに適した人材を業務委託として採用することにより、専門性の高い知識やスキルを社内に取り入れることができます。

人件費を無駄なく使える

社内でエンジニアの人材を確保しようとすると、異動によってストレスを感じてしまったり、離職してしまうこともあるでしょう。しかし業務委託であれば予め業務内容を共有するため、異動そのものがありません。

また業務委託であれば、プロジェクトの終了後や閑散期には採用する必要が無いため、その分の人件費を節約することができます。さらに専門性の高いエンジニアを業務委託として採用することにより、教育にかかるコストや時間を削減することも可能です。

こちらの記事では業務委託エンジニアの働き方事例を紹介していますので、是非ご覧ください。
【業務委託エンジニアの働き方事例】人がなかなか行けないところもドローンが代わりに点検に行く時代!?産業用ドローンの自動化がもたらすメリットと開発の今――センシンロボティクス

業務委託のエンジニアを使う企業側のデメリット

ここからは業務委託のエンジニアを使う企業側のデメリットを解説します。

エンジニア個人の質には差がでる

フリーランスエンジニアと一括りに言っても、当然ながら持っているスキルセットや知識の深さは個人によってさまざまです。よって採用に慣れていない時期にはエンジニアの能力を見極められず、依頼したいプロジェクトとエンジニア本人のスキルがミスマッチになる可能性があります。希望するスキルレベルにそぐわないエンジニアを採用してしまった場合はお金と時間の損失につながりかねません。

よって新しく業務委託のエンジニアを採用する際には、数回のトライアルを設けるなどして、リスクマネジメントをすると良いでしょう。また、運よく質の高いエンジニアに出会えた場合は、業務委託から正社員への打診をしてみるのも場合によっては必要です。

社内にノウハウが蓄積しない

業務委託を採用するということは、専門性の高いエンジニアにすぐに業務を始めてもらうメリットがあります。そのため、短期的な成果を上げることには向いています。

しかし反対に、長期的に行うエンジニア組織の育成や、ノウハウの共有・蓄積をしてほしい場合には向いていません。そのため、社内エンジニアの教育についてもフォローしてもらいたい場合は、依頼内容に社員の教育も含めたり、社員として長期的に雇用することも考えておくべきです。

フリーランスエンジニアが知っておくべき契約の話

 

続いて、フリーランスエンジニアにとって非常に重要な契約について説明します。業務委託のエンジニアとして活動していくためには避けて通れない部分ですので、まずは概要だけでもつかんでおきましょう。

そもそも業務委託契約とは

業務委託契約は、開発の人員が足りないなど社内で処理できない業務や、社内に知見が無い専門性の高いエンジニアに業務を委託したほうが、効率や効果が期待できる業務を外部に任せる際に、用いる契約です。外部の力を借りて、自社の事業活動そのものを大きく成長させられる可能性があります。

基本的には、エンジニアの方は業務委託契約で締結することが多いです。

請負契約とは

請負契約は、仕事の完成を目的としています。当初契約した成果物の納品を確実にしなくてはいけません。委託側が受託側の労働者に対して指揮命令権がないことは共通しています。

委任契約とは

法律行為をともなう事務処理を委託する場合に結ぶ契約です。「業務遂行」に対して報酬を支払うため、納品物に対して報酬を支払うわけではありません。後述する準委任契約との差は法律行為を伴うか否かにあります。

準委任契約とは

準委任契約とは、法律行為を伴わない業務の遂行自体に報酬が支払われる契約です。成果物に対して報酬が支払われる請負契約とは違い、時間掛ける単価で報酬が決定されるため、柔軟な働き方を求める場合は請負契約にするか、準委任契約でも働く時間帯について企業と詳しく話しておく必要があります。

請負・委任・準委任の違いについてはこちらで詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
フリーランスが知っておくと便利な契約に関しての知識!請負・委任・準委任の違いを解説!

エンジニアが業務委託契約書をチェックする時のポイント

契約書でチェックして欲しいポイントを記載します。基本的には、以下のことが明記されているかを確認して下さい。

  • 業務内容、担当する業務内容の明確化
  • 契約期間、何日から業務委託期間が始まるか、また終了も明示
  • 稼働の頻度、稼働時間(週もしくは月で合計を記載)
  • 契約している時間以外の連絡方法の確認
  • 就業場所、リモートワークが含まれるか
  • 支払い条件、銀行口座や支払日
  • 契約に対する基本給、割増賃金、控除賃金
  • 企業の担当者

初めてのフリーランス登録などは、エージェントに契約書を作成してもらうなど、フリーランスエージェントを活用するのをオススメします。

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まとめ

本記事では業務委託のフリーランスエンジニアの需要が高まっている社会的背景から、業務委託として働くメリットとデメリット、また企業側のメリットとデメリット、契約関係の話について解説しました。

業務委託として働くことのメリットはたくさんありますが、自身で営業が必要になることや、雑務が増えることなどのデメリットに対して懸念される方もいらっしゃるでしょう。

FLEXY(フレキシー)は、案件のご紹介やイレギュラー対応、契約関係の雑務なども含め、あなたのフリーランスエンジニアとしての活動をサポートさせていただきます。

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