ブロックチェーンエンジニアの年収・単価相場は?スキル・資格やロードマップも解説
ブロックチェーン市場におけるニーズは常に右肩上がりで、受注単価が高く将来性がある仕事のひとつです。当記事では、ブロックチェーンエンジニアの年収や受注単価、必要なスキル、学習法について紹介します。
目次
ブロックチェーンエンジニアの年収・単価相場
「ブロックチェーンエンジニアを目指したいけれど、安定した収入を得られるのだろうか」と、将来性に不安を感じている方は少なくありません。以下より、ブロックチェーンエンジニアの年収と単価の相場を解説します。
ブロックチェーンエンジニアの年収
ブロックチェーンエンジニアの年収は、企業規模や経験年数、年齢などによってばらつきがありますが、平均600万から700万円程度で、案件によれば1,200万円程度のものもあります。ブロックチェーン市場が成長を続けており、ブロックチェーンエンジニアの需要も高まりを見せています。国税庁長官官房企画課の調査(令和3年度)によると、給与所得者の1人あたりの平均年収は、正社員で508万円です。全職種の平均年収と比べても、ブロックチェーンエンジニアの平均年収は高い傾向にあります。
世界中の採用に関する口コミを集めた「GRASSDOOR」の調べでは、米国カリフォルニア州サンフランシスコのブロックチェーンエンジニアの平均年収は175,314ドル(2023年6月14日更新)、つまり日本円に換算すると約2,550万円と高額です(2023年8月16日時点の為替レート換算)。ITエンジニアは米国でも需要が高く、ITエンジニアの数が供給に追いつかないため、給与が高額に設定されます。
出典:求人ボックス 「ブロックチェーンエンジニアに関わる基本情報」,indeed 「ブロックチェーンエンジニアの平均給与」
フリーランスブロックチェーンエンジニアの単価相場
ボスアーキテクト株式会社の調査によると、フリーランスで働くブロックチェーンエンジニアの平均単価は98万円です(2023年4月時点)。求人・案件サイトの「エンジニアスタイル」のデータをもとに算出された単価なので、実際の単価とは異なる可能性がありますが、年収に換算すると約1,176万円になります。
また、フリーランスエンジニア専用のIT求人・求人検索サイト「フリーランススタート」の調べでは、ブロックチェーンエンジニアの月間単価相場は74.3万円です。年収に換算すると、約891.6万円になります。一方で、求人情報サイト「indeed」の調査によると、平均月収は51.8万円です(2023年8月14日更新)。年収に換算すると約621.6万円となり、フリーランスの方が年収は1.3~1.8倍高いことがわかります。自分次第で収入を上げられる上、時間の融通が利くため、あえてフリーランスを選択する方が多いと見受けられます。
フリーランススタート「ブロックチェーンエンジニアのフリーランス求人・案件一覧」,indeed「日本でのブロックチェーンエンジニアの平均給与」
ブロックチェーンエンジニアの年収・単価相場が高騰している理由
なぜブロックチェーンエンジニアの年収・単価相場は、他の職種と比べて高い傾向にあるのか、その背景について解説します。
ブロックチェーン人材が不足している
ブロックチェーンエンジニアの年収が高騰している理由のひとつとして、人材不足が挙げられます。求人サイトの「Hired」の調査によれば、2019年におけるブロックチェーンエンジニアの需要は前年比517%でした。1年間で5倍以上も需要が増えており、他のエンジニア職と比べても需要の伸び率が著しく、供給が追いついていません。次に需要が高いセキュリティエンジニアでさえ、前年比132%である点を踏まえれば、需要の高さは桁違いです。
2019年までは、ブロックチェーンの実証実験に留まる企業が多く、早くからブロックチェーン技術に携わったエンジニアが少ない状態でした。ブロックチェーンエンジニアを確保するためにも、企業はエンジニアの年収をアップせざるを得ない状況が続いています。実際に株式会社リクルートの調査では、業界全体で人材が不足しているITエンジニアは、転職時に前職と比べて、賃金が1割以上増加した方の割合が37.2%です(2022年4~6月期)。2008年度の19.2%を見ても、ITエンジニアの年収や単価相場は常に右肩上がりであるとわかります。
出典:Hired「Hiredが2019年のソフトウェアエンジニアの現状レポートを発表」,株式会社リクルート「2022年4-6月期 転職時の賃金変動状況」
ブロックチェーンに期待が寄せられている
ブロックチェーンエンジニアの年収や単価が上がっている背景には、ブロックチェーン技術の活用の普及も挙げられます。ブロックチェーン技術は民間だけではなく、国のプロジェクトにも浸透し、活躍の幅が広がると予想されています。
デジタル庁では、ブロックチェーン技術などで実現する、次世代の分散型インターネット「Web3.0」を推進しており、2022年には有識者会議を開催して、実現に向けて課題を取りまとめました。促進策として、「プラットフォームや相談窓口の設置」「関係府省庁連絡会議の開催や研究・技術開発の担い手の育成」「国際的な情報発信やコンセンサス形成」を挙げています。ブロックチェーン技術のシステム構築には、優秀なエンジニアの育成が必要です。
出典:Web3.0 研究会「Web3.0 研究会報告書~Web3.0 の健全な発展に向けて~」
ブロックチェーンエンジニアに必要なスキル
ブロックチェーンエンジニアに求められるスキルは、大きく分けて3つあります。いずれも欠かせないスキルであるゆえ、年収アップを目指す方は習得した上で、転職やフリーランスとしての活動がおすすめです。
ブロックチェーン技術に関する知識
ブロックチェーンエンジニアを目指すなら、ブロックチェーン技術への理解を深めましょう。ブロックチェーンは分散型インターネットなので、セキュリティを維持して、データを高速で処理しなければなりません。改ざんが困難である一方、データを分散して保存するので、一度配置したプログラムの変更は不可です。集中管理型システムとは考慮すべき点が異なるため、技術への理解を深めなければ、活用や実用化が難しくなってしまいます。ブロックチェーン技術の仕組みや課題、歴史、類似技術を習得し、フリーランスとしての活動や転職活動において、有利に働くスキルを身に付けることが重要です。
プログラミングに関するスキル
ブロックチェーンエンジニアになるには、プログラミング言語の習得が必要です。主な開発言語としては、「C++」や「JavaScript」「Go」「Solidity」「Rust」「Dart」などが挙げられます。特定のプログラミング言語でしか開発できないわけではないですが、ビットコインの開発にはC++が採用されています。また、イーサリアム開発にはGoやSolidityなどが多く採用されるなど、案件によって、開発言語が異なる点に要注意です。
ボスアーキテクト株式会社の調査によると、ブロックチェーン関連の開発で採用されるプログラミング言語のうち、最も案件単価が高かったのはSolidityで、月額受注平均単価は76万円です。次いで、Rustが72万円、Dartが71万円と、開発言語により単価に差が生じる結果となりました。収入アップを狙うなら、単価が高い開発言語を中心に習得することもひとつの手です。
出典:PR TIMES「ブロックチェーン関係の開発案件数が半年で約1.7倍に」
一次情報獲得のための英語力
米国では、2019年頃からブロックチェーンの実用化のフェーズに突入しました。その一方、日本で実用化が進んだのは2021年頃と遅く、一歩先を進む米国などのブロックチェーン技術の情報を獲得するには、英語力が欠かせません。日本語と英語で得られる情報量には大きな差があるので、英語を習得しておいた方がよいです。
また、文書の閲覧だけではなく、技術イベントやカンファレンスなどのコミュニティへの参加には、英語が求められる場面が多々あります。グローバル企業とコミュニケーションを取るためにも、早い段階で英語力を鍛えるようにしましょう。
ブロックチェーンエンジニアの年収アップに有利な資格
ブロックチェーンエンジニアの年収アップに、有利に働く資格を3つ紹介します。特に未経験から目指す方は実績がないので、資格を取得してアピールすることも武器になり得ます。合格を目指して学習するうちに、ブロックチェーン技術やITエンジニアに必要な知識の習得が可能です。
日本暗号通貨技能検定
暗号通貨とブロックチェーン技術について、理解を深められる技能検定講座です。「初級技能検定講座」と「上級技能検定講座」の2種類があり、受講と技能検定試験がZoomで開催されます(2023年8月時点)。初級技能検定講座では、12:30から17:00まで講義を受けた後、20分間の試験が行われ、18:00に閉講します。
上級技能検定講座は2日間の講義を受け、小論文の提出審査と口頭試問を経て、合格者のみ公認の認定証が授与される予定です。ブロックチェーン技術の理解を深められるため、資格取得により自信を持ってエンジニアに従事できます。
プロジェクトマネージャ試験
IPAが実施する、「情報処理技術者試験」のレベル4に該当する国家資格です。プロジェクトマネージャは、システム開発に必要なIT技術全般の知識から、プロジェクト管理に関する知識まで求められます。また、プロジェクトの計画立案や予算、納期、品質などのスキルも評価されます。資格取得の難易度は高く、習得に約300時間はかかると考えた方が無難です。
ブロックチェーンなどの開発プロジェクトでは、受注者はプロジェクトのマネジメント義務を負います。事前計画に沿って作業の進捗管理を行い、作業に支障が出る場合は対策を講じなければなりません。また、発注者に必要な協力を適宜求めるなどのコミュニケーションを取って、プロジェクトを遂行することが重要です。マネジメント義務を果たさないと、債務不履行による損害賠償の請求や契約解除のリスクがあります。プロジェクトマネージャの資格保有は、円滑に作業を進められる証になるでしょう。
応用情報技術者試験
IPAが実施する、情報処理技術者試験のレベル3に該当する国家資格です。基本情報技術者試験の上位資格であり、高度なIT人材になるのに必要な応用知識・技術が求められます。プロジェクトマネージャの方針を理解し、技術的問題を自ら解決できる力と活躍するための知識が必要です。
プログラミング以外の知識も幅広く持っている証になり、応用力のあるITエンジニアとして認識されるので、年収アップに有利に働きます。また、この試験に合格すると、プロジェクトマネージャ試験の午前Ⅰ試験が免除され、午前Ⅱ試験からの受験が可能です。
ブロックチェーンエンジニアに必要な言語の例
ブロックチェーン開発に採用される、C++やJavaScript、Go言語の場面例を紹介します。開発言語の習得で悩んでいる方は、比較検討に役立ててみてください。
C++
C++は、ブロックチェーンプロトコルの開発、ビットコインやリップルなどのブロックチェーン開発で採用されているプログラミング言語です。汎用性が高く処理スピードが速いため、高負荷の処理を求められる大規模なプロジェクトに向いています。ブロックチェーンはIoTとの相性がよく、IoTへの導入が進められている状態です。IoTの実装に欠かせないC++言語で、統一を図るケースも少なくありません。
JavaScript
JavaScriptは、Webページにプログラムやブロックチェーンを実装し、ブラウザで実行するためのプログラミング言語です。1,960万人もの世界中の開発者が利用しており、あらゆる領域において採用されているので、ブロックチェーン開発でも選択しやすくなっています。開発実績はトップを誇るほど、ライブラリやサンプルソースが豊富です。
出典:スラッシュデータ「State of the Developer Nation 第23版」
Go
GoはGoogleが開発した言語で、ビットコインやイーサリアムのブロックチェーン開発に採用されています。実行速度が速く並列処理性能が高いため、分散型インターネットとの相性がよい点が特長です。ボスアーキテクト株式会社の調べでは、ブロックチェーン開発にGoが多く採用されており、月額受注平均単価は67万円です(2023年1月時点)。開発言語の中でも、7番目に単価が高い結果でした。
出典:PR TIMES「ブロックチェーン関係の開発案件数が半年で約1.7倍に」
未経験からブロックチェーンエンジニアになるための方法・ロードマップ
未経験者からブロックチェーンエンジニアを目指すなら、プログラミング言語を効率的に習得する必要があります。以下より、未経験者から目指す方法を2つ紹介します。
独学で勉強する方法
ブロックチェーン技術に関するコンテンツが充実しているので、独学でも十分なスキルやノウハウの習得が可能です。ブロックチェーン技術の基礎知識から習得する場合、日本暗号通貨技能試験の初級検定講座の受講から始められます。ただし、独学はハードルが高く、途中で挫折するリスクがあるため要注意です。
株式会社SAMURAIの調べでは、初心者が最初に学ぶプログラミング言語の1位がPython、2位がJava、3位がC言語です。初心者が選ぶ主な学習方法としては、1位がオンライン学習サイト(サービス)、2位が書籍、3位がYouTubeとなっており、独学が主流であることがうかがえます。一方で、学習で苦労した点として、「わからないことやエラーの解決」が最も多く、次いで「専用用語やコードを書く際のルールへの理解」が多い結果となりました。独学によるプログラミング言語の習得は一筋縄ではいかないため、苦労しない人はいないでしょう。
出典:SAMURAI ENGINEER Blog「プログラミング初心者が勉強の始め方を学べる入門ガイド」
プログラミングスクールに通う方法
高度なブロックチェーン技術は理解に時間がかかりますが、プログラミングスクールで学ぶと、効率的に習得できます。受講費用はかかるものの、同じ境遇の仲間と切磋琢磨し合えるので、モチベーションを維持しやすい点が魅力です。株式会社SAMURAIの調査によると、プログラミング言語の学習を始めた初心者100名のうち、27%の人が「プログラミングスクール」を選択しているとの結果でした(調査期間2022年8月15~29日)。
プログラミング言語の習得には時間がかかり、ITエンジニアになるまでは平均で17カ月の学習時間を要すると言われています。習得や問題解決までの期間が長いと、挫折するリスクが高くなるため、講師に指導してもらう方が効率よいです。
出典:SAMURAI ENGINEER Blog「プログラミング初心者が勉強の始め方を学べる入門ガイド」
ブロックチェーンエンジニアの仕事はなくなる?将来性を解説
ブロックチェーン市場は年々成長しており、デロイトトーマツミック経済研究所の調べでは、年平均成長率66.4%で成長を続ける見通しです。2024年度には、1,000億円を超える市場規模まで成長すると予想されています。また、株式会社矢野経済研究所の調査によると、2021年度は国内のブロックチェーン市場規模が783億3,000万円に達します。2019年までブロックチェーンの実証実験を行ってきた企業が、2021年以降、運用を想定した検証を開始しました。非金融領域の需要も高まっているので、今後ますます活用が広がる可能性があります。
さらに、経済産業省の調査によると、2030年には最大約79万人のITエンジニアが不足すると試算されており、ITエンジニアの必要性・喫緊性が大きな課題です。ITエンジニアの中でも、急成長を続けるブロックチェーンエンジニアの需要が高まると見なされており、将来性が期待されています。
出典:みずほ情報総研株式会社「-IT人材需給に関する調査-調査報告書」
副業やフリーランスで働きたい方に向けて
フリーランスや副業のブロックチェーンエンジニアとして働くことを考えている場合には、ブロックチェーンエンジニアに必要なスキルや将来性について理解を深めておくことがおすすめです。
副業やフリーランスのブロックチェーンエンジニアとして働き始める場合には、FLEXYへの登録がおすすめです。FLEXYでは、ブロックチェーンエンジニアが活躍できる様々な案件を取り扱っています。是非FLEXYに登録してみてください。
まとめ
ブロックチェーン市場は需要が高まっており、供給が追いつかない状態が続いています。IT人材が不足しているため、ブロックチェーンエンジニアの報酬は高い傾向にあります。ブロックチェーンエンジニアを未経験から目指すなら、プログラミング言語やブロックチェーン技術に関する知識の習得が必要です。独学では挫折するリスクがあるので、プログラミングスクールに通うなど、効率的に学習を進められる環境を整えることをおすすめします。「FLEXY」では、フリーランスとして活動する方や副業を考えている方に、希望に沿った仕事を紹介します。ブロックチェーンエンジニアとして活動を考えている方は、ぜひ利用してみてください。