インボイス制度の補助金とは?申請方法や注意点を解説

インボイス制度 補助金

インボイス制度が開始されることで、事業者は新しいツールの導入や取引数の減少等の変化が起こり負担がかかることが予想されます。そんな負担を軽減するための支援として補助金を政府は設けています。本記事では、インボイス制度への対応で活用できる補助金について紹介していきます。インボイス制度への負担を軽減させたい方や補助金について知りたい方は是非ご一読ください。

インボイス制度について

インボイス制度とは、詳細な税率や消費税額を記載した請求書を取り扱うようにする制度のことです。制度開始後、消費税の仕入額控除を受けるためには「適格請求書(インボイス)」が必要となります。「適格請求書発行事業者」でなければこのインボイスを発行できません。このインボイスには、「登録番号」「適用税率」「消費税額等」の記載が必要です。

インボイス制度は、フリーランスの方に与える影響が大きいです。インボイス制度がどのような制度なのかわからない方は、まずはインボイス制度がフリーランスに与える影響がどのようなものなのか理解を深めておくことをおすすめします。

また、企業に与える影響も大きいです。取引する事業者がインボイスを発行できない場合には仕入税額控除を受けることができず、納税額が増加してしまいます。

インボイスを発行できる事業者

課税事業者(消費税の納税義務がある事業者)であれば、インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)に登録することでインボイスを発行できます。免税事業者がインボイスを発行するには、最初に課税事業者となりインボイス発行事業者の手続きを行う必要があります。免税事業者がインボイス発行事業者になるためには消費税の納税義務が発生します。

インボイス発行事業者になるためには登録申請が必要で、10月1日からインボイス発行事業者として登録を受けるためには9月30日までに申請を行う必要があります。そのため、インボイス発行事業者への登録申請を考えている場合には申請方法を早めに理解しておくことをおすすめします。

インボイス制度の対応をしない場合には

インボイス制度の対応をしない場合には、取引数が減少してしまう可能性があります。制度への対応を行わないと取引先が課税事業者の場合、仕入税額控除を受けることができなくなり、消費税を納税する金額が増加します。このことから、商品やサービスの買い手側はインボイスを発行することができる事業者との取引を優先し、インボイスを発行できない事業者との取引を減らす可能性があります。そのため、インボイス制度に対応することがおすすめです。しかし、ただ取引を維持したいからインボイス制度に対応しようと考えるのではなく、インボイス制度への対応をやらないとどうなるのかやインボイス制度対応のメリット・デメリット等を調べた上で制度に対応するかどうかを検討しましょう。

インボイス制度の補助金とは

インボイス制度が開始すると課税事業者と免税事業者に様々な影響を与えます。様々な影響を小さく抑えるための補助金が用意されています。現在の状況を踏まえ、受給できる補助金があるか確認してみましょう。

なぜ補助金が設置されているのか

インボイス制度により大きな影響を事業者は受けます。制度によって生じる影響を補助金で緩和する目的です。

インボイス制度の補助金

インボイス制度で活用できる補助金は3種類あります。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金

小規模事業者持続化補助金は、インボイスを発行するため免税事業者がインボイス発行事業者に登録する場合、補助金がでます。上限が一律50万円上乗せされます。 IT導入補助金は、インボイス制度へ対応するためのツールや機器を導入する場合に補助金が出る制度です。 ものづくり補助金は、インボイス制度へ対応するための設備投資に対して受けられる補助金です。

補助金は、中小企業・小規模事業者やフリーランスの方を対象にしているものです。補助金を受け取るためにも、補助金の情報をしっかりと調べ申請してみましょう。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金について紹介します。この補助金は、小規模事業者向けの支援制度でインボイスなどの各種制度変更への対応を支援するために設けられています。補助金のインボイス枠は第12回公募から廃止され、2022年度第2次補正予算で設けられたインボイス特例が利用できます。

補助金について

免税事業者からインボイス発行事業者に転換する場合、全枠で補助上限が50万円分上乗せされます。補助金には4つの枠が準備されています。(条件によって上限額は様々)

補助金の区分 補助上限額 補助率
通常枠 50万円 2/3
成長・分配強化枠 200万円 条件次第で赤字事業者は3/4
新陳代謝枠 200万円 2/3
インボイス枠 100万円 2/3

受給対象者

小規模事業者持続化補助金の対象者は、小規模事業者や特定非営利活動法人です。小規模事業者の定義は業種によって異なり、商業やサービス業では従業員5人以下、宿泊業や娯楽業、製造業では従業員20人以下が対象となります。具体的には、営利法人やフリーランス、特定非営利活動法人が補助金の対象となりますが、学校法人や医療法人は対象外です。各分野ごとに詳細な条件が設けられています。

補助金の対象範囲や詳細な要件については、各支援策や枠によって異なりますので、詳細な情報は、小規模事業者持続化補助金事務局のサイトでご確認ください。

IT導入補助金

IT導入補助金について紹介します。この補助金はITツールの導入の際に利用できます。ITツールの導入を後押しし、業務効率化・売上アップを支援の目的としています。インボイス対応にも活用できます。また現在は、安価なITソフトウェアにも補助金が適用されるようになりました。(2022年度第2次補正予算から)具体的な変更内容については、補助の下限の引き下げや撤廃が行われる予定です。これにより、より多くの企業がIT導入補助金を活用しやすくなる見込みです。

補助金について

IT導入補助金の補助額は最大で450万円までとなっています。つまり、導入にかかる経費のうち、最大で450万円までを補助金として受けることができます。補助率は1/2から3/4の範囲で設定されています。具体的な補助率は申請時に判断されますが、補助率が高ければ高いほど、実際の導入費用の一部を補助金として受けることができます。

受給対象者

補助金の対象は定められており、申請の対象となるのは「中小企業・小規模事業者等」です。中小企業・小規模事業者等の定義は業種分類ごとに異なるため。詳しくはIT導入補助金2023の公式サイト内をご確認ください。

ものづくり補助金

ものづくり補助金について紹介します。この補助金は、インボイス制度へ対応するための設備投資に対して受けられる補助金です。「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と呼ばれ、中小企業や小規模事業者、フリーランスの方などの生産性の向上を目的とし、必要な設備投資を支援することを目的としています。

補助金について

中小企業や小規模事業者、フリーランスの方などが、生産性の向上を目的とし、必要な設備投資をするために最大で2,000万円まで支援される補助金です。

受給対象者

中小企業や小規模事業者の補助金の受給対象資格は、資本金や従業員数などを基準に判断されます。小規模事業者は、従業員数によって区分されます。具体的には、製造業およびその他の業種、宿泊業、娯楽業の場合は20人以下の従業員数が、卸売業、小売業、サービス業の場合は5人以下の従業員数が該当します。対象となる事業主は、会社または個人事業主となります。

ものづくり補助金の詳しい申請枠の内容や個人事業主が採択されるポイントについては以下の記事で紹介していますのであわせて確認してみてください。

補助金の注意点

インボイス制度関連の補助金を受給する際の注意点を紹介します。

補助金は課税対象

収入となるため補助金は課税の対象です。法人税、所得税や所得に応じて納税額が変わる住民税などに影響します。補助金を受け取った場合には、所得が増えて納税額も増加するため生活が苦しくなることもあるでしょう。そのため、圧縮記帳が認められています。圧縮記帳とは、補助金等の収益を固定資産の取得額から減額し、その減額を圧縮損として計上し、収益金と相殺する方法。圧縮記帳によって税負担が軽くなり、補助金の効果を高めることができるでしょう。

交付決定日以前の取引は対象外になる

補助金の交付が決定する前に購入したものは、補助金の対象外となるため注意が必要です。補助事業の実施は、交付決定後に行われるため補助金の対象となるものを購入したい場合は、交付が確定した後に購入、発注、契約などを行うようにしてください。支払い方法についても、補助金制度ごとに経費支出の規定が存在するため、よく確認しましょう。通常は銀行振り込みが推奨されます。ただし、手形や小切手、商品券、電子マネーなどの支払い方法は、多くの場合、補助金の対象外とされています。

事前に条件を確認する

補助金にはそれぞれ受給対象や条件が定められています。それらを理解した上で補助金の申請を出しましょう。申請書類に不備があった場合に受け付けてもらえない可能性がありますので注意が必要です。また、補助金の条件は年度によって変更されることもあるので、申請する際には申請年度の公募要領を事前に確認しておきましょう。

申請期限に注意する

基本的に補助金には申請期限が設けられています。期限ギリギリまで申請の準備をしないと、申請書類には記入に時間がかかるものもあるためすぐには補助金を受け取れないこともあります。各補助金の申請期限は公募期間によって異なります。(例えば、ものづくり補助金の第15次申請締め切りは、7月28日)申請を出したい補助金の情報を調べた上で、期限に余裕を持って申請をしましょう。

まとめ

インボイス制度に対応する際に活用できる補助金について紹介しました。インボイス制度によって、新ツールの導入などで負担が増加する事業者も多いと思われますので補助金の存在は重要です。どのような補助金があるか理解し、適切に受給することができればインボイス制度への対応の負担は軽減するので補助金の内容についてよく理解し、条件に当てはまっていれば申請をしてみましょう。

FLEXYとはABOUT FLEXY

『FLEXY』はエンジニア・デザイナー・CTO・技術顧問を中心に
週1~5日のさまざまな案件を紹介するサービスです