プログラマーの年収は? 言語別のデータや年収を上げる方法も解説
プログラマーの年収がいくらくらいなのか、気になる方も多いでしょう。この記事では、プログラミング言語や雇用形態、年代別の年収について、詳しく解説します。さらに、年収を上げる具体的な方法や注意点、未経験者がプログラマーになるための方法もお伝えします。プログラマーとしての理想的なキャリア形成のヒントが見つかるはずです。
目次
プログラマーとは
プログラマーは、ソフトウェア開発の現場でなくてはならない存在です。中心となる作業はコーディングと呼ばれるもので、システムエンジニアが作成した設計書に基づき、プログラミング言語を用いてソフトウェアやアプリケーションを構築します。
開発したソフトウェアのテストもプログラマーの仕事です。ソフトウェアが設計通りに動作するかを確認する重要なステップで、テスト作業はしばしばシステムエンジニアと協力して行われます。
システムエンジニアとプログラマーの役割は明確に分かれているように見えますが、実際にはその境界は曖昧です。プロジェクトや企業によっては、システムエンジニアがコーディングをすることもあります。
プログラマーと一口に言っても、WEBプログラマーやゲームプログラマーなど、分野ごとに特化したプログラマーになることが一般的です。ご自身の興味のある分野や将来性などを踏まえてどのプログラマーを目指すかを決めると良いでしょう。
また、プログラマーと似ている職種にソフトウェアエンジニアがありますが、2つの職種には明確な違いがあります。プログラマーは、仕様や設計に従って、プログラミングをする業務を主に担当していますが、ソフトウェアエンジニアはソフトウェアの設計や開発などの上流工程も担う職種です。業務領域が違うため、上流工程を担当するソフトウェアエンジニアの方が年収が高いです。
プログラマーの平均年収は?
プログラマーは高い技術力が求められるため、実際にどの程度の収入があるか気になる方も多いと思います。厚生労働省の「職業情報提供サイト」によれば、プログラマーの平均年収は約550万円とされています。
年収は、プログラマーが担当するプロジェクトや使用するプログラミング言語、さらには働く企業の規模によっても大きく変動する可能性があります。しかし、平均年収550万円というデータは、多くのプログラマーが自分自身のスキルや経験に基づいて、どれだけの収入を期待できるのかを測るひとつの指標になるはずです。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト Job tag「プログラマー」
プログラミング言語別の平均年収
プログラミングの世界では、使用する言語によって年収に違いが生じることが知られています。技術の進化とともに新しい分野が登場すると、関連するプログラミング言語の需要が高まることがあります。
paiza株式会社が実施した「プログラミング言語に関する調査(2022年版)」では、プログラミング言語別の平均年収を発表しています。
- Python:
AIや機械学習の分野で需要が高まっているPythonの平均年収は、644.7万円です。この言語は、データ分析や自動化分野でも活躍しており、多岐にわたる用途での採用が増えています。 - Ruby:
Rubyは可読性の高さと学びやすさが人気の言語で、スタートアップ企業がWebサービスを構築する際によく採用されます。Rubyエンジニアの平均年収は638.3万円となっており、安定した需要が続いている言語のひとつです。 - Kotlin:
Androidアプリの開発に特化したKotlinは、Googleによって公式の開発言語として認定されています。このため、Androidアプリ開発の分野で需要が非常に高く、平均年収も644.1万円となっています。
なお、それぞれの特性や用途に応じて言語の需要が変動するため、平均年収はあくまで目安として参考にしてください。
出典:paiza株式会社 プログラミング言語に関する調査(2022年版)
雇用形態別の平均年収
プログラマーの平均年収は、雇用形態によっても変動します。
求人ボックスの「給料ナビ」によると、正社員のプログラマーの平均年収は約422万円で、月給だと35万円、初任給は21万円程度が相場です。一方で、派遣やアルバイト、パートタイムの場合、平均時給はそれぞれ2,192円と1,199円となっています。
出典:求人ボックス 給料ナビ「プログラマーの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
正社員の年収分布を詳しく見ると、最も多くの人が312万〜377万円の範囲に集まっています。プログラマー全体では、年収は312万〜832万円という広い範囲に分布しており、勤務地や経験、スキルによって大きな差が出ることに注意が必要です。
リクルートワークス研究所が2020年3月に発行した「データで見る日本のフリーランス」によると、「ソフトウェア・インターネット関連技術職」のフリーランスは、平均年収が370.7万円という結果でした。そのうち35.5%が年収500万円以上を稼いでいるため、フリーランスは稼げないというわけではありません。フリーランス全体の平均年収は298.7万円であり、職種別では「ソフトウェア・インターネット関連技術職」の平均年収が最も高くなっています。
出典:リクルートワークス研究所「データで見る日本のフリーランス」(2020年版)
実際にプログラマーがフリーランスで受けられる案件については以下の記事を確認してみてください。
年代別の平均年収
年代もプログラマーの年収を決定する大きな要因です。新卒や未経験者が業界に入る20代、キャリアを積み上げる30代、そしてマネジメントスキルも評価される40代と、各年代での平均年収やキャリアパスは大きく異なります。
ここからは、20代から40代までのプログラマーの平均年収と、その背景にある要因やキャリアの進め方について詳しく解説します。
20代のプログラマー
厚生労働省の「職業情報提供サイト」で公開されているデータによると、2022年の統計で、20~24歳のプログラマーの平均年収は322.45万円、25~29歳は434.18万円となっています。
新卒や未経験者がプログラマーとして企業に入社する場合、一定期間の研修が行われてから、プログラマーとしての実務を任されます。約半年から1年間は先輩のプログラマーやシステムエンジニアの指導を受け、その後、部門ごとのプログラミングタスクを担当するのが一般的です。
一人前のプログラマーとして認識されるまでには、通常3〜4年が必要とされており、プログラマーにとっての20代は、スキルの向上と経験の積み重ねの期間になります。スキルベースで評価を行う企業の場合は、20代でも高収入を得る可能性があるため、こまめに求人情報をチェックしてみましょう。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト Job tag「プログラマー」
30代のプログラマー
30代のプログラマーでは、30~34歳の平均年収が518.27万円、35~39歳が601.69万円という結果になっています。
30代に入ると、プログラマーの年収はスキルや職位によって大きく変動します。長期間ひとつの企業で働いていると、年数に応じた評価が行われ、それが年収の増加につながることもあります。
プログラマーのキャリアにはいくつか進路があり、ひとつはプログラマーからチームリーダーへと昇格し、その後管理職に進むという道です。管理職になると、役職に応じた手当が月給に追加され、年収を押し上げます。
また、システムエンジニア(SE)に転職してシステム設計に関わるケースもあります。30代でシステムエンジニア(基盤システム)に転職する場合、平均年収は30~34歳で647.26万円、35~39歳で730.18万円のため、年収の増加が見込めます。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト Job tag「プログラマー」,厚生労働省 職業情報提供サイト Job tag「システムエンジニア(基盤システム)」
40代のプログラマー
40代プログラマーの平均年収は、40~44歳が625.56万円、45~49歳が 685.98万円という結果になっています。
プログラマーの平均年齢が38.1歳のため、40代になると、年長者として若手をリードする場面が増えていきます。社内の地位や役職も高まっていくため、プログラマーとしての技術力だけでなく、マネジメントスキルも評価される要素となり得ます。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト Job tag「プログラマー」
プログラマーで年収1,000万円は可能
dodaが実施した「平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)」調査によると、ITエンジニアの中で年収1,000万円以上を稼いでいる人はわずか2.1%で、100人に2人ほどしかいないという厳しい現実があります。この数字は、ITエンジニア全体での割合であり、下流工程を担当するプログラマーとして年収1,000万円を目指すのは一層困難です。
出典:転職サービスdoda「平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)」
年収を増やすためには、より高い職階や専門性を求められる職種への移行が必要です。具体的には、システムエンジニアやプロジェクトマネージャーなどへのキャリアチェンジが考えられます。
年収1,000万円を目指すプログラマーは、高い職位を目標とし、そのために必要なスキルと経験を積むべきです。大規模な企業で働くことで、年収が上がる可能性も高まります。例えば、求人ボックスの「給料ナビ」が発表した企業規模別の年収を見ると、企業規模が10~99人の企業の平均年収が389万円、100~999人が416万円、1,000人以上が506万円となっています。このように、企業規模が大きいと年収も高くなるため、年収を上げたい場合は大企業への転職が有効です。
出典:求人ボックス 給料ナビ「プログラマーの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
プログラマーが年収を上げる方法
プログラマーが年収を上げるには、向上心をもって自身の能力を高めていくことが重要です。ここからは、プログラマーが年収を上げるための具体的な方法と戦略を解説します。
時代に対応するためにスキルを磨き続ける
テクノロジーの進化は目まぐるしいものがあり、プロフェッショナルとして生き残るためには、常に最新のスキルと知識を身につける必要があります。特に、プログラマーやエンジニアといったテクニカルな職種においては、この傾向が顕著です。
プログラマーの年収は、そのスキルセットに大きく依存します。例えば、AIや機械学習のような近年ホットなトピックに関連するプログラミング言語を習得していると、より高い年収を期待できます。また、特定のプログラミング言語に精通していると、その言語に特化した高額なプロジェクトに参加するチャンスも増えます。
テクノロジーは日々進化しており、今日有用なスキルが明日には陳腐化する可能性もあります。そのため、勉強会やセミナーなど、多様な情報源から最新の知識とスキルを習得することが重要です。
上流工程に携わる
プログラマーとしての収入を高めるためには、単にコードを書けるだけでは不十分です。システムエンジニアのように、上流工程に携わるスキルを磨くことが非常に重要です。上流工程では、システムの設計や要件定義、プロジェクトの管理など、より高度なスキルが求められるため、多くの責任とともに高い報酬が期待できます。
海外で仕事をする
海外でプログラミングの仕事をする場合、特にアメリカなどでは、日本よりも年収が高いケースが多く見られます。外国語、特に英語でのビジネススキルに自信がある方は、海外でのキャリアを考えてみる価値があります。
ただし、すぐに飛び出すのは待った方がよいかもしれません。年収が上がったとしても、一部の国や都市では物価が非常に高いため、家賃や食費、交通費などの出費が大幅に増える可能性があるからです。海外での求人情報を探す場合、年収よりも、実質的な所得を考慮しましょう。
フリーランスとして活躍する
フリーランスのプログラマーとして高単価の案件を継続的に受けられれば、年収1000万円以上を狙える可能性が高まります。プログラミングスキルに自信があったり、業界のトレンドに敏感であったりすれば、より多くの高収入案件にアクセスできます。
しかし、フリーランスは月給制ではないため、収入の安定性には注意が必要です。フリーランスとして成功するには、スキルや実績はもちろん、案件獲得のための人脈や営業活動も必要になります。また、見積書や請求書作成などの事務作業、確定申告や消費税申告といった税務申告も並行して行わなければならないため、余計な手間が増えるリスクもあります。
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年収を上げるためにプログラマーが注意するべき点
プログラマーとして年収を上げるためには、単に技術力を磨くだけではなく、長期的なキャリア形成にも目を向ける必要があります。ここからは、プログラマーが年収を上げるために注意すべきポイントを詳しく解説します。
年収だけを転職の軸にしない
転職を考える際、年収の増加が主な目的となることは少なくありません。しかし、年収だけを基準に転職を決断するのは危険です。企業と転職希望者のニーズが100%マッチすることは稀で、前職でのスキルや経験が新しい職場で活かせないケースも多々あります。
転職する際は、年収だけではなく、社風や職場の雰囲気、仕事内容なども考慮する必要があります。自分が本当にやりたいことを優先することで、転職は成功しやすく、結果的に年収も上がる可能性が高まります。
未経験からいきなりフリーランスにならない
プログラミングスクールで学び、そのままフリーランスとして働くことを目指す人も存在しますが、スクールを卒業した直後にフリーランスに転身するのはリスキーです。案件を得られたとしても、低報酬のものに限られる可能性が高く、人脈も未熟な状態でのスタートになります。フリーランスは、過去の実績が非常に重要であり、実務経験がないと信頼を得るのが難しくなります。
また、収入の安定性も問題です。企業は即戦力となるエンジニアを求めており、未経験者には厳しい現実があります。一部の企業は正社員として未経験者を採用し、育てる場合もありますが、フリーランスにはそのような余裕はありません。
フリーランスとして成功するためには、一般的に3~5年ほどの実務経験が推奨されています。この期間で、要件定義から実装までの全工程を経験することが多く、労働市場での価値を十分に高めることができます。会社員としてしっかりとスキルと経験を積んだ上で、フリーランスへの道を選ぶことをおすすめします。
プログラマーの年収が高い企業の特徴
上流工程を担当できる企業で働くことは、年収を上げるための有効な手段です。上流工程では、プロジェクトの企画や設計など、より高度なスキルと責任が求められるためです。
また、自社でサービスやソフトウェアを開発している企業は、安定した利益を上げられるため、一般的に社員の年収も高くなります。表計算ソフトや会計ソフト、データベース関連のソフトウェアなどのBtoB向けの製品は、一度導入されると長期にわたって使用されることが多く、顧客が離れにくいという特長があります。多くの固定ファンを抱える大手ゲーム企業も、製品の成功が従業員の年収に反映されやすい傾向にあります。
特定の専門業界でソフトウェアやシステムを開発している企業でも、専門知識をもつ優秀なプログラマーに高い報酬が支払われます。例えば、医療機関で使用される受付システムや検査システムを手がける企業では、医療や保険制度に精通したプログラマーが求められます。
プログラマーは将来性のある職業
プログラマーは確かに需要が高い職業ですが、その一方で競争も厳しくなっています。また、人件費が安い海外に委託するオフショア開発が実施されたり、AI技術の進化によって、将来的に一部のプログラミング作業が自動化されたりする可能性もあります。
しかし、AIが代替できないスキルセットも存在します。例えば、プロジェクトマネジメントや情報セキュリティは人間の目が必要であり、AIや機械学習の専門知識をもつプログラマーは今後も高く評価されるはずです。
技術の進化に柔軟に対応し、必要なスキルを磨き続ける意欲があれば、プログラマーとしての将来を十分に期待できます。
未経験からプログラマーになる方法
プログラマーは需要が高い職業であるため、未経験者にも門戸が開かれています。ここからは、未経験からプログラマーになるにはどのような方法があるのかご紹介します。
独学でプログラミングを勉強する
独学でプログラミングを学ぶ場合、参考書やアプリ、オンラインプラットフォームなどを活用するのが一般的です。自分に最適な学習方法を見つけるために、いくつかのリソースを試してみましょう。
独学でプログラミングを習得する際、毎日3~4時間の学習時間を確保すると、おおよそ1年半でひとつのプログラミング言語をしっかりと理解できるとされています。この期間と努力を経て、ようやく基本的なアプリケーション開発なら自分一人で取り組めるレベルに達します。
ただし、単に情報を吸収するだけでは、スキルがしっかりと身につかなかったり、転職市場でのアピール力が低くなってしまったりする場合があります。そのため、実際にコードを書き、プロジェクトを完成させるといった実践的な経験を積むことが、学習の成果を高める鍵になります。
情報系の学科がある大学に進学する
大学でプログラミングに特化した教育を受けたいと考えている場合、プログラマー専門の学部は少ないため、学科の選択が非常に重要です。例えば、一般的なプログラミングスキルを身につけたい人は情報工学科、機械工学科、または電子工学科が適しています。ゲーム開発に焦点を当てたい人は、コンピューター科学科やゲーム学科、デジタルゲーム学科がよい選択肢になります。AIやデータサイエンスに興味がある場合は、データサイエンス学科や知能情報工学科がおすすめです。
自分の目指す方向に応じて学科を選ぶことが、将来のキャリア形成において重要なステップになります。
プログラミングスクールを利用する
プログラミング未経験者であれば、プログラミングスクールの利用がおすすめです。スクールでは専門のテキストが提供され、実績のあるメンターが学習をサポートしてくれます。疑問をすぐに相談できる環境が整っているため、挫折のリスクが低くなります。さらに、同じ目標をもつ仲間と一緒に学べるので、モチベーションの維持にもつながります。
まとまった費用が必要というデメリットはありますが、コストがかかっている分、より一層真剣に学び、スキルを身につける意欲も高まるはずです。
まとめ
厚生労働省によると、プログラマーの平均年収は約550万円とされています。ただし、年収はプログラミング言語や雇用形態、年代などによって大きく変動するため、条件が整えば年収1,000万円以上も可能です。
年収を上げるためには、最新の技術を学び、上流工程や海外勤務といった多様なキャリアパスを描く必要があります。ただし、年収だけを追求するのではなく、職場環境や自身のスキルとのマッチングも重要です。
未経験者でも、独学やプログラミングスクールを通じてプログラマーになる道はあります。スキルと意欲次第で、プログラマーとしての将来を十分に期待できます。