GCPエンジニア案件|需要が高まるGCP案件の今後を解説

2013年からサービスが開始された「GCP」。「Google Cloud Next in Tokyo」が東京で開催され、足を運んだエンジニアの方もいらっしゃるかもしれません。
今後、フリーランスエンジニアとして活躍するのにも「GCP」は深めておくと業務の幅が広がる技術の一つです。
そこで、ここでは「GCP」とはどのようなサービスなのか、エンジニアにとってどのような案件につながるのかをご紹介します。
目次
GCPとは?
「GCP(Google Cloud Platform)」とは、Googleが社内でも活用しているインフラやシステムの一部を、一般のエンジニアにも解放したクラウドコンピューティングサービスです。
例えば、Google Chromeをはじめ、MapやGmail、YouTubeなどにも活用されています。
前身としてリリースされたのが2008年の「Google App Engine」。現在でも、「GCP」の主要サービスとしてあります。その後、2011年に「BigQuery」、2012年に「Compute Engine」と少しずつサービスが拡張されていき、2013年に「GCP」に統合されました。
GCPの主なサービス内容
「GCP」の魅力は、Googleのインフラやシステムと同じものを利用できる点です。中には、データ解析や機械学習など近年注目されるものもあります。
例えば、下記が主なサービスです。
・ App Engine:アプリケーションの開発から実行、管理までをクラウド上でできる ・ BigQuery:億単位のビッグデータでもわずか数分で高速処理できるデータ解析技術 ・ Cloud Machine Learning:専門知識がなくともモデル構築が可能な機械学習ツール ・ Compute Engine:マシンやネットワークのインフラ環境をクラウドで構築できる ・ Cloud Storage:自動バックアップ機能を搭載した容量無制限のストレージサービス ・ Cloud Datastore:データを自動スケーリングし、アプリケーション開発を簡素化する ・ Cloud IAM:アカウントに「参照者」や「管理者」などの権限設定ができるサービス
GCPを使うメリット
必要な機能が集約されている
前述の通り、「GCP」にはアプリケーション開発からインフラ整備、データ解析と様々なサービスがあります。エンジニアが求める開発環境が1つにパッケージされているわけです。
インフラ環境が安定している
インターネット事業で世界トップのGoogleが提供するサービスなだけあり、インフラ環境は強固に構築されています。開発したアプリケーションにアクセスが集中しても安心です。
高いセキュリティ基準をクリア
世界の金融機関や政府機関にも採用されている、厳しいセキュリティ基準をクリアしています。クラウドサービスはセキュリティが大きな課題ですが、その点も安心できるでしょう。
従量課金制で運用コストが低い
「GCP」では従量課金制が採用されているので、全てのサービスを使うこともできますし、必要なサービスだけチョイスして使うことも可能です。限られた予算でも十分運用できるわけです。
AI・機械学習サービスが充実
前述の通り、「GCP」はBigQueryやCloud Machine Learningなどデータ解析や機械学習のサービスが充実しています。今後、AI技術の導入を検討している方には魅力的でしょう。
G Suite製品との相性が抜群
「GCP」はGoogleが社内での製品開発にも活用していて、GmailやMeetなどG Suite製品との相性が抜群です。そのため、連携を想定した製品を開発するときには欠かせません。
GCP関連の主な案件内容
インフラエンジニア
「GCP」に関連するエンジニアとしてまず名前が挙がるのが「インフラエンジニア」です。ただ、案件としてはインフラ関連の業務だけを求められるのではなく、LinuxやWindowsサーバの設計、セキュリティの構築、運用、保守など周辺の様々な業務も関わってきます。
アプリエンジニア
GCPのサービスのなかにはApp EngineやCloud Datastoreなどアプリケーション開発に関わるものがあるため、「アプリエンジニア」の案件も豊富です。ただ、こちらも開発だけでなく、セキュリティやSLA(業者間の品質保証規定)など様々な知識、経験が求められます。
GCPの代理店業務
直接何かを設計したり、開発したりはしないのですが、「GCP」関連の案件としては「代理店業務」もあります。例えば、Googleと企業との仲介や、「GCP」の知識を生かした開発支援など。「GCP」は勢いのあるサービスなので、代理店は優秀な人材を求めています。
GCP案件の今後と単価相場
需要高まるAIやIOT分野
2021年2月、IDCは「Worldwide Semiannual Artificial Intelligence Tracker」でAI市場は2024年まで年間平均成長率17.5%で推移し、総売上高は5,543億ドルにまで到達すると発表。
※2021年6月時点、1ドル=110.9円のため、5,543億ドルはおよそ61兆4,699億円です。
また2021年4月、IDC Japanが国内のIoT市場は2025年まで年間平均成長率10.1%で推移し、ユーザーの支出額は10兆1,902億円にまで到達すると予想。
上記から分かる通り、AIやIoTの分野はまさに急激な成長途中です。そして、「GCP」はこれらAIやIoTの分野と深く関わっているものなので、今後、案件増加が期待できるでしょう。
▼参考サイト https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ47587321
単価は一般エンジニアと同等
「GCP」のエンジニアの案件の単価相場は、一般的なエンジニアとそれほど変わりません。
ただ、様々な案件を調査すると、金融やブロックチェーンなど特殊なスキルを求められるものには高額な案件もあります。
GCPのスキルだけで案件獲得は難しいのが現状
App EngineやCloud Machine Learningなどのサービスを見ると分かるように、「GCP」はあくまで開発環境を提供しています。つまり、これだけで完結するわけではないのです。
例えば、アプリケーション開発にはC言語やC++、Java、Objective-Cなど、インフラ設計にはBashやTTL、BAT、Perl、Pythonなど、それぞれ開発に適した言語知識が必要です。
「GCP」だけでは案件の獲得は難しいので、アプリケーション開発やインフラ設計など周辺の知識、技術も身に付けて、周りのエンジニアとの差別化を図ることをおすすめします。
案件獲得にはGCP資格がいい
もちろん、前述した「代理店業務」のように「GCP」の知識だけで勝負できる案件もあります。ただ、そこでは相当な知識が求められるので、関連資格を取得しておくのがいいでしょう。
GCPの資格とは?Google公認の認定試験
「GCP」に関連する資格としてはGoogleが提供する「Google Cloud認定試験」があります。難易度は「User certification」「Associate」「Professional」の大きく3つです
・ User certification:Google Workspaceの活用スキルがあるのかが問われる ・ Associate:クラウドソリューション環境の設計や構築、運用のスキルが問われる ・ Professional:アプリケーション開発やデータ処理、機械学習モデルの設計などに関する全8種類の試験が提供されており、試験ごとに対応するスキルの知識や技術が問われる
最初は難易度の低い「User certification」と「Associate」から挑戦するのがいいですが、フリーランスのエンジニアとして勝負するのなら「Professional」の資格をチェックしましょう。
参考サイト▼ https://cloud.google.com/certification?hl=ja
メリットは自宅や会社にいながら受験できること
「Google Cloud認定試験」は秋葉原や池袋など各地のテストセンターで受験できるほか、申込時に「遠隔監視オンライン試験」を選択すると、自宅や会社からでも受験できます。
なお、資格の有効期限は2年間。期限前には通知が届くので、忘れず再受験しましょう。
まとめ
「GCP」はこれからさらに伸びることが期待されるサービスで、関連する案件は増えてくると考えられます。少なくともGoogleがすぐにサービスを停止させるとは考えにくく、すでにエンジニアで活躍されている方も、これからエンジニアを目指される方も狙い目です。
ただ、「GCP」の案件を自分だけの力で獲得するのは難しいこともあるので、フリーランスエンジニアに案件を紹介しているエージェントに相談をし、仕事の窓口となってもらうことをおすすめします。
企画/編集:FLEXY編集部