外部人材活用における戦略【vol.2】多種多様な職種で外部人材の活用が可能!メリット・デメリットとは?

2021年3月11日に開催されたCTO meetup「外部人材活用における戦略」のイベントレポート後編です。

前編はこちらをご覧ください。

具体的なタスクの切り分け方、外部人材活用のメリット・デメリットに至るまで、現在外部人材の登用を考えている方にとって気になる情報が満載のイベントレポートです。

外部から人を迎え入れた時のタスクの切り出し方

エムスリー株式会社/執行役員VPoE PdM CDO 山崎 聡 氏(以下、山崎):タスクの切り出し方についても開発タスクなのか、ミッションなのか、期待なのか、多様な捉え方があると思います。この視点での外部人材の活用について、亀田さんはどのようにお考えですか?

山崎 聡
エムスリー株式会社/執行役員VPoE PdM CDO 山崎 聡 氏
大学院博士中退後、ベンチャー企業、フリーランスを経て、2006年、臨床研究を手がけるメビックスに入社。2009年、メビックスのエムスリーグループ入り以降、エムスリーグループ内で主にプロダクトマネジメントを担当する。2012年にグループ会社であるシィ・エム・エス取締役に就任。2015年にデジカルを共同創業、2017年にVPoEとなり、2018年からエムスリーの執行役員。現在はプロダクトマネージャーとして自ら新規プロダクトに関わりつつ、執行役員 VPoEとして、エムスリーグループを横断してプロダクト志向の開発プロセスおよび組織化を推進。2020年4月からはエンジニアリンググループに加えて、ネイティブアプリ企画部門のマルチデバイスプラットフォームグループと全プロダクトのデザインを推進するデザイングループも統括。2020年10月よりCDO(Chief Design Officer、最高デザイン責任者)に就任。

株式会社タイミー/執行役員CTO 亀田 彗 氏(以下、亀田):最近上手くいったなと思った事例は、外部顧問の活用です。大企業では百戦錬磨の経歴を積まれていような方に、いきなりフルコミットで入っていただくのは難しい。しかし会社がスケールしているフェーズでそういう方の力を借りたいということで、週5時間程度で顧問に入ってもらい、プロジェクトベースで話し合うことにしたんです。

亀田 彗
株式会社タイミー/執行役員CTO 亀田 彗 氏
九州大学芸術工学附終了後、2017年9月よりピクシブ株式会社に新卒として入社。複数のサービス立ち上げにエンジニアとして携わる。2019年5月より株式会社タイミーに執行役員CPOとして入社し、スケールするプロダクトのディレクションとプロセスの整備を執行する。2020年8月よりCTOに役割を変え、強いエンジニア組織を作るべく奮闘中。

亀田:一定の説明責任は負っていただいた上で、僕がプロマネのような形でその方がやりたいことを実行しています。

顧問というと隔週1時間ぐらいでレビューなどをしてもらう形が多いと思いますが、そうではなくプロジェクト自体に踏み込んでもらい、どんな順番で何をやればいいのか教えてもらう。すると、非常にパワフルに物事を進められます。

山崎:アドバイザーではなく、プロジェクトをリードするディレクターのような感じですね。週5時間というのはどんな使い方をするんですか?

亀田:今手伝っていただいているプロダクトに関してはかなりオンデマンドに動いてもらい、その累計が5時間程度です。

採用を手伝ってもらっている顧問の方もいるのですが、その人には毎日30分ほどの朝会に参加してもらっています。余った時間は定例に参加したり、1on1をしていただくという感じですね。

山崎:なるほど。大谷さんはいかがですか?

ミイダス株式会社/VPoE 大谷 祐司 氏(以下、大谷):うちは大きく3タイプに分かれます。

ひとつは開発エンジニアとしてフルタイムで働き、社員と同じように成果を出していただく方。もうひとつは、データサイエンティストやプロダクトの方針を企画する方で、特定期間の間に成果物としてアウトプットを出していただいています。もうひとつは、副業人材として任意の時間に技術戦略などを作ってもらい、週に1回の定例ミーティングで内容を確認させていただく方。

大谷 祐司
ミイダス株式会社/VPoE 大谷 祐司 氏
ミイダス株式会社VPoE。サイバーエージェントのネット広告部門で開発組織を立ち上げたのち、2013年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。マーケティング部門のDXを推進したのち、新規事業としてスタートしたミイダスの立ち上げに参画。その後2017年よりスタートアップ2社でCTOを経験したのち、2020年に再びミイダスにジョイン。

大谷:実際、FLEXYさんからはこういった形で技術広報の方にジョインしてもらっています。

山崎:外部人材活用というと、「サーバーサイドエンジニアを1人雇う」というような話が多くなりがちですが、そうではなくいろいろな外部人材活用の方法があるということですね。

現在の企業フェーズより一歩先の力を前借りし、組織の壁を打ち破れる

山崎:ここからは外部人材活用のメリット・デメリットについて具体的に話したいと思います。亀田さんはプロダクトのディレクションや採用にも外部人材に入ってもらっているということでしたが、具体的に社員がカバーするのとは何が違い、どんな良いアウトプットがあるのでしょうか。

亀田:当社はエンジニアリングの経験がある経営層が僕しかいない状態なので、プロダクト全体のディレクションに関して、ほかの経営陣が意思決定の正しさをレビューしづらい点があるなと思うんです。僕自身も、自分の意思決定が正しいのかどうか、暗闇を歩いているような感じです。

そこを外部人材の方にスペシャリティを持ってディレクションしてもらうと、お互いにアセスメントし合いつつ僕自身も自分を客観視ができて、非常に良かったですね。

あとは社内に緊張感も出ると思います。いつも僕がディレクションしているとメンバーもマンネリ化してしまいますが、ハイレイヤーな方にディレクションしていただくと「下手なものは出させない」ということで、モチベーションを保てます。

山崎:前者は壁打ち相手になってもらったり背中を押してもらえるという話で、後者は社内全体が引き締まるという話ですね。

亀田:あと、今手伝っていただいている方々は、普通に正社員として採用するにはまだ早いレベルの人材なんです。その力を前借りできるのもうれしいポイントです。

山崎:ありがとうございます。大谷さんはメリットについていかがでしょうか?

大谷:エンジニアリングの視点では、今後挑戦しようとしている技術に対して予期せぬリスクを潰してもらう、あるいはもっと良い方法を提案してもらえるのが非常に良いですね。

また、日々自分たちのサービスに向き合っていると暗黙の了解が生まれたり、守るべきルールに縛られる部分がありますよね。その点外部のアドバイザーならよりほかの組織で培ってきた別の視座をもって、自分たちの壁をどう壊せばいいのか、ポイントを教えてくれます。

山崎:僕もFLEXYの技術顧問サービスを使っていて、似たような部分にメリットを感じています。やはり部下やほかのメンバーは僕に対して気を使うので、僕が苦手な部分や、難易度の高そうな内容に対してフィードバックが出なかったりするんですよ。その点、技術顧問の方は気を使いつつも率直なフィードバックをしてくれます。

あとは会社としての背景をヒアリングしてくれるのも大きいです。「エムスリーではなぜそうするのか」を相手に説明するうちに自分で腹落ちする感じですね。あとは例えば「うちではこういう文化なのでこうします」と説明したとき、「その文化は社内に浸透しているのか」と返されたのでよくよく考えたら、一度もメンバーに話したことがない内容だった……なんてこともあります。本当に役立っていますし、ありがたい存在ですね。

外部人材活用を成功させる鍵は信頼関係の有無

山崎:我々は当然メリットもデメリットも踏まえた上で外部人材を活用する意思決定をしているわけですが、その上で起こりがちな問題やデメリットがあれば、ぜひ伺いたいと思います。大谷さんいかがでしょうか。

大谷:これは自分たち次第ではあるのですが、やはりカウンターパートをしっかり立てた上で意志を持って進めないと、プロフェッショナルの方が動きづらい環境になってしまうと思います。

あとは社外の方と働くことで得られるノウハウをしっかりキャッチアップして社内のメンバーも成長していかないと、再現性のないアクションになってしまうので、その点は気をつけていますね。

山崎:亀田さんはいかがですか?

亀田:デメリットというよりも注意点かもしれませんが、先程のようなディレクションでの外部人材の活用は、メンバーとの信頼関係が構築されていないと厳しいかもしれません。ディレクションというのは、方向をガンガン決めていくということですよね。そこに信頼関係が無いと誰もフォローしたくないし、仮に正しい内容であっても納得感を作るのがかなり難しくなります。

現在プロダクトのディレクションをしている方は、実はそれ以前に1年ほどアドバイザーとして動いていただいていました。「この人の言うことは信頼できる、もっといろいろ教えてほしい」という社内の気持ちが高まったタイミングでディレクションをしてもらう方向にかじを切ったからこそ、上手くいっているのかもしれません。最初からディレクションをお願いしても、空回りしてしまう気がします。

山崎:確かに!これは今日のまとめとなる内容かもしれませんね。業務委託の方との信頼関係は、大きなキーワードです。社員と業務委託、双方からの信頼は外部人材活用における要と考えて良いのでしょうか?

亀田:僕自身も非常に思い当たる節があります。僕がタイミーにCPOとして入る前は、業務委託の方と会社の関係はいわゆる本当に「業務委託」という感じだったんです。「作るものはビジネスサイドで定義してくださいね」という感じです。

僕が間に入るようになってからは、業務委託の方から「この人はエンジニアリングがわかりそうだな」と思っていただいたことで信頼関係が生まれ、チームの自律性が上がり開発のベロシティもかなり上がった思います。お互いに背中を預けるのは大切ですよね。

質疑応答

※リアルタイムで視聴者から多数の質問が寄せられました。

外部人材活用は企業の内側からは見えない課題を探し出す有効な手段

質問者:CTOの方は気を使われる存在なので、課題解決だけではなく壁打ち役として外部人材を活用するのもアリなのでしょうか?

 

亀田:かなりアリですね。気を使われる存在だという問題は、例えばメンバーにネガティブフィードバックをもらうといった取り組みを頑張ればある程度解決はできます。

ただ、これで解決できるのはメンバーが自覚している問題だけで、どうしても内側からは見えない部分がリスクになるんですよね。自分もメンバーも気づいていない問題が1年放置されたときに生まれる負債は、かなり強烈なインパクトがあります。

見えない課題を探し出すという意味では、外部人材をCTOやメンバーの壁打ち相手として使うのが非常に効果的なのではと思います。

山崎:大谷さんはいかがですか?

大谷:アリだと思います。壁打ち役として来ていただくのも良い手段だと思いますが、普段エンジニアとして一緒に働いている業務委託の方と1on1をして、業務委託ならではの視点でフィードバックをもらったり、壁打ちをお願いするのも良いと思います。

山崎:僕もFLEXYで技術顧問サービスを利用したとき、最初にメンバー10名ほどと1on1をしてもらったんですよ。やはり普段と全く違う情報が集まってすごく面白かったですね。

あとは、技術顧問の方から自分たちの組織がどう見えるのか意見をもらったら、「みなさん本当に優秀です」と言われて驚きました。自分たちではあるべき姿を目指して頑張ってはいても、客観的に見てどうなっているかはわからないんですよね。そういう部分をインプットしてもらえたのも良かったです。

社員やフリーランス同士のネットワークから業務委託のメンバーを採用

亀田:僕から質問なのですが、業務委託の方を探すときの方法をお二人にお伺いしたいです。業務委託ならではの方法はあったりするのでしょうか?

大谷:うちは社員や業務委託の方がフリーランスのネットワークから良い人を紹介してくれることが多いです。

亀田:フリーランスの人同士がつながっているSlackのグループがあって、そこからリファラルにつながるみたいな感じは、思い当たる節があります。

山崎:業務委託の方が業務委託の方を紹介してくれるパターンは確かにありますね。前職の同僚がフリーランスに転向して、仕事を探していることもあります。

過去一緒に働いたことがある人はすでに信頼関係がありますし、技術レベルやマッチ具合も予想できるのが強いかもしれませんね。

大谷:うちは社内紹介制度というものがあって、社員だけではなく業務委託の方を紹介してもインセンティブが出るんですよ。雇用形態を限定せず、リファラル採用をしている感じですね。

最後にひとこと

山崎:では、最後にひとことずつメッセージをお願いします。

亀田:タイミーは現在組織をスケールさせていくフェーズです。今回当社に興味を持っていただいた方がいたら、ぜひTwitterでお声掛けいただけるとうれしいです!本日はありがとうございました。

大谷:本日はありがとうございました。僕たちは社員・業務委託を問わずメンバーが長く働きやすい環境の良い組織を作っていこうとしています。Twitterの公式テックアカウントやWantedlyで採用募集していますので、興味を持っていただきましたらぜひお声掛けください。よろしくお願いします。

山崎:エムスリーはテクノロジーの力で医療業界を変えようとしています。アフターコロナ時代をエンジニアリングで作っていくという部分に興味がある方がいましたら、YouTubeのエムスリー公式テックチャンネルなどもぜひご覧ください。どうぞよろしくお願いします。

 

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