社外CTOのロールモデルに!フリーランスCTOの遠藤拓也さんが考える組織戦略と将来の展望とは
※本記事は2020年8月に公開された内容です。
2020年7月にチームコラボレーションツール「toaster team(トースターチーム)」の正式版をリリースしたnoco株式会社。現在5名の少数精鋭でプロダクト開発を推進しており、メンバーはそのほとんどが業務委託、フリーランスです。
今回は同じくフリーランスのエンジニアであり、nocoの社外CTOを務める遠藤さんにインタビュー。
フリーランスという働き方のメリット・デメリットをはじめ、今後の企業の成長戦略を社外CTO目線でどのように考えているのかをお伺いしました。
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目次
副業からスタートしてフルコミットの社外CTOに就任
岩手県立大学・ソフトウェア情報学部に在学中、小中高生を対象としたITスクール「IT寺子屋」の実行委員会の代表を務める。2017年、株式会社ベーシックに入社。社内CI (Continuous Integration/継続的インテグレーション)の開発、運用をはじめ、月間400万PVを超えるWebマーケティングメディアの開発、運用を担う。2019年7月、noco株式会社のCTOに就任。
――遠藤さんは2019年8月からフリーランスエンジニアとしてnocoに参画されているそうですね。
noco株式会社 最高技術責任者 Chief Technical Officer 遠藤 拓也さん(以下、遠藤):
もともと代表の堀辺から「toaster team」の開発について相談され、副業としてnocoにジョインしていました。それから半年後、前職を退職してフリーランスとして働くことになったのを機に、フルコミットで参画することになったんです。同じタイミングで社外CTOにも就任しました。
――フリーランスに転向することを迷われる方も多いと思いますが、遠藤さんはいかがでしたか?
遠藤:
私は学生時代から学生向けのIT教育に興味があり、現在もプログラミング教室のコーチを務めています。そういった活動と並行して仕事がしやすい環境を作るために、急遽フリーランスになった感じなんです。まだ20代ということもあり、フリーランスになっても何とかなるんじゃないかと思っていた部分があります。
ロールモデル不在の中、会社の現状に合った開発体制を模索した
――実際にフリーランスという働き方をしてみていかがですか?
遠藤:
もちろん良いところも悪いところもありますが、私には合っていると思っています。フリーランスの働き方は曜日や時間には縛られず、「やるべきことをやる」というシンプルなものです。好きなことを制限なく活動できる働き方は魅力的で、結果がすべて自身の評価・価値へ直結します。気分によって作業場所を変えたいタイプでもあったので、働く場所を選ばないところも気に入っています。nocoでも働く曜日や時間を縛らない働き方を採用していますよ。
――逆にデメリットはどんなところですか?
遠藤:
フリーランスになる前までは、複数人のチームで開発することが多かったため、気軽に質問したりフィードバックを仰ぐことのできる環境が近くにありました。フリーランスになってからはそういった環境が減ったため、意思決定に時間がかかってしまうことがありました。
こういった悩みについては知り合いに相談したり社外のイベントに参加するなど、外部の開発者からの知見を得て解決することが多いです。
――フリーランスのCTOとして働くにあたって、ロールモデルになるような存在はいたのでしょうか?
遠藤:
身の周りにはいませんでした。今も社外CTOとしてどのようなやり方をすべきなのか、日々悩みながら正解を模索しています。
そもそもCTOに就任したのは、フリーランスになって望んで役職に就いたというよりは「CTOをやらざるを得ない」という事情がありました。nocoで開発していた当初はエンジニアが2名しかおらず、旗振り役がいないとなかなか組織がまとまらなかったのです。
それでもまず「CTOとは?」という定義を考えることからスタートして、開発メンバーとコミュニケーションを取りながらプロダクトの現状に対して開発体制がどうあるべきかを落とし込んでいきました。それが功を奏して、現状としては組織を上手く回せている状態になっています。
機能ベースでタスクを振り分けることでスムーズに開発を進行
――では、具体的にサービス開発をどのように進めたのか教えてください。
遠藤:
当初は代表の堀辺と私、エンジニアがもう1名、デザイナー1名の計4名で開発を進めていました。2019年の夏に私がフルコミットしてからは開発スピードを上げるためにエンジニアを7名ほど入れ、2020年2月にベータ版のリリースを行いました。
当時から開発チームは業務委託で人の入れ替わりも激しかったので、どのタイミングでジョインしても自走しやすいよう単一機能ベースで依頼をするようにしていました。サービスの初期段階だからこそ成り立っているところもありますが、構想段階から要件定義、設計、実装と一環して対応していただくことで、限られた時間の中でも各メンバーが責任をもって開発にあたることができました。
――技術選定はどのように行いましたか?
遠藤:
技術は開発メンバーが慣れていたRuby on Railsをベースに、「toaster team」はフロントの実装が肝になることははっきりしていたもののフロント周りの知見がほとんどなかったため、当時日本のコミュニティが活発だったNuxt.jsを選択しました。とはいうものの、開発コミュニティの活発さなどは当初あまり気にしておらず、どちらかというと「使ってみたい技術」を優先して、経験のある技術と半々程度の割合で採用した感じです。
CTOとしてプロダクトの改善から組織の文化醸成まで一手に担う
――社外CTOとしてどのようなミッションを持って仕事をしているのでしょうか?
遠藤:
今求められているのは、プロダクトの成長スピードを高めることですね。ビジネスサイドからの提案を元に実際の機能へ落とし込み、UI/UXに対する議論を経て実装し、毎日なにかしらの改善や新機能の提供を行っています。「toaster team」は、ありがたいことにユーザーさんから直接の問い合わせやSNSのコメントでフィードバックをいただくことが多いので、少人数のチームであることを強みに素早く柔軟に対応しているところです。
また、サービス開発の初期段階から、開発体制の土台整備は丁寧に行ってきました。一般的なことではありますが、属人化を避けるためこまめにドキュメントを残したり、人的ミスや手間を省くためにテストやデプロイを自動化したりなど、開発メンバーが本来やるべきことに集中できる環境構築を心がけています。
――CTOと経営者の関わり方について、何か意識していることはありますか?
遠藤:
経営者には夢や理想を語り続ける存在いてもらうことが大事だと思っています。そのためには、形へ落とし込む開発者たちが、今の仕事を通して数字へ最大限貢献すること、期待値や実現の可能性を常にアップデートさせていく必要があります。簡単なことではありませんが、情報の不透明さを排除したり、週次の数字共有と目標の確認など、関わるメンバーが経営者と同じ方向を向いて走れるよう意識しています。
ゆくゆくは各領域のプロフェッショナルが力を発揮できる開発組織に
――nocoのエンジニア組織を今後どう成長させていきたいと考えていますか?
遠藤:
現状は開発メンバーを増やそうと採用活動をしているところです。組織の規模的にフロントやバックエンド、インフラといった技術領域は明確には分けず、フルスタックなエンジニアを募集しています。正式版リリースして間もない「toaster team」は、さらなる成長のため、さまざまな観点から問題解決を行う力が必要です。
少人数精鋭という動きやすいチームの体制は大きく変えずに、各領域のプロフェッショナルな人たちと継続的な価値提供を行える組織を整備していければと思っています。
――組織にフィットするエンジニア像があれば教えてください。
遠藤:
大きくは3つあります。一つは先程もお話したように、現状としてはフルスタックエンジニアです。その中でも、「これは誰にも負けない」という分野を持っている方と一緒に働きたいですね。
二つ目に、サービスをゼロから作ることにやりがいが持てる方です。現在、各エンジニアが担当しているタスクは「解決したい課題」が挙げられたもので、具体的な解決方法自体はエンジニアに任せています。設計、実装、そして機能提供後の改善などを一貫して対応することが多いため、サービスに長い目線で付き合える方が向いていると思います。
最後の一つは、自己管理がしっかりできる方です。スケジュール管理はもちろんのことですが、特に体調管理を重要視しています。健康を維持できないと気持ちに余裕が持てなくなり、周囲への気配りも難しくなります。それが最終的には開発チームやプロダクト自体にも影響してしまうので、きちんと自分の状態に気付ける方が望ましいです。
将来的には生まれ故郷の東北に自分の知見を還元したい
――サービスの将来的なビジョンについてもお聞かせください。
遠藤:
toaster teamはまだまだスタートしたばかりですが、現時点で1100以上のチームに導入していただいており、大きな反響を得られました。現在はマニュアルや仕様書などのドキュメントをはじめとしたストック型の情報管理機能を提供していますが、今後はフロー型の情報管理機能にも注力して開発していきたいと思っています。
また、企業が管理しているのは情報だけではありません。パソコンや書籍、ソファなど会社に置いてあるモノ、そして何より人も管理しています。ゆくゆくは人やモノにフォーカスして、新しい働き方のかたちを提供していきたいですね。
――遠藤さんご自身の働き方の将来像はありますか?
遠藤:
私は東日本大震災の被災地である宮城県石巻市の出身で、将来的には地元に還元したいという気持ちが強くあります。
地方でもITに興味がある学生やその親御さんは多いのですが、例えば東北地方には現在継続的にオフラインで学べる場所がそれほど多くありません。今後はサービス開発も継続しつつ、地方でのIT教育に特化した活動をしてきたいと考えています。
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