(後編)【CTOインタビュー】A-SaaS石川氏(後編)技術とプロダクトに関する経営メンバーとして、果たすべき役割とは
先日、flexy関連イベントとして開催された、第2回「Ex-CTO meetup」。
資金調達において、CTOは何を考え、何をすべきか?をテーマにCTO経験者同士のディスカッションが行われた。
今回は、当日深掘りし切れなかった内容について、ご登壇頂いたアカウンティング・サース・ジャパン株式会社の石川氏に、個別に話を伺った。
(前編はコチラ)
内製化だけが正義ではない。状況により外製も選択
黒田悠介氏(以下、黒田):開発は現在は内製化していますよね。初期は外製だったと伺っています。
石川雄樹氏(以下、石川):そうですね。外製も内製も両方やりました。内製化した方がいいという意見も多いみたいですが、作るものが決まっていてその量が多い場合には外製はとてもメリットがある手段だと思います。
黒田:一方で、作るものが決まっていない場合は内製の方が良い場合が多いですね。
石川:アジャイルのようにフィードバックを得ながら良くしていく開発手法を採用していたり、言語化が難しい品質を求めるたりする場合には内製の方がいい。業務システムやERPのようなtoBのシステムの場合は外製化した方がいいケースもありますね。そうではない場合にリソース不足でどうしても外製化しなければならない場合なら、外製だけど同じメンバーが対応し続けてくれるラボ契約のようにした方がいいと思います。
黒田:状況によって外製化した方がいいケースがある、というのが興味深いです。CTOとしては「内製化は正義」のような一般論に逃げずに都度最適なやり方を考えてCEOに提案していく姿勢が必要ですね。
石川:そうですね。今は内製化していて、法改正への対応や品質向上を中心に開発しています。あとは技術的負債の縮小といった感じです。
採用すればするほど、判断基準を上げる?
黒田:採用はどういった形で関わっているんでしょうか?
石川:一次面接は全部私がやっていましたね。この四半期は一日だいたい4人に1.5時間ずつ面接するくらいコミットしていました。
黒田:半分以上の時間を採用に使っていたんですね。
石川:知名度がある会社ではないので、アトラクトの必要があるんですよね。最初はにこやかな感じで会社説明とかをして、不採用の場合はそれで帰っていただきます。でも通過の可能性があれば豹変してジャッジのモードに切り替えます。
黒田::ジャッジとアトラクトの時間をしっかり分けて取っているんですね。
石川:一次面接をアトラクトだけに使っていたらそれ以降の面接の通過率が低くてロスが多かったので、一次面接でもジャッジの時間をしっかりと取るようにしました。しばらくして僕が通したら最終まで100%行くという状態になったので、精度は高いと思います。
黒田:ジャッジのポイントってありますか?
石川:採用すればするほど基準が高まっていくようになっています。つまり、メンバーの平均値よりもレベルが高い人でなければいけないということです。以前は通っていた人も、今受けたら通らないことになります。最近は新たに入社してくる人たちの定着の方に注力しようと思って、面接に使う時間を減らしているところです。
黒田:採用へのコミットは減らしていくのですね。
石川:はい。今は製品責任者が一次面接をやっています。私はというとコードを書く時間が増えましたね。
黒田:石川さんがコードを書くようになったのはなぜですか?
石川:今は8月に出す新サービス(銀行・クレジット取引の自動取込)のバックエンドを26歳のエンジニアと組んで開発しています。Scalaで書いているのですが、これはJAVAでやってきた弊社にとってはチャレンジです。私自身もプロダクトをScalaで書くのは初めて。CTOが新しい言語やフレームワークを先陣を切って使っていくことでエンジニアチームの士気も上がってきています。
黒田:技術開拓も、技術に関する経営メンバーであるCTOの大事な役割ですね。
石川:そうですね。今回の開発ではナレッジを貯めて、ソースコードレビューとか勉強会を通じてエンジニアにフィードバックしていきたいと思っています。
黒田:資金調達、開発体制、CTOの役割、どれもフェーズによって最適解が変わってくるのがよくわかりました。本日はどうもありがとうございました!
CTO/Ex-CTO向けサービス「flexy」
記事作成:黒田悠介・村上 亮太
撮影/高瀬 亜希