エンジニアのポートフォリオの作り方|作成例や作成メリット、注意点を解説

エンジニアのポートフォリオの作り方|作成例や作成メリット、注意点を解説

近年のデジタル社会において、ハイスキルなエンジニアの需要は年々高まっています。しかし、単に技術力があるだけではプロジェクトに参画することは難しく、希望するキャリアを形成したり、高単価な案件を獲得するためには自身の実績や能力を効果的に示すことが大切です。

そこで重要なのが「ポートフォリオ」です。

この記事では、ポートフォリオの概要から、エンジニアにとってのポートフォリオの必要性、作成手順、作成上で気を付けるポイントなどをわかりやすく解説します。
エンジニアとしてさらなるキャリアアップや年収アップを目指している方は必見です。

目次

ポートフォリオとは

ポートフォリオ(Portfolio)は、「札入れ」を意味するイタリア語のPortafoglio(ポルタフォリオ)が語源で、日本語では「折りかばん」や「書類入れ」、「所有する有価証券の一覧」といった意味に訳されます。一般的には「いくつもの書類が一括りにまとめられた書類集」のようなニュアンスで使われています。

ポートフォリオの意味合いは業界によって変わる

ポートフォリオという言葉は主に「クリエイティブ業界」「金融業界」「教育業界」の3つの業界で使われています。
ニュアンスは共通しているものの、各業界で異なる意味を持った言葉として定着しています。それぞれが指し示す意味の違いは以下のようになっています。

クリエイティブ業界 これまでの自分の成果物をまとめた「作品集」で、実績やスキルを評価してもらうための資料
金融業界 保有している株券/債券/投資信託/不動産などの金融商品の一覧や、資産配分の組み合わせ
教育業界 学習過程で作成したレポートや制作物、写真などを保存・収集して生徒を評価する学習評価方法

ポートフォリオは相手や場面ごとに差し替える

ポートフォリオは複数の書類や成果物の組み合わせをひとまとめにしたものですが、構成する書類や作品はいつでも入れ替えが可能です。むしろ、1つのポートフォリオを作成したらそれをずっと使い回すのではなく、使用する場面や用途に応じて内容を最適化することが重要です。

特にクリエイティブ業界はポートフォリオを転職やフリーランス・副業案件の獲得に使うことが多いです。しかし、職種や案件ごとにアピールすべき実績・スキルは変わるでしょう。こまめにアップデートして、常に最新の実績・スキル情報にしておくことも大事です。

エンジニアもポートフォリオが必要か?

エンジニアはクリエイティブ業界と同様に、実績やスキルを評価してもらうための資料としてポートフォリオを作成します。ここでは、具体的なエンジニアのポートフォリオの記載内容や必要性について解説します。

エンジニアのポートフォリオの内容とは?

エンジニアがポートフォリオを活用する場面は主に、転職時や業務委託案件に応募するタイミングです。転職先企業や案件掲載企業に対し、過去の実績や保有するスキルを紹介し、エンジニアとしての技能価値を客観的に伝えることができます。
そのため、エンジニアのポートフォリオには以下のような内容を含めることが一般的です。

  • 過去に参画したプロジェクトの内容や役割
  • 保有するスキルセットや資格、学習経験
  • アプリケーションやサービスなどの制作物

ただし、エンジニアの場合は実務経験者と未経験者で書き方が変わります。具体的な書き方については後述するエンジニアのポートフォリオの作り方をご覧ください。

デザイナー職種のポートフォリオとの違い

WEBデザイナーやUI/UXデザイナーなどのデザイナー職種もエンジニア職種と同様に転職時や業務委託案件を契約するタイミングでポートフォリオを作成します。
エンジニア職種のポートフォリオでは、開発プロセスや使用したツールの選定理由などもアピールポイントになりますが、デザイナー職種であれば作品や成果物の制作過程やコンセプト、工夫点が重要視されます。またデザイナーの場合、制作物として画像やアニメーションが一般的でこれらは1枚だけでは評価がしづらいため、いくつかのカットを用意する必要があります。

より詳細なデザイナー職のポートフォリオの特徴や作成方法について気になる方は以下の記事を参考にしてみてください。

職務経歴書との違い

そもそも職務経歴書は、過去経験した職務や地位・事業内容を時系列で並べて一覧化したもので履歴書の保管的役割を果たします。
対して、ポートフォリオは単なる経歴や経験の羅列だけでなく、成果物の作品集であり、文字だけでは伝わりづらい技能スキルを伝えるものです。

履歴書や職務経歴書よりも本質的な人材価値の判断材料となるため、ポートフォリオの提出が求められる場合はしっかり丁寧に作り込みましょう。

エンジニアもポートフォリオが必要な理由

前述した通り、ポートフォリオは自身の価値を伝えるための重要な書類であり、採用する側もポートフォリオがあると応募者の技能レベルを理解しやすく面接を進めやすいという利点があります。

エンジニア職種はデザイナー職種に比べるとポートフォリオの提出を求められるケースは少ないですが、重要な判断材料として、年々ポートフォリオの提出を求める企業が増えてきています。

そのため、エンジニア職種でも履歴書や経歴書と同様に、ポートフォリオも用意しておく必要があります。

エンジニアがポートフォリオを作成する4つのメリット

エンジニアがポートフォリオを作成しておくことで以下のようなメリットもあります。

自分の実績や能力をアピールできる

ポートフォリオを作成する最大のメリットは、自身の実績や能力を効果的にアピールできることです。

過去に関与したプロジェクトの目的、役割、期間、使用した技術やツールなどを明示し、技術的な貢献と問題解決能力を強調できます。
また、アプリケーションやサービスとして成果物が機能しているならば、それらの画像や使用デモ映像もポートフォリオに盛り込むことで、文字では伝えきれないコンテンツの世界観、コンセプト、こだわりポイントなどを伝えることが可能です。

契約内容のミスマッチを減らすことができる

ポートフォリオを通じて、採用担当者とコミュニケーションが円滑に行えて、求めるスキルや価値観に合致する転職先や案件を見つけやすくなります。採用担当者としても、ポートフォリオに記載された経歴や成果物などを見て応募者のスキルや得意領域、価値観を客観的に評価でき、採用後の担当業務や組織文化のミスマッチを減らすことができます。

口頭説明やコミュニケーションが苦手でも書面でアピールできる

面接の場で緊張して口頭での説明ができなかったり、人と会話すること自体に苦手意識がある方は、本来伝えたかったことを伝えきれずに悔しい思いをするかもしれません。そういった方でもポートフォリオがあれば、自分のスキルや実績を言葉にせずとも表現できます。そのため、ポートフォリオの提出を求められていなくても面接に苦手意識を持っている方は積極的にポートフォリオを作成することをおすすめします。

エンジニア同士の交流のきっかけになる

エンジニア同士のコミュニケーションにもポートフォリオがあると便利です。例えば、フリーランスとしてプロジェクトに参画し、あまり関わりのない分野のエンジニアとチームを組んで仕事する必要がある場合、お互いのポートフォリオを見せあうことで、これまでにどんな仕事をしてきて、どんなスキルがあるのかが理解できて、プロジェクトを円滑に進めやすくなるでしょう。

エンジニアのポートフォリオの作り方

ここからは具体的なポートフォリオの作成手順について紹介します。エンジニア職種では、実務経験がある場合とそうでない場合でポートフォリオの作成手順が異なります。それぞれの作成手順と作成例を見ていきましょう。

実務経験がある場合の作成手順

提出する企業や案件にあわせて、どの制作物をアピールするか決める

まずは提出先にあわせて、過去に制作したアプリケーションやサービスなどのうちどの実績を重点的に記載するか決めましょう。転職先であれば、その企業が求めているスキルや経験、業務委託案件への応募であれば、案件に必要なスキルや優遇条件に関連する実績などを盛り込むと良いでしょう。

また、自分にしかできないという独自性のある実績も評価を受けやすいのでおすすめです。

氏名や経歴などの自己紹介文、保有スキル等を記載する

メインのアピールテーマが決まったら、これまでの経歴などから書き始めましょう。
記載する項目は以下のようなものが一般的です。

  • 氏名
  • これまでのキャリア
  • 言語や開発ツールに関するスキルや資格
  • 学習経験
  • instagramやX(旧Twitter)のアカウント

アピールしたい制作物のソースコードやサービスのURLを記載する

アピールしたい制作物の価値やすごさが端的に分かるようにソースコードの一部を抜粋して記載したり、そもそもサービスとして一般公開されている場合ならそのサイトURLを記載しましょう。

ソースコードについては「GitHub」「Git」「Cloudflare」などのソースコード管理ツールを用いて保存や公開をすると便利です。

使用技術やツールの選定理由、こだわりポイントなどをまとめる

単に制作物を見せるだけでなく、そのアプリやサービスの開発背景や使用した言語やツールの選定理由、また開発過程におけるこだわりポイントなどをわかりやすくまとめることも非常に重要です。

アウトプットまでの経緯を記載することで、採用側も応募者の人間性や技術スキルを正確に判断しやすくなり、興味も持ってもらいやすくなります。

全体のレイアウトを整えて公開する

最後に、全体的な内容を確認し、話の流れがわかりやすいか、デザインはおかしくないかなどをチェックしましょう。どれだけ実績が良くても、見せ方が悪いと、正しく評価してもらえない可能性があります。一通り完成したら、身近な人などに見せて、しっかりとアピールしたい内容が伝わったか確認するなどして完成度を高めると良いでしょう。

ポートフォリオサイトを使ってWEB上にポートフォリオを公開すると採用担当者もアクセスしやすいでしょう。

実務未経験の場合の作成手順

実務未経験の場合も前述した実務経験者の作成手順とおおよそは同じですが、以下の2つの作業を先に行う必要があります。

制作するアプリケーションやサービスを決める

実務未経験の場合は、アピールできる実績がないため、ポートフォリオの作成に合わせて、アプリケーションやサービスを設計・開発する必要があります。その際、より効果的に採用担当者にアピールするために、転職や業務委託案件の応募条件に含まれるスキルや技術を活用したコンテンツ制作をするのが好ましいです。

実際に開発する

開発する機能や要件定義を設計書に落とし込んだら、実際にコーディングしましょう。少しでも良い評価を受けようとしてあれもこれもと機能を盛り込んでしまうと、かえってわかりづらかったり、複雑すぎて動作不良が起きやすくなるので注意しましょう。要件定義の時点で使うツールや技術とその使用意図を決め、シンプルで使いやすい作品を作るように心がけてください。

開発が完了したら、実務経験がある場合の作成手順に移りましょう。

参考にしたいエンジニアのポートフォリオ作成例5選

以下は実際に公開されているエンジニアのポートフォリオサイトです。どのポートフォリオも参考にしたいオリジナリティ溢れる仕上がりとなっています。

Hoda’s Portfolio

Hoda’s Portfolio

出典:Hoda’s Portfolio

作成者Sakamoto Hodaka
経験インフラ開発、フロントエンド開発など
URLhttps://hodalab.com/portfolio/

Kuroda Manato

Kuroda Manato

出典:Manato Kuroda

作成者Kuroda Manato
経験WEB開発、デザイナーなど
URLhttp://manato.ca/

MASAYUKI DAIJIMA

MASAYUKI DAIJIMA

出典:MASAYUKI DAIJIMA

作成者代島 昌幸
経験テクニカルディレクター、フロントエンド開発など
URLhttps://www.daijima.jp/

Takumi Hasegawa

Takumi Hasegawa

出典:unshift – I’m a creative / front-end developer.

作成者長谷川 巧
経験WEB開発、デザイナーなど
URLhttps://unshift.jp/

Yoichi Kobayashi

Yoichi Kobayashi

出典:Yoichi Kobayashi

作成者小林 洋一
経験フロントエンドWEB開発
URLhttps://www.tplh.net/

魅力的なポートフォリオを作成するための5つのポイント

ここからは、より魅力的なポートフォリオにするためのポイントを解説します。

独自性がある

ポートフォリオはあなた自身の価値を伝えるための手段です。そのポートフォリオの内容がありきたりなものになってしまうと他者とあまり差別化されず、採用担当者の興味をひくことも難しいでしょう。最悪の場合、やる気がないようなネガティブな印象を与えてしまいます。

自分なりの工夫ポイントや制作意図、今後の展望などを盛り込んで独自性のある内容に仕上げましょう。

需要のある技術でアピールする

需要のある技術でアピールすることも重要です。
どれだけ魅力的な実績があったとしても、その開発に使用したスキルがマイナーなものだと採用担当者はコードが解読しづらく、採用後の活躍イメージも湧きづらくなります。

高評価を受けるためには、応募条件に該当するスキルやトレンドの技術などを盛り込んだポートフォリオにすることが大切です。

ユーザー目線で設計する

作成手順でも解説した通り、ユーザー目線のシンプルでわかりやすいポートフォリオ作成も心がけましょう。年々UIやUXの重要性も高まっており、いかにユーザビリティの高い開発ができるかという点は重要視されます。

どのようなデザイン、機能、導線があればユーザーが使いやすく魅力的に感じるのかを常に考えながら設計しましょう。

コードをきれいに整える

上記の内容に紐づいて、第三者が見ても分かるようにコードをきれいに整えることも大事です。ポートフォリオに記載されたコードの解読のしやすさも採用担当者の評価を左右するポイントになります。

  • インデントや改行、コメントを規則正しく配置する
  • 命名規則を統一する
  • 適切なタグの使い方をする

このような点に気をつけましょう。

制作意図を明確にする

どんな意図を持ってそのポートフォリオを制作したのか、なぜその実績をアピールしたかったのかについてきちんと説明できるようにしておきましょう。なんとなくまとめるだけでは熱意は伝わらず、採用担当者の興味を引くことはできません。

どんなスキルや実績があるかを伝えることはもちろん大事ですが、どんな思いや熱意を持ってその開発に取り組んだのかも採用における重要な評価指標となります。

ポートフォリオ作成における3つの注意点

ポートフォリオの作成では、以下のような点に注意することも大切です。これらをおろそかにしてしまうと、思わぬトラブルにつながったり、適切な評価が受けられなくなりますのでしっかりと押さえておきましょう。

制作物を無断転載に気をつける

ポートフォリオに過去の実績を載せる場合に無断転載に気をつけましょう。たとえ自分が開発したアプリケーションやサービスだとしても、納品先企業の守秘義務に反していたり、機密情報が含まれている可能性があります。もし無断転載して機密情報漏洩などに関与してしまった場合には、被害を受けた企業から訴えられたり、損害賠償請求されてしまう危険性があります。無断転載にはくれぐれも気をつけましょう。

複雑に作り込みすぎない

これまでもお伝えしている通り、できるだけシンプルでわかりやすい、ユーザー目線のポートフォリオになるように心がけましょう。

アピールしたい気持ちがあればあるほど、複雑に作り込みすぎてしまうことがあります。設計の段階できちんと要件を整理し、作成着手してからは内容を追加することは避けましょう。

こまめに更新する

ポートフォリオは一度作成したら終わりということではなく、キャリアアップのタイミングや新たな実績を築いたタイミングなどで、随時情報を更新して行きましょう。その際に更新日や更新内容も記載しておくことで、情報の新鮮度やこまめに更新をする几帳面さなども伝えることができます。ぜひ、定期的な更新を心がけてください。

【ポートフォリオを作成したら】フリーランス・副業エンジニア向けの案件を探してみよう

ここまでポートフォリオの概要や作成方法について解説してきました。最後にポートフォリオを活用して応募してみたい、実際のフリーランスや副業のエンジニア案件を紹介します。気になる案件を見つけて、ポートフォリオ制作に活かしてみてください。

【Azure】ゲーム開発を行う企業でインフラ設計構築支援(フルリモート)

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【Vue.js/React】AI統合基盤サービスなどを提供する企業でフロントエンド開発支援(フルリモート・ビジネスタイム外可)

どの技術を採用しどのように設計するかといった核心的な決定に直接関わりながら、自身のアイディアや経験を最大限に活かし、プロジェクトの方向性を決めることができます。

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ポートフォリオでエンジニアとしての活躍の幅を広げよう

いかがでしたか。これまでポートフォリオを作成したことがないエンジニアの方は、ポートフォリオを作成することでより幅広い案件を受けたり、セカンドキャリアへ進みやすくなる可能性が高いです。

ただし、やはり自分だけでは作成に不安があるという場合は、転職やフリーランスエージェントを活用しましょう。

FLEXY(フレキシー)では専任のエージェントがじっくりカウンセリングして、あなたの強みや得意領域を客観的に評価します。その上で、ご希望に沿った案件の紹介もできますので、少しでもご興味あればFLEXYへご登録の上、お気軽にご相談ください。

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