請負・委任・準委任・派遣の違いは? フリーランスが知るべき契約の知識
働き方が多様化する昨今、業務委託の形で働く人が増加しています。本記事では、知っておくと便利な契約に関しての知識として、委任・準委任・請負・派遣の違いを解説します。
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目次
そもそも契約とは何か
大前提として契約は原則的に口頭でも成立します。では、契約書は何のために作成するのでしょうか。
理由としては下記が挙げられます。
- 契約の成立、契約の意思が明確に出来る
- 契約書が存在、取り決めの内容を明確化することで、より紛争を事前に防止することができ、紛争が生じたときにも証拠にできる
- 業務の明確化→契約を履行する際の手引き(マニュアル)になる
このため、合意した内容を漏れなく契約書に盛り込むことが大事になります。契約書、覚書、合意書など名称が変わっても、内容が変わらなければ契約としての効力に変わりはありません。同じ当事者間で合意が複数あり、その複数の合意で内容に矛盾がある場合、当事者間で特に取り決めがなければ新しい合意ほど優先されます。
一般的なフリーランスの契約である業務委託
業務委託とは、他の企業や個人に業務を任せることを言います。業務委託契約という言葉は実務上よく用いられますが、民法には業務委託契約という名称の契約はありません。民法上の契約の種類としては、請負、委任、準委任の3種類があります。
業務委託契約の種類
業務委託契約は、極めて汎用性が高く、ビジネスの場で広く利用されています。
請負契約と委任契約に大別され、委任契約は更に委任と準委任にわかれます。
- 請負契約:一方の当事者が、ある仕事を完成させることを約束し、他方当事者がそれに対し報酬を支払うもの(民法632条)
- 委任契約:一方の当事者が、法律行為をすることを他方当事者に委託するもの(民法643条)
- 準委任契約:一方の当事者が、事務の処理を他方当事者に委託するもの(民法643条、656条)
委任か準委任であるかは、法律行為であるか否かでわかれます。詳しくは後述します。
請負契約、委任契約、準委任契約の違い
ここからは請負契約、委任契約、準委任契約の違いについて解説いたします。
請負契約
請負は以下のように民法に条文化、規定されています。
(請負)第632条
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
つまり、請負の場合は、完成物の定義をした上で仕事の完成が目的となります。
目的 | 仕事の完成(完成物の定義が必要) |
---|---|
報酬請求権 | 仕事が終わったとしても、予期した結果(仕事の完成)が生じなければ報酬を請求することができない。 |
責任 | 契約不適合責任 (追完請求、報酬減額請求、損害賠償、契約解除など) |
収入印紙 | 必要(2号文書、7号文書) |
上記の『責任』の欄に記載があるように、民法上、請負人には契約不適合責任があります。また上記規定のように、原則的に請負であれば仕事を請け負った者(請負人)は、仕事を最後まで完成させなければ報酬を請求できません。
委任契約
委任は、以下のように、民法に条文化、規定されています。
(委任)第643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。(受任者の注意義務)第644条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
委任と準委任の違いは「法律行為(意思表示によって、権利の発生や権利の消滅などの法的効果が生じる行為)」を行うか否かです。
委任契約の例としては、弁護士に訴訟代理を依頼する場合などがあげられます。一方、準委任契約は、医師による患者の診察などがあげられます。
法律行為かどうかという点で違いがありますが、準委任契約は委任契約の規定を準用しているので、委任契約と準委任契約を区別する意味はそれほど大きくありません。
準委任契約
準委任契約は、以下のように、民法に条文化、規定されています。
(準委任)第656条
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
委任(準委任)は、仕事の稼働に対して支払われる契約ですので、原則、成果物の納品に対して支払われるものではありません。(例外 民法648条の2)
目的 | 仕事(行為)の実行 |
---|---|
報酬請求権 | 契約上の仕事の実行がされれば、報酬を請求することができる |
責任 | 善管注意義務 (受任者の地位、職業に応じ要求される客観的、一般的に要求される注意を払う義務) |
収入印紙 | 不要 |
責任の欄に記載があるように民法上、受任者には善管注意義務が課せられます。
善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)とは?
準委任契約において、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務です。その具体的内容は、業務を受任した者の職業や能力、社会的地位、経験などから判断して、通常期待される注意義務です。
業務委託契約と派遣との違い
次に、業務委託契約で働く際と、派遣で就業する時の違いを説明します。
派遣とは、派遣会社から就業先へ派遣される就業形態です。正社員、契約社員、パート、アルバイトのような働き方の選択肢のひとつとなっています。正社員やアルバイトは、雇用契約を結ぶ先と実際に働く企業が同じですが、派遣の場合は派遣先企業で就業します。そのため派遣の場合は、給与は派遣会社から受けとります。また、福利厚生も派遣会社のものが適用されます。
就業先での具体的な仕事の指示は派遣先企業の方から受けます。派遣と、請負もしくは準委任の業務委託との違い一覧にすると、以下のようになります。
派遣 | 請負 | 準委任 | |
業務内容 | 労働に従事 | 仕事の完成 | 業務の受任 |
指揮命令 | 派遣先(発注側) | 受注側 | 受注側 |
報酬支払い | 一定期間毎 | 仕事の完成後 | 一定期間毎(例外あり) |
収入印紙 | なし | 必要(2号文書) | なし |
法律 | 労働者派遣法 | 民法 | 民法 |
注意したい偽装請負
偽装請負とは、業務委託契約にも関わらず、実質的には労働者派遣の状態であることをいいます。業務委託契約の場合、労働者への指揮命令は受託会社から行われますが、発注者(委託先)から受託会社を通さず労働者へ直接指揮命令が行われる場合は偽装請負となり法律違反です。偽装請負では、一見労働者派遣ですが契約上は業務委託であるため、労働者は派遣契約のような福利厚生が受けられません。労働者としては指揮命令者が誰になるのかは把握しておく必要があります。
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まとめ
本記事では委任・準委任・請負・派遣の特徴や違いについて解説しました。どれもフリーランスとして活動するためには必要な知識ですので、今後トラブルを回避するために覚えておきましょう。
業務委託契約書は自分で作成することができますが、専門家に見てもらった方が無難です。途中の業務変更や、ゆくゆくトラブルになった時にサポートを受けられます。
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