あなた色のキャリアをデザインする〜多様化するデザイナーのキャリアパス〜

2021年4月21日に開催されたCREATORs meetupのテーマは、デザイナーのキャリアパスについて。

企業内での不透明性が高いと言われるデザイナーのキャリアパスですが、デザインを経営戦略に取り入れる動きが活発になる中で、今後デザイナーのポジションは重要な役割を果たすようになっていきます。

今回ご登壇いただいたのは、そんなデザイナーの中でもユニークなキャリアを歩んできた方々ばかり。

・デザイナーに理想のキャリアは存在するのか?
・次のキャリアステップはどう考えるべきなのか?
・インハウスのデザイナーとして伸ばすべきスキルとは?

デザイナーなら誰しも抱くだろう悩みについて、登壇者のキャリアを実例としながら、じっくりディスカッションしていただきました。

デザイナーのキャリアパス、まずはご登壇者紹介

哲学、音楽、建築に携わり、現在は楽天と大学の二足のわらじで活躍

株式会社ゆめみ 取締役 サービスデザイナー 人間中心設計スペシャリスト 本村 章 氏(以下、本村):最初に、簡単にキャリアについてご紹介いただければと思います。源さんからよろしくお願いします。

本村 章
株式会社ゆめみ
取締役 サービスデザイナー 人間中心設計スペシャリスト 本村 章 氏

アメリカでコミュニケーションデザインを学び、サンフランシスコのデザインファームにて、主としてIoTサービス・ソフトウェアサービス等のデザインプロジェクトに従事。帰国後、株式会社ゆめみにサービスデザイナーとして入社。金融業界やハードウェアメーカーのデジタル戦略に関わるプロジェクトの推進支援やデザイン方法論の導入支援に従事。


楽天グループ株式会社 プラットフォーム戦略統括部 UX Designer / Planner | 成安造形大学 客員教授 源 賢司 氏(以下、源):楽天グループ株式会社のプラットフォーム戦略統括部に所属している源と申します。皆さんご存知の通り楽天はいろいろなサービスを展開させていただいていますが、プラットフォーム戦略統括部では、サービス全体を横断的なエコシステムとして捉えたときのシステム戦略やメンバーシップ戦略を管轄しています。

源 賢司
楽天グループ株式会社
プラットフォーム戦略統括部 UX Designer / Planner | 成安造形大学 客員教授 源 賢司 氏

前職にてUIデザインとフロントエンド実装に従事し、後にUXを軸とした既存事業改善、新規事業企画/立ち上げなどに従事。2019年より楽天に入社し、エコシステムに関わるポイントエンゲージメントやサービスクロスユースなどについて戦略からデザイン設計までに関わっている。

源:簡単に言うと、楽天ポイントなどを活用して、サービスをもっと使ってもらうための事業横断的なソリューション提供ですね。UI/UXデザイナーを絶賛募集しているので、私のFacebookからでもメッセージをいただけるとうれしいです。

もうひとつのキャリアは成安造形大学の客員教授です。楽天で実践していることを体系化し、学生の方に提供しています。

これでのキャリアについてお話しすると、もともと大学ではドイツ語学や哲学を学んでいました。卒業後はフリーランスとして映像・音楽制作を行うようになり、音楽理論や音楽史も独学で学びました。その後、ご縁があって建築系のデザイン会社に入社したのですが、非常にブラックな企業だったので3年ほどで潰れてしまい、次に前職であるDMMにジョイン。いわゆる普通のWebデザイナーとしてページ制作をしていました。その途中で「もう少し自分で表現できることが増えたらいいな」と思いフロントエンドのキャリアへ進み、さらに「もっと根本から事業を変える力が必要だ」と考えていたら、いつの間にか事業計画に関わるUXデザイナーになっていました。そして、現在は事業横断的なエコシステム戦略に関わっています。

本村:ありがとうございます。源さんは、大学を卒業した時点でデザインの道に進む将来を考えていたのでしょうか?

源:いえ、どちらかというと音楽がやりたかったので、フリーで音楽制作をしていただけです。頼まれたら映像制作もやるという感じでした。

本村:音楽から建築に飛び込む流れが個人的にはちょっと理解ができないのですが(笑)、どういうきっかけだったんですか?

源:音楽はコネをはじめとしたいろいろな要素が必要なので限界を感じていて、活動は25歳までと決めていました。それでもクリエイティブ系の仕事がしたいなと思っていたときに、建築系の会社に入れたんです。もともと建築や椅子なんかがすごく好きで自分でも学んでいたので、それを少しでも活かせるならと思い入社しました。結構行き当たりばったりです。

本村:自分がやりたいと思っていたクリエイティブ系の仕事を右往左往しながら探した経験は、現在の事業戦略やそれ以前のUI/UXデザイナーのステップを踏んでいく段階で、どのように役立ちましたか?

源:表面上のテクニックやスキル以外の部分で助けられることが非常に多かったですね。ドイツ哲学はあまり関係ないのですが(笑)、UXデザインは構造主義という考え方の影響を受けていたりしますし、音楽理論なんかもクリエイティブな思考にかなり活かされています。

本村:振り返ってみると意外と一本道でつながっている感じがしますね。

ソニーを経て一転、デザイン型イノベーションファームを設立

本村:では次に、土屋さんのキャリア紹介をお願いします。

株式会社フライング・ペンギンズ COO 土屋 晃胤 氏(以下、土屋):僕が社会人になったのは2001年なので、もう20年前です。最初はソニーに就職し、VAIOの部隊でUI設計者としてのキャリアをスタートしました。企画にも口を出していたので、今でいうUXデザインのようなこともやっていましたね。Cyber-shot、ハンディカム、WALKMANなどソニーのベタな商品の部署を転々とした後にプレステ部隊に移り、主要機能のUXデザインとチームの取りまとめを経験しています。

その後ソニーを退職し、ITコンサル会社で2~3年ほどクライアントワークの武者修行を経てから、その企業の経営者と一緒に起業。現在僕がCOOとして所属するフライング・ペンギンズです。

まだ創業から2年ですが、円谷プロダクションの新しいサブスクサービスや渋谷スクランブルスクエアの社内システムなど、新規事業やサービスリニューアル系のUXデザインを手掛けています。

土屋 晃胤
株式会社フライング・ペンギンズ
COO 土屋 晃胤 氏

ソニーVAIO事業部でUXデザイナーとして活動後、PS4のホーム画面などのプラットフォーム機能のプロダクトマネージャーを担当。「UXは組織を繋ぐ共通言語」を信念とした新規事業コンサルのほか、企業の強みとビジネス、ITを繋ぐ「新たなUX」を発見するデザイン型イノベーションを得意とし、20以上の特許に名を連ねる。UX駆動開発を含め弊社サービスの立ち上げを主導。

土屋:企業としてはお客様に対して、「新規事業のチャレンジを実現する」と謳っています。その上で、自分たちも率先してチャレンジして失敗することをお客様に許容してもらうという、通常のコンサルは異なるスタイルで提案をしています。

具体的にはUXデザインを軸にしつつ、事業検討やシステム設計も同時に行って答えを探し出す感じですね。因果関係を気にせず「このパターンなら上手くいくのでは」という提案をガンガン行いますし、先週言ったことを今週には変えるくらいのスピード感で、なるべく早く答えに辿り着こうとする手法です。検討に半年かけるより、その間に4回失敗したほうが成功率は上がるだろうという、リーンスタートアップ的な考えを具現化しているわけです。

ですから、当社が求める人物像もチャレンジャーであり好奇心旺盛であることがベースにあります。デザイナーであってもビジネスなど全てのことに興味を持って、プロト駆動でアウトプットをたくさん出してくれるような人ですね。デザインや技術一本では超一流になれなかった代わりに、バランスを取って生きている人たちを積極採用中ですし、僕自身もそういうキャリアを積んできたなと思っています。

本村:ソニーは誰もが知っている大企業ですが、そこでの仕事の進め方と、フライング・ペンギンズでの「失敗をしていく」というスタイルは、どんな風に関わっているのでしょうか。部外者の僕からすると、ソニーはがっつりプロセスを踏んで新規事業を起こしているイメージがありますが……。

土屋:ソニーも部署によって違いますね。当時のVAIOなんかはまだ事業がスタートして日が浅かったので、結構チャレンジが多かったんですよ。僕が新人研修で作ったサービスが半年後にリリースされるくらいのノリでしたから、そこで今の仕事のスタイルの源流ができたのかもしれません。

一方、僕が部署を転々としていた頃はソニーの調子が悪く、提案してもなかなか通らない、部署によっては上司が全部決める、あるいはレビューでダメ出しはするけれどディレクションはもらえない……といった状況もありました。

そんな中で最後に経験したプレステの部隊は、本社がアメリカということもあってプロダクトマネージャー制度を採用しており、企画がマネジメントをやるし、その人がUXデザインをしても誰も文句を言わないようなスタイルでした。これは日本でも流行るべきだという感覚を抱いてソニーを飛び出した部分があるので、ソニー時代の最初と最後のスタイルが、今につながっている気がします。

源:社内でいろいろなジャンルにチャレンジされてきたと思うのですが、一番大きな壁は何だったのか、それをどう乗り越えたのかを教えてほしいです。

土屋:ソニーを出た後の壁が本当に大きかったですね。いろいろな部署を渡り歩いてきたので、世の中に出ても半分くらいは通用するんじゃないかという甘い考えがあったのですが、いざ出てみたら「お前の言っていることが全くわからない」と言われました。40歳がですよ(笑)。

今思えば、それまではメーカーの社内文化があったから、起承転結が無い説明でも通じていたんですね。ITコンサルになってからはこれでは通用しないということで、コミュニケーション方法を基礎から1~2年かけて叩き直したのが、相当しんどかったです。

源:特にジェネラルな場で働く場合、自分の武器を活かす状況を作るためには、人間力そのものを備える必要があるんですね。ありがとうございます。

MITで事業開発のためのデザインを学び、ヘルスケアスタートアップを創業

本村:では永田さん、キャリアのご説明をお願いします。

株式会社BeatFit 取締役CPO(最高製品責任者) 永田 昌一 氏(以下、永田):僕のキャリアのスタートは、京都にあるsoftdeviceというデザインコンサル会社です。ここで家電や産業機器、医療機器など幅広い製品のUI/UXデザインを経験しました。

永田 昌一
株式会社BeatFit
取締役CPO(最高製品責任者) 永田 昌一 氏

2002年京都工芸繊維大学デザイン経営工学科卒業後、デザインコンサルティング会社であるsoftdeviceにてUIデザイナーとして家電から医療機器まで様々な製品をデザイン。2007年からサムスン電子ジャパンにてスマートフォンGALAXYのUI/UXデザイン及びデザインマネージメントに従事。2015年よりフルブライト奨学生としてマサチューセッツ工科大学(MIT)デザイン修士プログラムへ留学し、MS修了。MIT在学時に複数のスタートアップの立ち上げに関与し、特にバーチャルリアリティを用いて高齢者のQuality Of Lifeを向上するために生まれたサービス「RENDEVER」の立ち上げ時にアメリカの高齢者施設と関わる中で健康寿命の大切さを実感すると同時に「健康 × テクノロジー」の領域に大きな可能性を感じる。アメリカから帰国後、テクノロジーで健康に貢献すべくBeatFitを共同創業。

永田:softdeviceで5年ほどUI/UXデザイナーとして修行をした後、SAMSUNGに転職して、いわゆる事業会社のインハウスデザイナーになりました。ここでは7年ほど携帯電話やスマートフォン(Galaxy)の開発をしていたのですが、その頃にデザインとビジネスの境界線について学びたいと感じ、留学を考え始めました。

2015年、ボストンのマサチューセッツ工科大学にIntegrated Design & Management (IDM)というデザインプログラムが新設され、そこに2年ほど留学し、事業開発のためのデザインを学び、スタートアップの立ち上げ支援などを行っていました。

そして帰国後にヘルスケアスタートアップである現職のBeatFitを共同創業した流れです。

BeatFitでの肩書きはCPO(Chief Product Officer)という日本ではあまり聞かない役職ですが、製品全体の統括をする立場として仕事をしています。

当社もデザイナーを募集中です。BeatFitはデザイン、ビジネス、エンジニアリング、マーケティングなどを少数精鋭で行っているため、デザイナーもデザイン業務にとどまらず、他の領域に越境しながら業務を進めていきます。そのため、いろいろな領域にチャレンジする精神がある方を募集している点では、土屋さんと同じですね。

本村:ありがとうございます。現職について、デザイン業界だとCPOではなくCDO(Chief Design Officer)と名付けるのが一般的だと思うのですが、あえてProduct Officerとしたのは、何か理由があるのでしょうか?

永田:デザインのマネジメントをしているわけではないという点が一番大きいです。事業全体の売上やKGI、KPI、リソースなどの管理まで全て行うポジションなので、CDOやCXOという肩書きでは実際の業務内容とのギャップが出てきてしまいます。ここを鑑みて、創業当初からCPOにしました。

本村:今ご説明いただいたような役職に対する感覚は、キャリアのどのあたりで身に付いたのでしょうか?

永田:留学中ですね。SUMSUNGで働いていた時は、いちデザイナーとして仕事をしていて事業に深く関わってはいませんでしたが、留学中はスタートアップの立ち上げやそのシミュレーションを実際に行って、企画や制作、販売までを体験しました。その中で面白いなと思ったポジションが、アメリカではCPOと呼ばれていることを知ったんです。

本村:UI/UXデザイナーとデザインを事業に活用していく立場では視点が大きく異なると思いますが、具体的にどんな違いがあるのか教えていただけますか?

永田:純粋なUI/UXデザイナーとして働いていたときは、ユーザーしか見ていませんでした。ユーザーのためにできることをたくさん見つけ、優先順位を付けてやることを決めていた。しかし今は、やらないことを決めるほうが大事になったのが大きな違いです。事業リソースが限られている中でフォーカスするポイントを決め「それ以外はやらない」と決断する機会が非常に多いです。

本村:確かにUXデザイナーは「あれもやりたいこれもやりたい」と詰め込みがちですよね。

   
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