改めてFoodTech企業のリアルを考える【vol.2】フードテック企業の抱える課題とサービス成長

2021年1月14日に開催されたCTO meetupのテーマは、技術側面から紐解くFoodTechです。

FoodTech(フードテック)各社はどのような事業展開を行っているのか、技術者の目線でリアルな情報を語っていただきました。

今後フードビジネスの展開を考えている方や、FoodTechへの知見を深めたい方はぜひご覧ください。

本イベントレポートは、前編、中編、後編に分かれており、本記事は中編記事です。

ご登壇者

八木 達也 氏
八木 達也 氏|株式会社シン 取締役 CTO

東京大学工学部を卒業後、2010年4月にDeNA新卒入社。入社後6年程度国内のソーシャルゲーム事業に従事し、 サーバーサイド/クライアント開発、ゲーム企画、経営企画などを経験。2016年4月にメルカリに転職し、 子会社のソウゾウにて新規事業の開発やPOを経験。2019年7月にメルカリを退職し、2019年8月に株式会社シンに正式ジョイン。
藤崎 祥見
藤崎 祥見 氏|株式会社キッチハイク 共同代表 / CTO

筑波大学大学院システム情報工学研究科修了。大学在学中に休学し、1年間京都での修練後、西本願寺で住職の資格を取得。 その後、世界中の人々が無償で1つのものを創り上げていくオープンソースコミュニティに仏教の世界観との共通点を見いだし、エンジニアとして活動をはじめる。野村総合研究所でエンジニアとして5年間勤務。 2013年に山本雅也と共同でキッチハイクを創業。
宮本 巧
宮本 巧 氏|株式会社ポケットマルシェ プロダクトマネージャー

エンジニアとして受託開発会社2社を経て、2013年6月に株式会社インフォバーンに入社。 テクニカルディレクター兼エンジニアとして数々のオウンドメディア構築に携わる。 2015年12月に同グループの株式会社メディジーンに移籍し、GIZMODO、Lifehacker、Business Insider Japan、DIGIDAYなどの自社メディア運営における開発マネージャー、データエンジニアとして従事。 2019年9月より株式会社ポケットマルシェにジョインし、「個と個をつなぐ」をミッションに日々活動中。

フードテック企業の抱える課題とサービス成長

株式会社キッチハイク 共同代表 / CTO 藤崎 祥見 氏(以下、藤崎):ではパネルディスカッションに進みたいと思います。先月、今回のイベントのために3人で打ち合わせをしたのですが、そのとき発覚したのが、我々の中にFoodTechを謳っている企業は一つも無かったということです。 というのも、FoodTechは非常に広い領域です。

藤崎:これは2020年に日経BPから出版された『フードテック革命』という書籍の「Food Innovation Map 2.0(フード・イノベーション・マップ2.0)」です。これだけある領域のうち、自社サービスはどこに位置しているのかを示してみたところ、見事にばらばらでした。

株式会社シン 取締役 CTO 八木 達也 氏(以下、八木):それぞれ全く違うサービスですからね。

藤崎:ポケマルはフューチャーバリューチェーンに位置するとのことですが、Farm to テーブル、つまり生産者から直接買える領域というイメージが強いです。

株式会社ポケットマルシェ プロダクトマネージャー 宮本 巧 氏(以下、宮本):サービスの根幹部分ですね。この言い方には良し悪しもありますが、いわゆる「無農薬」にこだわって作っている生産者の方もいらっしゃるので、食の安心・安全に貢献している部分もあると思います。

藤崎:Farm toテーブルとFarm toレストランでいうとどちら寄りですか?

宮本:基本的にはテーブルですが、ポケマルから食材を購入している店舗経営者の方もいらっしゃいますし、レストラン経営をしている企業に生産者を紹介するといった取り組みにもチャレンジしています。

藤崎:チョンピーは「家の中の食」と「家の外の食」の両方に領域がまたがっているのですね。

八木:家の中の食以外に、社食もターゲットなんです。サービスの初期は「オフィスランチ便」というオフィス向けの宅配サービスをトライアルで行っていて、今も一部の企業には導入しています。「オフィスランチ便」自体は「らくとく便」に統合されました。

送料を抑え低価格で食材を届ける仕組みづくりが課題

藤崎:そういえば最初に八木さんが2人以上で共同購入する仕組みのお話をされていましたが、かなり興味があります。キッチハイクはまさに地域から食材を届けているので、まとめて届けられるような共同購入に仕組みがあればもっと魅力的になるのではと考えているんですよ。自分たちで考えると仕組み化が難しいなと思うのですが、どのように設計や実装をしたのでしょうか?

八木:難しいのは決済部分ですね。画面数も多いし、トランザクションもかなり複雑になるので、担当者が苦労しながら作っていました。

宮本:ポケマルでも共同購入にはチャレンジしたいですね。例えば同じマンションに住む人同士で一緒に購入するとか……。

藤崎:「おすそわけ」のような文脈でしょうか?

宮本:それもありますし、送料を折半するイメージですね。

藤崎:他社の共同購入アプリサービスは一定時間のうちに入札するタイプもありますが、八木さんのところもそうですか?

八木:いえ、全く違います。うちの場合は一緒にご飯を食べるために共同で注文するという感じなので、配達場所が同じなんです。URLを通じてカートを共有できて、お互いカートに追加したものが同期されます。

藤崎:では宮本さんが目指すようなものですね。

宮本:あとは、ピックアップポイントなんかも作れたらと思っているんです。クックパッドマート的なものですね。我々の規模だとなかなか難しいのですが。

オンラインで行う料理イベントは食育の観点でも好評だった

藤崎:領域の話に戻ると、キッチハイクとしてはコミュニケーション系やライブコンテンツとしての食という領域で展開していきたいと思っています。今提供しているオンラインイベント自体は、テレビとラジオの間の料理教室のようなコンテンツです。イメージ的には、土日に家族皆で映画を観るか、それともキッチハイクで地域から食材を取り寄せて料理を作るか……といったように、家族で楽しめるアクティビティの一つとして捉えてもらいたいんです。

八木:うちも子供がいるので面白そうです。子供と一緒に作る想定でコンテンツが作られていて、それを見ながらいい感じに料理ができるといいですよね。

藤崎:実際にユーザーさんからも「子供の食育になります」というコメントもいただいています。例えば伊勢海老が生きたまま届くのですが、伊勢海老はギーギー鳴くし、かなり俊敏に動きます。それを見た上で調理をして命をいただく。こういう過程があるコンテンツは、非常に食育に向いているなと思います。

宮本:ポケマルでもそれに近いことをたまにやっています。2020年の夏休みはコロナ禍でなかなか遊びに行けないということで、生産者の方にオンラインで味噌作り体験会をやってもらったんです。僕自身も子供と参加しましたが、味噌ができる過程を知れてとても教育に良かったです。

コロナによって生じたフードロスの問題をきっかけにサービスが成長

藤崎:ポケマルはフードロス削減や食の文化継承・創造といった領域におけるFoodTechでもあるのでしょうか?

宮本:コロナ禍になる以前から、フードロス削減の文脈でサービスを使ってくださる生産者の方がいました。既存の大規模流通に乗せるとどうしても規格外の食材が出てしまうのですが、見た目が悪いだけで味は美味しい。そういったものをポケマル上に値段を下げずに出品すれば、廃棄になる可能性があった食材が収益につながりますし、美味しく食べてもらえます。 コロナ禍が訪れてからは、学校が休校になって給食がなくなったり、飲食店も閉店してしまうといった状況があり、生産者側で大量の廃棄が出ています。そこでポケマルを活用してくれる方が増えました。

藤崎:コロナで食材が大量廃棄されたという話は、ニュースにもなっていましたね。

宮本:特に3月から6月までの間は、ほぼ毎日何かしらの形でメディアに取り上げられていました。そのときに、かなりサービスが成長した経緯があります。

藤崎:文化継承・創造という視点はいかがですか?

宮本:ポケマル上には非常にマイナーな種類の食材が売っていたりするので、生産者側からすると、食材を購入してもらえるだけでも種を絶やさずに継承していくことにつながります。創造という点では例えば、食材を購入すると生産者自身が独自に持っているレシピが同封されたりします。

藤崎:食文化はキッチハイクとしても展開したい領域です。地域の生産者から食文化やレシピ、調理の技について話を聞くというのは、とても価値あるものだと考えています。それをコンテンツとしてユーザーに届けたいという思いで、オンラインイベントを開催しています。ポケマルではオンラインイベントに取り組んでいますか?

宮本:先ほど夏休みに開催したオンラインイベントの話をしましたが、それ以来少しずつ取り組み始めています。あとは、生産者とポケマル社員、さらにポケマルのユーザーも含めた懇親会のようなものをZoomで行うなど、関係者が話し合う場がかなり増えました。

FoodTech企業はコンサル的な支援も含めてホスト側との連携が必須

藤崎:3社のサービスの特徴として、ホスト側との接触頻度が高いことが挙げられます。八木さんの場合ホスト側はレストランなどの店舗だと思いますが、企画を一緒に考えたりもするんですか?

八木:そうですね。デリバリーやテイクアウトと来店では消費者の求めるものが違うことが多いのですが、Chompyはデリバリー自体初めてというお店も多いということが特徴として挙げられます。

そのため、Chompy上でお店の魅力に触れてもらいやすくするために、デリバリーニーズに合わせた商品構成や価格設定を提案しつつ一緒に考えています。初めてのデリバリーで意外とつまずきやすい容器選びをサポートしていたり、また最近では新しくお店向けのスマホアプリを提供していて、そこの新機能を使ったファンづくりのサポートもしています。

藤崎:コンサル領域まで含んだりしますよね。ポケマルでも値段や売り方の話は生産者側とするんですか?

宮本:ありますね。当社の場合は生産者の方自身が商品の値段を決めますし、掲載写真や説明文も全て生産者側で用意します。当然、単純に「トマト」と書くだけでは誰も引っかからないですし、写真も良い感じに撮らないと目立ちません。このあたりの手法について、無料のオンライン講座を開いて伝えていく取り組みをスタートしました。

藤崎:サポートが手厚いですね。当社も参考にしたいです。

質疑応答

「食」は人と人とが新しいつながりを得る手段のひとつ

質問者:みなさんは食についてどのように定義していますか?


藤崎:キッチハイクの場合は「交流」という軸で、「家族やほかの人と一緒に食べる食事」というものにフォーカスしています。食事は栄養摂取だけが目的ではなく、人と人とが交流し、仲良くなるためのきっかけ、と考えています。

八木:定義については正直なところあまり深く考えたことは無いのですが、コミュニケーションの媒介になるというのはまさしくその通りですね。僕自身は新たにコミュニケーションサービスを作りたくて会社を立ち上げましたし、食を通じて店舗やユーザー、配達員と新しいつながりが生まれるのは非常に面白いと感じています。

宮本:僕もお二人がおっしゃっていることと近くて、交流やコミュニケーションが食のメインだと思っています。我々は産直SNSになりたいですし、会社のミッションとしても「個と個をつなぐ」というミッションを掲げています。代表が会社を立ち上げたときも、もともと生産者側と交流があったから食の世界に入ったという経緯があるので、食は手段だという点に非常に同意します。

藤崎:3社ともセンシングや完全食といった技術的な部分ではなく、食べる、楽しむといった文化的な領域にいるんですよね。

宮本:FoodTechというともっと技術やサイエンス寄りのイメージですよね。我々はもっとエモい位置なのかもしれません(笑)。

オンライン特有の距離感は特に料理教室にとって大きなメリット

質問者:藤崎さんは食を通じた交流という観点で、リアルとオンラインの違いやメリットを感じた経験はありますか?


藤崎:いろいろありますが、シンプルに言うとオンライン交流の一番大きなメリットは自宅で参加できることです。特に小さなお子様がいるご家庭の場合、子供にいろいろな経験をさせたいという共通の思いがある一方、今はなかなか外に出られません。そんな中でも安心して参加できる食コンテンツなので、大きな可能性を感じています。

八木:参加するのも簡単ですしね。

宮本:僕も実際にオンライン料理教室に参加したことがあります。自分が直接子供に料理を教えるとなるとストレスがかかるのですが、オンラインで第三者を挟むと、本当に楽しく料理ができるなと実感しました。

藤崎:テレビだと離れすぎてしまいますし、リアルの場だと気が抜けない。その点オンラインは絶妙な距離感ですよね。双方向の会話もできる一方で、目を離してラジオ的に聞くこともできますから。


   


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【前編】技術的側面から紐解くFoodTech / 各社の取り組み
【中編】改めてFoodTech企業のリアルを考える / フードテック企業の抱える課題とサービス成長
【後編】 FoodTechサービス開発のリアル / 各社が利用している開発言語とフレームワーク


この記事を書いた人
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