エンジニアリング思考とデザイン思考で事業をブーストさせる ―― READYFOR・町野明徳さん

CTOインタビュー

国内初・日本最大級のクラウドファンディングサービス「Readyfor」。 2011年にオーマ株式会社の一事業としてスタートした同サービスは、その後規模を拡大。2014年に事業譲渡を経てREADYFOR株式会社が設立されて以降、昨年2018年には初の外部資金調達も実施し、事業を急加速しています。 プロジェクト達成率約75%を誇るReadyforですが、一方で経営陣にエンジニア出身者がおらず、プロダクト開発力の強化が課題となっていました。

そこで2019年1月にCTOとして招かれたのが、スマートニュース立ち上げの初期メンバーとして活躍し、自動運転やブロックチェーンなど幅広く新技術を扱ってきた町野さん。その経歴の変遷をはじめ、READYFORで実現したいこと、さらに同社におけるCTOの役割の捉え方についてお伺いしました。

Readyfor-CTO

元研究者志望、0→1フェーズの「何でも屋」

町野さんは学生で起業され、その後も様々なプロジェクトに携わっていますが、経歴を簡単に教えてもらえますか?

町野:学部時代は東大の理学部で物理学を専攻していて、宇宙論や素粒子物理学などの勉強をしていました。そのまま大学院にも進学したのですが、当時の産学連携本部(現在は産学協創推進本部)が主催していた起業家育成プログラムに参加したことがきっかけになって、起業という道を選ぶことになりました。 そのとき出したアイデアは「Web上で数式を扱いやすくする」というニッチな話だったのですが、もともと基礎研究分野の研究者になることを目指していたこともあり、世界の研究や教育を推し進めたいという想いが強かったんです。もともとコンピューターサイエンスを学んでいたわけではなかったので、プログラミングは起業してから勉強を始めたんですよ。

2010年に設立した会社は、事業を軌道に乗せることができず、大きな挫折を経験しました。その後フリーの活動を経て、2012年に創業初期のスマートニュース社に参画。今度は事業の急成長を経験することになりました。初期は人数がいないので、デザインから開発から媒体社との渉外まで、文字通りの「何でも屋」をやっていましたね。組織規模が大きくなってきてからは、主に iOS/Androidアプリのプロダクトマネジメントを担っていました。

スマートニュース退社後は、DeNAに新しく発足したオートモーティブ事業部で自動運転関連ロジェクトの立ち上げ、その後は独立してブロックチェーンの研究なども行っていました。

様々なプロジェクトやテクノロジーに関わってきた中で、次の挑戦の場にReadyforを選んだ理由はなんでしょう?

町野:自動運転やブロックチェーンもそうなんですが、「社会に大きなインパクトを与える仕事にずっと関わっていたい」という思いが強いんです。大きなイノベーションが生まれるためには、強い想いを持った挑戦者と、その挑戦者をサポートするエコシステムが必要です。 例えば基礎研究などは既存の金融システムでは資金調達が難しい領域なのですが、Readyforは、そうした経済合理性だけではお金が流れにくいところにも、資金が流れる仕組みづくりを目指しています。Readyfor の「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」というビジョンに共感し、これから目指す世界観も一致したことが大きかったですね。

非線型な事業成長に必要なエンジニアリング視点

実際にReadyforに入社してどのような活動をされていますか?

町野:まずは現状把握ですね。我々がどこに強みを持っていて、どのようなところに課題や伸びしろがあるのかを、社内でのヒアリングを通して理解・整理することから始めました。Readyfor は「キュレーター」と呼ばれる優秀なメンバーが行う丁寧なサポートを強みに、高いプロジェクト達成率を実現しています。また、地方自治体や地銀・信金、大学など、日本全国に広がる提携ネットワークを持っていることも大きな強みです。 一方で、社内に十分なエンジニアリング組織がなかったため、プロダクト自体の改善がどうしても後手後手になってしまっている状況でした。目に見える手前の課題に追われ、中長期的なプロダクト戦略が弱かった。逆にいえばそこに大きな伸びしろがあり、プロダクトを改善することで、Readyfor の持つネットワークを活かした大きな事業成長ができると感じました。

具体的には、どのようなプロダクト改善から進めているのですか?

町野:スタートアップあるある話ではあるのですが、創業時に優秀なエンジニアが個人で一気に作ったプロダクトが、組織規模が大きくなるにつれて維持が困難になっていくことはよく起こります。Readyfor でも、大きなモノリスとなったシステムをどう整理するかという課題はまずありますね。 組織が拡大していていけば、これまでの仕様や背景を知らないメンバーがどんどん入ってくるわけですが、モノリシックなシステムであればあるほど、改善の初動は遅れてしまいます。今後の様々な挑戦を高速に行えるように、適切な粒度でのサービス分割とシステム基盤の整備から進めています。 そうした基盤が整ってくることで、今度はユーザー体験に直結するプロダクトのUI/UXの改善なども、効率的かつデータに裏打ちされた形で進めることができるようになります。優秀なエンジニアに加え、エンジニアリング思考・デザイン思考を併せ持ったプロダクトマネージャーも必要になりますね。

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CTOに求められる経営者としての役割

多彩な経歴を持つ町野さんですが、CTOを担うのは初めてとお伺いしています。不安などはありますか?

町野:私はこれまで、開発以外も幅広く担当する「何でも屋」として動くことが多く、職人的なエンジニアではなかったので、最初”CTO”というタイトルを持つことへの不安もありました。エンジニアリング領域もUI/UXを中心としたフロントエンド寄りでしたしね。 ただ、CTOに求められることは、会社の考え方やフェーズによっても可変的です。プレーヤーとしてコードをバリバリ書いて開発をリードすることが求められることもあれば、より組織マネジメントや経営レイヤーでの意思決定をすることが求められる場合もあります。 今回、Readyforが必要としていた役割はむしろ後者で、私のこれまでの経験を活かし他の経営メンバーと共に中長期的な事業戦略を定めていくことに大きな責任を担っています。自分としても事業を創っていくことに一番の強みと想いがあるので、そこに大きなやりがいを感じています。

経営メンバーとしてCTOが果たすべき役割はどのようなものがありますか?

町野:技術が分かる人間が経営レイヤーにいることの重要性はいくつかありますが、まずは「翻訳」があります。 例えば、システムが抱える技術的負債をどう解消するか、最新のテクノロジーは事業にどう活用できるかといったことは、技術バックグラウンドがないと分かりにくい話ですが、技術系役員がきちんと把握・翻訳して、経営上の議論をできるようにする責任があります。 もう1つは、アジャイルかつリーンな経営を主導する役割もあると考えています。テクノロジーの進歩が速く、1年先の未来すら正確に予測することが困難な現代社会において、不確実性マネジメントは非常に重要です。プロダクト開発の世界では、スクラムなどのアジャイル開発手法が確立されていますが、これは経営レベルの意思決定にも応用できます。 競争が激しい世界で、会社が持つリソースをどう活かし、どう素早い意思決定をしていくか。また、顧客の求める本質的なニーズをどう抽出していくか。プロダクト開発で培ったエンジニアリング思考やデザイン思考を駆使して事業をブーストする役割を担っていると思っています。

事業を加速させていく中で、エンジニア採用はどのように進めていく予定ですか?

町野:エンジニア採用は最優先事項ですね。優秀なエンジニア人材が業界全体的に不足している中で、Readyforを選んでもらえるように、様々な準備をしているところです。DX (Develper Experience; 開発体験) の高い開発環境の整備や、人事評価制度や福利厚生制度の見直しを含め、エンジニアが全力で挑戦ができる組織を作っていきます。Readyforの「第二創業期」ともいえる変革の時期に、大きなビジョンを一緒に目指せる仲間を大募集中です。

企画/編集:FLEXY編集部

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