Kotlinとは?Javaとの違いや言語を習得するメリットを解説
近年、KotlinはJavaとの互換性を持ちながら、より簡潔に安全性の高いコードを書くことができると、多くの開発者から支持されています。
本記事では、Kotlinとはどのような言語なのか、その特長や習得するメリット・デメリット、さらには効果的な学習方法から将来性まで、Kotlinについて知りたい全てを詳しく解説します。
目次
Kotlin(コトリン)とはJetBrains社によって開発されたプログラミング言語
Kotlin(コトリン)は、JetBrains社が開発した静的型付きのオブジェクト指向プログラミング言語です。Java仮想マシン(JVM)上で動作し、Javaの欠点を補いつつ、より簡潔なコードで開発できることを目的としています。
そのため、Javaとの相互運用性も高く、既存のJavaライブラリやフレームワークをKotlinから利用することも可能です。
KotlinとJavaの違い
KotlinはJavaと比較して、より簡潔にコードを記述できるように設計されています。Javaでは冗長なコードが必要となる場合でも、Kotlinでは少ない行数で同等の機能を実現することが可能です。例えば、データクラスの定義やゲッター・セッターの自動生成など、開発を効率化する機能が豊富に用意されています。
また、KotlinはNull安全性を重視しており、NullPointerException(ヌルポインター例外)を防ぐための仕組みが言語レベルで組み込まれているのも特長です。一方、Javaではnullを許容する設計となっているため、開発者が注意深くコードを記述しないと実行時にエラーが発生しやすいという問題があります。
Kotlinでは、null許容型と非null許容型を明確に区別することで、コンパイル時にnull関連のエラーを検出でき、より安全なプログラムを開発することが可能です。
Kotlinの基本構文
Kotlinの文法はJavaに似ている部分もありますが、より簡潔で表現力豊かな書き方ができる点が特長です。ここからは、Kotlinの基本的な構文について解説します。
- 変数の宣言
- 関数
- 条件分岐
- ループ
- 例外処理
変数の宣言
Kotlinでは、変数を宣言する際に「var」と「val」の2つのキーワードを使い分けます。varは再代入可能な変数を宣言する際に使用し、宣言後に値を変更することが可能です。一方、valは再代入不可能な変数を宣言する際に使用し、一度値を設定すると変更できません。
これにより、意図しない値の変更を防ぎ、より安全なコードを書くことが可能です。
関数
Kotlinで関数を定義するには、「funキーワード」を使用します。関数名の後に括弧で引数を指定し、中括弧で関数本体を記述する流れです。例えば、名前を受け取って挨拶を返す関数は以下のように定義できます。
fun greet(name: String): String {
return “Hello, $name!”
}
上記の例では、greetという名前の関数を定義しており、nameという名前の引数を受け取り、String型の戻り値を返します。関数本体では、文字列テンプレートを使用して挨拶文を生成しています。
条件分岐
Kotlinでは、条件分岐として「if文」と「when文」を使用します。if文は他の多くのプログラミング言語と同様に、条件が真の場合に特定の処理を実行する関数です。例えば、以下のように2つの数値のうち大きい方を返すことができます。
val max = if (a > b) a else b
この例では、aがbより大きい場合はaを、そうでない場合はbをmaxに代入します。
when文はJavaのswitch文に似ていますが、より強力で柔軟な構文です。when文は、与えられた値に応じて異なる処理を実行します。例えば、以下のように数値に応じたメッセージの表示が可能です。
when (x) {
1 -> println(“One”)
2 -> println(“Two”)
else -> println(“Other”)
}
上記の例では、xの値が1の場合は”One”を、2の場合は”Two”を、それ以外の場合は”Other”を出力します。
ループ
Kotlinでは、繰り返し処理を行うために複数のループ構造が用意されています。なかでも、「forループ」と「whileループ」が代表的です。
forループは、配列やコレクションなど、反復可能なオブジェクトに対して繰り返し処理を行います。例えば、以下のようにコレクションの各要素を出力することが可能です。
for (item in collection) {
println(item)
}
この例では、collection内の各要素をitemとして取り出し、その値を出力します。
一方、whileループでは、指定された条件が真である間、繰り返し処理を行うループ構造です。例えば、以下のように条件が満たされるまでループを続けられます。
while (condition) {
// 処理
}
こちらの例では、conditionが真である間、中括弧内の処理が繰り返し実行されます。
例外処理
Kotlinでは、Javaと同様に例外処理として「try-catch構文」を使用します。この構文は、エラーが発生する可能性のある処理をtryブロックで囲み、エラーが発生した場合にcatchブロックで適切な処理を行うものです。プログラムがクラッシュすることなく実行を継続できるようにするために使用されます。
例として、以下のようにファイル読み込み時の例外を処理することが可能です。
try {
// エラーが発生する可能性のある処理
} catch (e: ExceptionType) {
// エラー発生時の処理
}
こちらはtryブロック内でエラーが発生する可能性のある処理を実行し、ExceptionType型の例外が発生した際はcatchブロック内の処理が実行される内容です。こうすることで、エラーが発生してもプログラムが異常終了することなく、適切に対応できます。
Kotlinを習得するメリット
Kotlinを習得することで得られる具体的なメリットについて詳しく解説します。
- 記述量が少なく簡潔なコードが書ける
- Javaと相互利用ができる
- 例外エラーが発生しにくい
- 学習難易度が低い
- Kotlinエンジニアは年収相場が高めである
記述量が少なく簡潔なコードが書ける
Kotlinのメリットの一つは、Javaに比べてコードの記述量が少なく、簡潔なコードを書けることです。これは、KotlinがJavaの冗長な構文を省略し、よりシンプルで直感的な文法を提供しているため実現しています。
また、Kotlinでは行末のセミコロンが不要であるため、コードの可読性が向上し、ミスタイプの防止にも役立つでしょう。型推論の機能により、変数の型宣言を省略できる場面も多く、コードを簡潔に保つことも可能です。
Javaと相互利用ができる
KotlinはJavaと100%の相互運用性を持っており、既存のJavaプロジェクトへ統合できます。これは、KotlinがJVM(Java仮想マシン)上から動作することにより、Javaの豊富なライブラリやフレームワークをそのまま利用できるためです。
こうした仕組みにより、Javaで書かれた既存のコードベースを維持しながら、新しい機能をKotlinで開発するといった柔軟な対応ができます。また、JavaからKotlinのコードを呼び出すことも、その逆も可能です。
例外エラーが発生しにくい
Kotlinは安全性の高い言語設計を持っており、特にNull安全機能によって例外エラーの発生を抑えることができます。JavaではNullPointerException(ヌルポインター例外)が頻繁に問題視されますが、Kotlinではnull許容型と非null許容型を明確に区別することで、コンパイル時にnull関連のエラーを検出することが可能です。
学習難易度が低い
KotlinはJavaと似た文法を持ちながらも、より簡潔で直感的な構文を提供しているため、比較的学習難易度が低い言語です。特にJava経験者にとっては、その類似性から短期間での習得も期待できます。また、Kotlinの公式ドキュメントは充実しており、初心者にも分かりやすく解説されているため、独学での学習もおすすめです。
Kotlinエンジニアは年収相場が高めである
Kotlinエンジニアは需要に対して供給が追い付いていない状況にあり、年収相場は比較的高めです。特にフリーランスの場合、年収900万円程度を見込めるでしょう。Kotlinエンジニアの年収について以下で詳しく解説しているため、参考にしてください。
Kotlinを習得するデメリット
Kotlinを学習する際に考慮すべきデメリットについて解説します。
- 日本語の情報が少ない
- Androidアプリ以外の開発事例が少ない
日本語の情報が少ない
Kotlinは、比較的新しいプログラミング言語であるため、日本語での情報が限られているというデメリットがあります。
特に、技術的な問題を解決する際には英語で記載された情報に頼る必要があるケースが多く、日本語のドキュメントやコミュニティがまだ十分に発展していない状況です。そのため、一定の英語力が求められるでしょう。
Androidアプリ以外の開発事例が少ない
Kotlinは主にAndroidアプリの開発で使用されてきたため、他の分野での開発事例がJavaと比較すると少ないことが課題です。そのため、Javaと比較すると汎用性で劣る面があります。ただし、近年ではサーバサイド開発にKotlinを採用する大手企業も増えており、今後はAndroidアプリ以外の事例も増加することに期待できるでしょう。
Kotlinのユースケース
ここからは、Kotlinが実際にどのような分野で活用されているのか、具体的なユースケースを紹介します。
- Androidアプリ開発
- Webアプリケーション開発
- サーバサイド開発
Androidアプリ開発
KotlinはAndroidアプリ開発において重要な役割を果たしています。2017年にGoogleが公式にAndroid開発の推奨言語としてKotlinを採用したことで、その地位はさらに強固なものとなりました。
Kotlinを使用することで、コードの記述量が減少し、開発効率が向上します。また、Null安全性をはじめとする言語の安全性により、バグの少ない高品質なアプリケーションを開発することが可能です。
Webアプリケーション開発
KotlinはWebアプリケーション開発にも適しており、多くのフレームワークと組み合わせて使用できます。特にSpring Frameworkとの互換性が高く、大規模な企業向けアプリケーションの開発に利用されているのも特長です。
また、KotlinはJavaScriptにトランスパイル可能であるため、フロントエンド開発にも活用できます。サーバサイドとフロントエンドで同じ言語を使用することで、開発効率を向上させることが可能です。
サーバサイド開発
KotlinはJava Virtual Machine(JVM)上で動作するため、Javaベースの既存システムとの互換性が高く、移行コストを抑えつつ導入することが可能です。特にSpring BootなどのJavaフレームワークと組み合わせることで、高性能なバックエンドシステムを構築できます。Kotlinの簡潔な構文と高い生産性は、サーバサイド開発においても大きなメリットです。
Kotlinに将来性はある?
Kotlinはまだ比較的新しい言語であり、現状の普及度はJavaに比べて限定的です。しかし、簡潔な文法やJavaとの互換性、安全性の高さなどから、多くの開発者や企業が注目しており、将来性は高いと考えられています。GoogleがAndroid開発の推奨言語としてKotlinを採用したことも、その将来性を裏付ける大きな要因です。
【入門者向け】Kotlinの学習方法
Kotlinをこれから学びたいと考えている方向けに、効果的な学習方法を解説します。
- 専門書籍・学習サイトを活用する
- コミュニティ・勉強会に参加する
- プログラミングスクールに入校する
専門書籍・学習サイトを活用する
Kotlinを学ぶための最も手軽な方法の一つが、専門書籍やオンライン学習サイトを活用することです。書籍は、初心者向けから上級者向けまで幅広く提供されており、自分のレベルにあわせて選ぶことができます。また、オンライン学習サイトでは、動画講座などを通じて実践的にKotlinを学ぶことが可能です。
コミュニティ・勉強会に参加する
コミュニティや勉強会への参加もおすすめの学習方法です。プログラミングコミュニティでは、他の開発者と交流しながら知識を深めることができ、実践的なスキルも磨けます。
また、勉強会では、経験豊富なエンジニアから直接アドバイスを受けたり、一緒にプロジェクトを進めたりすることができるため、自分一人で学ぶよりも効率的にスキルを向上させることが可能です。
プログラミングスクールに入校する
より効率的かつ確実にKotlinのスキルを身につけたい場合は、プログラミングスクールへの入校も検討してみましょう。スクールでは、専門の講師から直接指導を受けられるため、独学で習得するよりも効率的かつ確実にスキルを身につけられます。
また、カリキュラムは実践的な内容が多いため、Androidアプリ開発など具体的なプロジェクトを通じて実践力を養うことが可能です。Kotlinの学習方法について気になる方は、以下をご一読ください。
Kotlinを一通り学んだら実務経験を通して理解を深めよう
Kotlinの基礎を学び終えたら、実際の開発プロジェクトに参画し、実務経験を積むことでさらなるスキルアップを目指しましょう。学んだ知識を実際の開発に適用することで、より深い理解を得ることが可能です。
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需要が高まるKotlinをマスターして市場価値の高いエンジニアを目指そう
Kotlinはサーバサイド開発やWebアプリケーション開発など、Androidアプリ以外の分野でも活用され始めており、その汎用性は着実に広がっています。Null安全性をはじめとする数々の優れた特長は、開発効率の向上とバグの削減に大きく貢献し、結果として高品質なソフトウェアの開発を実現します。
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