PythonでWebアプリケーションを開発!メリットや手順、注意点を解説
Pythonは可読性が高く初心者にも扱いやすいプログラミング言語で、OSの種類を問わず導入できます。そのため、今やWebアプリケーションの開発には習得必須です。そこでPythonを使うべきメリットや注意点を紹介します。短期間でWebアプリを開発するためのフレームワークや開発手順についても解説します。
目次
Webアプリケーションを開発できるPythonの仕組み
Pythonはアプリケーション開発やデータ分析、機械学習などでよく使われている、人気のプログラミング言語です。文法がシンプルで、ソースコードが読みやすいなど、扱いやすさからWebアプリの開発に使用されます。
Pythonは行頭に空白を入れる「インデント(字下げ)」ルールに従うため、他の言語で必要な中括弧などが不要です。ブロックの範囲がわかりやすく初心者に最適です。またPythonはオープンソースのため、ライブラリやフレームワークの利用や改良が自由にでき、多くのエンジニアやコミュニティによる情報の共有もあります。
PythonでWebアプリケーションを開発するメリット
PythonでWebアプリを開発するメリットは多数あります。
効率よく開発できる
Pythonは文法やソースコードがシンプルなため、効率的にWebアプリの開発を進められます。
文法がシンプルで理解しやすく、コードの記述量が少ないため、コード入力の時間を削減でき、可読性の高さからデバッグ(エラーやバグ)にかける時間も短縮できます。さらに、ソースコードの記述ルールも統一しやすくなるため、チームでの共同作業をスムーズに進められるでしょう。
OSの種類を問わず開発環境を導入できる
通常、プログラミング言語は開発環境のOSに合わせなければなりません。例えばWindowsならJavaやC#、MacならGo言語やSwift、LinuxならシェルスクリプトやC言語など、OSにより適応する言語に違いがあります。
しかしPythonはマルチプラットフォーム対応のため、WindowsやmacOS、LinuxなどどんなOS環境でも導入できるのが強みです。
また、他の言語や技術との統合性・拡張性にも優れています。例えば多言語で書かれたモジュールを利用したり、多言語との間でデータのやり取りをしたりも可能なため、言語やシステムをまたぐ作業もシームレスに行えます。
エラーが発生しにくい
Pythonの文法は可読性が高く、コードがシンプルなため、たとえエンジニアの経験が浅くても、エラーが発生しにくいのアプリを開発できます。
インデントや文字の使い方には細かいルールがあるため、最初に基本をおさえることが重要です。ルールに従うことで、Pythonは他の言語よりエンジニアによるコーディングの差が出にくいため、構造に一貫性が保たれます。
さらに、誰が読んでもわかりやすいコードのため、万が一エラーが発生しても、他のエンジニアのミスに気付き、手直ししやすいのが特徴です。
コンパイルが必要ない
コンパイルとはプログラミング言語で記述されたソースコードを、コンピューターが実行できる形式のオブジェクトに変換することです。言語によっては、このコンパイルの手順を踏まなければ、プログラムが実行できない場合があります。
しかしPythonは記述したコードの解釈と実行を即時に行える「インタプリタ言語」のため、コンパイルは不要です。プログラムの動作をすぐに確認することができ、工数も削減できるため、スピード感をもって開発できます。
コンパイルは複雑でエラーが起こりやすい点がデメリットですが、Pythonはコンパイル不要でコーディングできるため、初心者でも扱いやすい言語です。
フレームワーク・ライブラリが豊富にある
フレームワークとはログインやログアウトなど、汎用性の高い機能をまとめて雛形にしたものです。このフレームワークを活用すれば、開発の作業を効率的に進められます。
Pythonのフレームワーク以外にも、外部に「Django」や「Flask」など優れたフレームワークが多数あります。開発するWebアプリに最適なフレームワークを利用すれば、ヒューマンエラーを最小限に抑えられるため、迅速なWebアプリの開発が可能です。
また、Pythonはライブラリの種類も豊富です。ライブラリとは、よく使われるコードや関数などをまとめたもので、代表的なものに「NumPy」や「pandas」があります。
これらのライブラリを活用することで、高度な計算処理や機械学習機能を初心者でも容易に実装できます。フレームワークやライブラリを活用して、開発工数を削減しながらスムーズにWebアプリの開発を進めましょう。
PythonでWebアプリケーション開発に使用できる代表的なフレームワークの違い
Webアプリ開発に使用するPythonのフレームワークは多数ありますが、代表的なフレームワークとそれぞれの違いについて解説します。
Pythonのフレームワークについて詳しく知りたい方は「2024年おすすめPythonフレームワーク9選 | 人気や用途など徹底解説」の記事もご参照ください。
Django(ジャンゴ)
Pythonにおいて最もよく知られたフレームワークのひとつで、開発に必要な機能がひと通り揃った、「フルスタックフレームワーク」です。
元々Djangoは、ニュース記事などをWebで扱いやすくするため、2005年にリリースされました。現在はDjangoソフトウェア財団管理のもと、コンテンツ管理システム、SNS、ニュースサイトなど、さまざまな用途に活用されています。
組み込まれている機能が多いためDjangoの難易度はやや高いですが、使い方さえマスターできれば、大規模なWebアプリの開発に対応できます。
Flask(フラスク)
「Flask」もPythonでは人気の高いフレームワークですが、Djangoとは対照的に、機能は必要最小限に絞られており、軽量であることが特徴です。
小規模なWebアプリやプロトタイプの開発に適しており、簡単なアプリであれば、わずかなコード記述だけで起動できます。習得するスキルも少ないため、初心者にもおすすめのフレームワークです。
Tornado(トルネード)
「Tornado」はチャットアプリやオンラインゲームなど、高い並行処理能力を必要とするアプリ開発に適しています。
一度に実行できるタスクはひとつしかないシングルスレッドで、イベントループとコルーチンを使って、非同期でI/O処理を実行できるのが最大の特徴です。そのため同時に、複数の接続を高速で処理できます。
初心者にとっては難易度が高いフレームワークではありますが、非常に軽量で高速処理に優れているため、一度にアクセスが集中するようなシステムの開発に適しています。
PythonでWebアプリケーションを開発する手順
ここからはPythonでWebアプリを開発する手順を解説します。
1.開発環境を整える
まずは、必要な開発環境をインストールする必要があります。エディタやデバッグなど、機能ごとにインストールすることも可能ですが、必要な環境がまとめられている統合開発環境(IDE)を導入した方がスムーズです。
代表的なIDEは以下の3つです。目的に合うIDEを選びましょう。
- Pycharm(パイチャーム):
Pythonのアプリ開発に使用するフレームワークとの相性がよい - Visual Studio(ビジュアル スタジオ):
Windows、Mac、Linuxと多様なOSに対応。動作が素早い - Eclipse(エクリプス):
さまざまな機能がまとめられた万能型IDE
開発環境を整えたら、Pythonの最新バージョンを公式サイトからインストールします。さらにvenvやvirtualenvを活用し、プロジェクトごとの独立した仮想環境も準備します。フレームワークを使用する場合は、パッケージ管理ツールのpipを使ってインストールしておきましょう。
最後にWebサーバを設定します。Webサーバには以下の2つの選択肢があるので、目的にあわせて選んでください。
- ・Apache(アパッチ):
処理速度が速く、Webアプリの同時接続に強い - ・Nginx(エンジンエックス):
動的コンテンツなど、重い処理に強い
2.Webアプリケーションを開発する
開発環境が整ったら、DjangoやFlaskなどプロジェクトに適したフレームワークを用いて、開発を進めていきます。さらに、HTMLやCSSを用いてボタンやフォーム、レイアウトなどのUIを決定し、JavaScriptでページに動きを付けましょう。Webアプリが完成したら、動作確認をして、問題がなければ公開に進みます。
3.Webアプリケーションを公開する
HerokuやAWSなどのサーバを選定し、インターネット上で公開する準備をします。Webサイトの身分証明と暗号化通信のために、ドメイン名を設定し、SSL/TLS証明書を取得します。これを取得することで、HTTPSでのアクセスが可能となり公開可能です。最後に高パフォーマンスのためのアプリの最適化や、SQLインジェクション予防などのセキュリティ対策も行っておきましょう。
PythonのDjangoを使った基本チュートリアル
ここでは、Pythonのフレームワークのひとつ、Djangoを使った初期設定の方法を紹介します。
1.プロジェクトの作成
まずは機能やアプリをまとめるためのプロジェクトを作成します。「django-admin startproject mysite .」のコマンドを実行すると、必要なファイルが入ったディレクトリが作成されます。
2.プロジェクトの設定
次に、ディレクトリの設定ファイル「settings.py」を開いて、言語やタイムゾーンを設定します。
これらの設定は、アプリの動作に大きく影響するため、プロジェクトの要件どおり正しく設定することが重要です。
3.開発サーバの立ち上げ
「python manage.py runserver」のコマンドを実行して開発用の仮想サーバを立ち上げます。するとDjangoの初期画面が現れ、プロジェクトの中でアプリを作成できるようになります。Djangoの公式サイトでは、インストールや初期設定、投票アプリを例にした具体的なアプリの作り方など、詳しいチュートリアルが公開されているため、必要に応じて参考にしましょう。
PythonでWebアプリケーションを作るのに必要なスキル・知識
Pythonを使えばWebアプリを効率よく開発できますが、Pythonを使いこなすためにはスキルや基礎知識が必要です。
Pythonの基礎知識
まずは、大前提としてPythonの基礎知識を備えている必要があります。条件分岐やループ処理、例外処理、リストや辞書などのデータ型、関数や変数、クラスやオブジェクト指向プログラミングなどについて、正しく理解しておきましょう。
さらに、Pythonの開発環境を構築するスキルも重要です。PycharmなどのIDEを使って仮想環境を構築し、プロジェクトごとに依存関係を管理できるようにします。
知識を習得するのにおすすめの資格については「Python資格試験8種を一覧比較|難易度や特徴、資格の取得メリットとは?」の記事をご覧ください。
フレームワークの活用スキル
フレームワークを活用できれば、認証やデータベース操作といった共通の機能をその都度構築する手間が省け、開発にかかる時間が大幅に短縮できます。
ただ各フレームワークでは、記述ルールやテンプレートエンジン、関数などが違います。それぞれの特性を理解し、どのフレームワークが最適かを選ぶスキルも必要です。
HTML・CSS・JavaScriptの基礎知識
Webアプリ開発では、UIなどフロントエンドに関する技術力を高める必要性もあります。HTMLはページの構造を定義するために、CSSはスタイルやレイアウトを決定するために、それぞれ必要です。また、ユーザー側からの動的な操作の設定にはJavaScriptが不可欠です。さらにこうしたフロントエンドの処理はバックエンドと処理と連動させることが多いため、統合方法も理解しておかなければなりません。
PythonでWebアプリケーションを開発する際の注意点
Pythonは他の言語と比較して、使いやすさで抜きん出ているものの、Webアプリの開発に使用する際にはいくつかの注意点があります。
実行時に負荷がかかる
インタプリタ言語のPythonはコンパイルが不要な反面、1行ずつソースコードを読み込むため、実行時の負荷が大きくなります。そのため他の言語に比べ、実行速度が遅いのが難点です。特にCPU集約型のタスクや大規模なデータ処理を必要とするアプリの場合、パフォーマンスに大きく影響する可能性があります。
メモリリークが発生する場合がある
メモリリークとは、不要なオブジェクトが残り続けるせいで、メモリが解放されない状態のことです。Pythonの動的な特性は、メモリリークを発生させる可能性があります。メモリリークが放置され続けると、パフォーマンス低下やクラッシュにつながるため、適切な対策が必要です。
予防のためのツールとしては、不要なオブジェクトを自動的に解放する「gc.collect()」、メモリの使用量や占有率を測定する「tracemalloc」、「memory_profiler」などが挙げられます。スムーズに開発するためにも、こうしたツールの知識も備えておきましょう。
日本語のサポートが少ない
Pythonは日本国内でも人気が高いですが、ライブラリやフレームワーク、支援ツールや学習資料などの多くが英語で記述されています。
日本語でのドキュメントやサポートはまだ充分ではないため、英語が苦手な方は習得やトラブルシューティングに時間がかかる場合があり注意が必要です。
まとめ
Pythonはソースコードが読みやすくコンパイルの必要もないので、基本をおさえればスムーズにWebアプリを開発できます。UIに関わるHTMLやCSSなどの知識を有しているエンジニアであれば、Pythonを使いこなすまでの時間はさほどかかりません。
Pythonはフレームワークやライブラリの種類が豊富で、プログラマーによる開発も日々進められています。Pythonの知識を深め、Webアプリに最適なフレームワークを活用して開発を進めてください。
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