DevOpsとは?CI/CDとの違いや実施の流れについて解説

DevOps

DevOpsは、開発(Dev)と運用(Ops)の連携強化によって、システム開発のスピードアップと品質の向上を目指す概念です。この記事では、ソフトウェア開発に携わりたいと考えているエンジニアに向けて、DevOpsの定義と役割、CI/CDとの違い、導入メリットを解説します。

DevOpsとは?

DevOpsとは、ソフトウェアの開発と運用の密接なコラボレーションにより、開発からリリースまでのスピードアップを図る概念です。近年では、顧客満足度の向上とビジネス競争力の強化を目指し、DevOpsを積極的に取り入れる企業が増えています。

これまでのソフトウェア開発では、一般的にウォーターフォールという手法が採用されてきました。各フェーズを順に終わらせていくウォーターフォール開発は、進捗が管理しやすいことと納期や品質を確保しやすい点がメリットとされています。

しかし、開発が始まると逆戻りできないことや、リリースまでに長期間を必要とすることから、近年では市場ニーズの変化に追いつくことが困難になってきました。経済産業省の「DX白書2023」においても、社内外システムの連携による競争領域の強化は、DXの推進に欠かせないものとしてその必要性を訴えています。

開発と運用のスムーズな連携によって、開発のスピードアップを図るDevOpsは、ウォーターフォール開発が抱える課題解決に役立つ概念です。ソフトウェア開発の効率化は、長時間労働の改善にもつながるため、職場環境の改善という観点でも注目が集まっています。

DevOpsの定義

DevOps(デブオプス)とは、開発(Dev)と運用(Ops)の複合語であり、システム開発における「概念」を指します。DevOpsの目的は、開発部門と運用部門が協調・連携し、開発運用プロセスを迅速かつ効率的に進めることです。これまで、開発を進める上で開発部門と運用部門が対立を起こすといったケースも稀ではなく、場合によっては、開発の遅延や品質低下を招く原因となっていました。

しかし「ユーザーに価値を届ける」という最終的な目標は両者で一致しているため、協力を強化することにより、さまざまなメリットが見込めるはずです。DevOpsでは、両者の協力を促進するための文化やツール、プロセスを提供することで、ソフトウェアのリリース速度と品質の向上を目指します。

CI/CDとの違い

CI/CDは「継続的インテグレーション(CI)」と「継続的デリバリー(CD)」の略称です。システムやアプリ開発に自動化のメカニズムを取り入れることで、開発側の負担を軽減する手法です。DevOpsの目的は、開発部門と運用部門が連携し、効率的に開発運用プロセスを進めることにあります。

つまり、DevOpsはシステム開発の全体的な文化や概念であり、CI/CDはその具体的な手段を指すものです。CI/CDの導入は、DevOpsが目指す迅速かつ効率的な開発運用プロセスの実現を後押しします。

DevOpsを開発に取り入れるメリット

DevOpsを適用する際は、組織の文化を変革する必要があるものの、開発チームと運用チームのコラボレーションによって、競合他社に負けない製品を素早くリリースできます。

開発プロセスの効率化

DevOpsの導入により、開発チームと運用チームの連携が強化され、コミュニケーションがよりスムーズにとれるようになります。これにより、認識の齟齬や情報共有の遅れといった問題を防ぐことができ、プロジェクトの効率を改善できるでしょう。また、ユーザーからスピーディにフィードバックを得られるため、速やかにサービス改善に向けて動き出せ、開発プロセスの効率化にもつながります。さらに、開発プロセスの自動化によって、人的ミスを減らし、作業の精度も向上します。

開発精度の向上

開発からテストまでの工程をCI/CDにより自動化すれば、細かいエラーの発見・修正が容易になります。バグの発生を最小限に抑えることは、開発の精度向上に結びつきます。結果として、製品の信頼性とユーザーの満足度向上が見込めるのもメリットです。

リリース速度の迅速化

開発の効率化と開発精度の向上が実現すると、自ずとリリースまでにかかる期間は短縮されます。これにより、開発チームは新機能の追加や改善などの業務に集中できるため、市場ニーズ対しスピーディーに必要なアクションを起こせるようになります。

DevOps概念を取り入れた開発のプロセス

DevOpsにおいては、組織全体の考えを根底から変えていく必要があります。DevOpsを成功に導くために、開発のプロセスを正しく把握しておきましょう。

1. 計画

プロジェクト全体の成功を左右する重要なステップが「計画」です。まず、プロジェクトの進め方や具体的な開発要件を明確化します。これには、目標の設定、スケジュールの作成、必要なリソースの見積もりなどが含まれます。この段階から、開発チームと運用チームが協力して計画を立てることが重要です。

必要に応じてチームが連携できるよう、適切な開発環境も整備する必要もあります。具体的な内容として、共通のツールやプラットフォームの選定、コミュニケーションチャネルの確立、コード管理システムの導入などが挙げられます。チーム間の情報共有がスムーズになれば、効率的に開発を進めることが可能です。

計画をしっかりと行うことで、プロジェクト全体の方向性が明確になるため、開発および運用の各フェーズで起こり得る問題も未然に防げます。

2. 開発(コーディング・ビルド)

「開発」は、計画に基づいて実際にソフトウェアを作成するステップです。まず、開発チームは計画で決定した要件に従って具体的なコーディングを行います。この段階では、コードの品質管理が重要視されます。コードレビューや自動テストを取り入れることにより、エラーの早期発見・修正が可能です。

コーディングが完了すると、次はビルド工程へ進みます。ビルドは、開発したコードを実行可能なプログラムに変換するプロセスです。DevOpsの開発フェーズでは、コーディングとビルドのサイクルを繰り返し、常に高品質なソフトウェアの提供を目指します。自動化されたテストとビルドプロセスにより、手動作業によるミスを削減することで開発スピードの向上を図ります。

3. テスト

「テスト」は、開発したコードの品質を確保するための非常に重要なステップです。この段階では、コードが継続的にテストされます。CIを利用すれば、テストは自動で繰り返し実施されます。そのため、エラーの早期発見と迅速な修正が可能です。手動テストと比べて迅速かつ正確に実施できるため、人的ミスを最小限に抑えられるメリットもあります。

開発者はフィードバックされたテストの結果を参照し、迅速に問題を修正できるため、コードの品質が一貫して保たれ、バグの少ない安定したソフトウェアを提供できます。

4. 本番移行(デプロイ)

「本番移行(デプロイ)」は、開発したシステムやアプリを本番環境に移行する工程です。ここでCDを活用するとデプロイプロセスが自動化され、迅速かつ信頼性の高い製品をリリースできます。

開発されたコードがテストを通過すると、自動デプロイメントツールが本番環境へのデプロイを実施します。手動操作によるエラーを防止できるのは、自動化の大きな利点です。デプロイメントは小規模で頻繁に行われるため、問題が発生した際も迅速に対応できます。

さらに、CDプロセスによるリリースサイクルを短縮すると、新しい機能や改善点を素早くユーザーに届けられます。継続的なデリバリーにより、ユーザーからのフィードバックに素早く対応できる環境が整えば、製品の改善サイクルを加速させることが可能です。

結果として、ユーザー満足度の向上や競争力の強化につながります。

5. 運用・保守

DevOpsを導入した開発プロセスの「運用・保守」フェーズは、リリース後のシステムやアプリの安定した運用と継続的な保守を行うために必要なステップです。リリースされたシステムが正常に稼働し続けられるよう、監視とメンテナンスを実施します。

運用中に発生するトラブルにも迅速に対応できるため、モニタリングツールを使用してシステムの状態をリアルタイムで監視します。異常が検出された場合には、対応チームが迅速に問題を解決し、システムのダウンタイムを最小限に抑えられるよう努めなければなりません。

さらに、定期的なメンテナンスとアップデートを行うことで、システムのセキュリティや性能を向上させます。フィードバックループを活用してユーザーからの意見やバグ報告を取り入れ、システムの継続的な改善を図ります。

6. 継続的フィードバック

最終ステップとなる「継続的フィードバック」は、本番環境でのシステムやアプリに対するユーザーのフィードバックを継続的に収集し、開発プロセスに反映させるステップです。この段階では、ユーザーからの意見やバグ報告を積極的に受け取り、システムの改善に取り組みます。

具体的には、フィードバック収集ツールやアンケートを利用してユーザーの感想や要望を収集し、開発チームに共有すると次の開発サイクルで考慮される仕組みです。これにより、ユーザーの期待に迅速に応えられます。

継続的フィードバックのプロセスは、ユーザー体験の向上と新機能の開発や既存機能の改良をする場面で重要な役割を担います。

DevOpsを実現させるツール

DevOpsを実現させるためのツールは、開発工程の自動化と管理を支援する重要な役割を果たします。これらのツールを導入することで、手動作業によるミスが減少し、開発スピードを上げることが可能です。一般的には、工程ごとにさまざまなツールが活用されており、計画、コーディング、ビルド、テスト、デプロイ、運用・保守といったプロセス全体をカバーします。

例えば「Azure DevOps」は、開発・運用側のそれぞれに必要な環境やツールを包括的に提供しているサービスです。このプラットフォームには、ソースコード管理、ビルドとリリースパイプラインの自動化、テストの管理、継続的なデリバリーなど、多岐にわたる機能が備わっています。Azure DevOpsを活用することで、開発チームと運用チームの連携が強化され、プロジェクト全体の効率化と品質の向上が期待できます。

まとめ

DevOpsは開発と運用の協調を強調する概念であり、その実現手段としてCI/CDが用いられています。これにより、開発プロセスの効率化、精度の向上、リリースのスピードアップが可能です。 将来的に必要性が高まると予測されるDevOpsを習得すれば、フリーランスエンジニアとしての市場価値が高まり、さらに活躍の場を広げられます。

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