イノベーションや成長のために技術顧問が必要な理由とは

イノベーションや成長のために技術顧問が必要な理由とは

⼤⼿インターネット広告企業の株式会社アドウェイズ梶原様と、技術顧問として参画いただいた株式会社レクター取締役の広⽊様の稼働事例をご紹介します。
2017年から始まり2023年12月に満了となる長期支援の軌跡や向き合った課題、成長していく上でお互いがどんな存在かを伺いました。

インタビュイー

梶原 良太氏

株式会社アドウェイズ 技術本部 本部⻑ 兼 ビジネスデベロップメントグループ プロダクトソリューション担当 本部長
2008年にアドウェイズへ新卒入社。入社後、エンジニアとして、新規サービスの開発・運用を担当。その後、スマートフォン向け広告配信サービス「AppDriver」立ち上げに開発責任者として携わる。2012年、開発部門のマネージャに就任。現在は、技術部門責任者および広告代理事業のプロダクトソリューション領域責任者を務める。

広木 大地氏

株式会社レクター取締役
2008年度に新卒第1期として株式会社ミクシィに入社。同社メディア統括部部長、開発部部長、サービス本部長執行役員などを歴任。2015年同社を退社。現在は技術組織顧問として複数社のCTO支援を行なっている。2018年2月22日に『エンジニアリング組織論への招待~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』を上梓。

技術顧問としての関わり方

技術顧問としてどのように支援に入っていったかをお伺いしました。

業務委託を長期的に活用するメリット

2017年から始まった顧問支援が2023年12月で満了となりますが、1人の技術顧問が中長期的に支援するメリットを教えてください。

技術顧問 広木氏(以下、広木):
会社のカルチャーや考え方に準拠して課題を考え、アドバイスできることです。
アドウェイズさんは広告系以外のサービスも多く提供していて、それぞれの部門で事業課題が出てきます。
長く支援する中で、組織の特徴や、なぜ梶原さんが悩みを抱えてしまうのかまで理解し、外から見ている状態よりもう少し中に寄った意見を出すことができると思っています。

一方で、物分かりがよくなりすぎないことを意識しています。
梶原さんの意見に共感しつつ、世の中のトレンドをどうやってアドウェイズ流に取り入れていけるか?を軸に、課題解決の糸口を見つけられるようにしています。

株式会社アドウェイズ 梶原氏(以下、梶原):
会社や組織、事業の継続的な成長を考える上で、客観性があり中立的な意見が欲しい、かつ会社や組織の背景や事情を理解した上でアドバイスをしていただきたい場合は、技術顧問として中長期的に関わっていただくことが良いと感じています。

最初の「なぜ?」を具体化することが解決への鍵

社内事情を社外の技術顧問に共有する上で、工夫されていたことはありますか?

梶原:
抽象的ではなく、できるだけ具体的に課題や事象を話していました。細かく事象をお伝えすることで、背景や状況を正確に把握してもらった上でケーススタディのように、お互いに思考を拡げたり、深められるように工夫していました。
例えば「組織の構造や役割」「結果に至るまでのプロセスや議論の詳細」「各ステークホルダーのポジションや考え方」「自身が取った具体的なアクション」などです。

広木:
梶原さんは具体的に伝えてくれるのでありがたいです。
課題を解決したあとに、更なる真因を導き出したい場合、最初に具体の問題解決の目処がついているほうが議論しやすいです。

大学入試の数学問題を例にすると、問1で具体例を挙げている問題が出て、問2,3と進むうちに、抽象度が上がりグッと難しくなっていくじゃないですか。
簡単だけど重要な問1をスキップすると、そのあとの問題も解決できないんです。
一撃の必殺技を求めてしまうと経営課題は解決できないので、抽象化されていたらまずは具体の情報や問題に落とすことを意識しています。

組織変革をしながら磨くアドウェイズらしさ

事業部制組織への移行で出てきた悩みと課題

解決するのに特に苦労した事業課題を教えてください。

梶原:
事業部制組織への移行です。移行前は機能型組織のため、開発部門・営業部門と分かれていましたが、事業型組織では同じ組織にエンジニアやデザイナー、営業など複数の職種が所属することになります。
会社や事業を成長させ続けていくにあたり、大きな組織体制の変化は必要なことだと思います。しかし、考え方や組織運営、マネジメントも異なる職種が一緒になることによる懸念は一定ありました。
そもそも組織改変自体が正しいことなのか、どのように進めるべきなのか、と自問自答も多くなっていました。

課題に対して広木さんはどうアドバイスをしたのでしょうか?

広木:
組織形態を変えるフェーズは、他の会社でも携わってきました。
機能別組織は、同じ職能がグッと集まっているのでコントロールしやすいですが、事業へのコミットが希薄になりやすいです。 一方で、事業部制組織に変えると個人のキャリアが見えづらくなることもあります。

イノベーションを生み出さないといけない時期は、事業部向きにしてアプローチしないとモノを創る速度が上がっていかないので、会社のステージに応じて必要な知識をつけながら進めていくと正解が見えてくると思います。

メリットが生まれてデメリットが消えてを繰り返しながら組織学習をして、会社としても梶原さん個人としても成長できる機会をサポートできたのはよかったです。
変化で起きるハレーションを乗り越えながら進めていけば、どちらの形態にしても双方のメリットが消えるわけではないので。

梶原:
組織形態を変えるのは、今回が初めてという訳ではありませんでした。15年程前は事業型組織だったんです。しかし、技術面に特化した環境が整っておらず、多くの優秀なエンジニアが辞めてしまいました。
そうした背景から、機能型組織に変更した経緯があります。15年間続けてきた組織運営を再度大きく変更するのには、やはり勇気が必要でした。
広木さんのアドバイスが無ければ、組織変更に対するネガティブな側面を払拭できず、迷いのある状態で取り組むことになっていた可能性があります。結果的には、メリットが生まれてデメリットが消えてを繰り返し、組織学習を深めることで、さまざまな変化に順応できるようになり、苦労はありましたが自身の成長に繋がる経験になっています。

技術力以外に必要になる人材とは

2022年8月にデジタル広告最大化ソリューション「AMP(アンプ)」シリーズをリリースしていますが、新しいプロダクトを作る過程でも広木さんにアドバイスをいただいていたのでしょうか?

梶原:
はい。技術的なスキルの高いチームだったので、開発自体のハードルはそんなに高くありませんでしたが、エンジニア自身が生活の中で意識することの少ない「マーケティング」というドメインを理解し、価値のあるものへと昇華させるため、模索していくところが非常に難しかったです。

「AMP」シリーズのひとつである「AMPメディアアナライザー」は、広告主へ最適な価値を提供することを目的とした広告運用支援プロダクトです。単なる運用支援ツールではなく、広告運用担当者のパフォーマンスを最大限引き出し、誰もが同じレベルで広告運用できる全く新しいソリューションとしてプロジェクトを進行しています。
現場の運用担当者へプロダクトを浸透させるためにはどのようなアプローチ方法があるか、「AMP」シリーズに対する期待効果を実現するためのプロセス設計等の難易度の高い課題に対して、広木さんにアドバイスをいただきました。

また、プロジェクトを進めていく上で今まで社内には存在していなかった役割が必要になってきました。
優秀なエンジニアやセールスはプロジェクトチームにいるものの、BizDevやマーケター、プロダクトマネージャー等の経験が豊富な社員はそれほど多くはありません。そういった新たな役割の育成やチームとしての機能の部分を多く相談させていただきました。

成長に欠かせなかったお互いの存在

目標があるから広がる自身の可能性

広木さんが技術顧問として支援いただく中で、梶原さん自身が変わったなと思うことはありますか?

梶原:
支援開始当初は「このポイントが課題だ!」と自分の中で強い確信を持って相談していたのですが、「実はポイントはそこじゃない」という指摘が頻繁にありました。
会議中に広木さんからフィードバックをいただき再考する、というサイクルを繰り返すことで、日々の業務の中でも「課題の捉え方が違うのかもしれない」と気づくようになりました。思考力が鍛えられ、抑えるべきポイントを掴めるようになったところは、僕自身大きな変化だと思います。

広木さん自身も、アドウェイズ様と関わる前と後で変わったことはありましたか?

広木:
顧問をはじめた頃、サービスサイトのトラブルの相談をいただいたんです。結果、設定方法を直しただけで課題解決して、僕の役割が終わってしまったんですね。
もちろん解決したこと自体はいいことですが、僕じゃなくても同じ結果になったのかなと。

そこから、組織や事業を一緒によくしていけるパートナーとして長くお付き合いできる方を探したいと思うようになりました。
梶原さんとの関係で、根本的な課題と向き合い、組織に対してポジティブな影響を与えることができたので、お互いに経験を積みながら学ぶことができたと思います。

刺激を与え合い尊敬できるパートナーに

お互いどんな存在になっているのでしょうか?

広木:
梶原さんは問題を直視し続けられる力があります。
事業や組織をよくするために、高い視座で解決したいという軸をぶらさない人です。逃げたいときや自分中心で考えたいときもあると思いますが、どんなときもぶれないところは尊敬できます。
僕は外付けの図書館のような気持ちで、解決に至るヒントや世の中の知識を提供しています。

梶原:
広木さんは圧倒的な知識と視野の広さを基に論理的な話をしてくださるので、毎回とても刺激になります。知ったつもり、できているつもりでいても僕自身足りないところが多く、「まだまだ成長できる」とハードルを上げてくれる存在です。
メンバーや同僚と話すときにも主観だけで話すのではなく、「広木さんだったらどう話すか」を意識し、客観的な視点・思考を挟むようにしています。

生きる知識を活かすために心がけていること

広木さんのインプット方法が気になります。何か意識していることはありますか?

広木:
仮説を持ちながら本を読んだり調査をすることです。実践する知識を得ようという意識を持ちながら、学習の中に仮説検証を取り入れていくと、顧問としてさまざまな会社で問題意識を聞くときに生きる知識として役立ちます。
毎日会社の課題と戦っている人たちに響くような、生きている情報を持っていなきゃという意識はかなり持っています。

技術顧問に求めたい課題の本質を理解する力

技術顧問を活用してよかったこと、これから技術顧問に求めたいことを教えてください。

梶原:
今までのお話のまとめになりますが、知見が豊富な社外の技術顧問に中長期的に支援いただくことで中長期の課題を継続的に改善へ繋げることができます。客観的かつ他社や他業種などの事例を交え、幅広い視点でアドバイスをいただけることで、僕自身の視野も拡がり非常に良かったと感じます。

広木:
僕はスペシャリスト型の技術顧問というより、エグゼクティブコーチに近いような立場として関わることが多いのですが、マネジメントやビジネスを理解した上で、技術組織をどうしていくかの議論ができる人はニーズがあると思います。
技術面だけでなく、経営に対してのサポートや相手の期待に応えられる人材は重要になるんじゃないかなと。

個人の強みやスキルを引き出して、企業と上手くマッチングできたらいいなと思うので、FLEXYのサービスに期待しています。

梶原:
たしかに、期待値調整が上手くできるかはとても重要だと思います。経験や能力は情報としてあっても、顧問と企業のお互いが何を期待してるかというマッチングに関わる情報は世の中に意外と少ないと感じます。
技術顧問を担当される方は自身のどこが強みとなって企業の役に立てるかが理解できると、より的確な企業サポートに繋がるのではないかと思いました。

今後の運営の参考にさせていただきます。本日はありがとうございました。

まとめ

変化を重ねながらもカルチャーや個性を尊重しているアドウェイズ様と、会社の未来のために豊富なナレッジを共有してくださる広木氏。
技術顧問が長期的に支援することで、継続的な課題解決に繋がり、新たなイノベーションを起こすことができます。
あらゆるフェーズに併せてFLEXYは最適な技術顧問やエンジニアをご提案できますので、お困りごとがありましたらぜひ一度FLEXYまでご相談ください。

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