高い技術力と少人数のチームでまちづくりに貢献する「チャリチャリ」
チャリチャリ株式会社が運営する「チャリチャリ」は、九州を中心に全国展開をしているシェアサイクルサービスです。「チャリチャリ」の開発を進めるために、直近10年で約20件以上の開発実績を持つアプリ開発(iOS案件/swift)のシニアエンジニアと、大手人材会社で経験を積み技術選定/アーキテクチャ設計/実装が可能なフロントエンドエンジニアのプロ人材2名にご支援いただいた事例をご紹介します。
目次
インタビュイー
蛭田 慎也 氏
チャリチャリ株式会社
VP of Engineering
2013年4月、株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、ソーシャルゲームの運用や、個人間カーシェアリング事業の新規立ち上げを経験。2017年11月より株式会社ソウゾウに入社し、シェアモビリティサービス「チャリチャリ」のバックエンド設計・開発を担当。2020年2月、事業承継に伴いneuet株式会社(現チャリチャリ株式会社)に転籍し、VP of Engineeringとしてエンジニアリング全般を管轄している。
九州を拠点とし全国展開しているシェアサイクルサービス「チャリチャリ」
業務委託が多いチームで目線を合わせる大切さ
貴社のサービス内容について教えてください。
蛭田氏(以下、蛭田):
2018年2月、「メルチャリ」として福岡市内で開始したシェアサイクルサービスを受け継ぎ、現在は「チャリチャリ」という名前でサービスを提供しています。「チャリチャリ」は、専用の赤い自転車が駐輪されているポートまで行き、スマートフォンアプリで鍵のQRコードを読み込んで解錠すれば誰でも簡単に利用できるサービスで、福岡・熊本を中心に名古屋や東京にも展開しています。
シェアサイクルサービスとしては国内最速のペースで成長しており、登録アカウント数も90万を突破しました。
VP of Engineering 蛭田氏
蛭田さんが管轄する部署、組織体制について教えてください。
蛭田:
僕はVPとして開発チームを管掌しています。チームは正社員4名、業務委託11名の計15名で、プランナーというポジションのメンバーが開発ロードマップの整備や、各開発案件のプロジェクトマネジメントをしている体制です。
プロダクト周りはプランナーが自走して現場推進をしてくれるようになったので、僕は主に採用やピープルマネジメントを担当しています。
メンバーとのコミュニケーションで心がけていることはありますか?
蛭田:
自転車があってこそ運用できるサービスなので、Web上だけではわからないことも多いです。そのため、現地で実際に「チャリチャリ」を使って、リアルな情報を取りに行くことが大事だと伝えています。フルリモートで稼働している方にも、現場のメンバーから直接話を聞く機会を作ってもらっています。
稼働頻度がそれぞれ違う業務委託の方とは、定期的な1on1を実施したり、こまめにチャットで連絡をとったりと、透明性が高くオープンなコミュニケーションを心がけていますね。
サービスの利便性にこだわったスマートロックの作成
現在のスマートロックは3代目ということですが、リリースにあたって抱えていた課題について教えてください。
蛭田:
初代のスマートロックは設計から運用まですべてを外注していましたが、ハードウェア起因の課題が多く、運営体制にも負荷がかかっていました。
改善に向けて、シェアサイクル大国である中国の鍵メーカーと協力して2代目の鍵に置き換えました。その後、そもそも物理的な鍵が必要かどうかという根本的な問題も話し合ったりしながら、自社でゼロベースから考えて作ることにしたんです。試行錯誤を繰り返し、お客さまにとって使い方がわかりやすい鍵にしたいということで、現在の3代目スマートロックが誕生しました。
シェアサイクルサービスのようにハードウェア自体が移動してしまうIoTは、ユニークで作りがいがありますが、位置情報のトラッキングや設計など難しいところが多いです。QRコードを読んで簡単に解錠施錠するための開発や運用は全体的に難易度が高いですが、どうすればお客さまが一番求めている状態にできるかを大事にしています。
現在抱えている課題について教えてください。
蛭田:
鍵の中にLTE通信するモジュールがあるのですが、初回の投入時に同じ場所から数百台の規模で接続しようとしても、基地局に繋がらないことがあります。LTEの特性上、現在でも対処が難しい課題として抱えています。
スマートロックに支障がなくても、お客さまの持つスマートフォンとの相性で解錠するためのBluetoothが繋がらないなどエラーが発生してしまうこともあります。開発チームでも事前にテストをしていますが、国内外の利用端末を全て確認することは難しいので、エラーを最小限に留められるよう開発を進めています。
物理を使うサービスなので車体の整備などは人力で対応する必要がありますが、できるだけシステムや仕組みを作って課題解決することを目指しています。
現場の声を聞きながら自律的に進める開発
好奇心とサービスへの関心で改善力を高める
2023年からiOSエンジニアのAさんとフロントエンドエンジニアのNさんに支援いただいていますが、どのような業務をお願いしていたのでしょうか?
蛭田:
Aさんが参画してからの2か月間は、業務のキャッチアップを行いながら、溜まっていたチケットの処理やバグ修正、CI環境の修正を行っていただきました。3か月目からはアプリの多言語化対応に入り、実装業務が主な担当でした。
並行してiOSの新しいバージョンがリリースされた際のアップグレード対応や、iOS審査における審査規定を満たすためのセキュリティやプライバシー対応、ガイドラインへの適合などもお願いし、多言語化対応も完了したため現在は別の機能開発に取り組んでいただいています。
Nさんはフロントエンドエンジニアとして、自社社員が使うサービス運用のための管理ツール作成の開発をメインに対応いただいています。
参画当初は、エンジニア側が活用イメージを想像しながら作っていましたが、Nさんの提案で社内のメンバーからフィードバックをもらうミーティングを週1で設定し、細かい意見を反映しながらリリースする方向性に変わりました。どの業務がシステムで巻き取れるのかを話し合ったり、自動化できる部分を自動化していく動きを進めたりと、サービスとしての方向性のすり合わせも行ってくださっています。
また、フロントエンドエンジニアの正社員メンバーの採用面談にも同席し、技術的な部分での選考も担当していただきました。
お2人との印象的なエピソードがあれば教えてください。
蛭田:
お2人とも技術面だけでなく、サービスに関心を持ちお客さまのことをきちんと考えて開発してくださるところが印象的です。
AさんはiOSエンジニアとしての知見と経験が豊富で、細かく指示を出さなくてもキャッチアップしてくださいます。上流工程の背景をキャッチアップした上で開発に取り組んでいただき、着実に開発タスクを進めてくださるので助かりました。
Nさんは現場をヒアリングしながらUIデザインを作ってくださいます。コミュニケーションも円滑に取れるので、バランスが取れたエンジニアさんです。現在は副業メンバーが一人増えたため、タスクの優先順位付けや整理なども行っていただいています。
即戦力となる外部人材を活用し採用課題を解決
コミュニケーションの透明性がよりよい関係構築に
なぜ外部人材を活用することにしたのでしょうか?
蛭田:
エンジニアの正社員採用に苦戦する中で、副業・フリーランスを希望するハイレベルなエンジニアが多いことを知り、即戦力として事業をサポートいただくために外部人材の活用を始めました。
外部人材と関わる上で気をつけていることはありますか?
蛭田:
フルリモートであっても、なるべく稼働時間内に同期的に稼働いただける方を優先することです。また、定期的に1on1を実施し、心理的安全性の確保や課題の吸い上げを行い風通しのいい環境を整えられるようにしています。雇用形態に関係なくオープンなコミュニケーションを取って、技術面以外の部分でも磨きあえるよう気をつけています。
外部人材を活用するメリットとFLEXYに期待すること
外部人材を活用するメリットを教えてください。
蛭田:
お互いの要望をマッチングさせやすく、ハイスキルな方々に活躍いただけるのはよいところです。
他社のプロダクトにも携わっている技術力の高い方たちなので、事業フェーズや組織・制度の違いをお互いに壁打ち相手として話しながら、知見を深めていけるのもメリットのひとつだと思います。
担当コンサルタント嶋田との印象的なエピソードや、これから期待していることがあれば教えてください。
蛭田:
嶋田さんは九州出身で、実際に「チャリチャリ」を利用してくださっていたので、感覚値が伝わりやすかったです。また、状況確認の連絡を定期的にいただけるので、予算の要望や業務委託の方が体調不良の時などに相談することもできて、よい関係が築けていると思います。
引き続き密に連携しながら、ビジネスの話を伝える機会を設けて、課題感をリアルタイムで解像度高く壁打ちしてくださることを期待しています。
蛭田氏とFLEXY部コンサルタント 嶋田
「チャリチャリ」がまちづくりに貢献できるサービスへ
今後どのような方と一緒に働きたいですか?
蛭田:
技術力を高めるだけでなく、「チャリチャリ」のサービスに共感いただける人と働けると嬉しいですね。直近は正社員採用も強化していますので、初めは業務委託でサービスに携わっていただき、ゆくゆくは正社員として活躍いただける方も採用したいと考えています。
また、九州出身の方で地元に戻って働きたいというUターン転職の方も採用したいので、僕自身福岡の採用イベントに登壇しながら、積極的にエンジニアのコミュニティへ参加しています。
開発チームの目標について教えてください。
蛭田:
システムを安定して運用できるように、開発のベースラインを上げることが目標です。その上でお客さま体験を向上させてプラスアルファの価値を提供していきたいと考えています。
「チャリチャリ」を利用したお客さまの移動履歴データを行政や研究機関に提供し、交通整備や研究材料にも利活用いただいているので、中長期的には街の交通課題の解決に大きく貢献できるようなサービスにすることが目標です。
九州だけでなく全国でも「チャリチャリ」が存在することが街の当たり前の光景になるよう、スピード感と安定感を持って開発を進めていきたいです。
まとめ
九州を中心にシェアサイクルサービスを展開するチャリチャリ株式会社。
ITの力でサービスの品質向上を図れるよう取り組み、お客さま体験を向上しながら新たな街のインフラを作っています。
あらゆるフェーズに合わせてFLEXYは最適なエンジニアをご提案できますので、お困りごとがありましたらぜひ一度FLEXYまでご相談ください。