iOS開発アドバイザーとのやりとりは週1回。ゼロベースからiOSアプリ制作を成功させるには?――株式会社ウィルゲート
コンテンツマーケティング・メディア・クラウドソーシングの3事業を手がける株式会社ウィルゲート。 メディア事業では主婦の知恵を集めるアイデア投稿プラットフォーム「暮らしニスタ」や、子育て中のパパ・ママに最適な情報を発信する「Milly」などを運営しています。
Webサービスを中心として事業拡大を続けてきたウィルゲートが現在注力しているのが、iOSアプリの展開。ほとんどノウハウゼロの状態から、どのようにアプリの内製化を進めているのでしょうか。
今回は、FLEXYからのiOSアプリのアドバイザー案件での支援の仕方について、ご支援はどういう頻度で、どういう形で行われるのか等、実際の就業先の株式会社ウィルゲートの福原マネージャーと、実際にiOSアプリ制作アドバイザーとしてFLEXYから週1日就業している西本さんにお話を伺いました。
目次
ご支援の内容
案件 | iOSアドバイザー |
---|---|
頻度 | 週1日のアドバイザリー |
ご契約期間 | 3ヶ月〜 |
業務内容 | ・プッシュ通知の出し方など機能追加 ・iOSアプリの知見をご提供 ・質問やコードレビュー ・アプリのブラッシュアップ |
2年前に暫定的に制作したアプリの放置状態が続き、内製化を決意
ーー 御社の代表的なサービスとして「暮らしニスタ」がありますが、サービス内容を簡単に教えていただけますか?
株式会社ウィルゲート 開発室 メディアユニット マネージャー 福原 秋芳 氏(以下、福原):「暮らしニスタ」は料理やDIY、ハンドメイドなどをキーワードとして、一般の主婦の方が持っているアイデアを登録ユーザーにWeb投稿してもらうプラットフォームです。
サービスの特徴は、「人」にフォーカスしていることですね。例えばクックパッドやRoomClipなどの他社サービスは、料理やDIYそのものにフォーカスしたプラットフォームと言えるでしょう。 一方で暮らしニスタは、ずばり「暮らしニスタ」と呼ばれるトップ層のユーザーが大勢居て、「このユーザーがオススメするならいいアイデアかも」というマインドで投稿をセレクトできる、「人」中心の世界観を持っています。
そんな暮らしニスタが目指すのは、「ユーザーと社会との接点」という役割を担うプロダクト。 専業主婦だとどうしても家の中に閉じこもりがちになってしまうことが往々にしてありますが、暮らしニスタを通して企業と一緒に仕事をする機会創出や、主婦同士で楽しめるコミュニティ形成などを推進すべくサービス展開しています。
ーー その中で「暮らしニスタ」はどのような課題を抱えていたのでしょうか?
福原:サービス自体は4年ほど前から開始していて、Web上で運営してきました。 スマホ用アプリも2年程前に制作したのですが、これは実は業務委託をお願いしていた方がたまたまアプリに強かったので、簡単に作ってもらい、ただリリースしただけという状態でした。もともとWebサービスだけを扱ってきた会社ですからアプリ開発の体制は全く整っておらず、作ってもらったはいいもののパフォーマンスやユーザビリティは良くなかったですね。
当然改善するノウハウもなく、残念ながらずっと放置していたんです。それでもアプリを利用してくれているユーザーは居ますから、もっと使いやすいものを提供するために、今ようやくアプリの再開発に着手しはじめた形です。
アプリシェアの7、8割はiOSユーザーだったので、ひとまずiOSのリリースに注力することになりました。 開発における一番の課題は、とにかく「何もわからない」ということ。ネイティブアプリを内製できないことはもちろん、仮に外注しようにも社内知識がありませんから、できあがったものの良し悪しすら判断できないのではどうにもなりません。 将来的に内製し続けるのか、いずれは外注も行うのかという展望は未確定でしたが、まずは自社でアプリ開発できるレベルのナレッジおよび体制を構築することにしました。 そこで、iOSアプリの開発のアドバイザーとしてFLEXYさんから西本さんにご協力いただいたというわけです。
写真 右側:株式会社ウィルゲート 開発室 メディアユニット マネージャー 福原 秋芳 氏 写真 左側:ラグナロク株式会社 代表取締役社長 西本 誠 氏
初期の開発メンバーは社内から二人。未経験からアドバイザーの力を借りてiOSアプリを設計
ーー iOSアプリの開発にあたって、明確に「こんな機能を実装したい」というプランはあったのでしょうか?
福原:アプリ自体のリテンションレートが非常に低かったので、まずはそこを上げることを目標としていました。そのためにプッシュ通知を構築することや、パフォーマンスを上げるために一部ページをネイティブ化することなどが、西本さんに具体的にアドバイスしてほしいポイントでしたね。
ただ、最初に述べた通り知見ゼロの状態ですから、西本さんには細かな機能の実装以前の問題として、もっと上流の部分の設計から入ってもらいました。
どんな技術を使ってアプリ開発を進めていくべきなのかという技術選定や、弊社のような規模・習熟度のチーム編成の場合はどんな設計が現在のサービス開発において最適なのかという判断の部分ですね。
ーー では、まずはどのような体制でアプリ開発に臨んだのか教えていただけますか?
福原:2名で開発をしています。基本的に弊社にはWebエンジニアしか居ないので、Webを担当していたiOS未経験の二人にアプリ開発側に来てもらったという状況です。西本さんにはアドバイザーとして、週1回ジョインしてもらっています。
ラグナロク株式会社 代表取締役社長 西本 誠 氏(以下、西本):基本的にウィルゲートさん側で組み立てたロードマップがあるので、一週間刻みで今後実装したいものや課題を洗い出し、不明点や疑問点があれば毎週行うミーティングで私が答えて解決していく、という流れにしています。一週間待っていたらタイムロスが発生してしまうこともあるので、適宜slack上で答えることも最近は多いですね。
開発やコーディング自体に直接は関わっていませんが、ミーティングの時間が余った時などは直接コードを見てアドバイスすることもあります。
ーー 西本さんご自身はどのように最新の知識を勉強されているのでしょうか?
西本:友人にエンジニアが多いのでわからないことがあればすぐ聞いたり、エンジニアだけで行う開発合宿で情報交換もしています。 ネットに上がる情報は数ヶ月タイムロスがあって古いことが往々にしてあるので、違う分野を勉強している人材同士で情報をやり取りするのが一番効率的なんじゃないでしょうか。
アプリ制作に留まらない、アプリのマネタイズや長期視点も含めた顧問として活動
ーー 西本さんがウィルゲートの支援に入られて三ヶ月ほどですが、実際注力したのはどんな部分ですか?
西本:アプリの改善によってできることやメリットはいくつかありますが、「そもそも何を優先するのか」という点はかなり議論を重ねました。 例えばネイティブ化したらパフォーマンスが上がり、ユーザー体験は良くなりますが、突然ユーザーが3倍、4倍に増えるといったインパクトはありません。
一方でプッシュ通知を実装すると、極端な話アクティブユーザーが倍になることもあり得ます。
アプリ自体の設計はもちろんですが、ビジネス的にどんな戦略を立てていくのか、という視点からもディスカッションさせてもらったということですね。
最終目標はたくさんのユーザーに利用してもらうという部分に帰結すると思うので、そこにつながる提案をなるべくできれば、という思いがありました。
福原:その点は非常に助かりましたね。先生に来ていただいているような感じです。
ーー では福原さん、そんな頼れるアドバイザーが参入したことで社内に変化はありましたか?
福原:アプリを学びたい、という需要はもともと多くの社員の中にもあったようです。 西本さんのアドバイスのもと本格的にアプリ制作に携われる環境があるなら、私たちが今やっているプロジェクトに入りたいという人が増えましたね。
ーー 西本さんは、今回のような顧問案件を担当することは多いのでしょうか?
西本:10社以上は担当してきていて、現在も3社ほどお仕事をいただいていています。 最近はWebで成長を続けていた会社がスマホアプリの開発をしようと思ったときに、アプリ開発の技術を持ったエンジニアが居なくて困る…というのは、よくある状況なんです。 ですから、人づてで聞いて「ちょっと教えてほしい」と依頼が来ることが多いですね。
ウィルゲートさんのようなアプリのブラッシュアップに限らず、「こんなアイデアがあるんだけど、アプリにできるだろうか」という開発の話から、「費用回収できるだろうか」「他社から取った見積もりはこれで妥当だろうか」といったビジネス視点の内容まで、スマホに関わることならなんでも相談が来ます。
編集部記: ウィルゲート社の福原氏にウィルゲート社テックブログにもご記載いただきました。貴重なお話有難うございました!