フリーランスと協業する上での「基本」とは?責任の所在を明確にするオンボーディング手法――ツクルバ・野沢康則さん

※本記事は2021年3月に公開された記事です。

【企業名】
株式会社ツクルバ

【エンジニア組織のフェーズ】
2015年にリリースしたカウカモが順調に成長し、現在はプロダクトのリニューアルを検討しているフェーズでした。

【募集背景】
プロダクトのリニューアルにあたり、バックエンドエンジニアとして活躍してくれる人材を求めていました。

中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」の企画開発及び運営を行っている株式会社ツクルバ。住まいの購入売却に関わる情報の集約とその活用を通して、「より良い住まいの流通」の実現を目指しています。

今回は2021年2月からcowcamoプラットフォーム事業部エンジニアリング責任者に就任した野沢さんにインタビュー。

FLEXYからバックエンドエンジニアを3名採用した経緯と、「フリーランスと協業する上での基本」を大切にしたオンボーディング手法についてじっくりお伺いしました。

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不動産の流通における価格の不透明性や手数料の問題を解決したい

本日は、よろしくお願いいたします!カウカモは中古・リノベーション住宅の流通プラットフォームということですが、具体的にどのような課題解決をするプロダクトなのでしょうか?

株式会社ツクルバ cowcamoプラットフォーム事業部 エンジニアリング責任者 野沢 康則さん(以下、野沢):不動産業界における流通には大きく2つの課題があり、当社はこれらの解決を目指しています。

ひとつは、不動産の購買に必要な情報が仲介会社側と不動産メディア側とで分断されていることです。例えば購買や成約に至るまでのデータ、お問い合わせ情報などが一元化されていないため、不動産の実際の市場価格や成約価格、リノベーションをした場合の最終的な価格などが不透明になってしまっています。

もうひとつが、購買体験の中に仲介会社が複数介在することによって発生する手数料です。 これらを解決し、中古住宅の適切な流通の仕組みを提供することが自分らしい住まいを手に入れる世界につながると考え、日々サービス開発に取り組んでいます。

※株式会社ツクルバ cowcamoプラットフォーム事業部 エンジニアリング責任者 野沢 康則さん

では、現在のエンジニア組織についても概要を教えてください。

野沢:エンジニアは全体で10名ほどですが、そのほとんどがプラットフォーム事業部に所属しています。チームは「Consumerプロダクト」と「FASプロダクト」の2つに分かれており、前者にはPM、iOS、Androidエンジニア、バックエンドエンジニア、デザイナーが所属しています。後者にはPM、フロントエンドとバックエンドエンジニア、デザイナーが所属している形です。

プロダクトのリニューアルを行っているそうですね。

野沢:外向きのメディアサービスと内部の業務システムでそれぞれリニューアルが進んでいます。メディア側はWebとアプリ両方のシステムをフルリニューアル中で、業務システム側はデータモデルをアップデートするなど、よりよいデータ構造やシステムのあり方を再設計中です。

プロダクトリニューアルのため外部のエキスパートの力を求めた

今回、FLEXYから入っている方について簡単にご説明いただきたいのと、またFLEXYを利用された経緯についても教えてください。

野沢:今回、プロダクトをリニューアルするにあたってはバックエンドでかなりパワーが必要になりそうだったので、FLEXYの担当である野谷さんにお声掛けさせていただきました。

入っていただいた方の諸条件は以下の通りです。

職種 バックエンドエンジニア3名
案件概略 既存プロダクトのリニューアル
スキル要件 – アプリケーションのコーディング – インフラ構築
期間 3ヶ月更新
稼働頻度 週3日
働き方 リモート

野谷さんに声をかけさせていただいた経緯としては、実は以前にも御社のFLEXYサービスを利用させていただいたことがあったんです。

そのときはカウカモのiOSアプリをリリースしたタイミングで、次はAndroidアプリを開発していこうとしていました。しかし当時はメンバーにAndroidの開発経験がなかったため、外部に人材を求めてFLEXYさんからエンジニアを紹介いただきました。

会社としては初めての外部人材との協業だったのですが、その方と一緒にAndroid版を立ち上げた結果、非常に上手くいきました。このような成功体験があったので、今回もお願いしたという感じです。

※FLEXYコンサルタント

野谷 勤

株式会社サーキュレーション FLEXYコンサルタント/野谷 勤
大手人材紹介会社出身、自称、日本で1番CTOに会っているコンサルタント。新卒からIT人材サービスに携わり、現在はFLEXYにて数多くの企業とご登録いただくIT分野の専門家を繋いでいます。

CTO、技術顧問、エンジニアのご紹介は、FLEXYまでご相談ください。

なるほど。ありがとうございます!今回はバックエンドエンジニアを3名採用されたといことですが、面接ではどのようなポイントをチェックしましたか?

野沢:今回はアプリケーションのコードとインフラを両方見られる方を募集要件としており、面接では実際の運用経験がどれくらいあるかという観点で質問をしました。

また、アプリケーション開発といっても私は大きく5種類に分けられると考えています。Webアプリケーション開発、iOS・Android、SPA(Single Page Application)用のAPI開発、パフォーマンスチューニング、非同期処理開発、大きな集計処理をしたりするバッチの開発です。これらのうちどこに強みを持っているのかを見て、チームとマッチングするかどうかをチェックしました。

責任の所在を明確にするオンボーディング手法

企業側とフリーランス側にそれぞれどんな責任があるのかを明確化

フリーランスのエンジニアを迎え入れるにあたり、どのようにオンボーディングを進めたのかを教えてください。

野沢:仕事上の基本的なことほど大切にしたいと考えているので、最初に働き方の心構えを共有しました。具体的にはタスクハンドリングやコミュニケーションの取り方、困ったときの窓口の設定などです。

特にタスクハンドリングについては、エンジニアを受け入れる企業側とフリーランス側、それぞれにどのような責任があるのかを認識合わせをします。

まず、エンジニアが手持ち無沙汰になり、手が止まってしまうような状況が発生したら企業側の責任です。そうならないよう、まずは受け入れ側がタスクの進捗等を明確に設定。さらにデイリーやウィークリーで状況管理及び把握を実施した上で、常にタスクを複数持っておけるような環境を提供する必要があります。

また、資料の閲覧など開発上必要な権限の付与も開発を依頼する側の責務です。必要なドキュメントやサービス方針のQ&Aなどを渡し、疑問があれば何でも聞いてもらえるようにすることが、我々の受け入れ側の役割だと認識しています。

一方で、タスクをこなす上で障害があれば取り除くのがフリーランス側の役割です。タスクとして依頼された事柄の要件確認はもちろん、疑問点の解消も作業者にお願いしています。システム設計やプログラムのあり方に対して何か考えがあれば、その交渉もしてもらいます。

このように、仕事を円滑にこなすためにどちらがどんな役割を持っているのかを、最初に明確にしているんです。

なるほど。コミュニケーションの取り方についてはいかがですか?

野沢:オンラインでのやり取りがほとんどなので、非同期を前提としたコミュニケーション方法を取り入れています。FLEXYさんから週3日で稼働いただいている方がいますが、作業する曜日や時間に関する指定はあまりしていません。そうなると当然連絡しても必ずレスポンスが返ってくるわけではないので、極力やり取りの回数が少なくなるようなコミュニケーションを試行錯誤しています。また、作業の受け渡しはテキストできちんとログが残る形で行います。

認識合わせを行った後、実務はどのように進めるのでしょうか?

野沢:ファーストステップとしては、サービス内容をそこまで理解していなくてもできる小さめのタスクをお渡しします。次に少しサービス知識が必要なタスクをこなしてもらい、それから実際のプロジェクトの一部分に取り掛かってもらいます。徐々にサービスを理解し、コードがリリースされるまでの流れを体験してもらうという道筋ですね。

外部と内部の垣根を感じさせない活躍をしてくれるのがうれしい

今回、カウンターパートは野沢さんが務めたのでしょうか?

野沢:直接見ているのは各チームのテックリードです。今回2名は私のチームなので私がカウンターパートで、もう1名は別のチームのテックリードが見ています。採用判断自体は全て私が行いました。

実際どのような業務を行っているのか教えてください。

野沢:メディア側のサービスを担当するチームはスクラム開発を採用しているので、要件定義からプランニング、レビュー、レトロスペクティブといった一連のプロセスをフリーランスの方も一緒に行っています。設計や実装、デプロイまで担っていただいている方もいます。

業務システム側については3~4名体制で行う半年ほどのプロジェクトに参画いただいていて、DBの再設計及び開発・実装までを手伝っていただいています。

朝会などのミーティングは行っていますか?

野沢:各チームがそれぞれ独自に行なっています。片方のチームは毎日昼前頃にデイリーミーティングがあり、そこに参加されている方が1名いますね。半年のプロジェクトのほうはウィークリーで全体の開発ミーティングを実施しており、デイリーの報告はSlackのテキストベースで提出していただいています。

バックエンドで業務委託の方を受け入れたのは初めてだったかと思いますが、いかがだったでしょうか。

野沢:みなさんとても活躍してくださっています。外部・内部を意識せず、本当に同じチームの一員として働いてくださる方ばかりです。「ここはこうしたほうがいいのでは」と意見もたくさん出してくれるのもうれしいですね。

エンジニアの働き方が流動的になるのは必然的な状況

野沢さんは2月からエンジニア責任者を務めることになったそうですが、これからどんなエンジニア組織を目指そうとお考えでしょうか?

野沢:作りたいのは「強く優しいエンジニア組織」です。ツクルバには「TSUKURUBA 3 VALUES」という行動指針があるのですが、これらは社内のメンバーが真摯に仕事と向き合う姿勢として強く反映されています。私自身はこの姿勢こそが、強いエンジニア組織の在り方だと思っています。

また、エンジニア組織は一人ではなくチームで成果を出すものですし、いつでも誰かの成果の上に自分の作業を乗せて戦っています。自分や誰かの仕事がさらに別の誰かの仕事の下支えになるからこそ、まだ見ぬ仲間や少し先の自分の助けになるような理解しやすい情報を言葉として残し、受け継いでいく。こういった作業を惜しまない姿勢を「優しさ」という言葉に置き換えて、「強く優しいエンジニア組織」を目指したいと考えています。

ありがとうございます。最後に、今後IT人材の働き方自体は流動化を続けると予想されますが、その点で何か思うところはありますか?

野沢:確かに市場感として引く手数多になっている実感はあります。需要が多いからこそ一つの組織にだけ所属する以外の選択肢が増えていますし、それが働きやすさにつながるなら望ましい状態なのだと思います。

さまざまな組織に副業で参画したり転職回数が増えたりするのはその人の能力の幅広さにも直結しますし、エンジニア目線では非常にメリットがあります。ですから働き方が流動的になるというのは、生まれるべくして生まれている状況なのだろうと感じますね。

株式会社ツクルバ cowcamoプラットフォーム事業部 エンジニアリング責任者 野沢 康則さん
大学在学中は建築学を専攻、地球一周の船旅に参加。不動産営業からエンジニアへ転身し、業務システム開発・ソーシャルゲーム開発等に従事。ネットベンチャーに移籍後、複数のWEBサービス立ち上げ、チーム作り、事業売却を経験。2018年6月にツクルバへ参画、インフラ構築・管理、アプリケーション開発・保守が主な担当領域。2021年2月よりcowcamoプラットフォーム事業部のエンジニアリング責任者に就任。

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