【業務委託エンジニアの働き方事例】人がなかなか行けないところもドローンが代わりに点検に行く時代!?産業用ドローンの自動化がもたらすメリットと開発の今――センシンロボティクス
近年ドローン活用の注目が高まる中、産業用ドローンの業務自動化サービスを展開しているセンシンロボティクス。
2015年に創業したばかりのスタートアップながら、大手企業とも連携し設備点検や災害対策、警備・監視といった幅広い分野においてソリューションを提供しています。 将来的にはドローンに関わる業務全てを自動化させ、日本の社会問題の解決を目指す同社。
センシンロボティクス社のコアとなるプロダクトである「SENSYN FLIGHT CORE( 業務自動化統合プラットフォーム )」とはどのようなものなのか、そしてその開発組織にはどんな技術や志向が求められるのか、執行役員で開発部長である高橋和也さんにお伺いしました。
FLEXYからご紹介した方 | サーバーサイドエンジニア |
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案件概略 | SENSYN FLIGHT CORE(業務自動化統合プラットフォーム)の機能開発 |
スキル要件 | Webアプリケーションの開発経験、AzureやAWSなどのクラウドインフラの構築経験 |
働き方 | 常駐 |
稼働頻度 | 週3日 |
目次
多様な技術を扱うエンジニアが集まる、ドローン業務自動化という分野
――エンジニア組織の概要について簡単に教えていただけますか?
高橋和也さん(以下、高橋):開発全体の人数は現在15名ほどです。当社はドローンを利用した業務自動化のソリューションを提供していて、全員ソフトウェアエンジニアです。特にWebエンジニアが大半を占めています。ドローンにLiDARなどのセンサーを載せた自律飛行システムも開発しているので、ロボットエンジニアも数名所属しています。
――プロダクトは大きく3つ展開しているとお伺いしています。
高橋:「SENSYN DRONE HUB(完全自動運用型ドローンシステム)」、「SENSYN FLIGHT CORE(業務自動化統合プラットフォーム)」、「SENSYN DC(ドローンコミュニケーションサービス)」の3つです。 中心となるプロダクトはSENSYN FLIGHT COREです。開発担当者も7~8名ほどの割合です。利用技術はさまざまですが、主な言語は以下のとおりです。
・Webアプリケーション…PHP、Laravel、Vue.js、C# ・APIサーバ…Node.js ・ストリーミングサーバ…Go
とにかく扱う分野が幅広いので、メンバーがやっていることもバラバラです。3Dプリンターでドローンのパーツを作っている人もいれば、映像周りを扱う人もいます。ほかにもドローンが撮影した画像で3Dモデルを作る人、ドローンをメンテナンスする人、機械学習で画像解析をする人……多種多様なのが特徴ですし、当社の面白いポイントだと思います。
――必要な技術が多岐にわたる中で、エンジニアはどのような体制で開発をしているのでしょうか?
高橋:開発部はマネージャーである私とテックリードが数名いるだけで、基本的にはフラットな組織です。利用技術が多いからこそ、プロジェクトごとに必要な技術を持ったチームを組成し、その中でリーダーを決めて動く流動的な形にしています。 スタートアップなのでスピード感を重視していて、Azureなどのフルマネージドサービスをはじめとした便利な技術はどんどん使っていく方針です。それに伴って必要な言語を各チームが選定するというイメージですね。
――採用時にスキルや経験面で重視している部分はありますか?
高橋:基本的にはWebアプリケーションのしっかりした技術があれば、これまで扱ってきた技術や言語が異なっていても対応できると考えています。ですからあまり言語にはこだわっていませんが、Webサービスの立ち上げ経験がある方にはぜひ来ていただきたいですね。
数々の機能を集約したプラットフォームを利用して業務効率化を図る
――SENSYN FLIGHT COREとは具体的にどのようなソリューションなのでしょうか?
高橋:ドローンの業務自動化に必要な機能が揃った、業務自動化統合プラットフォームです。例えばドローンを自動飛行させるための飛行ルート作成や、ドローンで撮影した画像のアップロード及び、AIを利用した画像解析といった機能ですね。またAPIで外部のシステムと連携することもできます。 SENSYN DCを一緒に使用して撮影映像を遠隔地に共有したり、SENSYN DRONE HUBを組みわせてドローンのセットアップや撮影データのアップロードなど面倒な手順をすべて自動化することもできます。国内外の様々なメーカーのドローンに対応していることも特徴です。
高橋:以下は飛行ルート作成機能の概要です。ドローンは基本的にGPSを搭載していますから、緯度・経度を入力すればそのとおりに飛行します。目的に応じた飛行ルートを簡単に作れたり、飛行中の複数のドローンをモニタリングしたりすることも可能です。
――GPSが無い環境ではどのように制御されるのですか?
高橋:GPSが届かない環境下において自律飛行ためのシステムを開発中です。それが冒頭で触れたLiDARによるドローン制御ですね。ルンバにも利用されている自己位置推定を行うSLAMという技術を使用しています。ROSというロボット用のソフトウェアプラットフォームで開発をしていて、ROSを扱えるロボットエンジニアを絶賛募集中です。 この技術を使用すれば、屋内やトンネルでのドローンの自動化が可能となります。屋内などで手動で飛ばそうとすると非常に高度な操縦技術が必要になります。人的リソースを割くよりも自動化で業務効率改善を図るべきだろうと考え、注力して開発しているわけです。
大手企業や自治体などで活用される産業用ドローンの事例
――SENSYN FLIGHT COREが活用された事例をご紹介いただけますか?
高橋:ソフトバンク様の「SoraSolution」というサービスに技術提供しています。通信鉄塔やダム、ビル、工場などの施設に誰でも簡単に自動でドローンを飛ばせるサービスなのですが、ソフトウェアプラットフォームとしてSENSYN FLIGHT COREが使われています。災害時の活用で言えば、仙台市で行われた津波避難広報の実証実験に当社が参加しました。Jアラートをトリガーにドローンが自動で飛び立ち、あらかじめ設計したルートを飛行して空からスピーカーで避難指示を出すという実証実験です。ドローンの映像は遠隔地からリアルタイムで確認可能なので、人を発見したら直接避難するように呼びかけることもできます。 この実験の背景には、震災時に津波の避難広報を直前まで続けた自治体職員が津波に巻き込まれてしまうという痛ましい事件があり、人の手を介さない避難広報をドローンで実現しようという取り組みです。
センシンロボティクスの開発組織が体現する「ダイバーシティ」とは?
――社会課題を解決する側面も大きいプロダクトだと思いますが、どのようなエンジニア文化がありますか?
高橋:技術が多様なのは先程ご説明したとおりですが、実はエンジニアも多彩です。ロシア、中国、香港、台湾などさまざまな国籍の人が所属しています。海外採用を意識していたというよりは、優秀な方々を集めたら多国籍になっていました。 彼らが持つ技術はバラバラですが、共通しているのが「技術で社会課題を解決していく」というビジョンへの共感です。採用においてもそこは最も重視しています。ですから当社のエンジニア文化を一言で言うなら「ビジョンがつなぐ人と技術のダイバーシティ」ですね。
――多国籍な組織を運用する上で大事にしていることはなんですか?
高橋:コミュニケーションですね。多国籍であることだけでなく使っている技術もバラバラですし、何よりスタートアップの立ち上げフェーズですから、1つのプロダクトを作り上げていく上では活発な議論が必須です。ですから今はリモート開発は行なっておらず、全員同じフロアで働いています。
正社員ではリーチできなかった優秀なエンジニアを採用するために
――今回FLEXYを利用いただきましたが、どんな課題があったのでしょうか?
高橋:立ち上げ当初は自分たちのプロダクトや開発体制を作り上げていく上で正社員による内製をしていこうとこだわっていました。ですから業務委託は一切利用していなかったんです。 そこから数年経過して、現在はコア技術が形になり、開発環境も整ってきていました。それに伴ってどんどん顧客もプロジェクトも増えている段階なのですが、開発メンバーが不足してしまって。今後はよりフレキシブルに人を増やせる仕組みを作りたいと思い、FLEXYさんにお声がけさせていただきました。 最近は優秀なエンジニアが週に2~3日副業や業務委託で働くというケースが多いですよね。なかなか正社員採用ではリーチできなかったハイレベルな層も、業務委託でどんどん受け入れていきたいと思いました。今回来ていただいた方はサーバーサイドエンジニアで、SENSYN FLIGHT COREの機能開発に参加してもらっています。
――初めての業務委託エンジニアの採用ということで、何か社内的な準備はしましたか?
高橋:特にしていません。優秀なエンジニアの方は自走できる人がほとんどですからね。我々と一緒に走りながら考えてくれることを期待していました。そこまでできるレベルの人材であれば、特別な受け入れ体制を用意しなくても問題なくジョインできるだろうと思っていましたね。
――実際に稼働がスタートしてみていかがですか?
高橋:今回入ってきていただいた方はマネジメント経験があり、今は自分でサービスを開発して起業までしています。期待通りとても優秀な人材ですから、社員の刺激になって良い効果を生み出していると思います。実務においても、設計内容や開発プロセスに至るまでどんどんアドバイスしてくれるので非常に助かっていますよ。
ドローンの普及に伴い顧客との共同プロジェクトを推進していきたい
――今後の成長戦略について教えてください。
高橋:私たちの事業はドローンでどんなことができるのかという実証実験から始まって、本格活用がスタートしているフェーズです。ドローンが価値ある技術であることが認知されてきています。その中で、今はお客様との共同プロジェクトという形でのソリューション開発をどんどん進めてます。大変嬉しい事に業界大手のお客様も多いです。今後は海外も含めた横展開を画策しています。