Fintech企業が次のステージへ、目指す「議論できるエンジニアチーム」――カンム・CTO 伊藤友気さん
株式会社カンムが提供しているのは、VISAプリペイドアプリ「VANDLE CARD(バンドルカード)」。同サービスはアプリから1分でVISAプリペイドカードが発行され、即座にお買い物が可能になります。
いわゆる「決済」の領域でFinTech事業を展開してきたカンムですが、今回新たな領域でプロダクトを展開することを決断しました。その際、FLEXYから2名のフロントエンドエンジニアがジョインし、開発に尽力しています。
今回はFLEXYを利用いただいた経緯とともに、カンムが目指すエンジニア組織の形、さらに新規プロダクト誕生の背景について、CTOの伊藤さんにお伺いしました。
目次
新規プロダクト開発のためReact Nativeに長けたエンジニアを採用
早速ですが、今回FLEXYをご利用いただいた経緯について教えていただけますか?
バンドルカードのように、これまで当社は金融系の領域の中でも「決済」のサービスを提供してきましたが、現在「決済と投資」の領域で新しいプロダクトを開発しています。そこで開発のスタートにあたりもう少しエンジニアのパワーが必要だということで、最初は業務委託の方にもご協力いただくことにしました。
人材を紹介してくれるエージェントやメディアをいろいろと探しており、同じタイミングで知り合ったのがFLEXYのコンサルタントである野谷さんです。早速お話を伺い、フロントエンドエンジニアを2名紹介してもらうことになりました。現在エンジニア組織は業務委託を含めて15名のチームになっています。
具体的にはどのようなスキルを求めていたのでしょうか?
新規プロダクトにはReact Nativeを採用予定でしたので、ReactやVueなどによるSPA、いわゆるWebフロントエンドのモダンな技術経験を求めていました。 また、指示を受けてコードだけを書くのではなく、仕様や設計に関する議論からできるエンジニアを希望しましたね。
案件概略: | エンジニアリング支援 |
---|---|
スキル要件 | React Native |
期間 | 3ヶ月 |
稼働頻度 | 週3日 |
働き方 | フルリモート |
React Nativeを選定された理由はなんだったのでしょうか?
一番端的な理由は、バンドルカードでReact Nativeを使っていることです。すでに社内に十分な知見がありましたし、今後まだまだ業界的にも使われ続ける技術であろうというところで採用しました。
React Native はiOSやAndroidのアプリ開発において本流とは言えませんが、今回のようにWebの開発者の方がスムーズに開発に入ることができるのはメリットの一つだと思いますね。
雇用形態は関係なく、議論を重ねながら自走できる人材を求めた
採用候補者は10名ほどご紹介させていただいたかと思いますが、実際には何名程度の方と面談されましたか?
お会いしたのは5、6名ほどです。書類選考はスキル要件を満たしていることはもちろん、ある程度自立して働いてきた経験があるかどうかで判断しました。
面談では具体的にどのような質問をされたのでしょうか?
これまで手掛けてきたプロダクトの設計や技術選定の意図などについて、一つずつ内容を伺いました。実際チームに入ったらそういった部分について正社員も業務委託も関係なく一緒に議論しながら進めていくことになるからです。チームの中で自然に仕事ができるか、という観点で見ていました。
もちろん業務委託の方に完全にプロジェクトを任せるわけではありません。しかし、エンジニア自身が自走してほしいという要望は強く持っていました。
実際フロントエンドエンジニアが2名ジョインして、いかがですか?
当社はFLEXYさん以外にもいろいろなエージェントとのお付き合いがあるのですが、その中でもしっかりスキルがマッチした方を紹介していただけたなと思っています。
小さな事柄でも常に納得できる答えを追求するチームを目指す
では、エンジニア組織についてもお伺いしていければと思います。伊藤さんご自身は、CTOとしてどんなミッションを持っているのでしょうか?
事業成長のために、技術的側面から必要なことは何でもするのがCTOの役割ですが、直近の明確なミッションは採用ですね。会社としては明確に「こういうことをやりたい」「こうやって成長していきたい」という思いがある中で、それをどのように実現していくか、そのための開発チームをどのように作っていくかというところがやはり大きな課題です。
エンジニア組織づくりで心がけていることはなんですか?
やはり議論できるチームでいることです。エンジニアリングという仕事は、本当に小さなことを決めて進めるという作業の繰り返しです。当然議論の中でぶつかることもあると思いますが、そこを放り出さずにしっかり納得できる答えを見つけられるチームにしていきたいですね。
また、全社的には「学び続ける組織」でありたいです。これまで経験してきた仕事の延長線上でプロダクトを作るというよりも、個人の学びをチームに還元しながら、組織として新しい挑戦を続けることを大事にしたいと思っています。
学ぶという観点で社内では自由に書籍購入できたりはもちろんできますし、チームによっては読書会や勉強会も実施しています。
ちなみに、現在の働き方はフルリモートですか?
コロナ以前は基本的に出社でしたが、現在はリモートと出社のどちらも選べるようにしていて、会社の近所に住んでいるメンバーは出社していたりもします。
投資に対する心理的忌避感の払拭が日本経済の前進につながる
今回、「決済と投資」という領域で新規プロダクトを開発することになったということですが、その背景についても教えてください!
当社はもともと「心理的unbankedをソフトウェアで解決する」というビジョンを掲げています。unbankedとは、銀行口座を作れないなど、金融サービスにアクセスできない層を指す言葉です。ビジョンを踏まえ、「決済」だけではなく「金融」というもっと幅広い領域を手掛けたいという思いがありました。
日本は金融のインフラは整っており、unbanked層自体は多くはありません。しかし実際にはキャッシュレス決済に対して「何だか怖い」「使いすぎてしまいそう」など、心理的な部分で距離を置いてしまい、現金を使っている方が非常に多いという側面があります。これは決済だけではなく投資も同様です。日本経済を前に進めるためには「いかに投資に力を入れるか」が、次に自分たちが取り組むべき課題だと捉えていました。
今回のプロダクトのアイデア自体は社長に端を発しており、そこに社内のメンバーが集まり、どんどん具体化されていったという感じです。
まだサービスの詳細はお伝えできませんが、デザイナーのメンバーが作ったモックを用いたテストなども何度も繰り返しながら実際の開発を進めています。
モックによるユーザーインタビューはやはり大切ですよね。
アプリを1年かけて開発したけれど誰にも使われなかった……では悲しいですからね。
ある程度アイディアのベースができたら、それを基にモックを作り、ユーザーからフィードバックしてもらうようにしています。こういったインタビューやユーザーテストのプロセスは、バンドルカードでも実施していました。特に金融に関わるプロダクトは、許認可の取得が必要だったりしてそこに使える時間が副次的にあったりしますしね。
リリースは今夏予定なので、楽しみにしていてください!
新しいサービス、リリース楽しみにしています!本日はありがとうございました!
企画/編集:FLEXY編集部