スポーツの「瞬間」を切り取り感動を可視化したい、スポーツテックの新たな挑戦と開発の裏側ーーookami

※本記事は2020年1月に公開された内容です。

2014年にスポーツエンターテイメントアプリ「Player! 」をリリース後、2015年にBest of App、2016年にグッドデザイン賞を受賞し、快進撃を続けている株式会社ookami。

テレビで報道しきれないマイナースポーツの「瞬間」を切り取り、コミュニティを作ることで新しいエンターテイメントの提供を行う「Player! 」は、そのデザイン性やエンジニアリングも高く評価されています。

この記事では、(写真右から)代表取締役の尾形さん、CTOの中村さん、リードデザイナーの小磯さんの3名に、ookamiが運営する「Player! 」の軌跡や現在の開発体制、今後の方針などについてお伺いしました。

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新しい価値の提供とデザイン・エンジニアリングで数々の賞を受賞

今日は、「Player! 」の開発の裏側も聞かせていただければと思います!まず、全体の組織やエンジニア人数を教えてください。

尾形太陽さん(以下、尾形):弊社は今6期目で、40人ほどのデザイナーやエンジニア、クリエイターが中心となり開発運営を行っています。そのうち社員は13人ほどで、半分以上はデザイナーやエンジニアです。他にもさまざまな雇用形態の従業員がいて、フリーランスやインターンの人もいます。

CTOの中村さんとデザイナー小磯さんはどのように入社されたのでしょうか。

中村文哉さん(以下、中村):創業期の2014年にジョインしていて、きっかけは代表と前職の同期を通じて知り合ったことでした。当時まだ学生でしたが、ずっとエンジニアで起業したりしていてタイミングも合ったので、一緒にやろうということになったんです。

尾形:中村は、最初は学生ということでフリーランス的な関わり方でしたが、2016年頃、正式にCTOとして参画しました。また、小磯は当時19歳でしたが、デザイナー繋がりの縁があって、弊社で半年ほどインターンをし、大学を辞め入社しました。彼の大学の同期が今就職する年なので、とても若くて優秀ですね。同世代の中ではトップレベルだと思います。

御社のサービス、「Player! 」はどういったものですか?

尾形:「Player! 」はスポーツエンターテイメントアプリです。スポーツの試合のリアルタイム速報を届けています。ユーザーがテキスト速報を通じて、リアルタイムで試合の進捗を共有できたり、感情を表すスタンプ(エモーション)を使うことで、離れていてもまるで同じ空間にいるような臨場感を味わうことが出来るサービスです。従来のスポーツ観戦手法は現地での観戦・テレビでの観戦の2つですが、インターネットが普及した現在もテレビに次ぐ方法ができていません。私たちはスポーツの価値は「瞬間」にあると考えていて、観客の興奮が最高潮に達する瞬間の価値を、いつ、どこにいても提供したいんです。それを可能にするのがインターネットだと思っています。その特性を活かし新しいエンターテイメント・新しいスポーツ観戦手法を目指して「Player! 」を開発しています。

「Player! 」はBest of App 2015や2016年度グッドデザイン賞を受賞していますが、そこに至る過程を教えてください。

尾形:「スポーツに関するインターネットの事業を立ち上げたい」という思いから、2015年の4月に「Player! 」をリリースしました。当時はスポーツニュースメディアとして、スポーツニュースにコメントやコミュニケーションが集まってくるというコンセプトでしたが、なかなかコメントを集めるのが難しかったんです。

試行錯誤するうちにスポーツの速報(=試合)に近いニュースにはコメントが集まりやすいと気付き、ニュースではなく試合そのもの、「感情が一番動く瞬間」にフォーカスを当てたコミュニティを作ることに意味があるのでは、という結論に至りました。そこでリアルタイム性やライブ性にシフトして今の「Player! 」に近い形になったんです。コメント集めには苦労していましたが、デザインやエンジニアリングという僕ら独自の強みも相まってBest of App 2015や2016年度グッドデザイン賞に選んで頂きました。UIやデザイン、コンセプトなどを評価して頂いたんです。

でも、もっとユーザーを増やしたい。そう思った時に、ハンドボールなどのマイナースポーツの試合を配信してみたことで、「普段スポットライトを浴びていない試合」を待っていた人たちがいると気付きました。マイナースポーツや学生スポーツなど、プロではないカテゴリはテレビであまり放送されないですよね。従来のスポーツエンターテイメントでは、「ニッチの集合体をかき集めてマスを作っていく」ということがなされていなかったんです。

そこで、ロングテールが本質であるインターネットでそれをやっていこうと戦略を転換し、今の「Player! 」になりました。ユーザー集めに苦労していたにもかかわらず、さまざまな賞を頂けるようなコンセプトを持てたのは、デザインやエンジニアリングという充分なスキル・才能があるチームだったからだと思います。

ユーザーの気持ちを理解し、変更に強い開発を

開発手法や言語はどのようなものを使っていますか?

中村:「Player! 」はメイン言語はRubyやSwift、JavaScriptです。Web周りはReactがベースですね。iOSに関しては、ちょうどSwiftが発表された直後に開発を開始したので、Swiftの最初のバージョンから、今も追従して開発を続けています。サーバーはRubyで構成していて主にRailsがメインですが、ほかにもSinatraなどを利用しています。

開発時に気を付けている点はありますか?

中村:立ち上げ当初から、アイデアがピボットする可能性はありました。なので、「変更に強いこと」を意識して技術設計や開発をしています。

デザインはどのように作られたのでしょうか?

小磯雄大さん(以下、小磯):UI・UXを理解しながらです。「ユーザーはどういう操作をするのか、したいのか」と考えながらデザインしています。

例えばスマホでもいろいろな大きさのものがあるので、どの大きさのスマホでも同じ体験ができるようにしたり、ボタンの色もオレンジと黄色と青と…といろいろあったら複雑になるので、統一感を持たせてデザインしたりしています。「Player! 」のプライマリーカラー(代表色)はピンクなのですが、そのピンクでも白い画面の時に見えるピンクと、黒い画面の時に見えるピンクは微妙に変えています。

ハンドボール配信の際約10万人にリーチしたとお聞きしましたが、アクセス数が多くて苦労したことはありましたか?

中村:ありましたね(笑)。スポーツ系アプリの少し困った特性として、「瞬間的にアクセスが増えて急に負荷がかかる」という点があり、それには苦労しています。でも「多くの人が来てくれて嬉しい」と思うところでもありますね。

そうした急な負荷にはどう対処されているのでしょうか。

中村:常に事前にそうした事態を予測して準備しています。それでも「予測を超えるアクセスがあり、数分間繋がりにくかった」という時は年に数回ありました。その対策としては、システムの増強や改善を行って、次のアクセスに繋げるようにしています。心がけとしては、他の大きなサービスでも障害が起きていることはあるので、「常に改善してユーザーに価値を届ける」ということに集中しています。

今後、業務委託を頼むならどのような人材が欲しいですか?

中村:今はサーバーサイドとRubyのエンジニアが一番欲しいですね。まあ、全体的に欲してますけど(笑)。

尾形:僕らの価値観やビジョンに共感頂けて、若いチャレンジ精神を持っている人と出会いたいというところが大きいですね。中村や小磯もそうなんですけど、積極的に欲しい人材が集まってきたというよりも、才能がある人が入ってきたことがきっかけで新しいことができるようになっていくチームだと思うので。募集要件は定義していますが、精神的に若くて優秀だったら40代でも歓迎です。

住環境に近い職場で、アットホームな働き方を

オフィスが世田谷の一軒家なのは珍しいと思いますが、なぜこの形を選んだのですか?

尾形:いろいろ理由はあるのですが、逆にあまり都心にオフィスを構える意味はないと思うんです。坪単価も高いし、住環境も良くないですし。人のエネルギーは感じるかもしれませんが、通勤のストレスや街のきれいさなどを考えても、仕事をするうえで特に都心にメリットはないのかなと。

世田谷を選んだ理由は、条件に合う建物や環境があったことが大きいです。僕らが条件として決めていたのは、シャワーとキッチンがあること。この2つはマストだったのですが、そのうえで200㎡以上かつオフィス利用ができる建物となると、かなり絞られて十数件ほどになったんです。

その中で探していたらここを見つけました。坪単価も安くて静かだし、渋谷まで10分とアクセスもいいんです。現在は営業主体の会社ではないので、デザイナーやエンジニアが心地よく働ける環境であれば良くて。キッチンを使って宴会したり、お昼ご飯を皆で作ったりしています。

中村:BBQ用の道具もあったりするんです(笑)。

尾形:弊社も1~2年目は原宿にあったんです。陸上選手の為末大さんが創業時の株主で支援してくれていて、彼のオフィスに2年ほど入っていました。なので原宿は好きですね(笑)。

エンジニアやデザイナーもクリエイティブな発想を生み出しやすい戸建てのおしゃれなオフィスです!

社員から見て、ookamiのオフィスの印象はいかがですか?

小磯:以前は都心のオフィスで働いていたのですが、今の感じの方が好きです(笑)。ラフにリビングでお茶しながら話すとか、お昼を作って食べるとか、人との距離感が近くなる印象があって。僕は他の社員とスーパーで5,000円分くらい買いだめして、冷蔵庫に入れておいて毎日自炊しています。一軒家のようなオフィスだと、そういうことができてみんな家族みたいですね。オフィスビルじゃ生まれないような体験ができます。

尾形:オフィスをこういう雰囲気の場所にすると、仕事とその他の境目があまりなくなると思います。職場環境が住環境に近くて、最近の働き方のトレンドに近い気がします。留学でアメリカにいた時にNikeやTwitterのオフィスを見たんですけど、彼らもオフィスビルには入ってなかったです。Googleも、社内にコミュニティスペースがありますし。オフィスビルは、東京という環境が作った「効率化の箱」という気がします。

あと、弊社には家賃手当てがあります。この近辺に住んでいる社員を金銭面で少しサポートしていて、全社員の8~9割くらいが利用しています。世田谷は住みやすいし、職場と家が近いとコミュニケーションもとりやすいし、通勤のストレスも少なくなる。僕は心地いいと感じています。

日本中の「感動」を可視化するには、先進的な取り組みをするチャレンジ精神が必要

最後に、貴社の今後の展望を教えてください。

尾形:「Player! 」を通じて日本中の埋もれている「感動」を可視化させ、そこでコミュニティを作っていきたいです。今、日本中で行われている試合は年間1,000万試合くらいあるのですが、僕らはその1%くらいしか可視化できていない。テレビもその1/100くらいです。そうして日本中で眠っている「感動」を「Player! 」で可視化し、コミュニティを作る。それが僕らが目指していることです。

特にここ1~2年で、自分たちの戦略や方向性が間違っていないという確信ができたので、あとは組織と資金力の2つが必要だと思っています。組織のベースはサービス開発にあり、特にデザイナーとエンジニアが必要です。小磯と中村のように若くて才能のあるメンバーを、まだまだ募集しています。「新しい挑戦をしたい」というデザイナーやエンジニアが集まる組織を作っていきたいです。

あと僕らが大事にしているのは「どういう風に繋がっていくのか」です。具体的に言語化すると、「常識を疑おう・共に築こう・追求しよう」の3つです。

特にスポーツ業界は歴史が長いので、慣習や常識が固まっているところがあります。でも、踏襲すべきところは踏襲しつつ、新しい価値を作っていこうというのが「常識を疑おう」ですね。あと、スポーツ業界って複雑性が高いんです。ステークホルダーが多かったり、デザイナーやエンジニアはもちろん、社内でもいろいろなポジションの人がいたり。1人で調和を実現することは難しいので、チームで実現していこうというのが「共に築こう」です。「追求しよう」は、弊社では特にデザイナーやエンジニアを大事にしているので掲げました。この3つの価値観に共感して頂ける方と、さらに深いチャレンジをしていきたいです。

写真右側:
株式会社ookami 代表取締役 尾形太陽さん
大学卒業後、ソフトバンク株式会社に入社。在学中からスポーツ業界で起業やインターンを行っており、事業立ち上げのため約10ヶ月で退社。2014年4月に株式会社ookamiを設立。

真ん中:
株式会社ookami Product Division Design Lead 小磯雄大さん
小学6年生の頃からグラフィックデザイナーの両親に教わり、デザインを始める。大学在学中にookamiで半年ほどインターンを行い、19歳の時に入社。

左側:
株式会社ookami CTO 中村文哉さん
大学2年生の頃にプログラミングと出会い、ソフトウェア開発を始めて1ヶ月でiOSアプリをリリース。大学在学中に尾形と出会い、2014年6月からookamiで働くことに。2016年頃、正式に役員として参画。

貴重なお話、有難うございました!

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