(後編)【CTOインタビュー】 日本一のエンジニア組織を創るために Speee 是澤氏


先日、flexy関連イベントとして開催された、第1回「Ex-CTO meetup」。

CTO/Ex-CTOとは何なのか?どう関わればいいのか?をテーマにCTO経験者同士のディスカッションが行われた。

今回は、当日深掘りし切れなかった内容について、ご登壇頂いた株式会社Speeeの是澤氏をお招きし、個別に話を伺った。


※前編はコチラから

様々な立場の視点に立つためにも、「本を読む」。

黒田 悠介氏(以下、黒田):

採用は対外的な活動が多いと思うのですが、対社内についてはどういった立ち位置でいらっしゃるのでしょうか。例えばチームビルディングなどいかがでしょう。


是澤 太志氏(以下、是澤):

分業が必要だと思っていて、チームの課題については現場に一任しています。私の使命は採用なので、そこに注力することが重要だと思っています。エンジニアの相談事は開発部顧問である井原さんにメンバーとのコミュニケーションをとってもらっています。問題解決のレベルを上げるには、社内で最もレベルの高い人に合わせた議論が必要だと思うからです。


黒田:

現場のメンバーとの関係性はどういった感じなのでしょうか。


是澤:

僕は結構こちらから話しかけるタイプで、壁を感じない関係を作っているつもりです。もともと20代のころはエッジの効いたヤンチャなエンジニアで、話しかけにくい人間だったんですが、マネジメントに失敗したことなどもあり、ドラッカーなどの本を読んだりしてインプットして試行錯誤した時期もあったんですよ。今後は高田純次やリリー・フランキーのような「おじさん的振る舞い」ができる人でありたいと思っています(笑)


黒田:

本を読もうと思ったきっかけはあるのでしょうか。


是澤:

20代の頃にある職場で、経営者サイドと話が全く噛み合わせない経験をしたんです。加えて、部下のマネジメントもうまくできなかった。プロダクトも作れていない。要するに何もできないという経験をしたんです。その後、転籍した会社で「本を読め」というアドバイスを受けたんです。経営やマネジメント、マーケティングといった基礎知識を本から吸収するようになると、ある変化が起きました。本から得た先人の智慧をパターンとして知っておくことで、予測をして危機を回避したり、次の打ち手を考えるようになったんです。


黒田:

ちなみに、そういった知識を入れた後でプログラミングに対する考え方も変わりましたか?


是澤:

かなり視野が広がったと思います。技術を使うのはあくまで人なので、どれだけ素晴らしい技術を使ってもユーザーの使い勝手や管理者の運用を考えてプログラミングしないといけない。そこには思いやりというかホスピタリティが必要だと感じましたね。


黒田:

技術を手段として捉えるようになった、ということですね。そういえばイベントでも「ホスピタリティ」の大切さを話していましたね。


是澤:

はい。エンジニアだからといって技術に傾向してしまってユーザや仕事仲間の事を思いやれなくなってくるとプロダクトにも歪が生まれてくると思うんです。例えばテクノロジー寄りの視点が強いエンジニアがいたら、もっとユーザーや管理者のことを考えてシステムを考えるようにアドバイスしたりすることも、CTOのような人材には必要だと思います。


黒田:

「バランスが取れない」という点で、他にどのような場面がありますか?


是澤:

例えば経営者の立場と現場のエンジニアの立場ですね。両者を俯瞰して、客観的な立場でものを言える人が必要なんだと思うんですよね。現場を守ることもあれば、一方でダメ出しすることもあります。


黒田:

どちらかに肩入れするわけでもなく、中立的な立場でいることを意識しているんですね。


是澤:

そうですね。重要なのは組織の成長や結果を出すことであって、僕の立場ではない。結果を出すために、客観的に言うべきことを言うだけです。Speeeという会社は規模感的にはミドルベンチャーですが、それを社会に認められている状況ではありません。だから、まだまだ勝負にいかないといけません。現場がヘンに満足感を持ってしまっていたら「いやいや、まだまだだぞ」という言い方をすることもあります。でも、逆に焦りすぎていたら「まずは足元のことをちゃんとやろう」という言い方をすることもあります。

大切なのは、同じ目的に向けて走っていること。

黒田:

エンジニアに対する接し方も、バランスが大事なんですね。


是澤:

はい、それが僕がSpeeeにいる理由のひとつですね。目的意識を持って全体を見たときに感じたことを、率直に伝えるのが役割だと思っています。覚悟は要りますが、もっと高みを見たいんです。実際、Speeeはその高みを見られる組織だと思うので。


黒田:

全体観を持つコツなどありますか?


是澤:

経験値かもしれませんね。色々な経営者と組んだり失敗も色々してきましたから。CTO的なポジションを5年位やったり、立ち上げをしてきた経験が活きていると思います。また、本を読んで学ぶことも大事だと思います。足りない知識は書籍で取り入れて、実践していくことで、様々な視点を持つことができるようになります。また、周りの人にも恵まれていて、フラットに接していることでフィードバックやヒントをくれたりします。


黒田:

普段から話しかけたりしてそういった関係性を作るのも大事ですね。


是澤:

そうですね。それ以上に、同じ目的に向かっている『仲間』であることも大事です。相談に乗る時も、組織のことを考えるよりは目の前にいる一人にしっかりと向き合って話をするようにしています。その人がここにいる目的が、組織のビジョンと合致しているのかどうか。違うなら辞めたほうが良い。でも一方で、組織に対してその人ができることも一緒に考えたりします。


黒田:

組織と個人の間でニュートラルに相談に乗ってくれている感じがしますね。少し話題が変わるのですが、是澤さんが今後実現したいこともお聞きしたいと思います。


是澤:

僕が最近考えているのが、もっと自由にモノが作れる環境をエンジニアに提供したいと思っています。「ガレージ構想」と呼んでいるのですが、平日の夜や土日を使って人が集まって作りたいものを作る。本来インターネットってもっとやりたいことをワクワクしながらモノづくりをする事ができる世界だと思うので、組織に所属しながらやりたいことをやる、というスタイルが広がればいいなと思っています。ガレージで学んだことは、所属している企業の仕事にも活かせると思います。


黒田:

面白いですね。仕事と遊びの中間のような感じがします。色々なバックグラウンドや能力がある人が集まれば、いろんなことができそうです。


是澤:

思いを同じくする人が集まったらパワフルですね。エンジニアだけではなく、プロダクトに対する客観性のある人が入ると良いと思います。


黒田:

そうですね、ユーザーの視点や市場の視点を持っている人が加わると、さらにシナジーが生まれそうです。


是澤:

そういったチーミングも重要ですが、どちらかというと「組織に所属しながら」というのがキモだと思います。社外の活動で得たものを会社としてのプロダクトや組織づくりにフィードバックすることでさらに技術を伸ばしたり、グロースする能力を身につけたり多様なスキルの習得に繋がると思います。またいつか起業をしたいと考えているエンジニアの場合だと、組織に所属しながらそのダイナミズムを感じておけば、いざ自分が組織を作るときにも役に立ちます。

サービスのグロースに時間がかかるとしても、組織からの給料があれば資金ショートを気にせずに運用することもできますね。時代の先を行き過ぎたサービスでも、時代が追いつくまで待つことができれば急成長する可能性もありますし。また、最近はIT企業が投資することも増えているので、ガレージで作ったプロダクトに投資してくれる可能性もありますよね。そういったこともキャリア形成の手段としても考えられると。


黒田:

確かに。そう考えるとかなりメリットが大きいですね。組織に所属しながら、個人的にやりたいこともやれる。是非実現させたいですね。


(おわり)

第1回「Ex-CTO meetup」登壇者
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是澤 太志氏
株式会社Speeeエンジニアマネジメント責任者 兼 エンジニア採用責任者
1979年生まれ。 2000年からIT業界に飛び込み、20代の頃は主にリードエンジニアとして、30代からは組織やプロジェクトのマネジメントを中心に活動。 6回の転職と10社での多種多様な事業開発を経験。起業や個人事業主として活動していた時期もあり技術顧問や技術アドバイザーなどの経験も積む。 シーエー・モバイルにて研究開発部署の立ち上げやALBERTで技術責任者、フリマ系ベンチャーでCTOを経験し、現在はSpeeeでWebマーケティング事業部の開発責任者を務めたのち新卒・中途エンジニア採用を中心にエンジニアの組織系の責任者として携わりながら、スタートアップの技術支援、採用支援を行なったりもしている。
インタビュアー
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専門家:黒田 悠介氏
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日本のキャリアの多様性を高めるために自分自身を実験台にしている文系フリーランス。ハットとメガネがトレードマーク。 ベンチャー社員×2→起業→キャリアカウンセラー→フリーランスというキャリア。 主な生業はインサイトハッカー(プロインタビュアー)とディスカッションパートナー(壁打ち相手)で、新規事業の立ち上げを支援しています。
個人では「文系フリーランスって食べていけるの?」というメディアを運営。

この記事を書いた人
flexy編集部
flexy編集部
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