CTOが東京と長野の2拠点を行き来する。遠隔地で行われるプロダクト開発の裏側――Holmes・花井亮平さん

CTOインタビュー

東京の大手町に本社を構える株式会社Holmes。契約書の作成/承認/締結/管理をワンストップで提供し、契約の仕組みを最適化するクラウド契約システム「Holmes」の開発・運営をメイン事業として、2017年に創立された企業です。同社は長野にも拠点を持ち、取締役CTOである花井さんは長野と東京を行き来する働き方をしています。 2つの拠点を持つHolmesの開発組織体制や掲げているフィロソフィーをはじめ、花井さんがCTOとして実際どのような役割を担っているのかについて詳しくお伺いしました。

東京と連携しながら開発を専門で行う、長野の「開発サテライト」

まずは、花井さんのキャリアを簡単に教えていただけますでしょうか。

CTO 花井亮平さん(以下、花井):もともとは名古屋出身なのですが、結婚を期に長野県の上田市に移り住むことになり、地元のベンチャー企業で働き始めたのがキャリアのスタートです。本格的にプログラミングを学んだのも勤めだしてからで、参考書を買いVisual BasicやC++をメインに独学で勉強しました。 その後は自分でソフトウェア開発の会社を設立してウェブアプリケーションの受託開発を主に経営・営業を行ったり、産学官連携を推奨している信州大学繊維学部のラボにオフィスを構え、研究機関や大学のPoC用プロトタイプの開発を手がけたりと活動の幅を広げました。

長野の開発サテライトの役割も含め、エンジニア組織の概要をお教えください。

花井:エンジニア部隊は私を含めて8名。サーバーサイドが4名、フロントエンドが3名、サポートエンジニアが1名です。長野には開発メンバーしか常駐しておらず、ラボ的なイメージですね。当然ながら機能的にもテクニカル部分の開発がメインです。東京にもエンジニアメンバーが常駐していますが、特にビジネスサイドと深く連携しながら開発を行う役割を担う事が多いです。開発の内訳について長野と東京で明確な棲み分けはないのですが、長野はインフラまわりを含み、ディープな実装を手がけることが多いですね。

エンジニアが一番価値を発揮できる、アジャイル型の開発手法を採用

2019年3月、新たに雇用契約ソリューション「Holmes for 店舗」をリリースしていますが、どのようなサービスなのでしょうか?

花井:店舗ごとの雇用契約を会社全体として把握しつつ、締結自体も電子を通して簡単にできるサービスで、モデルケースは多店舗展開している企業です。複数店舗持っていると、その場所ごとに雇用契約が発生し、契約書をはじめとした書類が揃っているのかどうかは本部側でもチェックが必須です。ただ、郵送でのやり取りはどうしてもタイムラグが発生してしまうので、簡易化が必要だというのが現状でした。そこで、実際に多店舗展開している企業にヒアリングを重ね、その内容をベースとして開発したのが本サービスです。 開発の社会背景としては、2019年4月から「労働条件通知書の電子メール解禁」によって雇用形態の完全電子化が可能になること、「改正出入国管理法」の施行による外国就労者の新たな在留資格の付与が影響して、外国人材の受け入れがさらに活発になるであろうという見込みもありました。これを機に、雇用管理のオペレーションを見直してほしいという思いを形にしたのです。

新サービス開発にあたって、新しい組織運用の方法を実践されたそうですね。

花井:2019年の年明けから開発体制に変更を加え、今回のプロダクトはその効果測定も兼ねていました。具体的には、V字モデルだった開発手法をアジャイル型へと転換しています。それに伴い、体制をスクラム化してツールも一新しました。それまでは開発する機能の工程ごとに担当者を割り振っていたものを、提供するサービスにより得たい結果を定義してそれぞれが持つスキルや役割で自立して取り組める形にしました。

これらの変革を行った理由の一つはユーザー目線でソリューションを考えるようにする事、もう一つはエンジニアが一番自分たちの価値を高く位置づけて働ける環境を作りたかったことです。
現在の手法においては、プロダクトオーナーからの要求やビジネスサイドからのフィードバックからユーザーストーリーをベースにしたUIプロトタイプを作り、ストーリーに即した開発の優先順位を決めるようにしています。エンジニアは目の前の提供価値の高い順で優先順位付けされた開発の複雑性に応じた工程を担うことになるので、エンジニアが自分の現在価値を最大限発揮できている状態を作る事ができます。しかも、それがストーリー全体のどの部分に当たるものなのかも把握できるのがこの仕組みのメリットです。
もちろん現実的にはメリットばかりでなくデメリットもありますが、理想として目指す開発のあり方に最も有効な手法がアジャイル・スクラム型だろうということで、今回採り入れました。

花井CTO

機能横断型の開発会議で、2週間のスプリントを決定していく

HolmesのCTOとして、花井さんが長野と東京を行き来する意義はどんなことなのでしょうか?

花井:東京で週に1回必ず行われる開発会議に参加することが、行き来する大きな意義ですね。「開発会議」といってもプロダクトオーナーやセールスチームからもメンバーが参加しており、開発方針に関する合意と決定を行う機能横断的な会議体です。開発サイクルは2週間で区切られており、開発チームでの次の2週間の動き方を決定します。
会議は基本的に1時間で、前半はデザインプロトタイプを用いて次に開発する機能の認識合わせを行い、後半は稼働しているプロダクトに対するユーザーのフィードバックを並べ、何をどんな優先順位でやるのかを決めていくという構成です。

花井さんのCTOとしての強みはどんな部分ですか?

花井:私はエンジニアとしてはブランクがあり何かのエキスパートではないのですが、上田で自分の会社を立ち上げた事から、早い段階で会社経営、マネジメントに転向した経験が強みとして挙げられると思います。下請け仕事は絶対にしないと決めていましたので、直接クライアントに接する中で、要求された事の本質的な解決はどうしたら良いかを探ったり、どのアーキテクチャを用いれば中長期的に最もコストが低くなるかを考えたり、セキュリティや品質面でどんなレベルを要求されているのかを見極めたりといったビジネス感覚は、現在も大いに役立っていますね。

エンジニアの個性を活かした「丸いチーム」をつくるフィロソフィー

開発チーム向けのフィロソフィーも制定されているそうですね。

花井:エンジニアチームの発足初期に、みんなで話し合って決めたものが5つあります。

<開発組織のフィロソフィー>

  1. Think Deeply
    一つの要求を深く考察し、より価値の高いサービスを作り提供しよう。
  2. Be a piece of Pizza
    一人ひとりの能力は切り取られたピザのように尖っているけれど、チームでは丸く団結しよう。
  3. Time Management
    時間は有限。一日の時間をどう使うかを吟味しよう。
  4. Good I/O (インプット、アウトプット)
    高品質のアウトプットを生むために、良いインプットを得る努力をしよう。
  5. Speed, Speed, Speed!!
    とにかくスピード感を持って仕事しよう。

    花井:
    ①の“Think Deeply”は、ユーザーからのフィードバックを検討する時に本来求められていたストーリーと照らし合わせて、言われるがまま実装するのではなく、自分の頭で考えようという意味です。

    ②の“Be a piece of Pizza”は、エンジニア組織は専門分野、得意分野が一人ひとり違って、凸凹しています。それを切り取られたピザに例えたメンバーが居て、それだ!となって採用されました。1枚1枚は尖っていても、団結すれば1枚のピザのように丸くなれる。チームワークによってスキルを埋め合うことが、全体的なスキルアップにもつながるのだと考えています。

    ③の“Time Management”はメンバーの時間の使い方に着目したものです。2週間のスプリントは、メンバーが自分のスキルと時間を出し合うことで成り立っています。最低6時間は開発に集中して従事し、残りの2時間は他者のフォローや自分の学習、気分転換に使うなど。組織にとって一番貢献する使い方ができるように自分の時間をマネジメントしよう、という考え方です。

    ④の”Good I/O”は、アウトプットの質を高めるためにはインプットの質を上げる必要があるという事です。単純なチーム内外のコミュニケーションだけでなく、ユーザーの課題やその背景について理解してしっかりインプットできていれば、良いアウトプットにつながるはずです。

    ⑤の”SPEED, SPEED, SPEED”は、シンプルです。単純に仕事は早くしよう、ということですね。

花井CTO

今後、エンジニア組織をどのような形でグロースさせていきたいですか?

花井:現在は8名1チームで開発をしていますが、同じく7~8名単位でチーム自体の最大数を増やしたいですね。また、ローンチ当初はスモールビジネス向けであったプロダクトをエンタープライズ向けにピボットした経緯も相まって、セキュリティ面で高いレベルの要求をされることが間々ある一方で、まだそれらの要望に対するカウンターが弱い部分があります。ですから今後はセキュリティやQAの強化も必要だと感じていますね。新たに採用するというよりは、チーム内でそういった方向の専門性を持ちたいと思っているメンバーに携わってもらい、一緒に成長していく形を目指したいと思っています。


この記事を書いた人
flexy編集部
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