毎秒10万件のリクエストを処理。アドテクを支えるエンジニアに求められるものとは――ユナイテッド・伊良子さん、川住さん

SSP「adstir」やDSP「Bypass」、動画広告プラットフォーム「VidSpot」などの広告管理・配信プラットフォームのサービス開発を手がけるユナイテッド株式会社。アドテクノロジー領域におけるエンジニアに求められるスキルセットや開発手法について、執行役員 国内アドテクノロジー事業 アドプラットフォーム事業本部本部長の伊良子氏と、国内アドテクノロジー事業 技術開発部部長の川住氏にお話を伺いました。

ユナイテッド株式会社
伊良子 氏
伊良子 真史 氏
執行役員 国内アドテクノロジー事業 アドプラットフォーム事業本部本部長
大学卒業後、ソフトウェア開発会社やITベンチャー企業にてプログラマー・インフラエンジニアとして従事し、フリーランスを経て2009年株式会社フラクタリスト(現ユナイテッド株式会社)入社。リードエンジニアとしてRTB広告事業のプロダクト開発に従事し、2013年より広告カンパニー 技術開発部部長に就任。2017年、執行役員 テクノロジー統括本部本部長就任を経て、2018年より執行役員 アドプラットフォーム事業本部本部長。
ユナイテッド株式会社
川住氏
川住 涼 氏
国内アドテクノロジー事業 技術開発部部長
大学院の修士課程修了後、2015年ユナイテッド株式会社に入社。技術開発部に配属となり、DSP「Bypass」の開発に従事。その後、配信・インフラチーム所属となり、RTB用の各種アドサーバーの開発やインフラの構築・運用を行う。2016年より配信・インフラチーム マネージャー。2017年よりBypass/VidSpot開発チーム マネージャーを兼任。2018年7月より技術開発部部長。

高速サーバーを構築するために、幅広い知識を要するアドテク領域

まずは、アドテクノロジーという領域の仕組みについて、概要を簡単に教えていただけますか?

伊良子:いわゆる広告配信を行うものですが、単純に広告を出すだけのシステムではありません。毎秒10万件以上のリクエストを処理するシステムが必要であることに加えて、様々な条件判断や広告効果の予測なども同時並行で行います。そのため、開発には非常に高速なサーバー構築が必要不可欠です。 アドサーバー自体はWEBサーバーの一種ですが、1台あたりの処理能力を高めなければならないため、CやGo、Luaなどあまり一般的ではない言語を用います。通常のWEBアプリケーションサーバーの開発で使用されるPHPやPerl、Pythonなどを扱うエンジニアとは、若干スキルセットが異なるというわけです。さらに高速サーバーは、サーバーやミドルウェア、そしてプログラムがワンセットになって完成しますから、インフラの知識も必要になるのが、アドテクに関わるエンジニアの大きな特徴の一つですね。 また、いかに広告効果を高めるかという部分では、最近話題になっている機械学習やAIに関連した技術も当たり前のように導入されている業界でもあります。

United社インタビュー

アドテク開発に求められる技術を切磋琢磨して高める社内風土

そんなアドテク事業において、御社はどのようなエンジニア体制を構築しているのでしょうか?

川住:エンジニアは技術開発部全体で約30名です。5つの開発チームに分かれていて、既存プロダクトのいずれかを担当しています。新規プロダクトを開発する時は、兼任する形で柔軟に動ける体制です。さらに、開発チームとは別にインフラ、データサイエンスを担当するチームがあります。この2つについては、全プロダクトを横断して、共通のインフラ管理や広告効果の改善・分析を行えるようにしています。技術開発部全体でノウハウを共有する意味合いもありますね。開発自体は、基本的に各プロダクトに配置されたPMが企画や調整を担当しています。

高度かつ高速なサーバーを構築する御社のエンジニアが、よりレベルアップを図るための制度はありますか?

伊良子:エンジニアに限った話ではありませんが、「金曜どうしよう?」という制度があり、毎月第3金曜日が全社員午後休となります。昼間の勉強会に参加したり、R&Dの時間に充てたり、社員一人ひとりが好きな形で技術力を磨くことができます。勤務時間とは別に勉強する時間を個人的に作れるので、良い制度なのではと思いますね。その他にも、部署内では大小問わず勉強会が頻繁に開催されています。

川住:勉強するにあたって費用がかかってしまう部分は会社からある程度サポートを受けられるようにもなっていて、書籍購入の補助もその一つです。執務室内には技術書専用の本棚があり、購入した書籍はそこに並べ、誰でも自由に読めるようになっています。

United社インタビュー2

社内にも「技術を切磋琢磨していこう」という雰囲気があるのでしょうか?

伊良子:弊社ではビジョンやミッションに加えて、バリューを掲げているのですが、その一つが「自責自走」です。一人ひとりが自立したプロフェッショナルとして、自由と責任を楽しもう、全ては自分次第である、という価値観ですね。特にエンジニアには当てはまる部分で、自分自身が技術力を磨こうとする気持ちはとても大事です。ですから社員の自主性を尊重しますし、社員自身にも自責自走の精神を持って仕事に取り組んでもらっています。
そんな雰囲気だからなのか、まずは社内の誰かが特定の技術の専門家になって、リードして知識を深めていく、という風潮がありますね。社内でルール化したものではありませんが、幅広い技術の習得が必要な環境の中では必然とも言えるかもしれません。

川住:確かに切磋琢磨しやすい環境だと思いますね。誰かに言われなくても自ら「この技術を勉強しよう」とスタートして、みんなに伝播していく、という流れは多いです。

Untited社インタビュー

複数のバックグラウンドを持つエンジニアがパフォーマンスを発揮できる

では、具体的にどのようなエンジニアがアドテク領域で活躍できるのでしょうか?

伊良子:特に当社の事業で言えば、一人ひとりの裁量が大きく担当範囲も広いので、例えばフロントメインのエンジニアだけど、少しサーバーサイドができる、あるいはサーバーサイドをやっているがインフラ知識もあるなど、複数のバックグラウンドを持っている方が合うのではないでしょうか。 僕自身は元々インフラエンジニアだったのですが、2000年代のはじめ頃は分野内外を問わず何でもやる人が多い時代で、僕も例外ではありませんでした。そんな風にインフラをやって、開発もやって…という経験で得たスキルセットがアドテクという領域にマッチしたのだと思っています。様々な知識を兼ね備えていればいる程パフォーマンスを発揮できるのが、アドテクの面白い部分でもありますね。
川住:複数のバックグラウンドを持つことが有利という点は、当社のプロダクト開発において担当範囲を厳密に決めきらないという傾向も関係しています。 例えばフロントメインの担当者が全くサーバーサイドに関わらない、ということは無いんです。サーバーサイドならインフラやフロント、フロントならサーバーサイドやデザイン、デザインならフロントやHTMLをできるようになって、隣り合った技術を各担当者同士が複数カバーしあえるようにしよう、という考え方がベースにあるからです。その方が、チームを組んで開発をする上でメンバー同士が相互理解しやすいという側面もあります。

新卒で入社し4年目に部長就任

川住さんは、新卒で入社し4年目で部長に就任され、社内でも過去最速のスピード感だと伺っておりますが、日頃仕事をするうえで意識していることはありますか?

川住:ユナイテッドのバリューでもある「自責自走」は意識しています。1年目のときから比較的自由にいろいろな業務をやらせてもらえていたのですが、期初目標は必ず達成するよう、責任をもって取り組んできたつもりです。やらなくてはいけないことはたくさんあるので、そのなかで優先度を決めて取り組んでいます。特に自分のチームを持つようになってからは、期限だけでなく、メンバーひとりひとりの状況や志向に合わせて仕事を任せるようにし、自走しながら目標達成できる組織づくりを意識しています。

伊良子さんは、なぜ川住さんに部長職をバトンタッチしようと思えたのでしょうか?

伊良子:川住は本当に、「自責自走」なんですよね。
3年前に、新卒で入社した時からそうでしたが、指示した仕事の範囲外でもプロダクトの理解を自分で進めているんです。当然、指示したことじゃないので、やらなくても誰にとがめられることではないんですけど。
活躍するためには、自分でプロダクトのことや技術のことをどんどん把握して、自分の技術力をつけていくことが必要になります。入社したときから、彼はずっとそれが出来ているんですよね。
うまくいかないことがあった時も、うまくいくためにどうしたらいいかを自分で考えて、誰のせいにすることもなく、常に自分の今現在の立場を超えた役割を担おうとする姿勢を持っている。そんな彼を日々見ていて、任せても大丈夫だなと思いました。

より生産性を高めるための鍵は、「風通しの良さ」と「ノウハウの共有」

川住さんは先日事業開発部部長に就任されましたが、これからどんな組織づくりをしていきたいか教えていいただけますか?

川住:部署自体の人数が増えてきているので、それに比例して高い生産性を発揮できるような組織にしていきたいですね。具体的には、もっとカジュアルに社員がやりたいことを発表、提案できるようにしたいです。そのための雰囲気や文化作りを行うのが、私が努力すべき部分だと思っています。「風通しの良さ」を作り出すためには、やはり声をあげやすい雰囲気が重要ですから。
また、目標や日頃のタスク設定の精査にも努めたいですね。ただ漫然と仕事をこなすだけではなく、自分自身が望む成長の方向性にマッチした仕事に取り組めば、成果につなげられるのではと思います。

従来の体制から新しく変えていきたい部分はありますか?

川住:プロダクトごとのノウハウの共有はもっと進めていきたいですね。インフラやデータサイエンスに関してはすでに横断型のチームで動いていますが、各開発チームはプロダクト固有の文化ができあがってしまっていて、あまり情報共有ができていません。技術的な部分はもちろん、テスト手法や進捗管理など、細かな部分もチームごとに違いがあるので、お互いの良いところを取り入れ合えるようにしたいです。


この記事を書いた人
flexy編集部
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