【CTOインタビュー】元ZOZOテクノロジーズCTOがリユース業界へ!今村氏が見出した、市場と技術の可能性――BuySell Technologies・今村雅幸さん

日本全国対応の買取サービスからEC、催事など多様な販売サービスまでを一貫して行う総合リユース企業BuySell Technologies(以下、バイセル)。買取事業は無料出張訪問査定という手軽さが好評で、月間20,000件を超える査定依頼を誇ります。

2021年3月、同社の取締役CTOに選任されたのが、元ZOZOテクノロジーズCTOの今村さんです。ファッションのEコマース業界を率いた今村さんのリユース業界への転向の裏側とは!?

ZOZOテクノロジーズの開発組織づくりに注力し、テックカンパニーとしての成長を促した今村さんが、次のステージとして選んだバイセル及びリユース業界の魅力や転職の背景に迫ります!

ZOZOでの3年間の仕事に手応えを感じ、次の挑戦を探していた

―― 早速ですが、今回ZOZOテクノロジーズからバイセルに転職された背景や理由についてお聞かせいただけますか?

2018年4月にZOZOテクノロジーズの執行役員に就任してから3年間、ZOZOをテックカンパニーへと変革するためにいろいろな取り組みを行ってきました。(参考:ZOZOのテックカンパニーへの変遷、CTOとしての取り組みを振り返る)自分の経験上どんな会社も、技術を武器にして戦えるようになるには3年はかかりますし、まずはそこまでは絶対にやり切ろうと思っていたんです。

ZOZOに尽力した3年間は非常に楽しかったです。エンジニアの数も100名から300名以上に増え、プロダクトや組織をスケールさせることができる体制も整ってきました。

元々辞めるつもりは全くありませんでしたが、ある程度自分がいなくてももう自走していけるなという感覚が生まれ始めていました。だからこそ、そろそろ何か新しいチャレンジをしようと考え始めたのが2020年の夏頃です。このとき、ちょうど知人から「今後テクノロジー活用の余地がある会社があるから、手伝ってくれないか」と誘いを受け、紹介していただいたのがバイセルの会長を務める吉村さんや岩田社長でした。

転職を決めたのは、いろいろとお話を伺ううちに、バイセルが非常に大きな成長の可能性を秘めた会社であると感じたからです。

今村 雅幸 株式会社BuySell Technologies 取締役CTO 今村 雅幸 氏
2006年ヤフー株式会社に入社。Yahoo! FASHIONやX BRANDなどの新規事業開発に従事。
2009年に株式会社VASILYを創業し、取締役CTOに就任。200万人が利用するファッションアプリ「IQON」のプロダクト開発やエンジニアリング組織をリード。
2017年にVASILYをスタートトゥデイ(現ZOZO)に売却。会社統合とともに2018年4月、ZOZOテクノロジーズの執行役員に就任。CTOとしてZOZOのプロダクト開発やエンジニア採用・教育・評価などのエンジニアリング組織マネジメント、情報システム、セキュリティリスクマネジメントなど、幅広くDXを推進。

37兆円の隠れ資産を持つ市場で、テクノロジーの介在価値が非常に高い

―― 今村さんをそこまで惹き付けた魅力とは何だったのでしょうか?

まず、リユース業界はマーケット自体の伸びしろがものすごく大きいんです。リユース市場規模は2025年までに3.3兆円、潜在的な隠れ資産は、実に37兆円以上にも上ると言われています。

もうひとつの魅力は、このリユースという業界がまだまだアナログであり、技術で効率化や最大化できる余地が大きいことです。特にバイセルが特徴的なのが、出張訪問買取をメインで行っている最大規模の企業であるという点。単純にネットで売買が完結するのではなく、査定員がお客様のご自宅に訪問していろいろなモノを査定して値付けし、買い取っている業態なのです。

「人間が介在してモノを買い取る」という一連のステップにおいて、テクノロジーの力で効率化できる部分はたくさんあります。例えば査定や真贋判定、値付けや訪問ルート、在庫管理などデータを用いて効率化できる余地が非常に多いです。しかもバイセルは買取から販売まで様々なチャネルを持っています。ここに強い魅力を感じましたね。

―― なるほど。プレスリリースではAIを活用した買取および販売の最大化も図っていくということでしたが、具体的にどのような展望があるのでしょうか?

バイセルは出張訪問や店舗での買取だけではなく、toC向けに自社ECサイトやモールでの販売、toB向けにはオークションの運営なども行っており、買取と販売の両方の膨大なデータを保有しています。現状はこれらをまだまだ活かしきれていない状態です。

今後はこれらのデータをより使いやすくできるような基盤を整えていきたいと考えています。査定業務における商品の品番特定や真贋判定、値付けなどをより効率よくすることができるようになりますし、販売においても、ささげ処理の効率化や、どの場所でどのような価格で売れば一番売上が最大化できるのか、など改善の余地が多数あると考えています。買取から販売まで、一気通貫でデータを活用できるようなプラットフォームを整えていきたいと思います。

もちろん、これらのプロセスにおいては機械学習や深層学習を用いる部分も出てくるでしょう。

現在バイセルには45名ほどのエンジニアが在籍しており、このうちAIエンジニアは若干名に過ぎませんが、自社だけではなく大学の研究室とコラボしてAIやオークションに関する共同研究なども進めていきたいです。

誰にでも関わる「モノを売る」という営み。面白がれる技術者は多いはず

―― バイセルのエンジニア組織はどんなフェーズからスタートするのでしょうか?

まず入社してからは現状の把握をし、課題や改善するべき点を整理します。これはZOZOのときも同じでした。課題は大きく組織とプロダクトに関する事柄に分かれます。

エンジニア組織としての課題は採用力の強化です。バイセルには現在40名ほどのエンジニアが在籍していますが、まだまだエンジニアの数が足りていません。

エンジニアの世界ではバイセルの知名度はまだまだ高くないので、それこそ僕が入社したという事実を含めて「面白いことをやっている会社だ」と広く伝えていきたいと思っています。並行して、採用基準を含めた採用戦略や技術広報、社員教育などもどんどん仕組み化が必要です。

プロダクトとしての課題は、先ほど少しお話ししたようにやはりデータを活用しきれていないということです。データ活用の基盤を整え、「リユース業界のプラットフォームになる」という構想をしっかり設計していかなければいけません。2,3年後から逆算して、データを活用していくためには今何を整えておかなければならないか、何に開発の重点を置くべきかを見出す必要があります。

―― 今村さんが入社されたことで、バイセルからも「テックカンパニーになる」という意気込みを感じます。

ZOZOは3年間で大きく変わったと思うのですが、バイセルもじっくり時間を掛けて技術活用を推進していきたいと思います。まだまだアナログで業務が行われている部分もたくさんありますし、技術で改善できる余地は非常に大きいと感じています。そのためにはやはり強いエンジニア組織が必要不可欠ですから、まずは組織づくりからですね。

―― 「リユース業界自体が好き」という軸を持つエンジニアとピンポイントで出会うのは難しそうですね。

そうですね。とはいえ、例えば引っ越しのタイミングや遺品整理など、人生の何かのタイミングでモノを売るというシーンは誰にでも訪れるもの。身近な営みの中の課題を技術で解決するという点については、共感したり面白がってくれるエンジニアが多いんじゃないかなと思います。

リユース自体はSDGsの流れにマッチした業界で、社会的意義もあると思います。

―― これから採用も強化されると思いますが、具体的にどんなエンジニアがバイセルにフィットするとお考えですか?

まだまだエンジニア組織としてはこれからなので、自分で組織やプロダクトを成長させていきたい、と考えていける人ですね。自ら課題を発見して、プロダクト開発をリードしていけるような主体性が重んじられるので、「開発に必要なことならなんでもやるぞ」というマインドの人がフィットすると思います。

CTOが次のキャリアを描くときは、会社が描く未来を重視すべき

―― エンジニアという職種の最先端であるCTOの転職は、業界内で注目されます。今村さんご自身は、CTOのキャリアパスについてどのようにお考えですか?

CTOはまだまだ歴史が浅い職種なので、そこまでキャリアパスは成熟していません。現在最前線で活躍している人も手探りの状態だと思いますが、僕自身は大きく3つのキャリアがあると考えています。

1つ目は、1社にコミットして、深く経験を積むキャリアパス。例えば創業CTOの場合は、開発やマネジメント、新規事業立ち上げ、あるいはM&Aなど、自社でさまざまなフェーズを体験します。組織の成長を通じて自分自身の経験の幅を広げ、能力を身に付けていくというパターンです。

2つ目は、僕のようなキャリアパスですね。1社の経験を基に別のフェーズの企業をグロースさせ、新たな経験を積み上げ活躍していく。この過程で技術顧問をやる人も非常に多いと思います。僕の場合は小さなスタートアップ企業を経て、大企業でのDXを経験しました。そして、今後はもっとほかの業界でも自分の経験が通用するのか試してみたいと思い、バイセルに転職したわけです。ほかにも僕は今回、バイセルの筆頭株主であるミダスキャピタルの出資先企業群とも、テック的なコラボレーションをしていくことにしました。このように複数社で技術の知見を共有して横のつながりを広げていく展開もありますし、さらには次世代CTO・マネージャーの育成という道も考えられます。

3つ目は、自分で起業し、新しいイノベーションを生むというものです。これら3つのうちどれが正解のキャリアパスということはありません。いろいろな選択肢を選べるのがCTOの良いところですね。

僕が現在のように複数社で知見を活かすキャリアパスを選んだのは、そのほうが日本はより良い方向に進むと思ったからです。現在は国を挙げてDXが叫ばれていますし、デジタル庁も創設に向けて動いている。僕自身もデジタル庁の採用のお手伝いをしていますが、国全体が技術で変化しようとしている、歴史的なタイミングに直面しているわけです。だったら1社に留まるのではなく、少しでも自分の知見を生かせるような働き方をすべきだという思いがあります。

―― ありがとうございます。CTOを迎え入れたい企業自体も多いと思いますが、CTOは転職する上で何を一番重視するのでしょうか?

人それぞれだとは思いますが、その会社がどんな未来を創ろうとしているのかが非常に重要だと思います。

全国に約180万社もの企業がある中で、「ここでなければ実現できないこと」は何なのか。

ビジョンを実現するためにテクノロジーをどう活用できるのか、達成後はどんな景色が見られるのか。

僕自身はこれらの点に非常に興味があります。それこそバイセルは、自分だけでは描けないビジョンを描いている会社だと思いました。

モノの流れをよりスムーズに。リユースプラットフォームを目指して

―― 今後10年、バイセルはどのような展開を見せるのでしょうか。

「人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる」という、バイセルのミッションを実現していきます。ここで言う「たいせつなもの」とは、物理的なものだけとは限りません。人から人に移るもの全てが対象だと考えています。例えば金融資産やNFTなどのデジタル資産など今後はさまざまな「モノ」のアセットがリユースの世界に登場すると思っているので、全てをしっかり自社プラットフォームで扱えるようになりたいですね。

モノを売るという行為にはまだまだ面倒な手続きも多く、改善の余地があると思います。データやテクノロジーを活用し、売りたい人と買いたい人をより効率的につないでいく。上手くいけば、10年後はもっとモノの流れがスムーズな世の中がやって来るのではないでしょうか。

―― そうなれば、社会を大きく変えることになりそうですね。

ZOZOのCTOだった頃から思っていたのですが、例えば「自分にぴったりのサイズの服を見つけられるようになったらいいな」という思いは、みんな持っていますよね。でも、それを実現できている会社はほとんどなかった分、我々がその解決策としてZOZOSUITをリリースした時の反響は大きかったです。

こういうことができたらいいなという「思い」を可能にするのはテクノロジーの力ですし、最短距離で実現できる可能性もある。だからこそまずは実現したい未来を描き続けることこそが重要だと思います。

―― SDGsも注目される中、リユース業界もテクノロジーを活用して更なる発展の時ということがわかりました。業界の未来を牽引されるのをこれからも応援しています!本日はありがとうございました!



企画/編集:FLEXY編集部(加来)


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