最前線のデータ組織の取り組みとは?データ人材になるために必要なこと

2020年11月26日に開催されたCTOmeetup。データチームの未来戦略をテーマとして、データ組織の立ち上げや運営に深く関わってきた3名がディスカッションを行いました。

「データは21世紀の石油」と呼ばれるほどデータ活用の価値が高まっている昨今、データ組織の組織戦略は不可欠です。そこで今回はデータ活用事例のほか、データ組織を作っていく上で意識していることやデータ人材のキャリアパスなどについて、最前線での取り組みをたっぷり語り合っていただきました。

登壇者

木村 隆介
木村 隆介 氏|株式会社リクルート SaaS データソリューション2グループ グループマネージャー

株式会社 日立製作所 横浜研究所に在籍時は自社&他社工場向けに、ビッグデータ分析による生産管理や品質管理に従事。 現在は株式会社リクルートにてAI技術を用いた宿泊施設向けサービスの開発やSaaS事業を対象とした データ組織のグループマネージャーを務める。また、特許取得や学会発表、大学での非常勤講師、講演など実績多数。
飯田 修一
飯田 修一 氏|株式会社メルカリ アナリティクスチームマネージャー

DeNA, DeNA San Francisco を経て、一人目のデータアナリストとして 2014年にメルカリ入社。 メルカリUSにて米国でのメルカリの立ち上げに参画した後、日本に帰国しメルカリJPに転籍。 現在はプロダクトの分析チームの責任者を務める。博士(数理科学)。シリコンバレー在住歴は計7年半。
宮島 弘行氏
宮島 弘行 氏 (ファシリテーター)|フリーランス 技術顧問

グリーで開発エンジニアを1年半務め、リクルートマーケティングパートナーズに転職。 高校生向けのオンライン学習サービス事業などにおいてWebディレクションやWebマーケティングに注力。 その後はLINEに参画し、広告や機械学習のプロダクトマネージャーを経験しデータ×PMというポジションを確立。 カカクコムに転職後はマネージャーとして食べログのデータサイエンスチームの立ち上げを推進。 その後グロービスにてデータサイエンス組織立ち上げとデータ活用をマネージャーとして推進した。 現在はフリーランスとして、データ関連プロジェクトやデータ組織マネジメントの支援を実施中。

登壇者の紹介

データ組織の立ち上げや運営を行い、データ人材として活躍する3名

フリーランス 技術顧問 宮島 弘行 氏(以下、宮島):本日ファシリテーターを務める宮島と申します。よろしくお願いします。木村さんから自己紹介をお願いできますでしょうか。

株式会社リクルート SaaS データソリューション2グループ グループマネージャー 木村 隆介 氏(以下、木村):木村と申します。僕はもともと日立製作所の研究所で働いており、一貫してデータサイエンティストとして活動してきました。リクルートでは、『Airレジ』というPOSレジのシステムや『Airペイ』というお店のキャッシュレスを対象とした、データ分析部隊のグループマネージャーです。また、『じゃらんnet』を利用する宿泊施設様向けに、SaaSのビジネスツール開発も行っています。リクルートで働くかたわら、執筆活動や大学での講義も行ったりしていますね。本日はよろしくお願いします。

株式会社メルカリ アナリティクスチームマネージャー 飯田 修一 氏(以下、飯田):現在メルカリでプロダクト分析の責任者を務めております、飯田と申します。キャリアとしてはエンジニアやPM、データエンジニアとして働いていた時期などがありますが、一貫してデータに携わってきました。

職歴としてはDeNAに入社後アメリカに渡り、現地でメルカリに転職をして2020年に帰国しています。シリコンバレーには合計7年半ほどいました。

メルカリに入社したのはまだ組織規模が30~40名の頃で、第一号アナリストのような形で入社しました。最初は大変なこともあったので、今回はそのあたりもお話しできればと思っております。ちなみにDeNA入社時も、分析の専門組織を立ち上げた第一号アナリストでした。

僕が所属するメルカリJPの分析チームは「Analytics(アナリティクス)」と呼ばれており、体制はProduct Analytics、Growth Analytics、Business Analyticsの3つのグループから構成されるハイブリッド型です。チームとしてのミッションは二つ掲げています。一つは「実行可能なインサイトを提供し、よりよい意思決定を支援する」こと。もう一つは「データの民主化を推進し、皆の分析力を高める」ことです。

分析対象にはメルカリというプロダクトがありますが、実際にはその中に検索エンジンやデータ基盤、マーケティング支援、CRMやブランディングといったさまざまな要素が含まれています。最近はコロナの事業への影響分析や、マーケットの需要と供給のバランスの分析なども行っています。

チームメンバーは各プロジェクトに分散しており横の繋がりが希薄になりがちなので、チームでいかに協力し合うかを意識しています。あとは分析ドメインをどんどん拡大し、カスタマーサポートや人事などの領域にも広げていこうとしていますね。チーム自体も拡大中です。

宮島:ありがとうございます。最後に僕も自己紹介もしたいと思います。僕は少し前まで正社員として働いており、現在は個人事業主として独立したフリーランスです。PMや技術顧問といった形でデータ活用やデータ組織マネジメントの支援をしています。

正社員時代は5社経験しており、最初はグリーのエンジニアとしてゲーム開発やゲーム分析をやっていました。その後はリクルートマーケティングパートナーズに所属してWebディレクション・マーケティングなどを行っていました。次にLINEに移ってプロダクトマネージャーを担当するようになり、広告プロダクトの立ち上げや機械学習プロジェクトの推進などを手掛けました。その次はカカクコムに移り、当初は食べログのWeb版のUIリニューアルなどを行っていましたが、途中からはデータ資産を活かすためにデータサイエンスの組織の立ち上げや機械学習PJTの推進を行いました。データ組織の立ち上げやマネジメントに携わりはじめたのはここからです。5社目はグロービスで、デジタル部門のデータ組織立ち上げ及びマネジメントを行いました。

得意領域としてよく挙げているのはプロジェクトマネジメント力、組織立ち上げとマネジメント力、システム企画力、データサイエンス領域のジェネラリストといった部分で、大きくはデータ活用領域、組織マネジメント領域、そしてプロジェクトマンネジメント領域でお手伝いをさせていただいています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

データ活用最前線

そもそもデータ活用とは?3ステップで考える活用パターン

宮島:セッションに入る前に、目線合わせとしてそもそもデータ活用とはどのようなものか、一般論をお話ししたいと思います。



宮島:僕自身もデータ活用とは何か、どうやって考えるべきかとよく聞かれますが、データ企画を考える上ではデータの可視化やデータ分析、AI開発といった「データ活用パターン」と、既存事業の利益向上または新しい価値創造といった「データ活用の方向性」の組み合わせが切り口になると考えています。

データ活用パターンについては各社定義があるとは思いますが、よくあるのが以下のようなものです。



宮島:左側のピラミッドの土台部分から、どんどんステップアップしていくイメージで捉えていただければと思います。データ基盤構築は後でご説明するとして、最初はStep1のデータ可視化から入るケースが多いです。具体的にはBIツールでデータを自動的に可視化することで、KPIモニタリングなどができるようになるのが一番大きいところでしょう。

次にStep2のデータ分析をするケースが多く、こちらはビジネス上の定性的な仮説をデータに基づいて定量的に裏付けし、意思決定の支援を行うものです。例えば売上の低下や顧客離れの要因について、データから明らかにしていくといったことです。 その次が、現在関心度の高いAI開発です。機械がデータから法則を自動的に学習し、システム内で機能提供をしたり、人の意思決定を支援するといったことが該当します。ECサービスのレコメンド機能はシステムに組み込んだ例ですし、小売業の売上予測はAIの予測結果を人の意思決定支援に使った例です。

最後に土台であるデータ基盤構築というものについては、Step1~3を進めるための下支えとして必要であるとよく説明しています。

本日のセッションでお話しいただく内容がStep1~3のどこに該当するのかをイメージしていただくと、よりわかりやすいかと思います。

データ可視化の段階で高い成果を生み出せる事例もある

宮島:まずはリクルートさんの活用事例についてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

木村:我々の組織は基本的にStep1のデータ可視化から始まっています。リクルートというと営業のイメージがある方もいると思いますが、営業マンはお客様に提案資料を作る際、データを自分で集めて集計し、パワーポイントにグラフを貼るといった作業をしています。そういった部分を我々がTableauなどのBIツールで代わりに作ることで、生産性の向上や営業マンの提案の質の担保などが可能です。

ほかにも、例えば『じゃらんnet』では自分が検索している宿と似たような宿が出てくるようにするため、機械学習を用いています。POSレジアプリ『Airレジ』の場合なら、店舗ごとの売上データを可視化し店舗が分析することで、店舗の意思決定を支援しています。

宮島:中でも印象深かったり、苦労した事例はありますか?

木村:これまで宿泊施設で働く方々のためのデータ分析をいろいろとやってきたのですが、その一環としてとある旅館に4ヶ月ほど常駐したことがありました。彼らがどんなデータ分析やデータ活用をしているのか、そもそもどういう業務をしているのかを実際に現場で業務をしながら見たんです。

彼らは口コミを一つひとつWebサイトから集めてきて、エクセルに貼り付け、従業員に共有したりしていました。だとすれば、データをクローリングで集めて資料を自動的に作るだけで非常に喜ばれます。AIやデータ分析はとっつきづらい部分がありますが、実は簡単にできる部分にネタが落ちているんですよね。

あと、僕がずっと取り組んでいたのがダイナミックプライシングです。例えば8000円の宿泊施設を予約しようとして、次の日に予約しようとしたら9000円になっていた、あるいは6000円になっていたということがあると思いますが、あれがダイナミックプライシングです。ホテルや旅館の方が値付けをしています。意思決定の根拠となるのはやはりデータなのですが、宿泊施設の方は競合施設の値付け状況を手作業で集めているため、非常に時間がかかります。そういうところに生産性改善のポイントがあるので、いろいろとやらせてもらっているわけです。

宮島:機械学習やAIが騒がれていますが、意外とデータの可視化で解決できることは多いですよね。

木村:データ可視化で80点は取れてしまったりしますね。例えばですが、データサイエンティストが作った予測モデルが現場の人の感覚での予測に負けることがあるんですよ。そうなると、むしろ予測できる人が予測するための根拠となるデータを収集する時間を短くするほうが良かったりします。一方で熟練者でない方には、ある程度データによる予測モデルを参考にしてもらえます。現場にいる人の経験レベルに応じて、分析や機械学習の提案内容を変えていくべきだと思いますね。

手段から入らず、カスタマーインサイトを意識する

宮島:飯田さんはメルカリのデータ組織の変遷とともにやることが変わってきたのかなと思いますが、いかがでしょうか。

飯田:最初はデータ基盤の整備に割く時間が非常に多かったですね。あるのはプロダクションのデータベースだけで、ユーザーの行動ログのようなものすらありませんでした。まずはBIツールの導入やABテストをする文化を作るなど、データを集めるための仕組みづくりから提案した感じです。

可視化がある程度できるようになってきたら、分析者だけではなくメンバーが広くデータを見られるようにしました。PMなどが自分でデータを見て簡単な分析ができるので、意思決定につながります。アナリスト自体も分析の意思決定のための支援をしていくという感じで動いていましたね。そこからさらに整備が進んで機械学習のプロを雇うなど、まさに先程の宮島さんが出した図の下から順に上がっていきました。今僕が見ているチームでは主に意思決定のための分析とデータの民主化を行っているのですが、分析する領域は本当に多岐にわたります。

気を付けているのは、手段から入らないようにすることです。データ活用というと機械学習でアルゴリズムを作り、レコメンデーションエンジンや検索エンジンの改善、パーソナライゼーションという方向に行きがちだと思いますが、いきなり難易度の高いことはせず、簡単にPoCをするようにしています。

もう一つ意識しているのが、カスタマーインサイトです。とりあえずテストするのではなく、お客さんがなぜ買うのか、買わないのかという行動心理やマーケットのメカニズムを常に考えるようにしています。というのも、機械学習を用いて頑張ってレコメンデーションを作りそこそこの結果が出たとしても、もっと簡単なロジックでレコメンドを出したらそちらのほうが勝ってしまうということが実際にかなりの頻度で起こり得るからです。

そのほか、事例としてはクーポンやマーケティングでの活用が王道ですし、カスタマーサポートの領域もあります。問い合わせがあったときに、お客様が困っているだろうことを予測して事前に防ぐといったことです。最近ではブランディングのような非常に定性的で抽象的なテーマについても分析していて、プロダクトに対するイメージと実際の行動の相関や変化を見ていたりします。あとは経営レベルでの課題を抽出なども行っていて、特に今はコロナの影響でどこが伸びていてどこが落ちているのか、今後どうなっていくのかといった予測に基づき、何に注力すべきかを聞かれる前に提案するようにしています。

宮島:ありがとうございます。かなり幅広く活用されているということですね。

データサイエンティスト大解剖

データ人材に必要な3つのスキル

宮島:では次のテーマに入ります。「データサイエンティスト大解剖」ということですが、これをさらに3つのテーマに分解し、「データ組織の変遷」「デー人材のキャリアパス」「データ人材のマネジメント」などについて伺っていきたいと思います。

まず前提として、データサイエンティスト協会が提唱しているデータ人材に必要な3つのスキルというものを、僕なりに解釈した内容をご紹介します。



宮島:一つはデータの専門性で、これがいわゆる統計や機械学習に対する専門性です。もう一つはエンジニアリング力。これはシンプルに、システムの設計力や実装力と捉えていただければいいかなと思います。最後がビジネス力で、これはビジネスコンサルタントが持っている力に近いかもしれません。課題を発見し解決する力、そしてプロジェクトを推進していく実行力といったものです。

組織拡大に伴い分業していったデータチームを再び横断型に

宮島:では、データ組織の立ち上げについてお話しいただければと思います。飯田さんは立ち上げ初期から組織を見ていますが、いかがでしょうか。

飯田:上記の図で言えば、組織の立ち上げにはデータ専門性やエンジニアリング力の部分が大事になります。それがないとデータを集めることができません。

最初は組織に僕一人しかいなかったのでデータ基盤の構築から可視化、ビジネス課題の解決まで何でもやらざるを得ないという感じでしたね。少しメンバーが増えてくると多少の分業ができるようになり、基盤構築をする人と分析をする人に分かれましたが、常に一緒に動いていました。過渡期になるとようやく役割分担がはっきりしてきて、データエンジニア、データアナリスト、マシンラーニングといったように職種やチームに分かれていきました。今は考えられませんが、当時はメルカリJPとUSそれぞれのアナリティクスチームが毎週一緒に分析をしていたんですよ。全体を一つのチームとして、お互いが何をしているのかも把握していました。

そこからさらに組織が大きくなるとミッションや部署ごとにメンバーが分かれるようになり、お互いの交流というものは少なくなっていきました。そこで今は逆に、なるべく一緒に、部門横断で仕事をするという取り組みに力を入れています。

宮島:最初は広い領域をこなせる人を集めていくと思うのですが、徐々にデータアナリストはデータアナリストで分かれていき、組織内にも複数チームがあるという状態になりますよね。そうなるとデータアナリストの中でも尖った得意領域を持つ人を採用するようになっていくのでしょうか。

飯田:データアナリストという職種自体の採用窓口は分けておらず、大体同じように採用しています。マシンラーニングエンジニアなんかは全く別の部門が採用しているという感じですね。

ただ、ドメイン知識がある、検索レコメンド周りの分析が得意といった得意領域は見ています。意識しているのは多様性で、全体として見たときになるべくビジネス臭やサイエンス臭を出しすぎないようにしています。データ組織の名前自体も以前は「ビジネスインテリジェンス」だったのですが、極力ニュートラルにしたかったので「アナリティクス」に変更しました。

宮島:ドメイン知識の有無という考え方は当然ありますよね。

飯田:チームに分かれて細分化していくとなると、ドメイン知識の有無でプロジェクトの立ち上がりの速さも変わりますからね。また、ベースとなる分析スキルは共通して見る部分です。

組織間でデータ人材が異動することでキャリアパスを形成できる

宮島:では、リクルートのデータ組織の変遷についてもお伺いしたいと思います。

木村:現在は株式会社リクルートという組織の下にデータ組織ができたので、リクルートグループ各社のデータ組織の統合が始まっています。もともと事業ごとに違うカルチャーを持ったデータ組織同士のため人によって使う言葉が違ったりわからない分野があったりはしますが、「自社にこんな良い情報があったのか」と体感しているところです。

宮島:統合されて何名くらいの規模になったのでしょうか?

木村:正確な人数は把握できていませんが、それなりに大きな規模なのではないでしょうか。

宮島:各事業会社によってバックグラウンドもカルチャーも違うので、統合したとしても上手く噛み合わない部分がありそうですが、どうやって連携しているのでしょうか。

木村:そこは僕よりも上のレイヤーで議論されているのでわからない部分もありますが、意外とスムーズにいっているのではと思います。横移動もしやすくなりました。

宮島:グループ間での異動もあるんですか?

木村:そうですね。リクルートでは「お前はどうしたい?」と意思を問われる風土が当たり前のようにあります。あとは、例えばずっと旅行領域に携わっていたメンバーがいたとして、そのまま旅行領域にいると次のキャリアパスが見つけられない、知識や経験の幅を広げられないという問題が起きますよね。そういう場合、旅行領域とビジネスの考え方が近い不動産の賃貸領域に移ってもらい、ちょうど良いストレスを与えながらキャリアを開発していく、といったことがやりやすくなったと思います。

宮島:横断組織ならではのメリットという感じですね。

木村:リクルートは、転職しなくても転職と同じくらいの経験ができるとよく言われますし、そこが面白いところです。

アナリストとして10年後どうあるべきか、4つのキャリアを明文化

宮島:この流れでデータ人材のキャリアパスについて語っていきたいと思います。メルカリさんは今、キャリアパスを整備されている感じですよね?

飯田:アナリストの先輩が多いわけではないので、5年後、10年後にどうなるんだろうと不安に思うのは自然な感情です。アナリストを辞めてPMや企画職に移るという道はありますが、アナリストとしてはどうなるのかという点をはっきりさせるために、マネージャー間で整理して4つのキャリアを明文化しました。戦略を考えるストラテジスト、統計やデータサイエンスなどの専門家であるスペシャリスト、データサイエンスやデータ分析チームのマネージャー、そしてデータの民主化や整理を行うアーキテクトです。今年定めたばかりなので、今後も改善してく予定です。

4つのうちどれか一つを選べというわけではなく、例えばストラテジストが8割、アーキテクトが2割といったように複数の要素があっても構いません。自分の軸があれば基準ができるので、軸に対してどういうスキルやレベルが求められるのかをマトリクスにまとめて社内に公開しました。

宮島:一つに絞るのではなく、何かに軸足を置きつつ複数のことができるのはすごく面白いですね。

飯田:一つのことだけをやりたい人は意外と少ないのではと思いますね。どうしても複数要素が必要な仕事は出てきますし、組織としても少しずつ要素がオーバーラップしていたほうが強かったりしますから、大事なことです。あまりにジェネラリストすぎて全部が中途半端になってしまうと困りますが、軸足があった上でいろいろできる人はすごくいいと思います。

データ人材としての強みと弱みを知ることが重要

宮島:リクルートさんはデータ人材のキャリアパスはどうされていますか?

木村:組織全体としての方針をお話するのは難しいので、個人的な考えになってしまいますが、先程あった身に付けるべき3つの能力をさらに細分化したチェックリストを参考にして、自分の強みや弱みを探ることを意識しています。


一般社団法人データサイエンティスト協会 スキルチェックリストより引用

木村:あとは意外と資格を取るのも悪くありません。例えば統計検定の4級から1級までを読んでみると、やはりきちんと体系的に学べるなと思います。自分がどういう方向に進むべきかわからない、何を勉強すればいいのかわからないといった状態になっている人がいたら勧めることがありますね。

あとは、データ分析のプロジェクトを進める際のCRISP-DMと呼ばれるフレームワークのようなものもあります。ビジネス理解やデータ理解、データの前処理、モデリング、評価、実装といった6つのフェーズに分かれているので、スキルチェックと同様に自分がどこに強みを持つデータサイエンティスト、データエンジニアなのかを考えるための会話で使ったりします。

「伝える力」を磨くことがデータ人材の成果に結実する

宮島:面白いですね。お二人の話で共通しているのは、どこに強みを持つのかを明確にする一方で、領域を幅広くするという部分だと思いました。

木村:うちのように大きな組織になると、「あの人は◯◯に強い木村さん」といったように思われていたほうが、ほかの組織からの依頼が入って来やすいです。メンバーには、「自分の強みがどこにあるのか、軸はブレないようにしたほうがやりやすいこともあるよ」くらいのニュアンスで伝えています。

飯田:組織が大きくなるにつれて、社内ブランディングが重要になるのは僕も感じていました。成果を正当にアピールし、自分はこういう人間だと見せて信用を得ていくという観点において、わかりやすく伝える技術はものすごく大事です。伝えたいことを文章にしたり可視化したりする技術は、若い人こそ疎かにしてはいけないですね。

木村:同意します。パワーポイントの資料や議事録を作成する、文章を書くといったことを嫌がるデータ系の人材は多いのですが、せっかく優秀なデータ分析者が分析した結果も、伝わらないことには成果につながらないのでもったいないことになります。僕自身も可能な限りマネージャーとして間に入って翻訳するようにはしていますが、最終的には自分で言わなければいけないと伝えています。コンサルタントが読んでいるような本や、文章の書き方、パワポの作り方の本を読むようにも求めていますね。

データ自体も非常に抽象的で難しいものなので、それをわかりやすく説明することやデザインも非常に大事です。例えば降水確率50%と言われるよりも、折りたたみ傘を持っていけと言われたほうが楽なので、アプリの設計なんかはそういうUI/UXになるように作ったほうがいいと言っています。

宮島:僕もグロービスでデータ組織を立ち上げる中では、特に若いデータ人材の育成について同じようなことを言ってきましたね。当時はビジネス力と表現していましたが、結局上手く伝えられないとビジネス価値にはつながりません。

グロービス自体は社会人向けにビジネス教育を行っている会社ですからそういったコンテンツがありますし、クリティカルシンキングやロジカルシンキングに関する本を読んだり、プレゼンのやり方や資料の作り方を学んだほうがいいと話していました。

木村:僕は結構感情も大事だと思っています。データ分析をやっている人は無機質な人だと思われがちなので、僕たちも感情の乗った人間だとアピールするということです。例えばABテストで勝つか負けるかわからないけれど、絶対に自分は勝つと思うといったパッションを資料に少しでも乗せるなど、自分の人柄を外に出したほうが相手もとっつきやすくなると伝えています。

宮島:同意見ですね。基本的に人はロジックだけでは動かないので、やはり想いやパッションは大事です。

飯田:組織や人を動かさないと結果にもつながりません。若くて才能のある人はハードスキルの習得に全振りしてしまいがちなのですが、1割でもいいのでソフトスキルに割り振ると結果が出ると思います。

宮島:そこが大事だと気付かせることがマネージャーの役割として重要ですね。

最後にひとこと

宮島:では、最後にひとことずつお願いいたします。木村さんから、今日はいかがでしたでしょうか。

木村:僕自身、二人のお話を興味深く聞いてしまいました。すごく楽しかったですね。

飯田:僕も楽しく聞かせていただきました。コロナの影響で人に会いづらくなっていますが、定期的に他社さんがやっていることをキャッチアップするのは大事だなと思いました。自分自身のモチベーションアップにもなります。

当社では絶賛採用を拡大中なので、興味がある方はぜひ応募していただければと思います。

木村:うちもがっつり採用していますので、よろしくお願いします。

宮島:僕自身もお二人の話を楽しむ感じで参加していました。僕はどちらかというとデータ組織をゼロから作っていくフェーズの経験が多かったのですが、お二人からはそこに加えてデータ組織が大きくなっていった後にどうしたのかという話を聞けたので個人的に新鮮でした。

僕は個人事業主として活動をしていますので、データ関連の悩みがあればぜひご相談ください。本日はありがとうございました!



企画/編集:FLEXY編集部


この記事を書いた人
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