【創業CTO×現在のCTOの対談】CTOのあるべき姿を語る!創業4年目のITベンチャー企業がCTOの世代交代を決断したワケ――スタメン

株式会社スタメンは、「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広める」を経営理念に掲げる創業4年のIT企業です。

2016年に会社と従業員の間のエンゲージメントを高めるための社内施策プラットフォーム「TUNAG」をリリースし、以来「ITとリアルの融合」をテーマに事業を展開しています。

開発力も強みとして持つスタメンのCTOが交代したのは、2020年3月のことです。今回は20代半ばの若き新CTO松谷さんと、先代CTOで現在はVPoEとして事業を牽引する小林さんにリモート取材を実施。

世代交代を決意した経緯やVPoEとの役割分担、CTOのあるべき姿について、CTOをテーマに創業CTOと現在のCTO対談でたっぷりお話いただきました。

組織が創業期から拡大期へ向かい、CTOとVPoEの役割分担が必要になった

スタン社CTO 写真左側:
【創業CTO】株式会社スタメン 常務取締役VPoE 小林 一樹さん
1976年生。愛知県出身。名古屋工業大学、北陸先端科学技術大学院大学を卒業。ヤフー、グリー、エイチームでサービス開発や開発部門のマネジメント、新規事業立ち上げなどを経験し、2016年8月にスタメンの創業に参画。取締役CTOとして、サービスの開発およびマネジメントに従事。2020年3月に常務取締役VPoEに就任。プロダクト部長兼プロダクトマネージャーとして、エンジニア&デザイナーの組織運営、プロジェクト及びプロダクトマネジメントに取り組んでいる。

写真右側:
【現在のCTO】株式会社スタメン 執行役員CTO 松谷 勇史朗さん
1994年生。愛知県出身。2016年に名古屋工業大学工学部電気電子工学科を卒業。同年に名古屋工業大学大学院に進学し、半年で休学。プログラミング未経験ながらもスタメンでエンジニアとしてインターンを開始。そして2017年1月スタメンに入社。テックリード/マネージャーを経験し、2020年3月より同社最年少役員として、CTOに就任。

―― まず、創業CTOである小林さんが、2代目CTOである松谷さんに役職を引き継ぐことになった経緯について教えてください。

小林: CTOを引き継ぐことになった理由は、会社のフェーズが大きく関わったことが大きかったです。

僕はエンジニアの役割を「技術」「組織」「事業」の3軸で捉えているのですが、創業当初はサービスを立ち上げるのが最優先で、僕はCTOとしてほとんどの時間を開発に充てている状態でした。

それが2019年頃になると事業や組織が拡大し、3軸にかけるべき比重が均等になっていきました。

組織が創業期から拡大期に入ったのです。

下記の図のように、僕一人が「技術」「組織」「事業」の3軸全てをこなそうとすると難しい状況になったんですね。

エンジニア

小林: 僕個人がどの軸にフォーカスするのか、そしてほかの部分に関してどのように組織を構成すべきなのかを改めて考えなければと思っていました。

このタイミングで急激に成長していたのが、当時テックリードだった松谷です。

彼は名古屋Ruby会議で登壇をしたりAWSのStartup Architecture Of The Year 2019でグランプリを獲得していて、社内においても目覚ましい技術力の向上が伺えました。

その頃、僕は開発からほとんど手を引いていました。開発現場にいないCTOがこのまま技術面を牽引するよりも、ポテンシャルが高く伸びしろもある松谷にCTOとしてのミッションを与え、僕は組織と事業に専念したほうがいいだろう。そう考えたのが、2019年の末頃です。

ちょうどAWS re:Inventに参加するため二人でラスベガスに出張する機会があったので、スタメンのこと、チームのこと、プロダクトのこと、技術のことをたくさん話しました。その上で松谷なら大丈夫だと思い、最後の日の夜に、CTO就任について伝えました。

―― ラスベガスで!松谷さんはCTO就任の話を受け、どう感じましたか?

松谷:僕は創業期からずっとCTOである小林の隣にいて、いろいろと教えてもらいながら業務をしてきました。なので、CTOという役職自体はずっと意識していましたね。

一方で自分がCTOになったときのイメージ自体は漠然としていましたし、そもそも自分がなっていいものなのかも自問自答していました。

でも、テックリードやマネージャーとして数年間開発チームに関わる中で「どうすればさらにチームに貢献できるのか」「もっと大きな責任で会社の技術の将来を考えたい」という思いは強くなっていました。

そんなときにCTO就任のお話をいただいたので、「よし、やるぞ」という前向きな覚悟が生まれました。

―― 小林さんが松谷さんに「CTOとしてこれだけは守ってほしい」と伝えたことはありますか?

小林: 僕は現在43歳で、松谷は26歳。僕にはエンジニアとしては20年以上のキャリアがありますが、この20年の間に技術は随分変わりました。

僕の言うことが必ずしも正解だとは限りません。お互いが昔のやり方と新しいやり方を学ばなければいけないんです。

ですから、CTOになるにあたっては前任者の影を追うのではなく、自分が必要だと思ったことを貫いてほしいと話しました。


株式会社スタメン 常務取締役VPoE 小林 一樹さん

CTOとVPoEはパートナーでありながら互いに背中を預け合う存在

――小林さんはCTOを譲りVPoEという立場になりましたが、CTOとどのように役割分担をしようと考えたのでしょうか?

小林: 「技術」「組織」「事業」に当てはめると、僕が組織と事業、松谷が技術です。

小林: ここから役割をより細かく分類すると、下記の図のようになります。

小林: 役割は一見すると明確ですが、僕が経営会議で技術的な議論をすることもありますし、ハイスキルな人材の採用では、CTOの知名度や人脈も重要になります。あまり役割を明確にしすぎると、逆に両者が関与せず取りこぼしてしまう部分が出てくるからです。

お互いをパートナーとして業務を任せつつも、影響を与え合い、背中を預け合う存在。そんな風に、常に緊張感がある関係でいたいと思っています。

――実際に松谷さんがCTOを引き継いで現在2ヶ月ほど経過していますが、所感を教えてください。

松谷: 技術の最後の決定者という立場に向き合うのは、想像していた以上にハードです。ただ、責任の大きさに比例してCTOとしての視座も自覚も高まりました。もっと自分を成長させて、より良い未来を描いていきたいという気持ちです。

VPoEとの役割分担については技術・組織・事業の3軸で上手く分かれている分、意思決定がスムーズになりましたし、良いコラボレーションが生まれていると感じています。


株式会社スタメン 執行役員CTO 松谷 勇史朗さん

コロナ禍での世代交代。臨機応変に柔軟な対応をしてくれた

―― CTO就任のタイミングがコロナ禍と重なりました。働き方の変化などにはどのように対応しましたか?

松谷: 当社のエンジニアは現在20名ほどで、もともとリモートワークはしていませんでした。ですが、リモートで働くことになっても耐えうるように、常日頃から個人のPCに依存せず、安全にプロダクトをリリースできる仕組みを整えていたんです。

そのおかげで、滞りなく変化に対応できたと思っています。リモートでもセキュアに開発できる環境というものは、一朝一夕では構築できませんからね。

小林: 創業から3年足らずの新しい会社なので、ほとんどのツールをクラウド化していたこともリモートワークに対応できた要因でしたね。

また、コロナ禍で受けたもう一つの影響は、負荷対策です。当社のサービスは社内コミュニケーションを担うサービスなので、4月以降世の中がリモートワークに移行する中でトラフィックが大きく増えました。

そこで、松谷のチームを中心にモニタリングを強化し、必要な対策を即断即決で行う形を取りました。サーバーの増設などの投資判断についても、松谷がCTOとして経営会議に掛け、迅速に意思決定を進めてくれました。

CTOを交代してすぐに、エンジニアとしてのリーダーシップと経営参加を両方とも行ってくれました。環境変化に上手く対応し、スタメンの成長につなげてくれたと思います。


「CTOとVPoEはパートナーでありながら互いに背中を預け合う存在」と語る小林さんと松谷さん

適切なアサインを通して個々を育成し、「才能を120%発揮できる」チームづくりをしたい

―― エンジニアチームとして今後どのような方向を目指すのか、行動指針はありますか?

小林: 松谷が発起人となって、2019年の3月頃にエンジニアの行動指針を作成しました。内容としては「ユーザー目線で考える」「失敗に向き合う」「本音で伝える」など、さほど特別なものではありません。基本通りのことを基本通りにこなして、良いサービスを提供できるチームになりたいと思っています。

現在の会社の状況としては、最も大きな指針でもある「エンジニアリングで事業の成長を牽引する」という部分が問われていますね。サービスの負荷対策などが重要となる一方、新事業の展開も必要です。高度な技術と事業の拡大の両方が求められているわけです。油断をすると事業の成長が阻害されたり、エンジニアリソースが足りずに新しいアイディアを諦めざるを得ない状況になってしまいます。そこをチーム全員で協力しながら、上手く事業を牽引していこうとメンバーに伝えています。

―― なるほど。松谷さんはチームづくりに関してどのような思いがありますか?

松谷: うちのエンジニアチームには才能を持ったメンバーが集まっていますから、その才能を120%事業に注げるようなチームづくりをしたいと思っています。事業戦略上価値のある問題を特定し、それをエンジニアリングで解決することで大きな成長を生むような状態が理想ですね。

また、ユーザーからのフィードバックによる改善活動や開発効率の見直しなど、日々の積み重ねを大切にしていく一方で、非線形な成長を発生させるような新技術の導入などの大きな変化へも挑戦していくチームにしていきたいと思います。

―― では、メンバーの採用についてはどのような展開を考えていますか?

小林: スタメンでは、エンジニアとしての実務経験が無い状態で採用した後、急成長しているエンジニアがたくさんいます。

松谷ももともとはプログラミング未経験者の一人で、情報系の学生でもありませんでした。たとえ未経験者であっても才能や可能性を感じれば採用し、しっかり仕事をアサインしながら育成してエンジニアとして急激に成長させる。これがスタメンのカルチャーであり、今後も強みにしていきたい部分です。

さらに、名古屋が拠点という地理的なメリットもあります。名古屋は地方と言っても東京からそれなりに近いですし、衣食住も揃っていて住むには快適で、東京よりも通勤が楽です。こういった環境のもと、エンジニアが良いワークライフバランスで良いチームと良い仕事ができる。そんな会社にしたいですね。

エンジニアの仕事はどうしても東京に集中する傾向がありますが、地理的な問題はテクノロジーが解決してくれますしね。妥協して地方で働くのではなく、名古屋にこんないい会社があるという視点で選んでもらえるようになれたらいいと思っています。

CTOと元CTOが語る、「CTO」という役職のあるべき姿

―― 松谷さんは非常に勉強熱心な方だとお伺いしています。現在CTOとして新たに学ぼうとしていることはありますか?

松谷: 今、一番事業インパクトがある課題は、創業事業である「TUNAG」のスケーラビリティです。サービスが大規模化し、顧客もトラフィックも増えていく中でも、事業を止めずにスケールさせていく。これを実現するために必要な技術を学ぶことに注力しています。具体的には、トレンドであるコンテナ技術や、古くから変わらないデータベースを深く学び直すといったことです。特定のトレンドを個人的に追うというよりも、事業の最大ミッションをベースとして学ぶべき領域を考えています。

ただ、今ある課題に偏りすぎるとどうしても目の前のことしか見えなくなってしまうので、2~3年先の技術戦略とのバランスを取ることも重要ですね。例えば「TUNAG」はSNSという特性があるため、ユーザーの行動ログなど会社固有のアクセスログが蓄積されています。非常に面白いデータですから、機械学習でユーザーの行動予測をして利用率・継続率を高めるなど、UXを高めるための活用・分析を強化していくのも将来的な戦略の一つです。

―― 最後に、お二人が考える「CTOのあるべき姿」について教えてください。

小林: CTOはエンジニアチームのリーダーであり、最終的な意思決定者です。エンジニアたちが正しい方向に進めるように導き、事業スピードを加速させることです。

松谷: 小林の言う通り、CTOは会社の長期的な責任者であり意思決定者です。エンジニアのリーダーとして技術的な課題を特定し、明言することで組織全体への浸透を促す。これによって、中長期にわたって事業を前進させるという責任を負っているのだと考えています。

もちろん、目の前の事業戦略自体に注力するという役目もあります。さらに先程も少し触れた通り、事業外の技術も幅広く見てトレンドを適切に理解し、テクノロジーによる事業の非線形な成長も促さなければなりません。これらのバランスを取りながら成果を出すことが、CTOとして求められているのだと思います。

小林: 2019年に日本CTO協会が発足し、当社と同様に世代交代をしたCTOの方々とお話しする機会がありました。その際みなさんが口を揃えておっしゃっていたのは、新たにCTOに就任すると、圧倒的に視座が変わるということでした。

実際、CTO就任前から松谷はエースとして開発現場を仕切っていましたし、僕とも連携を続けていました。しかし、役職に就くことで意思決定者として僕と並列になっただけでなく、本人としても自分が責任を負う立場になったのだと意識し、行動がガラリと変わりました。

CTOという役職は限られたメンバーにしか与えられないものですが、その分役目を負う人にとっては圧倒的な成長機会となります。

松谷には、会社はもちろんのこと、日本そして世界を代表するエンジニアになってほしいというのが一番の思いです。エンジニアリングで事業の成長を牽引し、世界を目指して戦いたいですね。


この記事を書いた人
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