【ポケットマルシェ事例】テックリードに求めた事業拡大期の役目とは

株式会社ポケットマルシェは、全国の農家・漁師さんから直接食材を買えるサービス「ポケットマルシェ」、通称ポケマルを提供しています。

一次産業と情報産業をつなげる取り組みは数多くのメディアから注目を受け、2019年の2月には代表の高橋博之さんが「カンブリア宮殿」にも出演しています。

画期的なサービスを拡大していく一方で、エンジニア組織にはまだまだ課題も多かった同社。

その中でFLEXYからの稼働者がどのようにワークしたのか、組織の今後の展望も併せてプロダクトマネージャーの宮本巧さんにお伺いしました。

【エンジニア組織のフェーズ】 サービス開発初期は基本的に外注でしたが、少しづつ内製に切り替えてきていました。今後は開発をさらにスピードアップしていきたいため、社内エンジニアを増やし、適切にマネージメントしていきたいフェーズです。 【募集背景】 複雑化していたシステムの分離とリファクタリングを進めるため、システムの仕様整理とドキュメント化、API化を行える人材を求めていました。

FLEXYからご紹介した方

ポジション テックリード
概略 ・システムの仕様整理及びドキュメント化 ・フロントエンドとバックエンドのAPI化による分離 ・サービスのリファクタリング設計と実施
スキル要件 フルスタック (Ruby on Rails)
稼働頻度 週5日
働き方 常駐

生産者と消費者をつなぐ場所として、テクノロジーを生かす

――本日は、ポケットマルシェが始まった背景やサービスについて詳しくお伺いし、FLEXYからご紹介させていただきましたエンジニアの方がどのような業務に携われているのか教えていただければと思います。まず、御社の事業についてお伺いしたいのですが、サービスがスタートしたきっかけについて改めて教えていただけますか?

宮本巧さん(以下、宮本):ポケットマルシェが始まったきっかけは東日本大震災です。 代表の高橋は岩手県議会議員だったのですが、被災後、都心から来たボランティアの人たちが地元の漁師さんたちを助ける様子を目にしていました。 その中で、ボランティアの人たちからも「仕事が忙しく味気ない毎日だったけど、岩手に来て生きがいを感じて救われた」という声を耳にする場面が多かったそうです。 都市の人と地方の人が、お互いに支え合っている関係性が東日本大震災の中にあったのです。 その後、岩手県知事選に出馬し、次点で落選した高橋が、そんなシーンを思い出してスタートしたのが定期購読誌『東北食べる通信』です。 今のポケットマルシェのルーツです。農家や漁師の方々が特集されていて、彼らが育てた食べ物がおまけでついてくるというものです。 ただ、『東北食べる通信』は仕組み上1500名までしか登録ができないので、ビジネスとしてのスケールは難しいところがあります。 そこで、生産者と消費者を直接繋ぐ事業をネット上にスライドして生まれたのがポケットマルシェというわけです。

ポケットマルシェ プロダクトマネージャー 宮本巧さん エンジニアとしてキャリアをスタート。開発会社を2社経験した後、インフォバーンに入社。テクニカルディレクターを務める。その後、グループ会社のメディアジーンで「GIZMODO」や「BUSINESS INSIDER」などのCMS再構築を担当。データエンジニアリングや営業経験なども経て、2019年9月にプロダクトマネージャーとしてポケットマルシェに入社。現在に至る。

――生産者と消費者が直接つながるという点で「ポケットマルシェ」と『東北食べる通信』は共通しているんですね。

宮本: ポケットマルシェは生産者さんが直接ネット上で出店して、消費者とSNS的なやり取りをできるサービスです。 農家さんや漁師さんの中には、収入が少なく苦労されている方もいらっしゃいます。一方で都市部には仕事に忙殺されて味気ない食事をしている人が多い。そこがつながることには大きな意味があります。

生産者は自分たちで値付けをするから適正価格で販売できる上、消費者に食材の価値をきちんと認めてもらえる。消費者は食材のこだわりや生産者さんの想いを知ることで毎日の食事がいつもより美味しくなり、日常が潤う。そういった、相互に良い関係性を生み出すことに取り組んでいるのがポケットマルシェです。

事業への思いの強いフルスタックエンジニアで構成された組織

――情報誌が前身となっている中で、開発組織はどのようにスタートしたのでしょうか?

宮本: 当初エンジニアは1名で、基本的に外部に開発を委託していました。Webサイトの公開と同時に、生産者用・ユーザー用の2種類のアプリの提供も開始しました。アプリはいずれもiOSとAndroid両方で開発しています。 チームはWebとアプリで分かれていて、現在は社員が3名、業務委託の方が3名という構成になっています。

――どのようなマインドのエンジニアの方が多いのでしょうか?

宮本: 技術に特化しているというよりは、ビジネスに対して思いの強い方が多いですね。 実際私自身、事業内容に共感した気持ちがあったからこそジョインしています。

採用面接をするときも、そういった思いや軸を持っていること、そして人として一緒に働くイメージを持てるかどうかといった点を重視しています。 ただ、組織としてはフルスタックな人を必要としている状況です。

――では、6名のメンバーは全員フルスタックなのでしょうか?

宮本: フルスタックの方でないとジョインできないようなシステムの形になってしまっているんです。 イチ機能に対して一人のエンジニアがフロントとバックエンドの両方を管理しなければいけなくて。 現状ではなかなか開発効率やスピードが上がらず、メンバーが疲弊してしまう点が大きな課題です。 採用が難しくなるのも難点ですね。

エンジニア組織を成長させていくためにテックリードが必要不可欠だった

――宮本さんご自身は2019年の9月にポケットマルシェにプロダクトオーナーとしてジョインされましたが、そういった課題解決がミッションだったのでしょうか?

宮本: 会社としては開発のスピートを上げるためにエンジニア組織をグロースさせていきたいタイミングだったのですが、エンジニアのマネジメントが上手くいっていませんでした。

その中で組織をしっかりまとめるのが私に求められている大きな役割だと認識しています。ただ実際に組織に入ってシステムを確認したら内容がかなり複雑化していて、エンジニアがワークしづらい状況だったというわけです。

――具体的にどのような状態だったのでしょうか?

宮本: 外部に開発を委託していた分なかなか内部で修正やメンテナンスができず、開発効率が非常に悪くなっていました。 例えば何か一つ大きな機能開発をするとプロジェクトが終わるころには社内のエンジニアがかなり疲弊して、長期の休みが必要になるくらいでした。

なので、私が組織をマネジメントする上で、まずはシステムを作り直さなければまずいとボードメンバーに相談しました。そのために今は人をもっと増やそうとしています。

信頼できるエンジニアにシステムの詳細部分まで把握してもらうようにもしました。 そこをテックリードとして担ってくれているのがFLEXY経由できていただいているエンジニアさんですね。

ポケットマルシェ

週5日の常駐でこれまで手の回らなかったタスクを一つずつ解消

――FLEXYを知ったきっかけは何だったのでしょうか?

宮本:私が前職でメディアジーンに所属していたときに営業を受けたのが担当者の野谷さんだったんです。 当時はご依頼する機会がなかったのですが、非常に面白い方だと思っていました。(笑)

それから数年経過してポケットマルシェに入社したわけですが、そういえばFLEXYのサービスはうちに最適だと思い至って。 改めて野谷さんにお声がけしてみたら、ちょうどぴったりの方がいると言っていただいたので、すぐに面談をし、採用の運びになりました。

ポケットマルシェ社を担当させていただいているFLEXY野谷 flexy野谷 技術顧問やエンジニアのご紹介をご希望の方は、お問い合わせください。

――すぐに入ることのできるテックリードエンジニアで即戦力の方がいらっしゃったんですね! ご依頼の要件について教えていただけますか?

宮本: APIによってフロントエンドとバックエンドを分離していきたいと考えていました。

技術はRuby on Railsです。先程少しご説明したように、テックリードとしてシステムの仕様や処理の詳細部分まで把握してもらうことも要件でしたね。

基本的には週2、3日の稼働でお願いする予定だったのですが、FLEXYからご紹介いただいた方と面談をしたら週5も可能だということだったので、現在はそれでお願いしています。

当社の事業に魅力を感じてくれたようですし、うちとしてもフルタイムで勤務してもらえるのは助かっています。

――支援開始からどのような流れで業務が進んでいるのでしょうか?

宮本:開発におけるタスクはGitHubのissueで管理しているのですが、今回FLEXYからご紹介いただいた方に開発に入ってもらう前はかなりissueが溜まっている状態でした。 ですから開発環境を構築してもらってからすぐは簡単なタスクをどんどんお願いしました。リファクタリングのための仕様調査やドキュメント作成もメイン担当として同時に進めてもらい、システムへの理解度を深めてもらいました。

今は徐々にサービスにも慣れて開発スピードが上がってきたので、アサインしていないタスクであっても必要であれば積極的に拾って進めてもらっています。

モダンな技術スタックでエンジニアにとって楽しい開発環境を構築したい

――エンジニア組織として今後の展望はありますか?

宮本:今後はシステムのリファクタリングやリプレイスとともにサイトデザインのリニューアルも行う予定なので、これを契機に使いやすいサービスとなるような改善を一気に進められればと思います。 具体的には、自分が求めている商品をもっと見つけやすくすること、あるいは偶発的に新しい商品を発見できるような仕組みを作っていきたいですね。

開発面で言えばGo言語などモダンな技術を採用することで、エンジニアにとって開発が楽しくなるような環境にしたいです。ほかにもマイクロサービス的な構造にして、フロントエンドとバックエンドを分離し、フロント側にはJavaScriptのモダンなフレームワークを導入しやすい体制づくりを検討しています。

バックエンドに関しては、いずれユーザー数が増えることを想定した対策も進めたいですね。実際、2019年の2月に代表が「カンブリア宮殿」に出演した際はアクセス数が一気に増えて、緊急でサーバーを増やしても対応しきれなかった反省があります。今後もメディアへの露出はしていきたいので、同時接続数が多くなっても落ちないサービスを目指したいです。

――事業について新しい展開は検討されていますか?

宮本:大きくは2つあります。まずはリアルマルシェの展開です。実際、先日JR大崎駅前で開催しました。オンライン上だけでなく、オフライン上でも生産者と消費者がつながる場を作る取り組みですね。

ただマルシェを開催するだけではポケマルが主催する意味がないので、事前決済の仕組みを取り入れました。Web上で先に商品の決済をしておいて、マルシェで受け取るというものです。 ユーザーにとって利便性が高いことはもちろん、出店する生産者側も注文数が事前にわかることで搬入する量を調整でき、売れ残りが出にくくなるメリットがあります。 オフラインに上手くオンラインの仕組みを連携させて、今後も全国で開催していきたいです。

もう一つは、キュレーター的な方との連携です。現在ポケマルには1800名の生産者の方々に登録していただいて、常時3000品目ほどの食材を購入できます。商品が多いため、ユーザーの方々からは「何を選んだらいいか迷ってしまう」という声もいただいています。 そこで、CtoCtoC的に生産者と消費者の間にポケマル以外のプレイヤーが入り、「○○さんが選んだ野菜」といった形で食材を紹介したいと考えています。企業や個人を問わず、さまざまな形で第三者との連携を進められればうれしいですね。

ポケットマルシェ 代表の高橋博之さんが執筆された”共感資本社会を生きる”も絶賛、発売中です。

企画/編集:FLEXY編集部

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