AWS VPNの仕組み|種類や導入手順もわかりやすく解説
企業のITインフラがクラウドへと移行する中、安全な通信経路の確保は欠かせません。とくにAWSを導入する企業にとっては、社内ネットワークやリモート環境からの接続をどうセキュアに構築するかが重要な課題です。
その解決策として注目されているのが、AWSが提供するVPNサービス群です。
本記事では、AWS VPNの基本的な仕組み、種類ごとの特徴、導入手順から料金体系までを詳しく解説します。
AWS環境のネットワーク構築やVPN導入に関わるプロジェクトに参画したい方は、FLEXYの活用をご検討ください。
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AWS VPNとは?基本の仕組みと特徴
AWS VPNは、クラウド上のシステムと社内ネットワークやリモート環境を安全に接続するための仕組みです。
ここでは、VPNの基礎的な概念から始まり、AWSが提供するVPNサービスの活用方法や特徴について解説いたします。
VPNとは?クラウドにおける役割
VPN(Virtual Private Network)は、インターネットという不特定多数が利用する通信経路上に、暗号化された仮想の専用線を構築する技術です。データを第三者に傍受されるリスクを抑えながら、遠隔地間で安全な通信を実現します。
企業のクラウド活用が進むにつれ、社内ネットワークからクラウド上のリソースに安全にアクセスするニーズが増えました。そこで重要になるのがVPNの活用です。
例えば、AWS上の仮想ネットワーク(VPC)とオンプレミスをつなぐことで、クラウドをあたかも社内LANの延長として利用できます。
また、昨今ではゼロトラストセキュリティの概念が重視され、従来の境界型防御に依存しない構成が求められています。VPNはその中でも、通信の出入口を厳密に制御する手段として有効であり、信頼できない環境下でも通信の安全性を確保する鍵となるでしょう。
AWS VPNでできること
AWS VPNでは、主に3つの機能を提供しています。一つ目は、個々のユーザーが自宅や外出先からAWS環境へセキュアに接続する「リモートアクセスVPN」です。これはAWS Client VPNを活用することで実現できます。
2つ目は、本社と支店、あるいはAWSとオンプレミスを常時接続する「Site-to-Site VPN」です。これにより、各拠点間の通信を一貫して保護でき、業務データのやり取りも安心して行えます。
3つ目は、複数拠点のハブ接続を可能にする「CloudHub」構成です。複数のSite-to-Site VPNを集約し、各拠点をAWS上で相互接続するネットワーク基盤を形成できます。
これらの機能を組み合わせることで、多様なネットワーク環境に対応した柔軟な接続設計が可能になります。
セキュリティ面での特徴
AWS VPNは、業界標準の暗号化技術を活用して安全な通信を確保します。Site-to-Site VPNではIPSecプロトコルを、Client VPNではOpenVPNベースの通信を採用しており、トラフィックを暗号化しながら安全に送受信できます。
また、AWSのマネージドサービスとして提供されるため、セキュリティ設定や証明書管理、ソフトウェアのアップデートなどはAWS側で実施され、運用負荷が軽減される点も魅力です。
さらに、AWS IAM(Identity and Access Management)と連携することで、アクセス権限の細かい制御も可能です。
誰が、いつ、どのリソースへアクセスしたのかをCloudTrailやCloudWatch Logsで記録・監視することもでき、企業のセキュリティポリシーや監査要件にも適合します。
これにより、AWS VPNはセキュリティ面でも高い信頼性を備えています。
AWS VPNの種類と特徴の比較
AWS VPNには、主に以下3つの種類があります。
- Client VPN
- Site-to-Site VPN
- AWS Direct Connect
それぞれの種類について解説します。
Client VPN
AWS Client VPNは、リモートワーク環境におけるセキュアな接続手段として最適な選択肢です。
OpenVPNプロトコルをベースに構築されており、多くのデバイスやOSに対応しています。加えて、AWSがインフラの運用やスケーリングを自動的に行うマネージド型であるため、利用者は接続設定に集中できます。
具体的には、エンドユーザーは専用クライアントを使ってAWSのVPCに接続でき、業務アプリケーションへの安全なアクセスが可能です。
ユーザー認証にはActive Directoryや証明書を利用できるため、企業ごとのポリシーに応じた柔軟な運用を実現します。ゼロトラスト時代において、ユーザー単位のアクセス制御が求められる今、Client VPNは高い導入効果を発揮します。
Site-to-Site VPN
Site-to-Site VPNは、AWSとオンプレミス環境を恒常的に接続する用途に向いています。
IPSecプロトコルを用いて2地点間の暗号化トンネルを確立することで、セキュアな通信を実現します。例えば、地方拠点や工場などの施設とAWS上のシステムを直接つなぎたい場合に活用されます。
トンネルは2本で構成されており、片方が切断されても冗長構成によって通信を継続できる点も特徴です。BGP(Border Gateway Protocol)による経路制御も可能なため、ルーティングの自動化や復旧の迅速化が図れます。
継続的な通信が求められるシステム連携において、Site-to-Site VPNは信頼性と安定性の両立が可能です。
AWS Direct Connect
AWS Direct Connectは、専用線を利用することで高い帯域と安定性を確保するサービスです。
インターネットを介さずにAWSとオンプレミス環境を物理的に接続することで、レイテンシやパケットロスの影響を最小限に抑えられます。
例えば、大量のデータを頻繁に送受信する企業では、VPNよりもDirect Connectの方が通信品質・コスト面で優れるケースがあります。また、Site-to-Site VPNとの併用も可能であり、VPNがフェイルオーバー用、Direct Connectがメインルートという使い方も可能です。
リアルタイム性の高い通信を実現したいときに、Direct Connectは有効な選択肢です。
AWS VPNのユースケースと活用シーン
AWS VPNは、さまざまな業務ニーズに対応できる柔軟な接続手段です。ここでは、以下3つにおけるユースケースを解説します。
- リモートワーク環境の構築
- 複数拠点を持つ企業での利用
- オンプレミス環境との連携
リモートワーク環境の構築
Client VPNは、テレワークの普及に伴って増えた在宅勤務者へのセキュアなアクセス手段として有効です。
特に、業務システムへの接続においては、通信の暗号化や認証機能が必須であり、Client VPNではこれらが標準で備わっています。OpenVPNベースで構築されているため、WindowsやmacOSなど幅広い環境に対応可能です。
また、ユーザー単位での接続制御やログ管理もAWS上で一元的に行えるため、IT部門の運用負荷も軽減されます。
利便性とセキュリティの両立が求められる現代の働き方において、Client VPNは有力な選択肢です。
複数拠点を持つ企業での利用
企業の支社や工場など複数拠点を持つ場合、Site-to-Site VPNは重要な通信インフラとなります。
拠点ごとに個別のネットワークが構築されている場合でも、AWSとの間にIPSecトンネルを設定することで、閉域網に近いセキュアな通信を実現できます。
CloudHubの仕組みを使えば、各拠点間の通信も可能となり、柔軟なネットワーク設計が可能です。AWSはトンネルの冗長化にも対応しており、1本の通信路に障害が発生しても自動で切り替えられる点も魅力です。
分散した拠点を一つのネットワークで統合するには、Site-to-Site VPNの導入が効果的です。
オンプレミス環境との連携
ハイブリッドクラウドを採用する企業にとって、AWSとオンプレミス間の接続は事業継続性やセキュリティの観点から重要です。
Site-to-Site VPNではインターネットを経由した接続となりますが、Direct Connectを併用することで、専用線による安定した通信が確保できます。用途やコストに応じて、VPNをバックアップとして配置する構成も多いです。
例えば、定期的なデータバックアップや業務アプリの同期が求められる場面で、Direct Connectは高い信頼性を提供します。オンプレとクラウドを効率よくつなぐには、状況に応じた接続手段の使い分けが鍵となります。
AWS VPNの導入手順
AWS VPNは目的に応じて複数のサービスが存在し、それぞれ導入手順が異なります。ここでは下記3つの導入手順を解説します。
- Client VPN
- Site-to-Site VPN
- Direct Connect
Client VPNの導入ステップ
Client VPNは、以下5つのステップで導入が可能です。
- Client VPNエンドポイントの作成
- 認証方式(証明書・AD)の設定
- サブネット&ターゲットネットワークの関連付け
- 承認ルールの作成とルーティング設定
- クライアントソフトの配布と接続確認
1.Client VPNエンドポイントの作成
Client VPNの最初の設定は、エンドポイントの作成です。OpenVPNプロトコルに基づいており、VPCとの接続を仲介します。
エンドポイント作成時には、CIDR範囲、認証方式、サーバー証明書などを定義しましょう。ログ記録やSplit Tunnelの設定も同時に行えます。
2.認証方式(証明書・AD)の設定
Client VPNでは、ユーザー認証に証明書ベース認証またはActive Directory認証を採用できます。
証明書方式では、自己署名またはACM(AWS Certificate Manager)発行の証明書を使用します。Active Directoryを利用する場合、Directory Serviceとの統合が必要です。認証方式は、利用者規模やセキュリティポリシーに応じて選択しましょう。
出典:Client authentication in AWS Client VPN
3.サブネット&ターゲットネットワークの関連付け
作成したエンドポイントをVPC内の一つ以上のサブネットに関連付けます。これにより、VPNクライアントがアクセス可能なリソース範囲を明確に定義できます。
また、ターゲットネットワークへのルート設定も必要です。ルートテーブルの登録を忘れると接続は確立しても通信できません。
4.承認ルールの作成とルーティング設定
接続許可の条件を定義するのが承認ルールです。CIDR単位でリソースアクセスを制御でき、例えば10.0.0.0/16に対するアクセスを明示的に許可することが可能です。さらに、セキュリティグループやネットワークACLの確認・設定も忘れてはいけません。
5.クライアントソフトの配布と接続確認
最後に、ユーザーにAWS Client VPNのクライアントアプリを提供し、証明書と構成ファイルを配布します。インストール後、接続を確立できれば構築完了です。VPC内リソースへの接続テスト(pingやDNS解決)を必ず実施してください。
出典:Get started with AWS Site-to-Site VPN
Site-to-Site VPNの導入ステップ
Site-to-Site VPNは、AWSとオンプレミス間の恒常的な接続を可能にするソリューションです。以下のステップを順に進めることで、安全で確実なVPN接続を構築できます。
- 仮想プライベートゲートウェイ(VGW)の作成
- カスタマーゲートウェイ(CGW)の登録(オンプレ情報)
- VPN接続の作成
- トンネル情報をもとにルーター設定(IPsec)
- ルーティング・セキュリティ設定の確認
1.仮想プライベートゲートウェイ(VGW)の作成
最初に行うべきは、仮想プライベートゲートウェイ(VGW)の作成です。
AWS側でVPCとVPN接続を行うための論理デバイスで、インターネット経由のVPNトンネル終端として機能します。VGWを作成したら、対象となるVPCにアタッチしなければなりません。
この工程により、AWS VPCから外部ネットワークへのルーティングが可能になります。
2.カスタマーゲートウェイ(CGW)の登録(オンプレ情報)
次に、オンプレミス側の情報をAWSへ登録する必要があります。この役割を果たすのがカスタマーゲートウェイ(CGW)です。
オンプレ側のパブリックIPアドレスや、必要に応じてBGP(Border Gateway Protocol)設定情報を指定します。BGPを利用すればルートの動的交換が可能となり、冗長化やルート変更時の管理が容易になります。
3.VPN接続の作成
AWSとオンプレミスのVPN接続は、仮想プライベートゲートウェイ(VGW)とカスタマーゲートウェイ(CGW)を関連付けることで構成します。
この設定により、2つのIPSecトンネルが自動で用意され、冗長性が確保されます。VPN接続を作成した後は、トンネルごとに割り当てられた設定値(事前共有キー、トンネルIPなど)をダウンロードできます。
4.トンネル情報をもとにルーター設定(IPsec)
ダウンロードした設定情報をもとに、オンプレミス側ルーターでIPsecトンネルを設定しましょう。
多くのベンダー(YAMAHA、Cisco、FortiGate等)がAWS対応の構成テンプレートを提供しており、それらを利用することで設定の手間が軽減されます。注意すべきポイントとして、PFS(Perfect Forward Secrecy)やDPD(Dead Peer Detection)の有効化も推奨されます。
5.ルーティング・セキュリティ設定の確認
すべての構成が完了したら、VPCのルートテーブルとセキュリティ設定を必ず確認しましょう。
VPN接続経由で通信させるには、VPCのルートテーブルに対して、VPN接続先のCIDRブロックへの経路を追加します。また、セキュリティグループやネットワークACLが通信をブロックしていないかも確認が必要です。
Direct Connectの構築ステップ
Direct Connectは、AWSとオンプレミス環境を専用線で直結するサービスです。以下の手順に沿って進めることで、安定性とセキュリティを兼ね備えたネットワーク構成を実現できます。
- AWSへ専用線接続の申し込み(パートナー経由)
- ロケーションとの物理接続&承認
- 仮想インターフェイス(VIF)の設定
- BGPによるルーティング確立
1.AWSへ専用線接続の申し込み(パートナー経由)
Direct Connectの導入は、まずAWSパートナー経由での接続申し込みから始まります。
AWSが提供するロケーション(接続拠点)に対応した通信事業者を選び、回線の敷設と設定を依頼しましょう。AWS公式サイトに掲載されている「Direct Connect パートナー一覧」から、地域やサポート内容をもとに最適なベンダーを選定することが重要です。
特に、SLAや構築経験の有無も比較検討すべきポイントとなります。
2.ロケーションとの物理接続&承認
次に、AWSの指定ロケーションと物理的な接続作業を行い、接続の承認を得る必要があります。この工程では、データセンター内で回線を物理的に接続する作業が発生します。
接続が完了したら、AWSコンソール上で承認リクエストが自動的に作成され、承認を経て有効になります。ロケーションや回線事業者によっては、申し込みから接続完了までに2〜4週間かかるケースもあるでしょう。
3.仮想インターフェイス(VIF)の設定
物理接続が完了したら、仮想インターフェイス(VIF)の設定を行います。
VIFには「Private VIF」と「Public VIF」の2種類があり、プライベートIPでVPC接続を行う場合はPrivate VIF、パブリックサービス(例:S3、DynamoDB)へ直接接続する場合はPublic VIFを選びましょう。
1本の物理接続上に複数のVIFを構成することで、柔軟なネットワーク設計が可能です。
4.BGPによるルーティング確立
最後に、ルーティングを確立するためにBGP(Border Gateway Protocol)の設定を行います。
Direct Connectでは、AWSとオンプレミス間のルート交換にBGPが使用されます。これにより、経路の自動更新や冗長化に対応でき、運用負荷の軽減にもつながるでしょう。
ASN(Autonomous System Number)やプレフィックス、Keepaliveタイマーなどのパラメータを適切に設定することが安定運用の鍵となります。
AWS VPNの料金体系
ここでは、下記3つの料金体系について解説します。
- Client VPN
- Site-to-Site VPN
- AWS Direct Connect
Client VPNの料金モデル
AWS Client VPNの料金は、以下2つの要素で構成されています。
エンドポイントの時間料金:Client VPNエンドポイントが有効な時間に対して課金されます。
接続の時間料金:各クライアント接続のアクティブな時間に対して課金されます。
例えば、東京リージョンで一つのエンドポイントを作成し、2つのサブネットに関連付け、10人のユーザーが1日8時間、月20日間利用する場合の月額料金は以下のとおりです。
- エンドポイント料金: 0.15 USD/時間 × 24時間 × 30日 = 108 USD
- サブネット関連付け料金: 0.15 USD/時間 × 2サブネット × 24時間 × 30日 = 216 USD
- 接続料金: 0.05 USD/時間 × 8時間 × 20日 × 10ユーザー = 80 USD
- 合計: 108 + 216 + 80 = 404 USD/月
このように、利用者数や接続時間が増えるとコストが増加するため、利用パターンに応じた設計が重要です。
Site-to-Site VPNの料金モデル
AWS Site-to-Site VPNの料金は以下の要素で構成されています。
- VPN接続の時間料金:VPN接続が有効な時間に対して課金されます。
- データ転送料金:AWSからオンプレミスへのデータ転送量に応じて課金されます。
例えば、東京リージョンで一つのVPN接続を30日間常時接続し、1,000GBのインバウンドと500GBのアウトバウンドデータ転送を行った場合の月額料金は以下のとおりです。
- VPN接続料金:0.048 USD/時間 × 24時間 × 30日 = 34.56 USD
- データ転送料金:500GB × 0.09 USD/GB = 45.00 USD
- 合計:34.56 + 45.00 = 79.56 USD/月
データ転送量が多い場合や、常時接続が必要な場合でも、比較的低コストで利用できます。
AWS Direct Connectの料金モデル
AWS Direct Connectの料金は以下の要素で構成されています。
- ポートの時間料金:選択した帯域幅に応じて、ポートの使用時間に対して課金されます。
- データ転送料金:AWSからオンプレミスへのデータ転送量に応じて課金されます。
例えば、東京リージョンで1Gbpsのポートを使用し、月間1,000GBのデータを転送する場合の月額料金は以下のとおりです。
- ポート料金:0.314 USD/時間 × 24時間 × 30日 = 226.08 USD
- データ転送料金:1,000GB × 0.041 USD/GB = 41.00 USD
- 合計:226.08 + 41.00 = 267.08 USD/月
APNパートナーを通じて接続する場合は、別途セットアップ費用や月額料金が発生する可能性があります。
AWS VPN導入時のポイント
AWS VPNを導入する際は、以下のポイントに注意するのが大切です。
- 高可用性構成の検討
- 冗長構成とフェイルオーバー対応
- モニタリングとログの取得(CloudWatch/CloudTrail)
それぞれのポイントを解説します。
高可用性構成の検討
AWS Site-to-Site VPNは、各接続に2つのIPsecトンネルを提供し、これらは異なるアベイラビリティゾーン(AZ)に終端されます。これにより、一つのトンネルに障害が発生しても、もう一方のトンネルに自動的にフェイルオーバーすることで、接続の継続性が確保されるのです
ただし、AWSによるトンネルエンドポイントのメンテナンス中には、一時的に冗長性が失われる可能性があります。そのため、両方のトンネルを常に稼働状態に保ち、オンプレミス側のカスタマーゲートウェイデバイスでも両トンネルを適切に設定することが推奨されます。
冗長構成とフェイルオーバー対応
さらなる冗長性を確保するために、2つ目のSite-to-Site VPN接続を追加し、異なるカスタマーゲートウェイデバイスを使用する構成が有効です。これにより、一つのデバイスが使用不能になった場合でも、もう一方のデバイスを通じて接続を維持できます。
また、AWS Direct ConnectとSite-to-Site VPNを併用することで、専用線接続の高スループットと、VPNの柔軟なフェイルオーバー機能を組み合わせることが可能です。
AWS Direct Connectのフェイルオーバーテスト機能を活用すれば、仮想インターフェイスのBGPセッションを一時的に停止し、トラフィックがVPNに切り替わるかを検証できます。
モニタリングとログの取得(CloudWatch/CloudTrail)
運用中のVPN接続の状態を監視するために、Amazon CloudWatchを利用してトンネルのステータスやトラフィック量を可視化することが重要です。
また、AWS CloudTrailを使用して、VPN関連のAPI操作履歴を記録し、セキュリティインシデントの検出やトラブルシューティングに役立てられるでしょう。
CloudTrailのログをCloudWatch Logsに転送し、特定のイベントに対してアラームを設定することで、迅速な対応が可能です。
よくある質問(FAQ)
AWS VPNの運用中によく寄せられる疑問として、以下の内容を紹介します。
- VPN接続が切れるとどうなる?
- Client VPNとSite-to-Siteの併用はできる?
- 通信速度に影響はある?
VPN接続が切れるとどうなる?
VPN接続が切断されると、AWSとオンプレミス環境間の通信が停止します。これにより、システムの可用性や業務継続性に影響を及ぼす可能性があるでしょう。
以下がVPN接続が切れたときの対処法の一例です。
対処法 | 詳細 |
---|---|
DPD(Dead Peer Detection)の設定 | DPDタイムアウトアクションを「再起動」に設定することで、接続が切れた際に自動的に再接続を試せる |
NATデバイスの確認 | カスタマーゲートウェイがNATデバイスの背後にある場合、適切な設定がされているか確認する。 |
セッションマネージャーの活用 | VPN接続が復旧するまでの間、AWS Systems Managerのセッションマネージャーを使用してインスタンスにアクセス可能 |
Client VPNとSite-to-Siteの併用はできる?
AWSではClient VPNとSite-to-Site VPNの併用が可能です。
Client VPNはリモートユーザーが個別にAWSリソースへアクセスするのに適しており、Site-to-Site VPNはオンプレミスネットワークとAWS間の拠点間接続に適しています。
それぞれのVPNに対して適切なセキュリティグループやアクセスルールを設定することで、セキュアな通信を確保できるため、セキュリティとアクセス制御の面でメリットです。
通信速度に影響はある?
VPN経由の通信では、以下の要因により速度が低下する可能性があります。
VPN経由の通信が遅くなる原因と、その対策は以下のとおりです。
原因 | 対処法 |
---|---|
MTU設定の不一致 | DPDタイムアウトアクションを「再起動」に設定することで、接続が切れた際に自動的に再接続を試せる |
VPNサーバーの負荷 | カスタマーゲートウェイがNATデバイスの背後にある場合、適切な設定がされているか確認する。 |
ネットワークの帯域幅 | 利用しているネットワークの帯域幅が不足している場合、通信速度が低下します。帯域幅の増強やトラフィックの最適化を検討してください。 |
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