Pythonの開発環境おすすめ7選|自身の最適解を見つけて効率的な開発を目指そう
PythonはWeb開発・データ分析・AI開発など、いろいろな分野で使用されているプログラミング言語です。効率的に開発を進めるためには、自分に合った開発環境の構築が不可欠です。Pythonの開発環境について詳しく解説し、おすすめの開発環境や選び方、構築方法などを紹介します。
目次
Pythonの開発環境とは
Pythonの開発環境とは、Pythonでプログラミングを効率的に行うための、必要なソフトウェアやツールの集合体です。例えば、コードを実行するPythonインタプリタ、コードを書くエディタ、バグを見つけるためのデバッガなどが挙げられます。開発環境が整っていないと、コードの記述や実行、エラーの発見に余計な手間がかかるので、効率的な開発が難しくなります。
開発環境を構築する方法は2種類あり、自分のパソコンに環境を構築する「ローカル環境」と、インターネット上で利用する「クラウド環境(クラウドIDE)」です。案件へのスムーズな参画のためにも、しっかりとした開発環境を整えましょう。
Pythonの開発環境を構築する方法
Pythonの開発環境の構築方法は、ローカル環境とクラウド環境があります。それぞれに、向き不向きなどの特徴があるため、プロジェクトや自身の作業環境に適した方を選んでください。
1. ローカル環境で構築する
ローカル環境とは、自身のコンピューターにPythonをインストールし、実行できる環境を整えることです。開発環境のカスタマイズが自由にできる他、オフラインでも開発作業を進められるのが主なメリットです。
公式サイトからパッケージをダウンロード・インストールする方法と、PyCharmなどの統合開発環境(IDE:Integrated Development Environment)をインストールする方法があります。
公式サイトを利用する方法は以下のとおりです。
- Python公式サイトで、OSとそのバージョンに対応したパッケージをダウンロード
- インストーラーを実行してPython本体を端末にインストール
インストールが完了したら、正しくインストールされたかチェックしてみましょう。コマンドプロンプトを起動して「Python –version」と入力します。Pythonのインストールが成功していれば、Pythonのバージョンが出力されます。
Python公式サイトでダウンロードできるパッケージは、無料で使用できるものの必要最低限の機能しか持ちません。案件の獲得後に業務として開発するのなら、後述するIDEの活用が現実的です。
2. クラウド環境(クラウドIDE)で実行する
クラウド環境(クラウドIDE)とは、インターネットを通じて提供される開発環境のことです。自身のコンピューターにソフトウェアをインストールする必要がなく、インターネット環境とWebブラウザさえあれば、どこからでも開発作業を行えます。
ローカル環境とは異なり、環境構築の手間が大幅に削減されるほか、複数人で同じプロジェクトにリアルタイムで取り組むことも容易です。特に、チームでの中〜大規模開発や、リモートワークなど場所を選ばずに開発を進めたい場合に適しています。
Python開発環境としてクラウドIDEを使用するメリット
クラウドIDEを使用するメリットは以下のとおりです。
- 開発環境の構築・準備が不要のため容易に導入できる
- 同時に複数人でアクセスできるので開発が効率化できる
- 個々の環境(PCスペック)に左右されず開発を進められる
それぞれ詳しく解説します。
開発環境の構築・準備が不要のため容易に導入できる
ローカル環境の構築では、Python本体のインストール、PATHの設定、仮想環境の構築、必要なライブラリのインストールなど、多くの手順が必要です。これらの作業は、環境によっては複雑かつ煩雑で、初心者にとっては大きな障壁になることも考えられます。しかし、クラウドIDEを利用する場合では、これらの手順が必要ありません。Webブラウザを開いてアカウントを作成するだけで、すぐにPythonの開発環境を利用可能です。
同時に複数人でアクセスできるので開発が効率化できる
クラウドIDEでは、一つのプロジェクトに対し複数人での同時アクセスが可能です。リアルタイムでコードの共有や、共同での編集作業もできるため、チームで開発を行う際に使い勝手がよいでしょう。例えば、レビュー担当者がその場でコードを確認して修正指示を出している間に、他のメンバーが並行して別機能の開発を進める、といったことも可能です。メンバー全員が同じ開発環境を利用するため、コミュニケーションコストの削減や手戻りの防止につながり、開発効率の向上が望めます。
個々の環境(PCスペック)に左右されず開発を進められる
クラウドIDEは、どの端末からアクセスしても同じ開発環境になるため、個人のPCスペックに関係なく安定した開発環境を確保できます。クラウド上のリソースを活用することで、大規模なデータ処理や機械学習モデルのトレーニングなど、高い計算能力が必要な処理も快適に実行可能です。
インターネット接続とブラウザさえあれば、高性能な開発環境にアクセスできるため、低スペックのノートPCでも作業する場所を選びません。複数のクライアント案件にも柔軟に対応できる可能性が広がるので、フリーランスエンジニアにとって有力なツールになります。
おすすめのPython開発環境7選
現在、さまざまなPython開発環境が提供されています。ここでは、おすすめの開発環境について特徴とメリット、費用、簡単なセットアップ手順を紹介します。
1. PyCharm
JetBrainsが提供しているPyCharmは、初心者からプロのエンジニアまで幅広い層が使用している、Python開発において最も人気の高いIDEの一つです。
充実したコード補完機能により、関数やクラス、変数の候補が自動的に表示されるため、コーディングスピードの大幅な向上が期待できます。
また、リアルタイムでのエラーチェックと強力なデバッグ機能が備えられているため、開発中の問題を早期に発見・修正が可能になるでしょう。Gitなどのバージョン管理システムとの統合も優れており、チーム開発での利用にも最適です。
仮想環境の管理機能も充実しているので、プロジェクトごとに独立した環境の構築も簡単です。異なるプロジェクト間でのライブラリの競合を防ぎ、クリーンな開発環境を維持できます。
プラグインも豊富に存在し、開発環境を自身のニーズに合うようカスタマイズするのも容易です。コミュニティサポートも充実しており、問題解決のための情報が豊富に用意されています。
【費用】
無償版と有償版があり、有償版(All Products Pack)は月額4,000円ほど(個人月額払いの場合)で利用可能です。
【セットアップ手順】
- PyCharm公式サイトからパッケージをダウンロード
・インストーラーを実行して端末にインストール - PyCharmを起動
- 日本語化(必要に応じて)
・Pluginsから「Japanese Language Pack」をインストール
2. Visual Studio
Microsoftが提供するVisual Studioは、Pythonを含む多言語開発に対応したIDEです。特筆すべきは、Python・C#・C++など複数の言語を一つの環境で扱える柔軟性で、異なるプログラミング言語を組み合わせた開発プロジェクトで真価を発揮します。
開発に必要な機能が充実しており、特にデバッグツールは高評価を受けています。ブレークポイントの設定や変数の監視が直感的に行えるようになっているため、バグの特定と修正が容易です。
「Visual Studio Live Share」を使用すれば、チームメンバーとリアルタイムでコードを共有しながら開発できます。仮想環境の管理機能も優秀で、プロジェクトごとに独立した環境構築も簡単。Gitとの統合が強化されているため、バージョン管理やチーム開発もスムーズです。
拡張機能も豊富で、Python開発に特化したツールを追加することで、より効率的な開発環境を整えられます。大規模プロジェクトの管理機能も充実しているので、企業での開発案件における使用にも適しているでしょう。
【費用】
無償版と有償版があり、有償版(Visual Studio Professional)は月額7,000円ほど(2025年1月現在45ドル)で利用可能です。
【セットアップ手順】
- Visual Studio公式サイトからパッケージをダウンロード
- インストーラーを実行しPythonワークロードのインストール
・「Python開発」のワークロードを選択しインストール - Python環境の選択
- 追加コンポーネント選択
- Visual Studio起動
3. Visual Studio Code
Visual Studio Code(VS Code)は、Microsoftが提供しているコードエディタで、Python開発において高い人気を誇ります。最大の特徴は、軽量でありながら強力な機能を備えていることで、多少スペックが低いPCでも快適に動作します。
特に、Python開発においては、Microsoftが提供する公式の拡張機能が優秀です。IntelliSenseによる高度なコード補完や、Pylanceによる静的型チェックなどが挙げられ、それらを活用すれば開発の効率化が望めます。
また、統合ターミナルを備えているため、エディタ内からコマンド実行やパッケージ管理が可能です。ブレークポイントの設定やステップ実行など、デバッグ機能も充実しており、開発に必要な機能が揃っています。Gitとの連携も強力なので、チーム開発におけるバージョン管理もスムーズに行えるでしょう。豊富な拡張機能とカスタマイズ性が大きな魅力で、開発環境の最適化も容易です。
【費用】
VS Code自体は基本的に無料です。しかし、一部に有料の拡張機能があるので注意してください。
【セットアップ手順】
- 公式サイトからVS Codeをインストール
- Python拡張機能のインストール
・拡張機能アイコンをクリック、検索ボックスに「Python」と入力
・「Python (Python extension for Visual Studio Code)」を選択しインストール - Pythonをインストール
・Python公式サイトからが一般的 - VS CodeでPythonインタプリタを選択
・コマンドパレットに「Python: Select Interpreter」と入力
・インストールしたPythonのバージョンのものを選択
4. Anaconda
Anacondaは、Pythonの開発環境を効率的に構築するためのディストリビューションです。包括的なパッケージ管理システム「conda」が含まれており、必要なライブラリを簡単にインストール・管理できるのが大きな特徴です。
Anacondaは、主要ライブラリ(NumPy、Pandas、Scikit-learnなど)が事前にインストールされているので、環境構築の手間を大幅に削減できる点がメリットです。プロジェクトごとに独立した仮想環境の作成も容易で、異なるバージョンのPythonやライブラリを使用する場合でも、依存関係の競合を避けられます。
また、GUI環境の「Anaconda Navigator」により、直感的な操作性を実現。Jupyter NotebookやSpyderなどのデータ分析ツールも搭載されているので、インタラクティブなデータ分析や可視化を効率的に行えます。
Windows・macOS・Linuxの主要OSに対応しているため、クロスプラットフォームでの開発にも適しています。大規模なコミュニティによるサポートも充実しており、トラブル解決も容易です。
【費用】
無償版と有償版があり、個人なら無償版でも商用利用が可能です。しかし、利用規約には、「200人を超える企業に属している場合は個人利用でも有償ライセンスが必要」とあるので、案件によっては注意しなければなりません。有償版(Anaconda Business)の価格は月額7,500円ほど(2025年1月現在50ドル)です。
【セットアップ手順】
- Anaconda公式サイトからインストーラーをダウンロード
- インストーラーを実行し端末にインストール
- Anacondaを起動
5. Eclipse
EclipseはオープンソースのIDEで、主にJava開発で用いられていますが、プラグインの一つであるPyDevを導入することでPython開発にも対応します。他にも、C・C++・PHP・Rubyなど多言語に対応しており、Eclipse一つでさまざまな言語での開発ができるでしょう。
オープンソースソフトウェアでありながら、コード補完やシンタックスハイライト、デバッグ機能など、開発効率を高める機能が充実しています。PyDevプラグインを追加することで、これらの機能をPython開発でも活用可能です。
ブレークポイントの設定や変数値の監視など、高度なデバッグ機能も有し、複雑なプログラムのトラブルシューティングも効率的に行えます。
高いカスタマイズ性も魅力で、自身のニーズに合わせて開発環境を最適化できます。豊富なドキュメントとコミュニティサポートがあり、問題解決のための情報が充実しているのも大きな特徴です。
【費用】
オープンソースソフトウェアなので無料で利用できます。有償版としては、サポートが充実した「MyEclipse」が提供されており、費用は年額5,800円ほど(Standardライセンス、2025年1月現在37ドル)です。
【セットアップ手順】
- Javaのインストール(Eclipse実行に必須)
- 公式サイトからEclipseをインストール
- PyDevプラグインをインストール
- Pythonインタプリタを設定
6. Jupyter Lab
Jupyter Labは、Jupyter Notebookの後継として開発された、より進化した対話型開発環境(IDE)です。データサイエンスや機械学習の分野で特に重宝されており、複数のノートブックやファイルを同時に開いて自由にレイアウトできるため、柔軟な作業環境をつくれるでしょう。
コードの実行結果やデータの可視化を、リアルタイムで確認できるのが大きな特徴です。そのため、グラフやチャートの作成も簡単で、データ分析の結果を直感的に把握できます。
CSVファイルのテーブル表示機能も備えており、効率的なデータ確認が可能です。拡張機能も充実しており、ニーズに応じてカスタマイズできます。
コードセルのドラッグ&ドロップや、マルチビュー機能など、使い勝手を重視した機能も充実しており、効率的な開発作業をサポートしてくれます。
【費用】
Jupyter Lab自体は、オープンソースなので無料で使用可能です。しかし、他のソフトウェアと連携して商用開発を行う場合は、そのソフトウェアのライセンス料が必要になるケースがあります。
【セットアップ手順】
- Python公式サイトからPythonをインストール
- Jupyter Labのインストール(pipを使用)
・コマンドプロンプトに「pip install jupyterlab」と入力 - Jupyter Labを起動
・インストール完了後、コマンドプロンプトに「jupyter lab」と入力
7. Sublime Text
Sublime Textは、軽量かつ高速な動作が特徴的なコードエディタです。起動が速く、メモリ消費も少ないため、簡易的な開発作業をする際に最適です。カスタマイズ性に優れており、プラグインやテーマも豊富で、コード補完やデバッグ機能など、必要な機能を追加することでIDE化もできます。
Windows、macOS、Linuxなど、マルチプラットフォームで利用できる点も大きな魅力です。シンプルで直感的なインターフェースは使いやすく、初心者からプロエンジニアにまで支持されています。セットアップも簡単で、導入からコーディング開始までの準備もスムーズです。
【費用】
Sublime Textはシェアウェアです。無料での試用期間に制限はありませんが、商用開発に用いる場合はライセンスを購入する必要があります。個人向けライセンスの価格は、約15,000円(2025年1月現在99ドル)で3年間有効です。
【セットアップ手順】
- 公式サイトからSublime Textのインストーラーをダウンロード
- インストーラーを実行し端末にインストール
- Python公式サイトからPythonをインストール
- 「Package Control」のインストール
・Sublime TextのTools→Command Paletteに移動、「Install Package Control」を選択 - 「Terminus」のインストール
・「Package Control」と入力、ドロップダウンリストから「Package Control: Install Package」を選択
・Terminusを探して選択 - Python構文の設定
・Command Paletteを開き、「Python」と入力、「Set Syntax: Python」を選択
Python開発の環境としてクラウドIDEを選ぶ際のポイント
クラウドIDEを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
- 必要な機能が搭載されており使いやすいか
- 求める性能に対して金額が適正か
- 利用者数は多く信頼に足るか
それぞれのポイントについて解説します。
必要な機能が搭載されており使いやすいか
必要な機能が過不足なく搭載されているか検討しましょう。
それにはまず、案件の性質を考慮しなければなりません。例えば、Webアプリケーション開発ならブラウザ連携機能に加え、HTML・JavaScriptなどの編集機能が充実しているIDEを選ぶべきです。データ分析なら、Pythonの主要ライブラリ(NumPy、Pandasなど)が十分に備わっており、スムーズに動作するものが効率的な開発には欠かせません。
次に、自身にとって使いやすいかが重要です。インターフェースは直感的に操作できるか、ショートカットキーなどのカスタマイズ機能が充実しているか、などの要素をチェックしましょう。
求める性能に対して金額が適正か
実務でもよく使用されているクラウドIDEには、無償版と有償版が用意されているのが一般的です。無償版が提供されている場合、まずは無料で試して使用感などを確かめてみましょう。無償版では、利用できる機能が制限されているのが普通ですが、個人での小規模開発では十分なケースもあります。ただし、無償版での商用開発が制限されているクラウドIDEもあるので、利用の際には利用規約をしっかりと確認してください。
有償版の料金体系は、サブスクリプション型や従量課金制が一般的です。利用できるリソース(同時接続数・ストレージ容量・GPUなど)によって金額が変わるので、案件の規模や期間に応じて性能と金額のバランスが適正であるか考慮する必要があります。使用頻度や必要なリソース量が読めない場合、従量課金制のサービスを選べばコスト面を効率化できます。
利用者数は多く信頼に足るか
利用者数も重要な判断材料です。利用者数が多いサービスには、豊富な情報やコミュニティサポートが存在するため、開発中のトラブルシューティングも容易になります。また、多くの利用者がいる事実は、実際のプロジェクトでの使用頻度が高く、信頼性が実証されていることを意味します。
バグ修正や新機能追加のアップデートも頻繁に行われる傾向にあり、ソフトウェアとしての完成度も高いです。付随して、プラグインなどの拡張機能も充実しているので、使いやすさも向上します。
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最適なPython開発の環境を見つけて効率的な開発を目指そう
Pythonでの開発を効率的に行うためには、開発環境の整備が欠かせません。環境の構築方法は、自身のPCに構築するローカル環境と、クラウド上の環境を利用するクラウド環境の2種類です。
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