サーバー構築とは?種類や構築の手順を初心者でもわかりやすく解説
サーバー構築は、現代のIT社会において必要不可欠な技術のひとつです。これから独立を目指すエンジニアの方にとって、サーバー構築の知識はキャリアアップの重要なステップになるでしょう。
サーバー構築の基本的な概念や種類、具体的な構築手順についてわかりやすく解説します。
目次
サーバー構築とは?
サーバー構築の「サーバー」とは、データを蓄積したり、他のコンピューターやデバイスにデータ・サービスを提供したりするためのコンピューターシステムです。サーバー構築とは、特定の目的を果たすためのサーバーを用意し、セキュリティやネットワークなどサーバーが問題なく稼働する環境を整えることを指します。
わかりやすく例えるなら、サーバーは店舗であり、サーバー構築は店舗を構えることと考えるとよいでしょう。他のコンピューターやデバイスはお客様にあたります。例えばAさんが自分のパソコンから、動画サイトにアクセスして動画を見るとします。
このとき、お客様であるAさんのパソコンは、店舗である動画サイトのサーバーに「動画を再生して」とリクエストを送るのです。すると動画配信に特化したストリーミングサーバーが応答して動画を提供し、Aさんのパソコンで動画が再生されます。サーバー構築はこのような仕組みを整えるものです。
動画サイトを例に挙げましたが、実際のサーバー構築における目的はWebサイトの運営、アプリケーションの利用、社内ネットワークのファイル共有など、多岐にわたります。
サーバーの種類
サーバーは、その利用目的や運用形態によっていくつかの種類に分類されます。それぞれの特長や用途を知ることで、自分の目的に合ったサーバーを選択できるようになるでしょう。それぞれわかりやすく解説します。
- 共有サーバー(レンタルサーバー)
- 専用サーバー(オンプレミス)
- 仮想サーバー(VPS・クラウド)
共有サーバー(レンタルサーバー)
共有サーバーは、インターネット上でWebサイトを公開したり、アプリケーションを運用したりする際に必要なサーバーを借りられるサービスです。主にISP(インターネット・サービス・プロバイダ)がサーバーを提供・管理し、複数の利用者が同じ物理サーバーを共有する形態をとっています。
利用者は自分専用のサーバーをもつ必要がないため、物理的なサーバーの用意や設置の必要がなく、手軽にサーバーを利用できるでしょう。小規模なブログや企業のコーポレートサイトに適しており、初期費用は数千円程度、月額費用は数百円~三千円程度とかなり低コストに抑えられます。
ただし、他の利用者とリソースを共有するため、トラフィックが多い場合にはパフォーマンスが低下する点に気をつけなければなりません。また、障害が起きた際や、他のユーザーに対するサイバー攻撃が行われた際などは、サーバーを共有する自身も影響を受けてしまいます。
専用サーバー(オンプレミス)
専用サーバーは、物理的なサーバーを1ユーザーが独占して利用する形態です。他の利用者とリソースを共有しないため、セキュリティやカスタマイズ性に優れており、自由度の高い環境でサーバーを運用したい場合に適しているといえるでしょう。
専用サーバーがよく使われるのは、大企業や、金融機関の取引、大規模なECサイトなど高度なセキュリティを必要とするサービスです。自由度が高い分費用は高額になりやすく、初期費用は10万円~150万円、月々の維持費も~数万円はかかる傾向があります。CPUの性能やメモリなど、サーバーのスペックにどこまで求めるかによっても、費用は大きく変化するでしょう。また、オンプレミスの場合、自社あるいは個人で1からサーバー構築するため、サーバーの物理的な設置場所や管理者が必要となり、運用の手間も増える点に気をつけなければなりません。
仮想サーバー(VPS・クラウド)
仮想サーバーは、物理的に設置したサーバーを、仮想化というソフトウェアによる技術によって複数に分割したものです。それぞれを利用者が借り受け、独立して運用されます。仮想サーバーの種類は、大きく分けてVPS(Virtual Private Server)とクラウドの2つです。
共有サーバーをシェアハウスに例えるとすれば、VPSはマンションの1室に住むとイメージすると考えやすいでしょう。物理的には1台のサーバー(マンション)ですが、各利用者がその一部(1室)を占有して使います。共有サーバーと異なる点は、仮想サーバーの各部屋は壁で区切られているため、仮想サーバーの設定や運用(他の住人の生活)には基本的に干渉しない点です。
一方、クラウドサーバーは複数の物理サーバーを仮想的に統合したもので、マンションの集合体のようなイメージと考えるとよいでしょう。マンションはデータセンターにあたり、もしひとつのマンションに障害が発生して住み続けられなくなったとしても、別のマンションに移動して住み続けられます。VPSより拡張性や柔軟性が高く、CPUやメモリ、ストレージも変更可能です。部屋の広さを自由に変えたり、別のフロアや別のマンションに部屋を増やしたりできると考えるとわかりやすいです。
このように、VPSは他の利用者と物理サーバーを共有しながらも専用サーバーに近い性能を利用でき、クラウドであればアクセスの増加や業務拡大にも容易に対応できるメリットがあります。費用はVPSで月額1,000円~5,000円程度、クラウドサーバーは使用量に応じた課金制で、基本的な仕様であれば月額2~8万円が目安です。
サーバーOSの種類
パソコンにWindowsやMacなどのOSを入れて利用するのと同じように、サーバー構築にもOSが必要です。サーバーOSはサーバーの安定性や操作性を左右するため、用途や予算に応じて最適なものを選択しましょう。
一般的に利用されるWindows系OSやLinux・Unix系OSについてそれぞれ解説します。
Windows系OS
Windows系OSはMicrosoftが提供するサーバーOSで、クライアントPCにWindowsを使用している場合、親和性が高い点がメリットです。幅広い業務用途に対応でき、既存のMicrosoft製品との連携もスムーズなため、特に企業のファイルサーバーやデータベースサーバーとして利用されています。全社的なIT環境の統一を図る意味でも役立つOSといえるでしょう。
直感的でわかりやすいGUIと高いスペック、安定性をもっていますが、ライセンス料が高額なためコスト面に注意する必要があります。また、世代によってGUIが大きく異なるため、新しいバージョンに移行する際には操作に戸惑う方もいるかもしれません。
Linux・Unix系OS
LinuxはサーバーOSにおける元祖であるUnixの影響を受けつつ、ゼロベースで開発されたOSです。オープンソースのためライセンス料が不要で、多数の派生版があるのが大きな魅力といえるでしょう。コストを抑えながら高いカスタマイズ性を活かして運用できるのがメリットです。
一方、Unixは元祖といわれるだけあり、非常に高い安定性とセキュリティ性を備えています。シンプルな分、比較的低スペックのサーバーでも動きます。サーバーOSの中でも高いシェアをもち、実績と信頼性に優れている点も特長のひとつでしょう。パソコンのOSとしてWindowsと二分するシェアをもつMacOSも、もともとUnixをベースに作られています。
どちらも安定性やセキュリティ、信頼性の高いOSですが、Windows系OSと違ってコマンド操作のため専門知識が求められ、サーバー構築や保守・運用の難易度は高めです。
目的に適したサーバーの選び方
サーバーを選ぶ際には、まず運用の目的や用途を明確にすることが重要です。用途を洗い出さずにサーバーを選択すると、スペック不足によりサーバーダウンやシステムの非効率運用につながる可能性があります。例えば、小規模なWebサイトには共有サーバー、大量のデータ処理を行う業務には専用サーバーやクラウドが適しているでしょう。
具体的な選択基準としては、必要な処理能力(CPUやメモリ)、ストレージ容量、セキュリティ要件、拡張性、既存のシステムとの相性などを考慮します。また、コストや運用の手間も検討すべきです。
さらに、サーバーの管理体制も考慮しなければなりません。自社で運用管理を行う場合は、管理者のスキルや人的リソースを確保する必要があります。一方、クラウドサービスを利用すれば、プロバイダがサーバーの管理を担うため、運用負荷を軽減できるのが利点です。
これらを総合的に判断し、目的に合った安定稼働が可能なサーバーを選ぶことで、トラブルを未然に防げるでしょう。
【初心者向け】サーバー構築の手順をステップ形式で解説
サーバー構築は、物理サーバーを用いる方法とクラウドサーバーを利用する方法に大別され、それぞれ構築の手順が異なります。物理サーバーの場合は設置場所やハードウェアを手配しなければなりません。一方、クラウドサーバーはこれらの準備が不要で、スピーディーに構築できる点が特長です。
また、クラウドサーバーは、クラウド上でアプリケーション開発や運用環境を提供するPaaS(Platform as a Service)と、サーバーやストレージ、ネットワークといったインフラを提供するIaaS(Infrastructure as a Service)があります。
ここでは主にIaaSを例に、構築手順を解説します。
- 要件定義を行う
- 要件定義の内容をもとにシステムを設計する
- 構成図を作成する
- 構成図通りにサーバーを構築する
1. 要件定義を行う
サーバー構築では、最初に要件定義を行い、プロジェクトの目的や必要なリソースを明確にしましょう。例えば、接続する端末の数やデータ容量、処理速度の目安などをリストアップし、システム要件として具体化していきます。
要件定義は、サーバーの種類を問わず必須の工程です。この工程が不十分だと、後の運用で問題が発生する可能性が高くなるでしょう。サーバー構築の土台となる部分のため、時間をかけてじっくり検討することが大切です。
2. 要件定義の内容をもとにシステムを設計する
要件定義で洗い出した内容をもとに、具体的なシステム設計を行います。OSの種類を選び、必要なCPU、メモリ、ストレージ容量などを決めなければなりません。クラウドサーバーの場合、構築後もリソースの増減が柔軟に行えるため、拡張性も考慮して設計していきましょう。
3. 構成図を作成する
構成図は、サーバー構築の設計図にあたる重要な資料です。ハードウェアの構成を示す「システム構成図」、端末やルーターなどの接続状況を示す「ネットワーク構成図」、サーバーの役割や配置などを記載する「サーバー構成図」の3種類が含まれます。
特に後者2つはまとめて「インフラ構成図」と呼ばれることもあるため覚えておくとよいでしょう。これらの構成図を作成することで、実際の構築がスムーズに進みます。
4. 構成図通りにサーバーを構築する
最後に、構成図をもとに実際のサーバー構築を行います。物理サーバーの場合は、機器の設置や配線、ソフトウェアのインストールを進めましょう。一方、クラウドサーバーでは、管理コンソールから設定を行えば、短時間で環境を構築できます。
さらに、構築後にはテスト運用を行い、システムが正常に動作するか確認しなければなりません。負荷テストやセキュリティチェックの実施は、本稼働時のトラブルを未然に防ぐためにも大切です。
サーバー構築時はセキュリティ対策が万全か注意しよう
サーバー構築では、稼働後のセキュリティ対策を徹底することが重要です。セキュリティ対策が不十分だと、データ漏洩や不正アクセスといった深刻なリスクが発生する可能性があるでしょう。具体的な対策としては、強固なパスワードの設定、定期的なセキュリティアップデートの実施、アクセス制御などが挙げられます。
クラウドサーバーの場合は、サービス提供者側がサーバー管理を行っているため、どのようなセキュリティ体制が整備されているかを事前に確認しましょう。例えば、データの暗号化、ログ監視システム、障害発生時の対応などが挙げられます。
さらに、自社で利用するアプリケーションやデータへのアクセス権限を適切に設定することで、クラウドサーバーのセキュリティを強化可能です。サーバーの安定稼働を支えるためにも、構築段階からセキュリティの観点を意識しましょう。
サーバー構築の知識・スキルを身につける方法
サーバー構築のスキルは、エンジニアとしてのキャリアアップや独立を目指す際に大いに役立ちます。しかし、高度な専門知識を必要とする分野でもあるため、効率的な学習が欠かせません。
知識やスキルを効率よく身につけられる、具体的な学習方法を紹介します。
- オンライン学習教材・専門書などで勉強する
- 実際の案件に参画して実務経験を積む
オンライン学習教材・専門書などで勉強する
独学でサーバー構築の知識を習得する場合は、オンライン学習や専門書の活用がおすすめです。
例えば、初心者向けから上級者向けまで幅広い内容が網羅されている学習サイトであれば、段階的に知識を身につけていけるでしょう。学習の際は、基礎を学んだ後、実際にサーバーを構築してみるのが効果的です。仮想環境を利用すれば、実際のプロジェクトを模した疑似的なサーバー構築を体験できます。理論だけでなく実践的なスキルも身につけられるでしょう。
また、LinuxやWindows Serverなどについて詳しく解説した専門書を活用すると、OSごとの特性や運用方法、最新の技術などについて深く理解できます。独学での学習は自分のペースで進められるため、仕事やプライベートのスケジュールに合わせやすい点が魅力です。
実際の案件に参画して実務経験を積む
独学で基礎を学んだ後は、実際の案件に参画し実務経験を積むことがスキル向上には欠かせません。特に、企業のプロジェクトや副業案件なら実践的な知識を習得できます。
例えば、最初は運用中のサーバーの保守・監視業務や新規構築に携わることから始めていくと、実務ならではの課題解決力が身についていくでしょう。
フリーランスエンジニアのためのマッチングサービス「FLEXY(フレキシー)」では、サーバー構築に関する多種多様な案件が掲載されています。これらの案件を通じて、業界の動向や最新技術に触れながらスキルアップを図るのがおすすめです。案件参画により、収入アップやキャリアの選択肢を広げるきっかけにもつながるでしょう。
サーバーサイドエンジニアの仕事内容や必要なスキルを詳しく見る
サーバー構築の経験を積んで仕事の幅を広げましょう
サーバー構築は、インターネット上でデータやサービスを安全にやりとりできる環境を整えるための重要なスキルです。サーバー構築を学ぶことで、独立やキャリアアップへの道が広がるでしょう。
FLEXY(フレキシー)ではサーバー構築に関する案件が豊富に用意されており、実務経験を積む場として最適です。学んだ知識を活かし、現場で実践しながら収入アップやスキル向上を目指しましょう。
まずは知識を学ぶところから始め、サーバー構築スキルを習得する第一歩を踏み出してください。