SAP認定コンサルタント資格とは?難易度・合格率や必要勉強時間を解説
SAP認定コンサルタント資格とは、SAP製品に関する専門知識や技術を証明できる資格です。取得を検討中の方には「合格率や難易度は?」「勉強時間はどのくらい?」など疑問を抱える方も多いでしょう。SAP認定コンサルタント資格の取得を考える方に向けて難易度、必要な勉強時間、勉強方法、受験費用などを解説します。
目次
SAP認定コンサルタント資格とは?
まずはSAP認定コンサルタント資格の概要、取得メリット、種類と分類、試験形式、資格の更新について解説します。
SAP認定コンサルタント資格の概要
SAP認定コンサルタント資格とは、ドイツ発祥のソフトウェア企業「SAP社」が提供する「SAP認定試験(SAP Certification)」に合格した方に与えられるライセンスです。SAP社は、さまざまなERPシステムの開発や販売を行う業界最大手の企業で、SAP製品は世界中で利用されています。
資格取得のメリット
SAP認定コンサルタント資格は、SAP製品における知識や技術を証明できる資格であるため、取得するとSAP製品の導入を行う企業へ転職する際やフリーランスとして働く際に有利です。SAP製品を扱うには高い専門性が求められるため市場価値が高く、この資格があると活躍の場が広がります。
資格の種類と分類
SAP認定コンサルタント資格には多くの種類があり、それぞれの資格は知識分野と難易度に基づいて分類されています。
SAP認定コンサルタント資格には、130以上の種類がありますが、知識分野によって「アプリケーションコンサルタント」「テクノロジーコンサルタント」「デベロップコンサルタント」の3つに大きく分類されます。さらに難易度によって「アソシエイト」「スペシャリスト」「プロフェッショナル」の3段階に分けられます。分野や難易度を絞って挑戦してみましょう。
試験形式と受験言語
SAP認定コンサルタント資格の試験は、オンライン形式で提供されており、複数の言語で受験可能です。
受験言語は最大9言語あり、日本語で受験可能な試験は50種類ほどあります。すべてオンライン試験のため、コンピュータ上で選択式の問題に回答する形式です。
資格の更新と制限
SAP認定コンサルタント資格は、製品のバージョンに応じて更新が必要です。また、試験の受験回数には制限があります。SAPは常に進化するため、SAP認定コンサルタント資格も製品のバージョンに応じて更新されます。
資格は一度取得すれば、該当製品のバージョンがある限り有効です。ただし、同じ試験を受験できるのは3回まで、3回以内に合格できなかった場合、新しいバージョンの試験が公開されるまで受験できません。
SAP認定コンサルタント資格の種類一覧
SAP認定コンサルタント資格であるアプリケーションコンサルタント、テクノロジーコンサルタント、デベロップコンサルタントの3種類を詳しく解説します。
アプリケーションコンサルタント
アプリケーションコンサルタントは、SAPソリューションの導入と最適化を担当する専門家です。企業のニーズに応じてSAPシステムを設定し、ユーザーのトレーニングを行い、システムの最適化を図ります。
アプリケーションコンサルタントの資格には、「SAP Certified Application Associate」や「SAP Certified Application Professional」などがあり、テクノロジーコンサルタントやデベロップコンサルタントに比べると初心者でも取得しやすくなっています。
試験では、企業のSAP導入を支援する際に必要な知識が問われ、エンジニアスキルよりもビジネスプロセスの知見が必要です。財務会計(FI)、販売管理(SD)、人事(HR)などの業務を効率化するための知見をもつことを証明できる資格でしょう。
テクノロジーコンサルタント
テクノロジーコンサルタントは、SAPシステムの設計、構築、管理など、技術的な側面を担当する専門家です。SAPに携わるインフラエンジニアは「BASIS」と呼ばれ、SAPの土台を支えるインフラ領域を担当します。
テクノロジーコンサルタントの資格には「SAP Certified Technology Associate」や「SAP Certified Technology Professional」などがあります。インフラエンジニア向けの資格であるため、SAPシステム管理で生じるインフラトラブルを解決するスキルが必要です。試験に合格すると、SAP BASISコンサルタントとして、企業に技術的なアドバイスを行い、SAP環境の安定した運用をサポートできます。
デベロップコンサルタント
デベロップコンサルタントは、SAPシステムのカスタマイズと拡張を担当する専門家です。主な業務は、アプリケーションの設計・開発であり、開発PMや開発実務のメンバーになれる可能性があります。
デベロップコンサルタントの資格は、システムエンジニアやプログラマー向けであるため、プログラミング技術は必須です。試験の種類は、基礎的な開発スキルが問われる「SAP Certified Development Associate」と、より高度な開発スキルが必要な「SAP Certified Development Professional」があります。
合格すれば開発のスキルを証明でき、さまざまなSAPアプリケーションを企業のニーズに応じて開発できるようになります。
SAP認定コンサルタント資格を取得するメリット
SAP認定コンサルタント資格を取得すると、スキルを証明できるだけでなく、キャリアアップや年収アップにつながるなどのメリットがあります。資格を取得することで得られるメリットを4つ紹介します。
高度な専門スキルがあることを証明できる
SAP認定コンサルタント資格を取得することによって、SAPシステムに関する高度な専門知識と専門スキルを持っていることを証明できます。
SAPは世界中の企業で広く利用されており、企業は専門知識や専門スキルのある人材を求めています。SAP認定コンサルタント資格はグローバルな企業でも通用する価値のある資格であるため、取得することで専門性をアピールできるのはメリットです。
結果的に、SAPシステムの導入支援やSAP関連のプロジェクトにおいて、重要な役割を担えます。
キャリアアップにつながる
SAP認定コンサルタントの資格保有者を求める企業は多く存在するため、転職市場でも有利にはたらきます。特に、外資系企業や大手企業への転職を考えている場合、この資格は大きな強みです。
SAPは大企業での導入が多いため、グローバルに活躍することもできるでしょう。また、SAP関連の職種へのキャリアチェンジも容易になります。
資格を取得することで、コンサルタントだけでなく、プロジェクトマネージャーやシステムアーキテクトなどへのキャリアアップにもつながるのはメリットです。SAP製品に限らず広域的に、業務改善プロジェクトのマネージャーを任される可能性もあります。
年収アップが期待できる
SAP認定コンサルタント資格を取得すると、年収アップにつながる可能性が高いのもメリットです。SAPシステムは多くの大企業で導入されており、専門の知識やスキルを有するコンサルタントの需要は高いため、給与水準も高めです。資格がなくてもSAPコンサルタントとして働けますが、有資格者の方が高い給与を期待できるでしょう。資格手当を支給したり奨励金を設けていたりする企業も一定数あります。
また、資格を取得することでより責任の大きな仕事を任され、高度なプロジェクトに携わる機会が増えることも年収アップの要因です。
フリーランス案件を獲得しやすくなる
SAP認定コンサルタント資格は、フリーランスとして働く上でも有利になる資格です。フリーランスは自身のスキルをアピールすることが必須であり、資格の保有はアピール材料として重宝します。
SAP認定コンサルタント資格があればクライアントからの信頼度が高まり、案件獲得しやすくなります。資格取得の中で得られる専門知識によってクライアントのニーズに的確に応えることが可能になり、継続案件や推薦・紹介の獲得にもつながるでしょう。
SAP認定コンサルタント資格の難易度・合格率
SAP認定コンサルタント資格は、SAPに触れたことのない方にとっては難しく、相当な努力が必要です。しかし、入念に対策すれば独学でも合格を目指せます。
SAP認定コンサルタント資格の難易度
SAP認定コンサルタント資格は、どれも専門的な知識とスキルが要求されるため、難易度が高いです。上級者向けのテクノロジーコンサルタントと開発者向けのデベロップコンサルタントは、より難易度が高いとされています。
また、どの試験もSAPシステムに関する深い知識や実務経験が不可欠なるため、SAPシステムに触れたことのない方や実務経験のない方は万全な対策をした上で臨む必要があります。
本試験の受験前に模擬試験を受け、合格基準に到達できるレベルか確認しておくと安心です。
SAP認定コンサルタント資格の合格率
SAP認定コンサルタント資格の正確な合格率は、SAP社から未公表です。
あくまで参考ですが合格ラインは約60%~70%の正答率が必要だとされています。ただし、試験によって合格ラインは異なるため、断定は難しいです。
初心者にもおすすめのSAP認定コンサルタント資格勉強方法
SAP認定コンサルタント資格に合格するためには、いくつかの勉強方法があります。以下では、初心者にもおすすめの勉強方法を紹介します。
SAP Learning Hubを利用する
SAP社が提供するオンライン学習プラットフォーム「SAP Learning Hub」は非常に有用です。学習コンテンツが多数用意されており、コンテンツは日々追加されます。
充実した学習コンテンツで24時間365日、自分のペースで学習を進められるため、忙しいビジネスパーソンにもおすすめです。
ただし、SAP Learning Hubはサブスクリプション形式の有料コンテンツであり、学習できる範囲によって費用が異なります。14日間無料のお試し版もあるので、気になる方は活用してみてください。
SAP Learning Classを活用する
SAP社が提供する公式の講義形式の学習サービス「SAP Learning Class」を活用する方法もあります。このサービスでは、公式のSAP講師から試験に必要な知識やスキルを直接教えてもらえるため、独学よりも効率よく学べるのがメリットです。また、疑問点があればその場ですぐに質問でき、解決できる点も魅力です。
SAP Learning Classには、オンラインと対面の2つの形式があります。オンライン形式では、自宅からでも受講可能で、時間や場所に縛られず学習できるでしょう。一方、対面形式はSAPラーニングセンターで行われ、直接講師と交流しながら学ぶことが可能です。
ただし、受講料は低価格なものでも8万円、中には70万円以上する講座もあり、非常に高額です。予算に応じて、最適な受講形式を選びましょう。
過去問・参考書籍を使用する
書籍を使用した学習も非常におすすめです。過去問や参考書籍を利用することで、試験範囲の理解や出題傾向の把握に効果的です。 特に「SAP認定試験対策シリーズ」などの書籍は資格ごとに詳細な解説があり、独学でも効率的に学習を進められます。過去問を繰り返し解くことで理解度を深め、苦手な部分を克服できます。
また、SAP公式書籍を活用するのもよいですが、すべて英語で書かれているのが留意点です。英語が苦手な方は、翻訳サイトやアプリを利用して学習するとよいでしょう。
SAP認定コンサルタント資格の申し込み方法
申し込みは、以下の1〜3の手順で進めます。
1. 受験する認定資格を選定する
SAP認定コンサルタント資格には多くの種類があるため、まずは自分がどの資格を取得したいかを決めましょう。SAP公式サイトや「SAP Training and Certification Shop」というサイトで提供されている資格一覧を確認し、自身のスキルやキャリア目標に最適な資格を選ぶことが重要です。
2. SAP公式サイトで申し込みをする
受験する資格を選定したら、SAP公式サイトで試験を申し込みます。申し込みにはSAPアカウントが必要です。
まだアカウントを持っていない場合は、新規アカウントを作成してアクセスしてください。試験の詳細ページで、内容、所要時間、料金などの詳細を確認し、受験可能な日程を予約しましょう。
予約後、受験料を指示された方法で支払い、予約確認メールが届くのを待ちます。
3.SAP Certification Hubで受験する
オンライン試験は「SAP Certification Hub」というWebサイトで実施されます。指定された技術要件を満たすコンピュータを用意し、安定したインターネット接続を整えておきましょう。
Webカメラにパスポートもしくはクレジットカードを提示することによって本人確認が行われます。試験時間は約3時間なので、時間配分に注意しながら解答してください。試験監督とのコミュニケーションは英語で行われるため、ある程度の英語力が必要です。
SAP Certification Hubでは、試験に関するテクニカルガイドやFAQが提供されているので、受験前に確認しておきましょう。試験が終了すると、合否結果はその場で確認できます。
SAP認定コンサルタント資格の費用
SAP認定コンサルタント資格の受験1回のみ受験できるチケットと、6回受験できるチケットの2種類があります。6回受験できるチケットは、1回あたりの受験料が安くなります。ただし、いずれのチケットも購入後12か月以内に受験が必要です。
受験料は為替相場によって変動するため、最新の情報を確認してください。
SAP認定コンサルタント資格の合格に必要な勉強時間は?
前提知識や経験の程度によって、合格に必要な勉強時間は異なります。
一般的には、数か月程度の集中的な学習が必要です。SAP製品に精通している方であれば、1〜2か月程度の勉強時間で合格を目指せます。一方、SAPの経験が全くない方の場合は、3〜6か月以上の勉強時間が必要です。
公式サイトで出題範囲を確認し、オンライントレーニングや過去問を活用して効率よく勉強を進めましょう。
まとめ
SAP認定コンサルタント資格を取得すると、高度な専門性を証明できるのはもちろん、キャリアアップや年収アップにつながる、フリーランス案件を獲得しやすくなるなど多くのメリットがあります。
資格の難易度は高いですが、SAPが提供する学習プラットフォームや学習サービス、過去問・参考書などでしっかりと対策し、合格を目指しましょう。
資格を活かしてSAPの案件を獲得したい方はぜひ、「FLEXY(フレキシー)」を活用してください。FLEXYにはSAPを扱えるITコンサルタント向けの案件が豊富にあります。