Salesforce認定資格とは?難易度やおすすめの勉強方法を紹介
Salesforceの認定資格を管理者、開発者、コンサルタント向けにそれぞれ紹介します。資格を取得すればフリーランスエンジニアの転職やITでのキャリアアップに有利です。本記事では資格取得に必要なスキルや難易度についても解説するので、事前に情報を知って資格取得の勉強に活かしましょう。
目次
Salesforce認定資格とは
Salesforceでは、プラットフォームを適正に扱えることの証明として認定資格を提供しています。この資格を取得することで、Salesforceのプラットフォームに関する知識やスキルがあることが証明されます。
グローバル展開している資格なので、日本だけでなく国外でエンジニアとして働く場合にも有用です。また、大まかに「管理者/CRMコンサルタント」「開発者/アーキテクト」「マーケティング」の3分野に分類されており、2024年時点で44種類もの資格があります。
Salesforce認定資格を取得するメリット
Salesforce認定資格を取得するメリットには、以下の4点があげられます。
スキルの専門性を証明できる
この認定資格を取得することで以下のようなスキルをアピールできます。
- Salesforceの管理スキル
- カスタムアプリ開発
- Apex、Visualforce、Lightningコンポーネントの使用と拡張・開発
- システム設計能力
- 営業プロセスの最適化に関する知識
- カスタマーサービスの最適化に関する知識
- マーケティングキャンペーンの専門性
資格によって、取得できる専門性も大きく異なります。そのため、自分が業務に就いている分野で、より専門性を高めたい資格を取得することがおすすめです。また、同じスキルでも通常の資格と上級資格があり、上級の方がより専門性の高さを証明できます。
取引先から信頼を獲得できる
Salesforce認定資格を取得していると、取引先や顧客といった外部の人間からの信頼を得やすいです。例えば、Salesforceに関するプロジェクトマネージャーやシステムアーキテクトであれば、システム設計に関する知識やスキルがあることで取引先に技術的な安心感を与えられます。 その他にも、データアナリストやコンサルティング、マーケティングなど、Salesforceを活用するさまざまな分野においても同様です。データ分析であればデータの分析方法やレポート作成についての適切な提案が、コンサルティングであれば顧客へSalesforceの導入支援に関する最適な提案と導入ができるため、取引先や顧客からの信頼も高まります。
スキルアップにつながる
Salesforceを学ぶ上で難しいのが、個人では利用が難しい点です。この製品は、企業向けに開発された海外の製品のため、個人利用を想定しておらず、製品利用に関する情報もWeb上にはそれほどありません。
深く勉強するためには、製品を使用している企業に従事するか、認定資格の勉強で学ぶのがおすすめです。資格取得とあわせて希少なスキルを身に付けられます。
転職で有利に働く
Salesforceの認定資格は、転職に強い資格のひとつです。特にSalesforceを導入する企業にとっては即戦力とみなされるので、就職で有利に働きます。
またグローバルな資格なので海外でも効果を発揮します。海外でエンジニアにチャレンジするならSalesforceの資格取得は外せません。
需要の高いSalesforce認定資格一覧|難易度・合格率を紹介
Salesforce認定資格の合格率は非公開です。ここではSalesforce認定資格の中でも需要の高い資格の難易度や合格点(=正答率)を紹介します。
管理者/CRMコンサルタント向け
管理者/CRMコンサルタント向けの資格は以下の4点です。
Salesforce認定 アドミニストレーター
Salesforce認定 アドミニストレーターは、Salesforceの中でも基本的な資格です。主なスキルとして、「基本設定」「カスタマイズ」「ユーザー管理」「データ管理」「セキュリティ」「レポート作成」が求められます。
試験内容は、制限時間105分の複数選択方式で60問が出題されます。65%以上の正解で合格です。難易度はSalesforce認定資格の中では優しい方ですが、実務を考えたアプローチが必要とされます。実際に使用する上で機能の実装の仕方を覚える必要があるので、未経験だと難易度が上がります。
出典:Salesforce 認定アドミニストレーター|Quip
Salesforce認定 上級アドミニストレーター
Salesforce認定 アドミニストレーターの上級資格で、より高度な管理やカスタマイズスキルが必要です。例えば、以下のような知識が求められます。
- データアクセスの制御と監視
- カスタムオブジェクト、レコードタイプ、ページレイアウト、オブジェクト間のリレーションシップ
- フローの高度な自動化ツール
- 承認プロセスとカスタマイズ
- 複雑なレポート作成とカスタマイズ
- Salesforceナレッジとエンタイトルメントの設定
- データ品質評価、クレンジングと管理
- Sandboxの機能と環境間のデータ移動ツール機能の理解
合格点は65%と初級の資格と変わりませんが、Salesforce組織管理者として1年以上の実務経験を想定した難易度です。
出典:SALESFORCE 認定上級アドミニストレーター|Quip
Salesforce認定 Sales Cloudコンサルタント
この認定資格は、顧客の要望に応じてSales Cloudソリューションを設計・実装するためのコンサルタントとしてのスキルを証明します。営業プロセスを最適化するために、以下のような知識が必要です。
- 基本的なコンサルティングのプロセスへの理解
- Sales cloud導入に関するライフサイクル全般の経験
- 営業プロセスの最適化
- カスタムレポート、ダッシュボードの作成
- 営業データの分析とインサイトの提供
- 営業プロセスの自動化
- Salesforceの他のシステムとの統合
合格点は、68%と高めの設定で、Salesforceの知識、Sales Cloudとの連携、ビジネスソリューションの開発経験1年以上で得られる能力と同等の実力が受験者のレベルに想定されています。また、この認定試験を受験する前提条件として、Salesforce認定 アドミニストレーター資格が必要です。
出典:Salesforce 認定 Sales Cloud コンサルタント|Quip
Salesforce認定 Service Cloudコンサルタント
Salesforce認定 Service Cloudコンサルタントは、カスタマーサービス向けであるService Cloudソリューションの設計・実装に関するスキルと知識を証明する資格です。主に以下のような知識が求められます。
- 企業のカスタマーサービス、サポート業務への理解
- ビジネス要件の収集とそれに合わせた最適なソリューションの設計
- ケース作成、割り当て、エスカレーション設定と管理
- ケースの自動化
- サービスコンソールのカスタマイズ
- ナレッジベース、ライブエージェント、マクロなどの設定と管理
- チャネルの設定、管理
- 適切なレポートとダッシュボードの作成
- 顧客との要件調整
合格点は67%で、Salesforceの専門的な知識に加えてコンタクトセンター業界での経験、シニアビジネスアナリストとしての経験が2〜5年必要とされます。その分、難易度は高めの試験です。
また受験の前提条件として、Salesforce認定 アドミニストレーター資格が必要です。
出典:Salesforce 認定 Service Cloud コンサルタント|Quip
開発者/アーキテクト向け
開発者/アーキテクト向けの認定資格を4つ解説します。
Salesforce認定 Platformデベロッパー
Salesforce認定 Platformデベロッパーは、Salesforceプラットフォームを利用した開発スキルを証明します。主にApex、Visualforce、Lightningを使ったカスタムアプリケーション開発が対象となり、求められるスキルとして以下の通りです。
- Apexプログラミング:カスタムロジックの作成
- Visualforce:カスタムユーザーインターフェースの開発
- リレーショナルデータベースの知識
- ガバナ制限とその影響の熟知
- Lightningコンポーネントフレームワークの経験
- カスタムオブジェクトと関係の設計
- トリガーとコントローラ
- デバッグ&テストに関わる知識と実行スキル
合格点は68%で、受験者のレベルとして、1~2年の開発者経験と、Lightning プラットフォームに関する6か月以上の経験が必要です。
出典:Salesforce 認定 Platform デベロッパー|Quip
Salesforce認定 Platformアプリケーションビルダー
Salesforceプラットフォーム上でカスタムアプリケーションの設計、構築、実装に関するスキルを証明する手段として、Salesforce認定 Platformアプリケーションビルダーが活用できます。この資格では、ビジネス要件を技術的なソリューションへと変換できることの証明となり、以下の能力があると示せます。
- オブジェクトモデル、データモデル、リレーションシップへの理解
- カスタムオブジェクトの使用方法
- ワークフロールール、プロセスビルダー、フローの設計と実装
- ユーザーインターフェースの制作
- カスタムアプリケーションのリリース
難易度の目安として、Lightningプラットフォーム、または同様のプラットフォームのアプリケーション構築経験として6か月~1年程度の経験が想定された資格です。合格点は63%と、他の資格よりも低くなっています。
出典:Salesforce 認定 Platform アプリケーションビルダー|Quip
Salesforce 認定上級Platform デベロッパー
Salesforce 認定上級Platform デベロッパーは、Salesforce認定 Platformデベロッパーの資格保有者のみが試験に受けられる上級資格で、より高度な開発能力が求められます。また、他の試験と違い、Salesforceが提供する学習プラットフォーム「Trailhead」で各問題に挑戦して、Superbadgeを取得しなければいけません。このバッヂには3種類あり、これら3つと選択式試験の合格によって認定資格が得られます。
選択式試験の所要時間は120分、合格点は70%です。開発者としての経験が2〜4年、Lightningプラットフォームでの開発経験が1年以上の知識やスキルが受験者のレベルに想定されています。具体的にはApexやJava、JavaScript、C言語、Rubyなど、いくつかのプログラミング言語の経験が求められるので、エンジニアとしての経験も必要です。
出典:SALESFORCE 認定上級 PLATFORM デベロッパー|Quip
Salesforce 認定システムアーキテクト
Salesforce 認定システムアーキテクトは、試験がありません。以下の4つの資格を全て取得することで付与される資格です。
- Salesforce 認定 Platformデベロッパー
- Salesforce 認定デベロープメントライフサイクル & デベロープメントアーキテクト
- Salesforce 認定アイデンティファイ & アクセスマネージメントアーキテクト
- Salesforce 認定インテグレーションアーキテクト
4つの資格取得が必須であり、取得までに時間がかかる難関資格です。反面、カスタマイズスキルを図る資格としては最上位なので、就職にも優位に働きやすいです。
マーケティング/コンサルタント向け
マーケティング/コンサルタント向けのSalesforce認定資格を4つ紹介します。
Salesforce認定 Marketing Cloudアドミニストレーター
Salesforce認定 Marketing Cloudアドミニストレーターは、Marketing Cloudを使用して顧客のニーズに合わせたベストプラクティスを提供できることを証明する資格です。主に以下のスキルが求められます。
- デジタルマーケティング分野のコンプライアンス、ガバナンスの知識
- データ管理と顧客に合わせたベストプラクティスの提供
- データ品質の評価
- アカウント監視
- 拡張製品の知識
- 連携サービスの知識
Marketing Cloudインスタンスの管理経験が3〜6か月程度に加えて、デジタルマーケティングの経験があれば安心です。
他の資格と比べると難易度は低く、合格点は67%です。マーケティング分野での実務経験があると取得しやすくなります。
出典:Salesforce 認定 Marketing Cloud アドミニストレーター|Quip
Salesforce認定 Pardotスペシャリスト
Salesforce認定 Pardotスペシャリストは現在「Marketing Cloud Account Engagementスペシャリスト」と呼ばれます。取得することで、Account Engagementプラットフォームにてマーケティングワークフローの設計・構築・実装ができることの証明が可能です。試験には、以下のようなスキルが求められます。
- Account Engagementプラットフォームの基本設定と管理
- リード管理
- キャンペーン管理
- 自動化とワークフロー作成
- データ管理とSalesforce CRMとの統合
- レポートと分析
試験時間は90分と短いですが、合格点は72%と高めです。Account Engagementプラットフォームの実装経験や似たマーケティングワークフローの実装経験があり、6か月〜1年程度のスキルと経験が必要です。
出典:SALESFORCE 認定 MARKETING CLOUD ACCOUNT ENGAGEMENT スペシャリスト|Quip
Salesforce 認定 Pardot コンサルタント
Salesforce 認定 Pardot コンサルタントは現在「Marketing Cloud Account Engagement コンサルタント」と呼ばれています。この資格を取得することで、Account Engagementプラットフォームを使用して、B2Bマーケティングにおいて成功をサポートするスキルをもつことが証明できます。この認定を受けるためには、以下のスキルが必要です。
- Account Engagementの基本設定と管理
- 複雑なリード管理と育成
- 自動化とワークフロー
- キャンペーンの設計と実行
- データ管理と統合
- レポートと分析
- 戦略的コンサルティング
この認定を受ける前提条件として、Marketing Cloud Account Engagement スペシャリストの資格が必要です。そのため、Account Engagementに関連した実務経験が1年以上のスキルと、ビジネスマーケティングとコンサルティング能力が求められます。合格点は68%ですが、難易度は高いです。
出典:SALESFORCE 認定 MARKETING CLOUD ACCOUNT ENGAGEMENT コンサルタント|Quip
Salesforce 認定 Marketing Cloud コンサルタント
Salesforce 認定 Marketing Cloud コンサルタントは、Marketing Cloudを使用して高度なマーケティング戦略の設計・実行できることを証明する認定資格です。主に以下のスキルが必要です。
- Marketing Cloudの高度な設定と管理
- データ管理と統合
- 複雑なマーケティングキャンペーンの計画と実行
- カスタマージャーニーの設計と実行
- 動的コンテンツの使用
- 高度な自動化シナリオの設計
- カスタムレポートの設計と実行
- 顧客のビジネスニーズにあわせて戦略的マーケティングの計画と実行
この認定試験には前提条件があり、Salesforce認定Marketing Cloudアドミニストレーター資格の取得が必要です。合格点は67%で、受験時のスキルとしてMarketing Cloudソリューションの構築において6か月以上の実務経験か、5件以上の実装経験をもつことが目安になります。また、コンサルタントの知識も必須です。
出典:Salesforce 認定 Marketing Cloud コンサルタント|Quip
Salesforce認定資格は資格更新が必要?
Salesforce認定資格は、年に1回の更新が必要です。ITの技術は常に進歩しているため、日々技術を見直さなければいけません。
資格を更新するにはTrailheadで提供されるメンテナンスモジュールを実行します。このモジュールには新機能や最新の情報が含まれており、受講することで資格更新が完了します。このモジュールには期限があるため、期限内に実行しないと資格を失効する恐れがあるため注意が必要です。
Salesforce認定資格取得のためのおすすめ勉強法
Salesforceでは、Trailheadという無料のオンライン学習プラットフォームを提供しています。このプラットフォームは、特定の資格に特化したトレイルを提供しており、内容も基礎から高度なトピックまでさまざまです。
まずはSalesforce公式サイトの資格一覧から自身が取得したい認定試験の試験ガイドをTrailmixからダウンロードして、どのような問題が出題されるのかを確認します。
また、さらなる自己学習を行う場合は、以下のような手段があります。
- 自分で開発環境を作成してSalesforceの設定やカスタマイズを行う
- Salesforceのヘルプページを参照する
- Salesforceのコミュニティに参加する
- udemyやPluralsightなどのオンライン学習プラットフォームを利用する
これらをうまく活用することで、認定資格取得のハードルを下げられます。
まとめ
Salesforceには認定資格があり、2024年の7月現在で44種類とその数も豊富です。それぞれ機能や業種によって内容も異なりますが、どの資格においても就職や転職に有利に働きます。
グローバルに展開する認定資格なので、海外の就職にも役立つでしょう。これからフリーランスで活動したい方やキャリアアップを望む方は、この認定資格を積極的に活かすことをおすすめします。