RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)とは?種類や機能を紹介

RDBMS

データの利活用が不可欠とされている昨今、RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)の導入を検討する企業は増えています。RDBMSは、不正なデータの記録防止やデータベースの一貫性を確保するだけでなく、データ保護にも有効なシステムです。本記事では、RDBMSの概要と代表的なサービスについて解説します。

RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)とは

RDBMSとは「Relational Database Management System:リレーショナルデータベース管理システム」の略称であり、RDB(リレーショナルデータベース)を管理・運用するためのソフトウェアです。

RDBMSでは、表(テーブル)の構造でデータを格納し、操作は行単位で行われます。各テーブルの作成・更新・削除といったデータベース構造を定義したり、データの抽出やアクセス権を管理したりするほか、データの整合性を確保するトランザクション処理を実行します。

RDBMSは、世界的に多くの企業や組織で活用され続けているシステムです。1970年代に初めて製品化されて以来、現在でもシステムやアプリケーション開発などの場面で、非常に重要な役割を果たしています。以前はオンプレミス型が主流とされていましたが、現在ではクラウド型も多くリリースされており、データベースの構築や移行が比較的容易になっています。

RDBMSの特長として挙げられるのが「ACID特性」です。ACIDとは、Atomicity(原子性)、Consistency(一貫性)、Isolation(独立性)、Durability(永続性)の頭文字を取ったものです。このような一連の処理によって、データベースの一貫性と整合性、信頼性が確保されます。

なお、汎用性の高いデータベース操作用言語「SQL(Structured Query Language)」は、RDBMSを操作するために開発されました。そのため、現在でもRDBMSにはSQLを用いるのが一般的とされています。

RDBMSとRDBの違い

RDBMSとRDB(Relational Data base:リレーショナルデータベース)は、同じ意味合いで使われることが多いもの、厳密には異なります。RDBMSはデータベースを管理するマネージドサービスの「DBaaS」の一種です。一方で、RDBはデータベースを構築する手法を指します。

RDBでは、データベースの設計図となるスキーマを決めた上で、関連性のある複数のテーブルを作成・格納するため、複雑な条件の検索が可能です。SQLの活用により、大規模なデータベースでも高度かつ素早いデータ処理ができます。

ただし、扱えるのはExcelのような表形式の構造化データのみとなるため、半構造化データ、非構造化データを扱う際は「NoSQL」のマネージドデータベース(DBaaS)を使用します。

RDBMSとDBMSの違い

「DBMS」もRDBMSと混同されがちです。DBMS(Database Management System:データベース管理システム)は、さまざまな種類のデータベースを管理・制御するソフトウェアシステム全般を指します。リレーショナル型をはじめ、グラフ型・オブジェクト型・時系列型といった、NoSQLのデータベースにも使われています。

主にリレーショナル型のデータベースに特化した仕組みがRDBMSであり、RDBMSも含めたさまざまなデータベースの管理に用いられているのがDBMSです。つまり、DBMSの中に含まれたシステムのひとつがRDBMSです。

RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)の種類一覧

RDBMSにはいくつかの種類が存在します。導入の目的を明確化した上で、自社のビジネスに適したシステムを選定し、多様なメリットを享受しましょう。

商用データベース管理システム

商用データベース管理システムは、文字どおりビジネスでの利用を想定したRDBMSです。次に挙げる代表的なシステムは、いずれもWindows、Linux、macOSといった、主要なオペレーティングシステムで動作します。

Oracle Database(Oracle)

「Oracle Database」は、オラクル社が1979年の最初期に開発・販売した商用RDBMSです。

信頼性が高く、堅牢性にも優れているため、大規模なシステムにも対応できます。行単位でロックする基本機能によって、より多くのユーザーのリクエストを同時に処理できます。また、検索時点でのデータを読み取ることにより、整合性・一貫性が確保しやすいのも特長です。

Microsoft SQL Server(Microsoft)

「SQL Server」は、マイクロソフト社が開発したRDBMSです。2022年には新バージョン「SQL Server 2022」がリリースされました。中規模から大規模システムまで数多くの実績があり、Windows OSとの親和性が高く「Azure」と相性よく使えるのが特長です。

データを移行することなくクラウドとオンプレミスのデータを同期できるほか、IoT機器に拡張し「Azure SQL Edge」上でリアルタイム分析も行うことも可能です。

また、ADO.NETなどを経由し、SQL Serverをバックエンドとしたデータベースの開発・運用も行えます。

IBM DB2(IBM)

IBM社が1983年に販売を開始した「IBM DB2(現:Db2)」は、SQLを最初期から取り入れたRDBMSです。特徴として、自由度の高さやトランザクションワークロード、分析ワークロードなどを細かく柔軟に設定できることが挙げられます。

クラウド・オンプレミス環境を問わず、大規模システムに適している一方で、導入・運用にはある程度の専門知識が必要です。

オープンソースのデータベース管理システム

無料で商用利用できるオープンソースのRDBMSも多く活用されています。近年では、機能や拡張性が豊富なオープンソースソフトウェアが注目を集めています。自社のビジネスにあわせて修正やカスタマイズが容易に実行できるのも魅力です。

MySQL

「MySQL」は、世界中の企業で活用されているオープンソースのRDBMSです。オラクル社が開発・サポートを行っており、その信頼性の高さからMeta(旧Facebook)やNetflixなど、数多くのアプリケーションに使われてきた実績があります。

データの整合性と一貫性を保ちながら、多くのトランザクションやクエリの高速処理を行います。ダウンロードするだけですぐに利用できるため、構築・運用の手間もかかりません。シンプルで使いやすいインターフェースもMySQLの特徴です。ソースコードが公開されているので、必要に応じてカスタマイズや拡張も自由に実行できます。

Postgre SQL

「PostgreSQL」は、1996年頃にリリースされたRDBMSです。前身の「POSTGRES」は「POSTQUEL」という独自の言語で操作する必要がありましたが、現在はSQLに準拠しています。強力なACID特性を備え、複雑なクエリやトランザクション処理の速さが魅力です。

商用データベース製品を除く別のオープンソースウェアとも、スムーズに連携できます。拡張性が高く、信頼性向上に関する機能も定期的にアップデートされているため、エンタープライズレベルのアプリケーション開発に適したシステムです。

RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)の主な機能

RDBMSの導入は、データ管理業務の効率アップだけでなく、フロントエンドシステムの軽量化や構築コストの低減に役立ちます。導入するシステムを比較検討する前に、まず、RDBMSの主な機能について理解を深めておきましょう。

データベースの定義

RDBMSでは、データ間の関係性(リレーション)を規定することで、必要に応じて複数の表を一時的に組み合わせ、利用します。

この仕組みによって、データの重複・不整合を回避し、ひとつの表だけでは得られない情報を一度に得られます。表の作成・変更・削除といった格納方式をはじめ、適切な索引(インデックス)やビューを作成することで、データベースのパフォーマンス向上の実現が可能です。

トランザクション処理

RDBMSにおけるトランザクション処理は、非常に大きな意味を持ちます。

トランザクションの途中でエラーが発生しない場合には全操作が実行されますが、一部でもエラーが発生すると、トランザクションの全操作はキャンセルされます。一部のみ実行されることがないため、複数のユーザーが同時に処理を行う際も、データに矛盾が生じません。

この性質から、金融機関の振込処理、オンラインショッピングの注文処理など、データの整合性が極めて重要なシステムにおいて、RDBMSが広く活用されています。

データベース障害からの復旧

RDBMSは、サーバの異常終了、ネットワークの異常切断、ユーザーの誤操作、物理的な破損などによるデータ障害が発生し、データが失われた場合に備えて、変更履歴を格納するファイルを備えているのが一般的です。

データの状態を定期的に保存しておけば、バックアップファイルに置き換えた上で変更履歴(トランザクションログ)をもとに処理を再実行するため、データのリカバリできます。また、ログの監視は、エラーの兆候などを早期に発見することにも結びつきます。

まとめ

RDBMSと略されるリレーショナルデータベース管理システムは、表をまたいで関連性のある構造化データを抽出できる仕組みです。登場してから数十年が経っていますが、現在でも金融機関における処理やアプリケーション開発などの場面で重要な役割を果たしています。

RDBMSの大きな特長は、ACID特性によるデータの一貫性と信頼性の保証です。オラクル社などが展開するシステムのほか、無料で利用できるオープンソースのシステムも多くの企業で導入されています。SQLを使用することで複雑なクエリも実行できます。

RDBMSを導入する際は、小規模に運用を開始した上で、様子を見ながら範囲を拡大し、最適な状態に近づけていくのがおすすめです。

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