API開発の種類やメリットとは?開発手順、フリーランス案件例も紹介
フリーランスのエンジニアが活躍できる開発分野のひとつが、市場価値の高いプログラミングスキル「API開発」です。API開発の概要や種類をはじめ、目的やメリット・デメリット、API開発を行う手順や注意点を解説します。API開発について詳しく知りたい方や今後のキャリアを真剣に考えたい人は、本記事をぜひ参考にしてください。
目次
API開発とは
「API開発」とは、ソフトウェア間でデータや機能を共有・提供できるように、「API(Application Programming Interface)」と呼ばれるインターフェースを設計・開発することです。異なるソフトウェアをつなげる、接点としての役割を担うAPIがなければ、データや機能の連携ができません。
API開発は、ソフトウェアの強みや価値を創出するとともに、柔軟なカスタマイズが可能です。したがって、他の開発者やサービスのユーザーが、簡単に既存のサービスを活用したり、開発工数を削減できたりします。
API開発を担当することが多いのはバックエンドエンジニアです。API開発を今後行う場合には、バックエンドエンジニアの仕事内容や求められる能力を調べておくとよいでしょう。
APIの主な種類
APIにはさまざまな種類がありますが、ここでは主なAPIとして「Web API」「OS API」「ランタイムAPI」「データベースAPI」の4点を紹介します。それぞれの特徴を以下にまとめました。
Web API
Web情報をやりとりするHTTPプロトコルや、それを暗号化したHTTPSを扱って、外部のソフトウェアなどと通信して連携するAPIです。ブラウザで利用できる上、プログラミング言語が異なっていてもつなげられる利点があります。
OS API
Microsoft社の「Windows 11」や「Linux」など、オペレーティングシステム(OS)が提供するAPIで、機能やサービスへのアクセスに利用されます。Windows 11に付属する「Win32 API」や、Linuxに付属する「POSIX」がOS APIの代表例です。
ランタイムAPI
ソフトウェアの動作環境(ランタイム)が提供するAPIで、実行時に必要な環境やフレームワークの機能を利用できるように整えます。ランタイムAPIの代表例は、プログラミングモデルとして位置づけられる「Windows Runtime(WinRT)」や、Java言語の実行環境である「Java Runtime Environment(JRE)」です。
データベースAPI
さまざまなソフトウェアから、データベースへの接続やデータ取得などを行うAPIです。「ソフトウェアとドライバーマネージャー」および「ドライバーマネージャーと各ドライバー」を接続することで、ソフトウェアとデータベースとの間で通信が可能になります。Microsoft社の「Open Database Connectivity(ODBC)」やOracle社の「Java Database Connectivity(JDBC)」がデータベースAPIの代表例です。
API開発の目的
API開発に携わる場合は、目的に基づくことを理解しておきましょう。API開発の目的として、主に以下の3点が挙げられます。
サービス利用者の利便性向上のため
ひとつは「ユーザーの利便性向上」であり、ユーザーがこれから利用するサービスのAPIがすでに開発・提供されていれば、より効果的かつ簡単にそのサービスを利用できるはずです。
具体例を挙げると、Googleマップを埋め込んで即時に場所がわかるようにしたり、新たなサービスの利用開始時に登録済みSNSのユーザー情報を流用して、簡単に会員登録したりすることで、利便性を高められます。
生産性と効率性の向上のため
「生産性と効率性の向上」も重要視されており、ソフトウェアの開発者は、利用したい機能を含むAPIが公開されている場合、その部分をわざわざ自分でプログラミングする必要はありません。エンジニアがソフトウェアの開発に要する時間を短縮し、効率よく進めていくことが求められます。
また、開発者ではない一般のユーザーでも、APIを通じて効率よくデータを共有すれば、複数のサービスを利用していても円滑に連携できるため、生産性の向上につながります。
例えば、社内システムとさまざまな定型業務を自動化するRPAツールの連携は、作業効率が格段に上がるとともに人的ミスを減らせるので、より迅速かつ正確な業務遂行が可能です。さらに、社内のリソースの有効活用が実現し、ビジネスプロセスの改善にも期待できます。
自社サービスのベネフィット向上のため
自社で開発したソフトウェアを保有している場合は、APIを開発して外部に公開し、より多くの人々に利用してもらうことで、自社の技術資産価値やブランド価値が向上します。
また自社のソフトウェアに新機能を追加する際、その新機能が実装されたAPIを構築し、ソフトウェアがAPIを呼び出す仕様にすれば、影響を及ぼす範囲を縮小化した効率のよい改修が可能です。
さらに、APIの利用は自社サービスの開発スピードを上げられるため、顧客のニーズの変化にすばやく対応し、自社サービスの競争力の維持・向上に役立ちます。
API開発をするメリット・デメリット
API開発にはメリットだけではなく、デメリットもあります。ここでは、API開発をする上で知っておきたいメリットとデメリットを紹介します。
APIを開発するメリット
API開発を行う際、以下に挙げる3点のメリットが得られます。
コスト削減につながる
APIを利用して、既存のソフトウェアなどから必要な機能を、開発中のサービスに組み込むことで、開発や改修にかかる工数を減らせます。すべてを自力で開発する従来の手法よりも、スピーディーかつ経済的なサービスの運用が可能です。
また、有用なソフトウェア同士をつなげて、効率的なデータ共有やプロセスの自動化を実現するAPIにより、各種サービスを利用する企業側においても業務にかかるコストを抑えられます。
セキュリティが強化される
APIを利用して、大手企業が開発した信頼性の高い認証やアクセス制御の機能を導入することで、自社サービスのセキュリティが強化されます。
例えば、自社サービスとSNSアカウントのユーザー情報を紐づけるAPIを利用して、自社サービスのログイン時にソーシャルログイン機能で本人確認を行えば、手軽に高度なセキュリティの搭載が可能です。
最新情報を入手できる
APIを利用して、必要なサービスの情報を得られるリクエストを送れば、各サービスの正確な最新情報がリアルタイムで自動取得できます。
市場の変化やトレンドを瞬時に把握し、情報の鮮度が落ちないうちにすばやく意思決定できるため、ビジネスチャンスを逃しません。
APIを開発するデメリット
API開発を行う際、以下に挙げる2点のデメリットに注意しましょう。
APIの提供元に依存してしまう
API提供元のサービスに不具合や通信障害などが発生すると、連携している自社サービスや社内システム、ソフトウェアも同時に影響を受けます。自社サービスの提供ができず、社内システムやソフトウェアが停止したり、機能制限が発生したりするおそれがある点に注意しなければなりません。不具合や障害への対応ができるのは提供元の会社なので、自社側はひたすら復旧を待つだけです。
また、提供元がAPIの仕様を変更した場合、連携している自社サービスはその都度、仕様に合わせるための対応が求められます。
さらに、公開されているAPIが無期限で利用できるとは限らず、提供元でAPIの提供を終了するケースがあるので、その場合の対応策も考えておくべきです。
利用に応じて費用がかかる場合がある
APIの中には、現在無料のものでも、突然有料化されるケースがある点に注意しましょう。
現在利用しているAPIの料金設定が、アクセス回数やデータ転送量などに応じた従量課金制を採用している場合、利用量に伴って自動的に料金が上がります。したがって、連携する自社サービスのユーザーが急増した場合は、多額の料金を請求されるかもしれません。APIにかかる費用は予算に組み込んでおく必要があり、予測が困難な利用量の急増による負担に備えることが大切です。
API開発の主な手順
API開発は、主に以下の手順に沿って進めていきます。
【1】設計
APIを提供するユーザー層やAPIに含まれる機能など、基本的な要件を明確にした上で、APIの仕様を具体的に計画します。性能やセキュリティなどの要件を定義し、APIリソースやHTTPメソッド、認証方法などを決めて、データモデルを設計します。
【2】開発
設計完了後は、設計に基づいてプログラミングを行います。この際、APIのリクエストやリソース使用率などの状況に応じて、最適化されるようにコードを書かなければなりません。また、後から拡張しやすい・保守しやすいコードを書くことも重要です。
【3】検証
最後に開発したAPIに対して、テストを繰り返し検証を行います。検証ではコードに含まれるバグを特定して取り除いたり、不足している機能などを追加したりします。さらに、ハッカーに狙われるエラーを減らして、セキュリティの脆弱性を克服することも欠かせません。
API開発の注意点
API開発において、特に注意を払う必要がある点は以下の2点です。
APIのアップデート情報は必ず確認する
APIの提供元でバージョンアップや利用規約の改定などが行われる際、自社での対応が求められる場合があるため、連携しているAPIのアップデート情報を定期的に確認しましょう。
アップデート情報を見逃してしまうと、自社のサービスに機能の不具合が生じて利用できなくなったり、セキュリティの脆弱性により、サイバー攻撃の標的にされたりするおそれがあります。
プログラミング言語・フレームワークに関する知識を獲得しておく
API開発は、プログラミング初心者に務まる業務ではありません。API開発に携わるには、プログラミング言語やフレームワークを学習し、十分な知識を身に付けることをおすすめします。言語やフレームワークに精通している人は、APIを効果的かつ効率的に利用して、ソフトウェアを開発できるはずです。
特に、APIの挙動やエラーハンドリングを熟知していると、APIに生じている問題の早期発見と解決につながるため、開発プロセス全体の円滑な進行に役立ちます。
API開発のフリーランス案件例
企業がフリーランスを必要とする、API開発の案件例を具体的に紹介します。
【〜80万円/月】プロダクトのフロントエンド開発支援
契約業務の効率化ツールを開発する企業様の案件例です。
■案件概要
- 職種:フロントエンドエンジニア
- 稼働日数:週4〜5日
- 報酬:〜80万円/月
- 勤務地:品川
- リモート:可
■業務内容
- ビジネス版のGithubと呼ばれるプロダクトのフロントエンドの開発
- プロダクトの新機能
- API開発
- メンテナンス
■必須要件
- 公私問わずAngularなどのフロントエンドの経験がある方
【〜100万円/月】 外部API開発支援
アウトバウンド営業プロセスに関する課題を解決するために、プロダクトを提供する企業様の案件例です。
■案件概要
- 職種:サーバサイドエンジニア
- 稼働日数:週4〜5日
- 報酬:〜100万円/月
- 勤務地:神谷町
- リモート:可
■業務内容
- 自社プロダクトと外部ツール間のAPI連携の実装
- 自社公開APIプラットフォームの開発
- OAuthなどの認証周りの実装
- 取り込んだデータの格納方法設計(DB設計)
- 取り込みのアーキテクチャ設計(AWS Lambdaなどを使用したサーバレス想定)
■必須要件
- DB・アーキテクチャの設計・レビュー経験2年以上
- バックエンド開発経験(言語問わず)
- OAuthの実装経験
- サーバレスの実装経験(AWS Lambda、API Gatewayなど)
- 日常会話レベルの英語
- Salesforce、HubSpot、Kintoneなどの外部ツールのAPI連携の実装経験2年以上
- API連携のスクラッチ開発経験
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まとめ
API開発は、ソフトウェア間でデータや機能を共有・提供するために、APIを設計・開発することです。主な種類としてはWeb API、OS API、ランタイムAPI、データベースAPIが挙げられます。API開発により多様なサービス連携が可能になると、コスト削減やセキュリティ強化、最新情報の入手などのメリットが得られます。設計・開発・検証の手順に沿ってAPI開発を進めますが、プログラミング言語やフレームワークの知識が必須です。フリーランスでも十分な知識とスキルを有し、求人要件を満たしていれば、API開発に携わることも夢ではありません。