技術広報のエキスパートを迎え入れて「良い組織づくり」を加速させる手法とその効果―ミイダス/大谷祐司さん
17万社以上の企業に利用され、登録者数は46万人を誇る転職アプリ「ミイダス」を提供している、ミイダス株式会社。
技術広報の本格的な展開を考えていた同社は、FLEXYからプロ人材のSさんを採用し、VPoEの大谷さんとともに精力的に広報活動に努めています。
そこで今回は大谷さんにインタビュー。プロ人材が技術広報として組織にジョインするとどのような動き方をしてくれるのかをはじめ、ミイダスにおける技術広報の目的や効果などをお伺いしました。
目次
自由でチャレンジングな気風を持つ60名のエンジニア組織
― 簡単に、御社のエンジニア組織の概要について教えてください。
ミイダス株式会社 VPoE 大谷 祐司 氏(以下、大谷):エンジニアは60名ほど在籍しており、約半分は業務委託の方です。特徴としては、エンジニアが中心となってプロダクトを作り上げていくカルチャーがあることや、大規模サービスを少数精鋭のチームで運用していることなどが挙げられます。開発は基本的にエンジニアの自主性に任せており、失敗を恐れずにチャレンジすることを大切にしながら進めています。サービスも保守的に運営するというよりは、良いと思った新機能はどんどん実装して、付加価値を高める方針です。
私は2020年8月頃にVPoEとしてジョインして、Tech Offieceという「エンジニア組織作り」を行うチームを立ち上げました。専任チームがエンジニアひとりひとりと向き合い、個々が持っている能力を最大限発揮してチャレンジできる環境を目指しています。
技術広報を担う人材として理想的な人物をそのままアサインできた
―今回技術広報の支援をさせていただきましたが、FLEXY経由でSさんを採用された経緯について教えてください。
大谷:新たに技術広報部を作りたいと考えていたので、主導するのはどんな人材が適切なのだろうかとネットでいろいろと検索していました。そのときたまたまSさんの情報を見つけたので、FLEXYの担当者である野谷さんに「こんな人材はいないだろうか」と相談したんです。
すると、野谷さんが直接Sさんにコンタクトを取ってくれて、そのまま面談、採用に至りました。やはり野谷さんすごいですね(笑)。かなりスピード感がありましたね。
―野谷のスピードには私も驚かされています。(笑)では、現在、技術広報はどのような体制で進めているのでしょうか?
大谷:実は、FLEXYさんとは別の副業サービスにも同じように技術広報の人材がいないか声をかけて、1名採用しました。
Sさんともう1名の方に同時期にジョインしてもらい、2名体制で技術広報の業務全般をお願いしている形です。
FLEXYからご紹介した方 | 技術広報 1名 |
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案件概略 | 技術広報、PR活動の展開 |
期間 | 3ヶ月 ※ひとまず3ヶ月でしたが、明確に期限はありませんでした。長く一緒にやってくださる方を探していました。 |
稼働頻度 | 週1日程度 |
働き方 | リモート |
エンジニア組織のフェーズ | エンジニアを60名規模で抱えている一方で、技術組織作りの明確な責任者がおらず、各チームリーダーに委ねられている状態。そこでVPoEとして大谷さんがジョインして組織作りの専門チームをつくり、さらに新たに技術広報にも取り組もうとしているフェーズでした。 |
募集背景 | 会社をPRするための本格的な施策を実施するため、技術広報のプロを求めていました。 |
―今回のように、エンジニア組織の強化のために技術広報の人材を外部から求めるケースは大谷さんの周囲でもありますか?
大谷:広報もそうですし、人事などの領域でもプロ人材に参画してもらうケースは多いと思います。以前はセキュリティ面の問題などが指摘されることもありましたが、今は外部人材を活用して社内の課題をクリアするという手法がかなり浸透してきたと感じますね。
技術広報としてやりたいことを全てリストアップしてディスカッション
―面談はどのような感じで進みましたか?
大谷:まず、現在会社としてPRできる情報や、具体的に技術広報としてやりたいことなどを全て事前にリストアップしました。それをそのままミッションとして、Sさんとの面談時に共有しています。
それぞれの課題をどんな風に解決していけばいいのか、進め方などについても簡単にディスカッションして擦り合わせました。
―面談時からご支援がスタートした感じですね。そのほかに、Sさんがジョインするにあたって準備したことはありますか?
大谷:特にありませんね。ジョインしていただいた初日に会社説明は行いましたが、それくらいです。私たちが準備した課題を理解していただき、適切な進め方を提案してもらえたので助かりました。
イベント運営やSNS活用、PR動画制作などを一手に担ってくれている
―具体的にSさんはどのような業務を行っているのでしょうか。
大谷:当社が主催するイベントの企画〜運営やSNSの運用、会社のPR動画の制作などです。
イベント運営については日程調整や告知ページ作成などを行ってくれますし、SNS運用については、Twitterアカウント作成の案内や、具体的にどのような発信をしてブランディングにつなげるのかといったアドバイスをしてくれています。PR動画は採用活動での使用を目的としたもので、会社や技術チームを紹介する内容です。私達にノウハウがないことも丁寧にアドバイスいただけて、非常に助かっています。
この1月後半に行うイベントもSさんが企画してくれました。
画像引用:https://miidas-tech.connpass.com/event/201191/
―内容が多岐にわたる面白そうなイベントですね!では、もう1名の技術広報の方とは、どのように業務を切り分けているのでしょうか?
大谷:お互いの得意分野によって分けています。特にテクニカルな部分はSさんが取り組んでくれていますね。
もう1名の方は大手企業の人事組織を作った経験などがあり、Webにも詳しいので、採用サイトの作成や掲載記事のインタビュー及び執筆などを行ってくれています。
―これまでの業務によって、技術広報の効果は感じていらっしゃいますか?
大谷:例えばイベントなら開催を告知した初日から80人ほど集まるなど反響があり、それに伴って社内の雰囲気が少しずつ変わってきましたね。
しっかり会社のことを発信していくことが未来の組織を作ることにつながるのだという認識が、徐々に浸透してきている気がします。リーダー陣もかなり協力的です。
―Sさんの稼働時間は週1日程度ですが、過不足はありますか?
大谷:適切な頻度とスピード感で支援していただいていると感じています。不足はありませんし、逆に稼働時間を倍に増やしたからといって、劇的に業務が進むということも無いかなと思います。
良い組織づくりが良い採用活動、良いサービス提供につながる
―今後、技術広報によって達成したい目標はどのようなものですか?
大谷:社内外から、「良いエンジニアがいる」「良いチャレンジができる」組織だというイメージを持ってもらえるようにしたいですね。そのために、社内で行っている取り組みについてどんどん発信していきたいと思っています。
―それはやはり、採用を強化したいという側面が大きいのでしょうか?
大谷:どちらかといえば採用は付随的なものです。良い組織だと認識してもらえれば現在働いているメンバーは辞めないと思いますし、長く生き生きと働けるはずです。その結果として採用数も増やせるようになるのだと思います。厳選採用ができるようになれば、予算を採用ではなく今いるメンバーのための施策に使えるようにもなります。採用はあくまで手段であり、第一の目的は良い組織づくりをして、良いサービスを作っていくことですね。
―取材時期(※取材日 2021年1月)としても、VPoEの方に聞きたいのですが、コロナ禍によって組織の働き方やオンボーディングなどにも変化はありましたか?
大谷:仮に今後コロナが落ち着いてもリモートワークを続ける方針を決定したので、ここ1年ほどの間にリモートで組織が回るような体制・カルチャー作りをしてきました。Slackでこまめにやり取りすることはもちろん、何かあればすぐに電話をして、声を聞きながら開発を進めていくようにしています。
業務委託の方が多いので、オンボーディングも重視しています。特にリモートではジョインしてすぐにオンラインのみのやり取りになり、組織に馴染めず孤立してしまう恐れがあるため、誰がフォローするのかをしっかり決めています。また、お願いするタスクについては簡単なものから徐々に難易度を上げ、仕事を進めるにつれてサービスと技術への理解が深められるよう意識しています。
―それでは、最後にエンジニア組織としてのミッションやバリューなどがあれば教えてください。
大谷:行動指針は作ろうとしていますが、実はあえてミッションやバリューは掲げていません。というのも、エンジニアにはインフラ構築やシステムの整備をする人もいれば、新しい技術にチャレンジする人などもいて、役割や期待している行動が全く異なるからです。
「絶対にこうじゃなければいけない」という組織の方針を短い言葉にまとめる必要は無いのではないか、というのが当社のスタンスですね。多様性がある人材がイキイキと働いている、そんな状態がミイダスらしいと思っています。