ハイスキルのデザイナーにすぐに出会うためには?エキスパートの知見で開発を加速させる―シャノン/堀譲治さん
設立から20年以上の歴史を持ち、さまざまなビジネスソリューションを展開してきた株式会社シャノン。
今回同社は新機能開発に着手しましたが、必要とされたのは既存の機能とは全く別の専門領域の技術でした。
知見もノウハウもゼロだったため、CTOの堀さんはFLEXYからプロ人材を求めることに。
未知の領域の開発においてエキスパートがどのような力を発揮するのか、業務の進め方なども含めてお伺いしました。
【インタビューに答えてくれた方】
目次
既存事業とは全く異なる領域で新機能を開発するためにFLEXYを活用
―まず最初に、御社の組織概要と堀さんの役割について簡単に教えてください。
株式会社シャノン CTO堀 譲治さん(以下、堀):当社はマーケティングオートメーションやイベントマーケティングなどのSaaSを提供しています。社員は全体で約160名、開発組織は25名ほどです。東京以外に上海にも開発拠点を設けています。
私は取締役CTOとしてプロダクトマネジメントや技術関係全般のディレクションを行うほか、技術投資の意思決定にも携わっています。すでに15年ほど在籍しており、CTOとして働いている期間もかなり長いほうだと思います。
―15年という長い期間の中で、フリーランスや副業の方を自社に迎え入れたのは今回が初めてだそうですね。
堀:そうですね。今回のプロジェクトは新機能の開発で、既存の機能とは全く異なる専門領域の技術が必要でした。開発チームは6名採用する予定でいましたが、そもそもどんな技術を使えばいいのかもわからない状態だったため、ぜひエキスパートの方に協力していただきたいと考えました。
しかし、既存の人脈では知見のある方にコンタクトを取ることが難しい状況で、当然専門領域なので正社員登用もかなりハードルが高くなります。そこで以前からお付き合いのあったFLEXYの野谷さん(※)にご相談をしたところ、Nさんというデザイナーの方をご紹介いただきました。
スキル要件を伝えた翌日にマッチした人材と面接できた
―FLEXYの野谷に相談してから面談まではどのように進みましたか?
堀:とにかく野谷さんはレスポンスが早い方なので、こちらが求めるスキル要件や経験などのオーダーを伝えてから、12時間以内に「一人こんな方がいますよ」と返事をくれました。
通常、正社員を登用するとなると最低でも1~2ヶ月はかかるのが普通ですから、フリーランスの方を採用するといっても1ヶ月ぐらいのスパンはかかるだろうとこちらは少しゆとりをもって構えていたんです。
それが1日もしないうちに「明日面接しましょうか」と言われたので驚きましたね。FLEXYさんで募集をするときはあらかじめ会社としてお願いしたい仕事内容をしっかり決め、社内の準備も整えておかないといけないんだと思ったほどです(笑)。
もちろん、今回は条件に合致する方がたまたま空いていたというタイミング的な運も良かったのでしょうが、結果として非常に助かりました。
FLEXYからご紹介したNさんの業務内容と稼働頻度 | |
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職種 | デザイナー |
案件概略 | – デザイン制作 – 技術的アドバイス |
期間 | 3ヶ月 |
稼働頻度 | 月32時間 |
働き方 | リモート |
―それは何よりです!そのほか、野谷の対応で良かったことがあればぜひ教えてもらえますか?
堀:野谷さんはエンジニア出身ではないそうですが、私があれこれお伝えした新機能の内容についてしっかり理解した上でフィットする方を見極めてくれました。正社員を採用する際はエンジニアリングについて全くわからないリクルーターの人が多かったので、すごいなと思います!
特に今回は使用する技術がピンポイントで決まっていたわけではなく要件が定まっていなかったので、特に難しかったと思います。FLEXYさんからご紹介いただいた何名かの候補者の方と面談した内容を基に、どんな技術が良いのかが少しずつ絞れてきた感じでした。野谷さんはそういった状況の変化を上手くキャッチしながら、しっかり対応してくれました。
専門領域のエキスパートと対等に会話できるよう社内でもしっかり準備
―デザイナーのNさんを迎え入れるにあたって社内準備したことはありますか?
堀:社内には知見が全く無い領域だからということでプロ人材を採用させていただきましたが、さすがにその領域に関する単語もわからない状態ではNさんと会話すらできません。社内のメンバーは事前にその領域についてある程度勉強しましたし、実際にツールを触ったりして備えました。
エキスパートの知見をしっかり吸収するための地盤として、少なくともNさんが言っていることがわかるレベルにまではある程度準備ができたと思います。
―Nさんは月32時間稼働ということですが、どのような業務を行っていますか?
堀:技術に関するアドバイスに加えて、プロトタイプを作ってもらうなど実際のデザイン制作もお願いしています。
領域の特性としてイメージを擦り合わせるのがなかなか難しい部分があり、なおかつフルリモートでのやり取りだったので、デザインは都度Slackにキャプチャー画像を貼って共有してもらいながら進めている感じですね。大きな方向性については週に1回のミーティングで調整しています。
―フルリモートでの業務も特に問題はありませんでしたか?
堀:シャノンのエンジニアはコロナ禍でフルリモートで働いていましたし、上海拠点とリモートでやりとりをすることにも慣れていたので全く抵抗はありませんでした。Nさんとはまだ一度もリアルでお会いしていませんが、業務はスムーズに進められています。
―これまでは正社員の方と接することがほとんどだったかと思いますが、フリーランスの方を採用してみて、正社員との違いは感じましたか?
堀:今回の場合、Nさんが昼間に本業で働いている都合でどうしてもやりとりが夜になってしまうという要素はありましたね。もちろんこちらも了承していることなので大きな問題ではないのですが、Slackで問い合わせるにしても昼間はあまり連絡しません。ミーティングも19時半から行ったりしていました。
エンジニアが持つスキルを時間単位で提供する時代がやってきた
―堀さんがシャノンに務めた15年の間に、エンジニアの働き方はどう変わってきたと感じますか?
堀:シャノン自体はそこまで変わっているとは思わないのですが、世間的にはコロナをきっかけにリモートワークが推奨されるようになりましたよね。
さらに今回FLEXYさんを利用したことを通じて、時間単位で自分のスキルをいろいろな会社に提供するという働き方が十分現実的なものになってきたのだなと実感しています。
エンジニア業界は技術の変化が非常に激しいので、iOSでスマホアプリを作りたいと思うときもあれば、ここではAWSを使おう、ここではGCPを使おうといった判断が頻繁に起きます。正社員のメンバーももちろん新しい技術をキャッチアップしてはくれるのですが、なかなかエキスパート並の経験を求めることはできません。
そのときに、例えばFLEXYさん経由でGCPを5年使った経験があるプロ人材からアドバイスをもらえるのは非常に便利ですよね。スタートラインで技術選定などが誤った方向に行ってしまうと非常に苦労しますから、開発の入り口を間違えずに進められるのは大きなメリットです。
―堀さんの周囲にも、プロ人材として働いているCTOの方などはいらっしゃいますか?
堀:多少ありますね。最前線で働いている若い方よりも、すでに企業が上場してCTOを半ば引退したような状態だから、技術顧問として手広くいろいろな企業に関わっているという人が増えてきている印象です。実際、そういう人に週1回程度ミーティングしてほしいというニーズも多々ありますからね。
―どんなときに技術顧問を求めたくなるのでしょうか?
堀:例えば新しいアーキテクチャを大きく導入しようとするときですね。やはり新しい技術で実装面を含めてサービスリリースまで持っていったことのある人に過去の経験やアーキテクチャに対する意見を聞きたいです。
そういった相談はベンダーのセールスエンジニアやコンサルタントなどに頼むこともできますが、本当に実装の経験に裏付けされたコメントや第三者的な視点も持ってレビューできるかはわかりませんし、実際そういうスキルを持った人材は少ないと思います。
エンジニアには自分が面白いと思うことを第一に働いてほしい
―堀さんご自身がCTOとして組織を束ねる上で、大切にしていることはありますか?
堀:シャノンは大きなひとつのサービスによって成長してきた企業ですが、「変わり続けること」は大事にしています。15年も続いているサービスなので放っておくと硬直し、既存の組織や顧客、コードを変えるのはどんどん大変なことになっていきます。その中で新しい価値を届け続けるには、柔軟性や顧客志向、新しい技術への興味といったマインドセットを持つことが重要だと考えています。
―それでは、最後に、自社のエンジニアにどんな風に働いてほしいかについて教えてください。
堀:エンジニアにはプロダクトを「自分のサービスだ」と思ってほしいですね。CTOとしてそう感じてもらえるような話し方も意識しています。「上から言われたから」という気持ちで仕事をしてもやはり物事はあまり良い方向には動きませんし、楽しくもありません。それよりも自分が考えたこと、面白いと思うことを大事にして、自分がやりたいからやっているという気持ちで開発に取り組んでもらえたらうれしいです。
企画/編集:FLEXY編集部