EAIツールとは?仕組みや選び方などをわかりやすく解説

EAI

EAIツールとは、企業内の異なるシステムの連携に用いられるツールです。社内データや業務プロセスを効率よく統合できる上に、人手不足の解消やヒューマンエラーの予防なども期待できるため、EAIツールを導入する企業が増えています。本記事ではEAIツールの仕組みや導入のメリット、選び方などを解説します。

そもそもEAIとは?

EAIとは、Enterprise Application Integrationの頭文字を並べた言葉で、データや業務プロセスの統合を目的に、社内の複数のシステムを連携させる仕組みを指します。例えば、在庫管理システムと受発注システムを連携させ、在庫が切れる前に自動的に発注を行う仕組みなどがあります。

従来はデータ連携をする場合、システムごとにプログラムやインターフェースを開発するしかなく、開発に時間がかかることはもちろん、改修やバージョンアップのたびに工数や費用が必要でした。しかしEAIツールならば、それら工数や費用の削減が可能です。EAIツールはシステムをつなぐハブ(窓口)であることから、「ハブ・アンド・スポーク型」と呼ばれることもあります。

EAIツールの基本機能について

EAIツールを利用すると、異なるシステムの連携が可能です。EAIツールの基本機能は以下の4つで、それぞれを詳しく紹介します。

  • アダプタ機能
  • フォーマット変換機能
  • ルーティング(フロープロセッサ)機能
  • プロセス制御(ワークフロー)機能

複数の機能を連携させる「アダプタ機能」

アダプタ機能は、異なる複数のシステムのハブとなり、データの送受を実現します。そのため、システムごとにプログラムやインターフェースを開発する必要がありません。

対応できるアダプタの種類はツールによって異なり、数が豊富であるほど、接続できるシステムの種類も増えます。ただし数が豊富でも、自社の連携したいシステムに対応していなければ意味がないため、導入の際には確認が必要です。

受け取ったデータの変換を行う「フォーマット変換機能」

システムには独自のフォーマットやプロトコルがあるため、アダプタ機能でシステムをつなげるだけでは、データ連携はできません。そこで「フォーマット変換機能」が、各システムのデータ形式を変換する役割を担います。

アダプタ機能と同じく、どのフォーマットに対応しているかはツールによって異なるため、導入前に確認しましょう。

データの振り分けを行う「ルーティング(フロープロセッサ)機能」

「ルーティング機能」は、フォーマット変換機能で変換されたデータを、連携先のシステムに自動で振り分ける役割を担います。「フロープロセッサ機能」と呼ばれることもあります。

この工程はシステム連携の要でもあるため、振り分け先の設定操作が複雑ではないことが重要です。中には直感的に操作できる仕様のEAIツールもあるため、トライアル版などで操作性を試すことをおすすめします。

データを統合してシステムを完成させる「プロセス制御(ワークフロー)機能」

「プロセス制御(ワークフロー)機能」は、「アダプタ機能」「フォーマット変換機能」「ルーティング(フロープロセッサ)機能」の各機能をまとめ、システムを完成させます。

この機能では、単純作業から複雑なデータの流れまでを自動化できます。例えば「システムAとシステムBのデータを連携する」設定のほか、「システムAのデータを複数のシステムに送り、得られたデータをさらに別のシステムに連携させる」といった設定も可能です。

設定の際には、システムの知識以外に業務の流れを熟知していることが必要です。ただし、EAIツールの中には、GUIによりこの工程をノンプラミングで行えるものも数多くあります。

EAIツールを導入するメリット

データ連携にEAIツールを利用すると、企業はさまざまなメリットを享受できます。以下に具体的なメリットを紹介します。

データ連携を高速化できる

EAIツールでは作業工程が標準化かつ最適化されているため、例えば専門のエンジニアがいない場合でも、データ連携の高速処理が可能です。社内データが一元管理化されるため、データ管理の効率化も期待できます。

また、近年は「2027年問題」によりSAP技術者の不足が懸念されています。2027年問題とは、SAP社の「SAP ERP 6.0(企業の全部門共通システム)」の標準サポートが2027年に終了することで起こる問題です。日本でも多くの企業がSAP ERPを導入していますが、ERIツールの中には、SAP ERPからのデータ移行に使えるものもあります。

工数を大幅に削減できる

EAIツールを使用すると、プログラムやインターフェースの個別開発が不要になり、工数や費用を大幅に削減できます。また、連携するシステムにバージョンアップなどが発生した際にも、エンジニアがプログラムを修正する必要はありません。特定のエンジニアに依存するリスクも避けられます。

ヒューマンエラーの防止につながる

人間が作業を行う以上、データの誤変換や喪失などヒューマンエラーは避けて通れません。しかしEAIツールは作業の多くを自動化しているため、ヒューマンエラーの防止に役立ちます。さらに、データ改ざんの予防にもつながり、データの信頼性や正確性を高められる点もメリットです。

EAIツール導入の注意点

メリットが多いEAIツールですが、導入を検討する際には、注意すべき点もあります。

そのひとつがデータ処理量です。EAIツールの目的は、複数システムのデータ連携を効率的に行うことにあり、リアルタイム性が求められるデータ連携や、少量かつ高頻度のデータ連携に適しています。一方で、1回のデータ処理量はあまり大きくありません。

また、EAIツールがハブとなり、データを集中的に処理することから生じる課題もあります。例えばパフォーマンスが低下しがちな点や、障害発生時に影響を受けやすい点などです。ただし、近年はクラウド型のEAIサービスやデータウェアハウス(DWH)も登場しており、EAIツールで対応可能なケースも増えています。

EAIツールの選び方

続いては、EAIツールの選び方です。以下に注目すべきポイントを3つ紹介します。

連携できるインターフェースは豊富か

対応できるアダプタの種類が豊富であるかなど、連携の充実度に注目しましょう。ただし、アダプタの種類が多くても自社のシステムに対応していなければ意味がないため、注意が必要です。

また、将来的にクラウドサービスの利用が拡大することを踏まえ、クラウドサービスとの連携が可能かどうかも、確認しておきましょう。EAIツールにはさまざまな種類がありますが、国内のクラウドサービスやソフトウェアをメインで使用するなら国産のEAIツールがおすすめです。逆に海外のクラウドサービスやソフトウェアに幅広く対応できるのは、海外のEAIツールです。

ノーコードツールの使い勝手は良いか

EAIツールはノーコード開発に対応するものが多いです。ノーコード開発の際には、GUI上で、用意された機能を部品として組み合わせいきます。しかし機能の豊富さや部品の集約度によっても、操作性や難易度が異なります。中には高度なスキルが求められるEAIツールもあるため、ITリテラシーが高くない従業員でも使えるようにしたい場合は、使い勝手の確認が必要です。

また、データの連携状況を見る際、ダッシュボード上にわかりやすく表示されるかも確認しましょう。トライアル版やデモ版を提供しているツールもあるため、操作性や視認性を検証してから導入するとミスマッチを防げます。

自社に適した提供形態のツールであるか

EAIツールの提供形態には、パッケージソフトウェア型(オンプレミス)とクラウドサービス型があります。

パッケージソフトウェア型は、購入したシステムを自社内に設置したサーバにインストールし、管理・運営します。カスタマイズやセキュリティ対策などの自由度は高いですが、導入コストがかかることや、保守管理も自社で行う手間などがデメリットです。

一方でクラウドサービス型は、サーバの運用や保守管理はサービス事業者に任せられるため、企業はデータ連携の開発を中心に行えます。導入にかかる工数や費用を削減できる点もメリットですが、カスタマイズ性やセキュリティ面の自由度は低くなる傾向にあります。また、データ連携に際しては、オンプレミスにあるシステムとネットワークが構築できない場合もあるため、あらかじめ確認が必要です。

以上のように、パッケージソフトウェア型とクラウドサービス型には、それぞれメリットとデメリットがあります。複数のツールを比較検討し、自社に適した提供形態を選んでください。

EAIツールと似ているものとの違いも把握しておこう

最後に、EAIツールと混同しやすい以下のツールについても、把握しておきましょう。

  • ETLツール
  • ESBツール

ETLツールとの違い

ETLは、Extract、Transform、Loadの頭文字を並べた言葉で、その名のとおり、データの抽出・変換・格納処理を行う技術のことです。企業内の大量のデータをDWHに集約するには、フォーマットなどの形式を統一させる必要があります。その際に利用するのが、ETLツールです。

ETLはバッチ指向での処理が得意なため、このように大量データの処理が可能です。一方でEAIツールはイベント指向のデータ処理を得意とし、システム間のデータを高速連携したい場合に適しています。

ESBツールとの違い

ESBは、Enterprise Service Busの略称で、企業内の情報システムやアプリケーションを連携させる際に基盤となるミドルウェアです。異なるアプリケーションやシステムを連携できる点はEAIと同じですが、処理方法が異なります。

具体的には、EAIツールはデータの集中処理を行う「ハブ・アンド・スポーク型」であるのに対し、ESBツールは分散処理を行う「バス型」です。そのため、ESBツールでは、EAIツールでは起こりがちなパフォーマンスの低下が起こりにくいという特徴があります。

どのツールを使うかは、自社のデータ量や求めるスピードなどによるため、十分な検討が必要です。

まとめ

EAIツールは、企業内の異なるシステムを連携させ、データや業務プロセスを統合する際に使用するツールです。標準化かつ最適化された作業工程によりデータ連携の高速処理が可能であるほか、工数や費用、人員の削減などが期待できます。

ツールによって対応できるアダプタや、操作性・視認性などが異なるため、導入の際はトライアル版などを事前に利用してみるのがおすすめです。

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